山田博文の発言 (財務金融委員会)
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○山田参考人 山田でございます。よろしくお願いいたします。
お時間が限られておりますので、多少とも断定口調になることをお許しください。
私がここで今日意見として申し上げたいのは、最初にちょっと結論を申しますと、財務省の今回の改正法案に関する提案の理由ということでは、経済再生と財政健全化の両立を図っていきたいということなんですが、私はそれは大賛成で、では、そんなことが、OECDでもトップレベルの政府債務大国で、しかもアメリカと争うことになった貧困格差大国日本にできるのかということになるんですが、できますということを申し上げたいんですね。
この資料の、お手元にある資料の四ページと五ページに、莫大な埋蔵金が存在するということです。最初に申しますと、表二は、全産業の、いわゆる内部留保金と言われるんですけれども、利益剰余金が、この間、爆発的に増えております。既にこれについては財務大臣の麻生さんからも、これはちょっと課税した方がいいんじゃないか、最近は言わなくなりましたが、そういうふうなことがありましたね。五百三十八兆円です。
それから二点目は、とうとう日本もアメリカのような格差大国になって、これは二年ごとに野村総合研究所が報告書を作成して出しております、これによりますと、純金融資産が一億円以上を富裕層というふうにしておりますが、つまり、不動産とかそういうものを一切抜きにして、金融資産だけでもって、負債を差っ引いて純金融資産が一億円以上、この人たち世帯の保有する金融資産は三百三十三兆円です。もうちょっとそこを下げて、純金融資産が五千万円以上、ここのところで見ると五百八十八兆円もあります。ここに課税をしても、全く生活は困りません。この富裕層には、全く生活は困りません。今問題なのは、日本国憲法の第二十五条で言うところの健康で文化的な生活が壊されているという、そこに問題があるわけですから、その点に照らしていくと、この富裕層は全く、課税しても生活は困りません。
アメリカでは、かなりの数の、ビル・ゲイツさんとかバフェットさんとか富裕層は、自分たちに何で課税しないんだということを連名でもってメディアに訴えていますよね。日本も例えば何人かの非常に目立った資産家がおりますが、やはりアメリカの富裕層の懐の深さみたいに、日本もそういう人が現れてほしいというふうに思います。やはりこれが、この層で五百八十兆円ないし三百三十三兆円の課税対象はあるんじゃないか。
次の五ページですが、これは対外投資です。日本は世界最大の対外債権大国です、三百六十四兆円。アメリカは世界最大の対外純負債大国ですが、この中で、日本を捨てて、海外にマネーが投資されている。トランプさんは、アメリカを捨てて、アメリカから外に行って稼いでいる企業はけしからぬということをおっしゃいましたが、私も、やはりそういうことを考える必要があるんじゃないか、日本の国益をもっと重視する必要があるんじゃないか。
対外的な投資という点では、やはりこれは余ったマネーですから、国内から余ったマネーが出ているわけです。詳しいことは説明は省略しますが、この中の外貨準備というのがあります、表の左側の下の方ですね。外貨準備というのは、要するに日本の外貨準備高ということになりますが、百四十四兆円ありますけれども、この九割以上はアメリカの政府の発行する国債を保有しています。あとはドル建て預金なんですね。
かつて、東日本大震災が起こったときに、アメリカの著名な経済学者は、日本はこんな世界最大の、今は中国に抜かれましたけれども、外貨準備を持っているんだから、ここを取り崩して震災対策財源に何で充てないかということを言っております。文書も出しております。海外からそういうメッセージすら来ているわけなんですね。だから、そういう面では、外貨準備も含めた三百六十四兆円の純資産、ここにやはり課税のメスを入れるところまで来ているのではないのかというのが、私の今回の、皆さんに申し上げたいことです。
最初の一ページに参りまして、今回の法案は、五年先まで特例債を発行する、これを常態化するということになりますが、一応、原則的なことを踏まえますが、予算は基本的には単年度主義なんですね。そこから逸脱しているということと、国債発行を原則的に財政法で禁止していますので、これらをやはり空文化する。しかも、赤字ですから、見合い資産がないわけですよ。料金も入ってこないし、手数料も入ってこないし、そういうふうな非常に問題の国債を増発するということになります。
今現在、既に普通国債だけで取り上げても、GDPの二倍近くになっていますね。普通国債の残高の七割は特例債なんですね。この状況で、日本は政府債務大国というふうなことになっています。
BSとかNHKの教育なんかでもよく、世界のそういう知性に聞くということで、フランスのジャック・アタリ、この人は単なる学者じゃなくて、閣僚とかをやったり、若い頃からフランスのブレーンなんですけれども、この人は、政府債務を返済する、解消するには八通りあると。増税、歳出削減、経済成長、低金利、インフレ、戦争、外資導入、デフォルト。よく採用されるのがインフレだと。
