末澤豪謙の発言 (財務金融委員会)

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○末澤参考人 SMBC日興証券、末澤でございます。よろしくお願いします。
 私からは、こちらの資料、二〇二一年の経済・金融市場の動向と特例公債法、COVID―19とアメリカのバイデン新政権、こちらの資料を使って御説明させていただきます。
 一ページめくっていただきまして、世界経済と金融市場の動向、COVID―19パンデミック、二〇二〇年米大統領選とバイデン新政権、特例公債法、この四項目を御説明させていただきますが、何分、全体が二十分でございますので、前半分は相当早送りで折り返させていただきます。
 それでは、二ページ目でございますけれども、右下にページ数を振っております。
 まず、今年の世界経済、金融市場の動向でございますが、昨年、世界は、新型コロナウイルス感染症、COVID―19のパンデミックによる、世界中でロックダウン、都市封鎖が実施されたことで、リーマン・ショック後を底とした戦後最長の経済拡張局面は終了し、景気後退局面に入りました。
 実は、もう昨年の半ばには回復期に移っているとは思います。今回、特に株価も相当暴落しましたが、未曽有、空前絶後の規模の世界的な金融緩和、財政出動により、株価の反発が先行し、世界経済も回復軌道にある。
 ただ、今後は、私は、V対LからVダッシュ対Vダブルダッシュ、こちらの攻防になる。つまり、ウイルス対ロックダウン、これが昨年の戦いで、対COVID戦争でございましたが、今年は、ワクチンの普及が期待される一方、いわゆるバリアント、変異株が今後また増えてくる可能性がありますので、この辺りがやはり今年の世界経済の大きな不安定要因。
 あと、もう一つこの下に書いてあるのは、二〇一九年まで戦後最長の景気回復局面が続いたんですが、実は政治不安が世界で続いておりまして、過去五年半でG7の六か国で首脳が交代し、今年の九月にはドイツのメルケルさんも首相を退任されるということでございます。この背景には、やはり所得及び資産の格差拡大、また移民、難民問題があったと考えております。
 三ページ目でございます。こちらは今年のタイムスケジュール、右側にはCOVID―19の経緯をお示ししておりますので、また御参考にしていただければと思います。
 四ページ目でございますが、こちらはIMFの世界経済の見通しでございますけれども、今年、二〇二一年の成長率はプラス五・五%と、昨年十月の見通し対比は〇・三ポイント上方修正されています。右下のグラフの方を御覧いただきますと、昨年は先進国がマイナス四・九%、世界全体でマイナス三・五、新興国及び発展途上国がマイナス二・四ということで、リーマン・ショック後の景気後退局面を上回る、いわゆる大恐慌、世界恐慌以来のマイナス局面になりましたが、今は反発局面にある。
 五ページ目でございます。ちょっとこの辺りも早送りでいきますが、今回の危機の特徴を一言で言うと、極めてスピードが速かった。これはなぜかというと、景気後退もロックダウン、つまり人為的な経済封鎖でもたらされました。一方で、それに対しては金融緩和、財政拡張、財政出動、こちらで対応した関係で、株価の動きも、高値と安値、リーマン・ショック時は一年半かかったのが、今回は一か月半。また、アメリカの雇用情勢も、急激に悪化して、その後は徐々に回復しているということでございます。
 六ページ目でございますが、今回の景気回復の一つの特徴は、やはり株価が高い。六ページの右上を御覧いただくと、アメリカの個人純資産、これは一昨年の十二月に百十八兆ドル、日本円ですと一京三千兆円になりましたが、それが一回大きく落ちた後、また回復ということです。
 あと、七ページ、こちらも、アメリカの方では、今、住宅価格、右上でございますが、過去最高。これはなぜかというと、右下のグラフですね、住宅ローン金利が極めて下がっているということでございます。
 あと、八ページでございます。ただ、やはり今後の不透明要因、リスク要因というのは、八ページの青い折れ線がアメリカの長期金利ですね、これが〇・三%台まで下がったわけですが、今、足下は一・三%台ということで、一%ほど上がってきている。あと、スペイン風邪の事例にもありましたように、感染第二波、第三波というのは、ある面、変異株の登場とかが影響しているところもありますので、その辺りがやはり不透明要因、リスク要因だと思います。
 九ページ目でございますが、これはアメリカのCOVID―19対策。ちょっと詳しくは御説明しませんが、昨年十二月までの第五弾で総額四兆ドル、重複がございますので、重複を除くと大体三・四兆ドル規模のものを実施しておりまして、足下では、バイデン新政権が一・九兆ドル規模の追加対策案を提示し、これはちょっと超党派ではなかなかうまくいかないということで、財政調整制度、リコンシリエーションを使って今やっておるということです。
