磯部作の発言 (国土交通委員会)
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○磯部参考人 磯部でございます。
「はじめに」というところに書かせていただきましたけれども、専門は地理学でございまして、環境省の委員が多かったんですが、旧建設省で一九九九年に委員をしたことを今思い出しております。
災害の研究は、一九七六年に台風十七号というのが豪雨災害をもたらして、それ以後やっております。
特定都市河川では、境川、武蔵と相模の国の境の、そこを数年前に克明な調査をいたしております。
とりわけ平成三十年七月豪雨、いわゆる西日本豪雨災害ですけれども、倉敷市真備町というようなところで大量の死者を出したという中で、その辺りの研究を最近は進めております。
流域治水関連法案につきまして、今までの個別のをまとめてこういう形でやっていくということは、非常に評価できると思っております。流域治水、流域全体での治水対策、それも、集水域だけじゃなくて氾濫域まで含めて行っていくということは非常に評価できます。
ただ、流域圏といいますのは、一九七七年の第三次全国総合開発計画で既にもう出ておりまして、そういう点では、流域という観念、もう四十年ぐらいになっているという中で、遅きに失したとは言いませんけれども、もっと早くてもよかったのではないかと思っております。
特定都市河川浸水被害対策法の第一条で、市街地の進展だけでなく、その後に、当該河川ということで自然条件等の特殊性を追加したということ、地理学でいいますと地域性と申しますが、それを考慮しながらやっていくという点で評価できますし、さらに、対象河川を、今、特定都市河川は八河川が指定されておりますけれども、それだけではなくて、一級河川、さらには二級河川、あるいは準用河川にまで拡大していくということも非常に評価できると思います。
また、ダムの事前放流の実施を今回明記されたということも非常に評価できます。
私は、先ほど申しました西日本豪雨災害で、高梁川流域で今調査を行っております。中国電力の発電用の利水ダムの新成羽川ダムという大きなダムがございますけれども、それが緊急放流を行うという中で、下流の高梁、総社、倉敷等で水害が発生しております。とりわけ、五十一名の方が亡くなった倉敷市の真備町では、高梁川のバックウォーター現象で、支流の小田川やその支流の高馬川、あるいは末政川などが水位が上昇して、堤防高が低いところで越流、決壊して水害が発生しております。
私は、気象庁が、これは七月の五日の二時に緊急の記者会見をして、とんでもない豪雨が降るよということを予告されております。それを受けて岡山県等も会議をしたりしておりますけれども、新成羽川ダムが少し放流するんですが、その後放流を減少させて、慌てて六日の夕方ぐらいから緊急の放流をかけていくということになっていまして、それが発災の原因だと思っております。
国交省は河川法五十二条で災害防止の指示をできることになっておりまして、これをしていなかったという辺りを私は論文に書いております。そういうのを踏まえてといいますか、それに、令和元年の台風十九号等で緊急放流、あるいはそれに類するようなことがあったために事前放流を決定されたという、国が一昨年の十一月にそれを明言されていきますけれども、そういうところは非常に評価できます。
ただ、この関連法案で問題点あるいは課題というのがございますので、それを申し上げます。
条文の中に流域治水という言葉がないんですね。私も精読してみましたが、流域治水関連法案といいながら流域治水が入っていないという辺り、なかなか、国民の認識を得るには、是非入れていただきたいなと思っております。
それから、そこの特定都市河川の法律の一ページのところに、これはスライド的に書かれている概要のものなんですけれども、流域治水のイメージというのがございまして、「治水ダムの建設・再生」を書き入れています。新たなダムの建設を計画しているといいますか、これまで治水というのが、ダムというのをかなり重点的に、ここ数十年と言っていいと思いますけれども、行っております。その中で、西日本豪雨あるいは台風十九号による豪雨、昨年の球磨川の豪雨災害というようなものが発生しておりますので、この辺りを問題だと考えております。
とりわけ、西日本豪雨では、先ほど岡山県の高梁川のことを申し上げましたけれども、愛媛県の肱川でもダムが洪水の原因になっているということがありますので、流域治水という中で、河道掘削とか堤防整備とか遊水地とか貯留施設、これを挙げられている以上、それをまず優先にして流域治水を考えていただきたいと思っております。