これは、戦後の昭和二十年から二十六年を見れば、物価が三百倍になりましたから、そういうことによって政府債務を洗い流しましたね。そういうふうなことなんですが、この八つを実際にはセットしながら、ただ、日本は戦争とかその辺はちょっと違いますけれども、この八つの選択肢、戦略というのを実際にセットしています。だから政府債務が解消していますね。増税は消費税なんかが一番いい例ですけれども、やはりそういう問題があります。
そして、国債が累積すると、一応、一通りちょっとあれしますが、まず、国債費が増大してきていますね。国債費の場合は、予算の場合には最優先でそれをまず差っ引きます。残りでもって国民生活関連予算というふうなものに配分するということになりますので、最優先に、国家に金を貸したその本人に対して、国債投資家に対してまず支払いをする、そういうふうな形で予算が組まれますので、ますます圧迫するということになります。
それから、対外的には国債の格付を下げます。今は二十四位ですよね。経済は世界第三位なんですけれども、その国の国家的な信用、対外信用は二十四位なんですね。IMFから、例えば消費税を一五%にしろとか、いろいろな言い方があります。それは、日本政府の発行する国債の信用を担保したいから、新財源でもって支えろということなんです。こういうような、いわば税財源の拡大要請の口実になっていますね。
それから次の問題が、どうしても借金、借金というふうにはしますが、経済学的には、国債や株というのは同じ、資金請求権という有価証券というふうに定義されます。どういうことかというと、国債だったら、政府から利子や元本償還をやる権利があるということですね。そうなりますと、国債、公債は将来租税の先取りということになります。したがって、将来の、若い人の世代の税負担の強化というところに結びついていくということになります。
大きな二点目に行きます。
大体、今、借換債も含めて毎月二十兆円の国債が発行されていますね。この二十兆円の国債を、では発行はできるのかということになりますが、それを可能にしているのが日銀による国債の大量買入れですね、異次元金融緩和、買入れです。
それは、国債引受けを、直接引受けを戦前やっていますけれども、それは禁止ですから、一旦プライマリーディーラーといいますかそういう大手金融機関、これは日本勢が半分近く、海外勢がウォール街を含めた半分、二十社でやっています、この二十社が政府の国債を買いますけれども、買ってすぐ売るんです。どこに、日銀に売るんです。そういうふうな形で回しています。ですから、日銀が実際にもう国債の消化機関化しているという現状があります。明らかにこれは財政法第五条の形骸化ということになります。
それで、その仕組みというふうなことでいきますと、大体、今、日銀は、借換債とかも含めて百兆円前後の国債を民間金融機関から買っているわけなんですね。そうやって資金を回しているという状態があります。国債を日銀がそうやってあれするというと、日銀の下に非常にたまって、今、大体半分ぐらいまで行っていますね。国債発行残高はどんどん膨張しています。
財政再建というのは、一つは国債の発行を抑えるということだったんですけれども、この前の五年間でそういうことを言いましたが、全く目標は未達成です。経済も低迷していますね。そういうふうな状況が現実のリアルな世界です。
私たちが法案を一つ立ち上げて、それに付随する政策を展開する、そのためには何が必要かといったら、実際、過去の政策がどういう経済的な帰結をもたらしているのかということを踏まえて、そこから教訓を出していかなきゃいけないということだと思いますね。そういう点でいいますと、やはり非常に問題です。
国債は、株と同じように価格変動リスクがあります。そういう金融商品ですので、何らかのきっかけで国債価格が下落するとこれは金利上昇になりますが、日銀には国債評価損が発生して、日銀は発券銀行ですから、円の信頼を毀損する、そういう状況になって、円安というふうな状況が訪れます。円安は、憲法二十五条の立場からいえば、食料の大体六割はカロリーベースで輸入ですから、食料品の輸入物価の値上げという形でもって国民生活を直撃します。ただ、輸出産業は、トヨタクラスで一円円安になると四百億ぐらい為替差益が出ますから、ますます格差が広がるという状況になります。
いずれにしましても、そういう、国債費が非常に膨張したりとか、利払い費が膨張したりとか、財政圧迫や財政破綻を誘発するリスクというふうなものを国債の増発というのは抱え込んでしまいます。
大きな三点目ということになりますと、今、借金ということだけに目が行きますが、国債は、先ほどもちょっと触れましたが、資金請求権という証券で、これを買っていたら、国家から、政府から利払い、元本保証を一〇〇%やってくれるわけです。非常に格付の高い、そういう金融商品です。
今の現状は、実体経済は長期的な低迷下で、では何で金もうけするかといったらば、金融ビジネスで金もうけに振っています。国債も利子が低いから、買って持っているだけでは全然あれだということで、どんどん売買をする。ざっくり言って、国債流通市場、売買高は二京円です。一・九京円ですね、兆の値を超えているわけです。