 ただ、十ページでございますが、アメリカの財政は急激に悪化しておりまして、このまま行きますと、やはり金利上昇又はドル安の懸念というのは払拭できない。
 あと、十一ページ、十二ページは、今度は日本の場合ですね。日本も、十一ページの左上、リーマン・ショックを超える景気後退がございましたが、その後、二四半期連続のプラス成長に転換しております。ただ、マーケットでは、この一―三月期は、緊急事態宣言の再発令もありまして、またマイナス成長になるのではないかというのが一般的な見方でございます。
 あと、十二ページ、これは今回、株価の方は、バブル期の一九九〇年八月以来の水準に日経平均等々は戻ってきたんですが、やはりかつてと違うのは、グローバル化と少子高齢化の進展。
 十三ページ、十四ページは、為替の動向と株価の動向ということで、後でちょっとビジュアル的に御覧いただきたい。
 十五ページでございますけれども、日経平均株価は、九〇年八月以来三十年半ぶりの三万円台を回復しております。ただし、為替相場は相当円安でございますし、いわゆる不動産価格も低迷したままというのはちょっと、バブル期とは相当違う。
 十六ページ、今回、特に、株式の買手の主役というのは海外がずっと主役だったんですが、足下は日本銀行さんが主役になっている。
 済みません、引き続き十七ページから参りますが、COVID―19パンデミックですね。
 十八ページ、これはもう御案内だと思いますが、人に感染するコロナウイルスというのは今回が七種類目ですね。元々四種類、風邪コロナウイルス、こちらは皆さん、冬場の風邪の大体一〇%から一五%がこれでございます。あとSARS、MERSということです。SARSは終息しましたが、MERSは今でもたまに出てくる。
 あと、WHOでは国際的な公衆衛生上の緊急事態宣言というのを二〇〇九年四月から出していますが、この十年ちょっとで六回目ということでございます。やはり背景には、グローバル化と気候変動が影響している可能性がある。
 あと、十九ページ、二十ページでございますけれども、この十九ページのグラフは、上がSARSですね、下が今回ということで、これは実は単位がもう全然違いますので比較はできないんですが、足下では世界では感染は少し収まりかけておるということでございます。ただ、変異株ですね、B1・1・7とかB1・351とかブラジルのP1、こういうものが徐々に拡大しております。
 あと、二十ページ、新型インフルエンザのパンデミックというのは二十世紀以降四回ございました。ちょっと次の二十一ページを御覧いただくと、我が国の場合、実は第一回目のスペイン風邪の波は世界に遅れること半年後に起きていますが、一九一八年の秋に発生し、十一月がピークです。二回目が二〇年の一月ということで、二回目は季節性インフルエンザとほぼ同じタイミングでピークになっていますが、この間変異が起きたということで致死率が上がったというふうに言われております。
 二十二ページ、二十三ページはアメリカと日本の感染状況でございまして、足下は、御覧のとおり、感染は収まりつつありますが、ただ、やはり死者の数は相当出てきているということでございます。
 二十四ページ、二十五ページは、今回の新型コロナウイルス感染症対策ということで、三次にわたる補正予算が組まれまして、空前絶後の規模の国債も増発されております。単位が過去とはちょっと比較にならない単位になっております。
 二十五ページでございますが、ここでちょっと私、一点申し上げたいのは、今回のコロナショック、これを鑑みても、財政再建、財政健全化というのはやはり平時、平常時しかできないということが再度確認されたのだろうと。
 実は、当初予算と決算に関する一般会計税収を比べますと、一九七五年以降四十六年間で、二十六勝二十敗。勝利というのはどういうことかというと、当初の見積りよりも決算が上回った。一方で、敗退というのはここが下がってくるんですが、実はここが二十六勝二十敗、勝率は六割ほどあるんですね。これは累計すると、今年度は見込みでございますが、マイナス三十兆円。
 なぜかというと、過去も、左下に書いていますが、第一次及び第二次オイルショック、バブル崩壊、金融危機、リーマン・ショック、コロナショックと、平均して大体十年に一度大きなショックがあって、そこで一旦税収がどんと落ち込む。また、そのときには大型の補正予算等が組まれますから財政が大きく悪化する、この繰り返しでございます。ですから、やはり今回のコロナショックを乗り切った後は、常の財政健全化が必要だということだと思います。
 二十六ページから、アメリカの大統領選と政策動向。ちょっとこちらの方も、時間の関係で、もうさらっとさせていただきます。
 二十七ページ、トランプさんというのは、大統領弾劾訴追二回目、初めての大統領ということで、過去に政治家の経験も軍人の経験もない初めての大統領でございますが、相当異色の大統領だった。