西日本豪雨災害の高梁川に戻りましても、バックウォーター現象と先ほど申し上げましたけれども、これもダム、あるいはつけ替え工事というようなことで、なかなか堤防高の低いところが、それを修理といいますか、かさ上げをしていなかったというようなところから越流、越水しておりますので、その河川整備の不十分さというのもありまして、やはり、流域全体を考えながら、一つのダム、あるいはそういう単独のじゃなくて全体を見るというのが今回の法案の趣旨だと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。
そのためには、河道の流下能力の把握とか、河道の維持管理とか、そこに書かせていただきましたが、恒常的に行う必要があると思いますし、河川管理の瑕疵について、より住民の安全に配慮した考え方が必要だと思っております。避難は単位自治体の役割になっておりますが、とりわけ基礎自治体の役割なんですけれども、河川整備、管理、河川管理者が直接責任を負う方向で打ち出していくことが必要だと思っております。
滋賀県が、そこに書かれた流域治水の条例を作られておりまして、本当に数日前に、日本地理学会が社会貢献部門で表彰をしております。
流域治水で実施する事業につきまして、実施する地域と流域全体を見通した防災と環境などに関する事前のアセスメントと事業効果の継続的な検証が必要だと思います。ですから、治水事業をするにしましても、流域全体で、やはりそういう事前と事後の評価をしていく必要があると思います。
それから、流域水害対策計画などへの流域住民あるいは学識経験者の参加保障。これは、学識経験者等は多少書かれておりますけれども、やはり住民、これも流域全体の住民ですね、流域治水というわけですから、その辺りの住民参加、合意形成が必要だと思います。河川法十六条あるいは十六条の二の河川整備に関する方針、計画への住民参加、合意形成などを具体的、制度的に保障していく必要があると思います。
集団移転につきましても、私も、東日本大震災の辺り、十三回ぐらい行って調査しておりますけれども、やはり、高台は造ったけれども、そこに十分入れないといいますか、入らないといいますか、住民との意思の疎通が十分でないというところが見受けられます。
それから、都道府県を超えての流域の一体的な流域治水が必要だと思います。高梁川の場合も、支流の成羽川というのは広島県から流れてまいっておりまして、それに対して岡山県の場合は、なかなか県境を越えての状況が把握できかねていたと思っております。ちょっと私、広島県の海ごみ関係の委員もしておりますけれども、そういう中でも、他府県に流れている川につきましては余り重要視しないというような、やはり都道府県の、あるいは自治体の枠を超えての流域管理が必要かと思っております。
それから、事前放流とか避難のために、降雨予測あるいは流出解析、水位情報把握、情報伝達手段などなどについて、これまで以上の技術革新とか情報の高度化、それから開示をきちっとしていくということが必要だと思います。ここがまだまだ遅れているのではないかと思っています。
それから、複合災害への想定ということで、この条文の中にも、洪水時、雨水出水時又は高潮時というように併記されているんですが、高潮と洪水というのは、台風が来れば同時発生をしますし、それに満潮が重なってというようなときには、洪水の水位というのが一気に上がるわけでして、こういう点も流域全体を考える中で必要かと。
それから、要配慮者施設等につきましては、危険地域への立地回避と、障害に応じた適切な対策が必要かと思います。私、日本福祉大に勤めておりましたので、障害者といっても様々な方がいらっしゃいます、それに応じたものをやっていかないといけない。西日本豪雨災害のときなんかも、施設の方に伺うと、様々な方が福祉避難所に避難されてきてなかなか対応できなかったということもございましたので、お願いします。
最後に、流域治水とともに、私は流域管理が必要ではないかと思っております。
と申しますのが、豪雨災害では大量の災害ごみが発生して、海にまで流出し、海ごみになります。今、プラスチックごみ等が重大な問題になっておりますが、ここは国土交通委員会ですので、流木とかロープなどなどがスクリューなどに絡まったり、破損したりして、船舶の航行障害を起こしたりもしております。そういう点では、治水というだけじゃなくて、管理をしていただければということです。
水田や森林の保水能力の向上を目指すというのは、先ほど皆さんもおっしゃっておりましたので、流域全体のという意味では、国土交通委員会も、農水とかその辺りのことも含めて必要かと思っております。
それと、地球温暖化、気候変動、さらに、最近では気候危機とまで言われておりますけれども、この条文の中には対応するということが書かれておりますが、やはりそれを止めていくという対策が必要ではないかと思っております。とりわけ国土交通委員会とされましては、やはり運輸部門の、今、CO2の排出量というのは産業部門に次いで多くなっておりますので、そういう辺りで、これをどう止めていくかということを含めて対応ということを考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)