 二十八と二十九ページ、これは二〇一六年と二〇二〇年のアメリカの大統領選を比較していますが、実は選挙人の獲得数は全く同じなんですね、二百三十二対三百六。ただ、違うのは、得票数が民主党さん、共和党も、いずれも一千万票増やしているということで、実はアメリカでは相当大きな二極化、対立が起きているということでございます。
 三十ページは、バイデン政権が打ち出した第一弾の新型コロナウイルス対策でございまして、これは足下、今議会で、下院の方で財政調整法というのをこれから可決しようとしている。財政調整法というのは、リコンシリエーション、財政調整制度に基づく法律でございまして、上院でフィリバスター、これは六十票ないといわゆるクローチャー動議は可決できませんが、この財政調整制度を使えば単純過半数でいけますので、これでやろうとしているということでございます。
 あと、三十一ページ、ただ、第二弾、これは二月以降と書いていますが、今日の報道等では三月にバイデンさんは第二弾の対策を出してくるということで、これにはクリーンエナジープランだとか、育児や介護の問題、メディケアの対象年齢の引下げ、オバマ・ケアの拡充、あとインフラ整備、こういったものが打ち出されるということでございます。
 こういうものをやるとどのぐらい財政が悪化するのかということで、三十二ページ、これはアメリカのCRFBという超党派の中立系のNPOが試算をしたものでございますが、先ほどのコロナ対策を除いて、こういった元々のバイデンさんの公約を全部実現すると、十年で五・六兆ドル規模の財政収支が悪化するというのが中央値として試算されております。
 あと、三十三、三十四ページは、バイデン政権の対中政策と全体の政策をちょっと論じております。三十四ページでございますが、基本的にバイデンさんはビルド・バック・ベターということで、よりよい再建、ただし経済政策の柱はバイ・アメリカンとクリーンエナジー、これが政策の柱になっております。
 あと、三十五ページ、ちょっとここまで来るのが本当に早足で申し訳ございません。ここからが本題、本論でございまして、ちょっと時間をかけて御説明させていただきますが、三十五ページ、特例公債法についてですね。
 三十六ページでございます。実は、この財政問題というのは、アメリカで過去、金融市場を大きく揺るがす事態が幾度か発生しています。いつからかというと、二〇一〇年以降です。これはなぜかというと、ちょうどオバマ政権の中間選挙でいわゆるティーパーティーが勢力をのして、いわゆる与野党の対立が深刻化したのが二〇一〇年からでございまして、それ以降は、幾度も国際金融市場の波乱要因になっている。
 一つが、政府機関閉鎖、いわゆるガバメントシャットダウンでございます。
 アメリカの場合は、本予算に相当する統合歳出法、この成立というのは、実は日本と違いまして、会期の始まる前、向こうは十月から始まりますけれども、九月までにできたことはほとんどございません、ここ十年間で。結果的に、その間、統合歳出法が成立するまでは、複数の歳出継続法、これはCRと言っておりますが、日本でいいますと暫定予算、これを成立させている。これは実は今会計年度、この十月に終わります二〇二一会計年度も既に五本通っているんですね。ようやく六本目をする前に、一応、統合歳出法が昨年の年末に成立したということでございます。
 ただ、当然、これだけの状況ですから、CR又は本予算の成立が遅れることは過去に多々ございまして、二〇一八年には、アメリカの政府機関の一部が十二月二十二日から二〇一九年一月二十五日まで三十五日間、これはクリントン政権時を上回って、過去最長の政府機関閉鎖に追い込まれております。過去、アメリカの場合は、長いもので、長いというのは一日以上ですね、数時間というのはもっといろいろあるんですが、一日以上閉鎖されたのは大体十回発生しております。
 一方、債務上限、これはデットシーリング、デットとシーリングということでございますが、アメリカの政府債務の上限は、一九一七年の第二自由公債法に規定されております。一九四一年以降約百回、債務上限が変更されております。ただ、近年は、与野党の対立で債務上限を引き上げられず、一時的な債務上限の撤廃が恒常化しています。
 これはどういうことかといいますと、この右上にグラフがございます。アメリカ政府債務の上限と残高ということで、青いのが残高なんですが、茶色の方が債務上限を表しています。かつては、債務上限というのは継続しているんですね。つまり、ある期日が来ると債務上限を引き上げています。
 ただ、二〇一三年あたりから、実は上限の引上げが行われています。これはどうやっているかというと、債務上限の規定をサスペンド、撤廃、停止する措置ですね。これはなぜかというと、上限を引き上げようとすると、幾ら引き上げるかという議論になりまして、ここは与野党で合意ができないということで、一定期間債務上限の規定を停止する、こういう極めてイレギュラーな措置が取られていまして、実は足下もそうなんですね。今年の場合ですと、七月三十一日までは債務限度の適用が停止されています。
 ですから、現時点では、アメリカの財務省は、必要な措置、一応、不必要なものを調達してはいけないという規定があるんですが、必要な措置については財務省の権限で調達できる、これをやっていまして、では、七月三十一日になるとどうなるかということなんですが、ちょっと下に書いていますが、通常ですとその前に法案が通らないケースが多いので、その場合は八月一日に前日の債務残高で債務限度額が再設定されます。ですから、それ以降、八月一日以降は一ドルたりとも新規の調達ができなくなる。
 では、それでお金が足りなくなるかというと、実は、ちょっと上に規定があるんですが、財務省の緊急措置の規定がございまして、これで、私も五年前にOMB、アメリカ行政管理予算局、あとCBO、議会予算局をちょっと訪問しましてこの辺りを照会してきたんですが、州、地方政府向けの支援だとか公務員退職年金向けの国債発行の停止、為替安定基金の国債への転換停止、こういったもので、当時、五年前というのは大体二千億ドルほどのちょっとやりくりできるへそくりがあったんですね。これを使って対応しました。ですから、大体数か月から、場合によっては半年ぐらいはもつんです。ただ、今は財政赤字が大きな金額ですから、多分今回はもう数か月しかもたない。九月末の予算、来年度予算が切り替わるまでにはこの問題をどうにかしないとまた資金繰りが悪化する、こういうことにはなります。
 一方、次のページ、三十七ページでございますが、これが特例公債法の成立が遅れた二〇一二年秋の状況でございます。この右側に特例公債法の公布日というものを出していますが、かつては、御案内のとおり、ちょっと時期が遅かったんですが、平成に入ってからは、大体新年度が始まる三月までには特例公債法が成立して、四月一日から特例公債、赤字国債の発行が可能となっていましたが、二〇一二年秋は、いわゆるねじれ国会でございまして、特例公債法の成立が大幅に遅れたため、建設国債、四条国債ですね、あるいは借換国債、復興国債、財投国債の発行がほぼ終了し、残るは特例公債のみとなって、場合によったら、市中向けに発行している国債の発行が停止される寸前になったということがございます。
 また、そういう状況ですから、特別会計への一般会計繰入れの一部停止、地方交付税の配分抑制、補助金の一部停止等が実施されたということでございまして、仮に一旦国債の発行が停止されると、金利は急低下した可能性があるものの、その後は逆に急上昇する可能性がある、また、日本国債の格下げリスクも増大するものと見込まれておりました。
 最後の三十八ページでございますが、私は、今回の特例公債法五年の延長、これはやむなしと考えております。
 実は、私の地元四国の香川県の大先輩であります大平正芳元総理、元大蔵大臣が大蔵大臣当時の答弁でも、単年度立法による財政規律維持との考え方も、財政健全化計画等が未策定であり、また、近い将来に特例公債からの脱却が見通せる場合は合理的、こういう答弁をなさっていますが、現在は、御案内のとおり、早期脱却はなかなか難しい。
 しかも、今回、政府は、国と地方のPB赤字の二〇二五年度黒字化、同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを掲げております。ただ、現実はなかなか厳しい。やはり百年に一度のコロナ禍ということでございますので、余り、何というんですか、ややテクニカルなリスク、デフォルトリスク等をここであえて引き受ける必要はないんじゃないか。
 具体的な特例公債の発行総枠は各年度の一般会計予算総則に明記し、国会審査の対象になっておりますので、完全に政府にその権限が与えられているわけではない。あと、二〇一二年のように、仮に特例公債法案が与野党の政治的駆け引きで成立が遅れ、国債の発行が停止し、一般会計から特別会計への繰入れや地方交付税交付金の配分、補助金の支給停止等が発生すると、やはり日本経済や国民生活にも多大な影響が及ぶ。また、金融市場が混乱するリスク、日本版ミニガバメントシャットダウンの様相を呈することも想定されます。
 ということで、財政健全化には、やはり成長戦略とともに歳出歳入改革が重要であるというのが私の主張でございます。
 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 120404376X00520210222_002

発言者: 末澤豪謙

speaker_id: 12890

日付: 2021-02-22

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会