なぜこういう事態になっているかというと、超高速取引ということで、一秒間に数千回の売買というふうなことがやられています。国債は、グローバルなマネーの、アメリカン・マネーやチャイナ・マネーもそうなんですけれども、ターゲットになっています。そして、猛烈な回転を人知を超えるスピードで行われています。そういうことであっという間に二京円ぐらいまで行っているわけです。
こういう売買取引ができるのは、グローバルな金融ビジネスをやっている欧米のウォール街やシティー、ロンドンや、それから東京の三メガバンクあたりのわけになりますね。つまり、実体経済、国民生活にとって必要な財やサービスよりも、手っ取り早いコンピューターの、昔、日経新聞は電算機ギャンブルという言い方をしましたが、そういう金融ビジネスでいわば利益を増やす、そういう事態が進展していることがあります。
つまり、国債は政府の借金という形だけで見ちゃいけないということなんです。有力な金融商品であって、これは、日本はようやくそういうふうな見方が広がってきましたけれども、アメリカのウォール街やシティーのあるイギリスは世界中の国債のそういう巨大マーケットになっています。
一九八八年から二〇一一年だと思いますが、モルガン・スタンレーというウォール街の非常に大手がありますが、それは各国の国債の利回りで七%とか回すんですよ。すごいでしょう。利回り七%か八%ですよ、平均が。ただ、株の場合は平成元年から二年のところでどんと落ちましたから、さすがにウォール街でもそこではマイナスです、利回りマイナスになっていますね。
この点がほとんど抜けているというところはやはり大きな問題です。つまり、国庫の赤字は利益の主要な源泉になっているというのが現代経済の特徴だということなんですね。国庫の赤字で稼ぐということが現代経済では行われています。
次は、二ページ目に参ります。
日銀が、さっき国債の間接引受けだと申しましたが、民間金融機関が買います、大量に。何といったって、月二十兆円国債を発行しなきゃいけないわけですから。それで、買ったものを日銀が更に高く買ってくれます。民間金融機関は、政府から公募入札というふうな形で、アンダーパー、要するに額面よりも低いことで買います。そして日銀は、何とオーバーパー、額面価格より高く買ってくれるわけですから、これはどんどん安く引き受けて高く売れる、そういう形で、日本の国債の発行と財政の資金繰りが回っているんですね。
その結果、どういうことが起こっているかというと、日銀は、直近の残で十二兆円ほどの国債償還損を抱えております。国債は額面でもって償還しますから、額面よりも高く買ったらば、その高く買った分は国債償還損として日銀のバランスシートを傷つけます。そういうところです、十二兆円ですよ。
これは、この表一の、いろいろ、名目GDPから一番最後の十二、日銀の国債償還損は、例えば二〇一二年の段階で約一兆円でした。ところが、この八年後ぐらいになると何と十二兆円まで上がっています。この十二兆円分はどうしたのといったら、それは民間の大手金融機関から高く買ったことによって被る損失で、立場からいえば、民間の大手、これは日本だけではありません、世界の民間の大手は十二兆円も日銀から利益を増やしてもらった。国債の日銀への売却益なんですよ。日銀は償還損十二兆円、民間は売却益十二兆円、こういう形でもって国債というのが金融ビジネスに使われているということですね。
ひどいのが、今日ぱっと買ったらすぐ日銀に売る、これが日銀トレードというんですけれども、これの利回りで、瞬間風速でいくと三八%ぐらいの利回りの取引があるということが、この辺のデータはかなり微妙なあれで調べるのが大変なんですけれども、そういう指摘をしている国債に関する研究書もある。研究書ですね、著書もあります、私の友人なんですが。
そういうことで、私たちがこの新しい法案をあれするときに、では過去五年間の特例公債の発行期間がどういう結果をもたらしたかというのが、この二ページの四の表一になります。経済は成長していません、全然、一・〇五倍です。ところが、株価だけ二・六倍になっています、時価総額は二・三倍ですね。富裕層や大手金融機関から企業、こういうふうなところは、つまり株式を持っている層は、ざっくり言って資産が二倍になったんですね。アメリカからすればまだあれですけれども、こういう状況が発生しているわけです。
ところが、政府債務は一・三倍、この政府債務の中には財投債とかが含まれています、普通国債だけではありません。富裕層の金融資産も一・八倍とかと、つまり、経済成長を上回る資産の膨張というのがあるということですよ。この点は明らかにゆがんでいますね。そういう事態があるわけです。
経済は低成長のままなのに資産が倍増して、株式を始めとした、大企業でいったら内部留保金が、利益剰余金がどんどん積み上がって、大企業の利益と富裕層の資産はどんどん拡大していく。ところが、国民生活は、消費税は一〇%に上げられる、社会保険料をどんどん上げられて、負担率は三九・四%から四四・六%まで、プラス四・九%ですよ。これはやはり非常なゆがみと格差が発生しているということになります。この点はやはり無視するということはできないのではないかということが、私が申し述べたいことの一つです。
それで、こういうような事態、過去五年間の特例公債の発行期間でこれが発生しているわけです。過去の事態を見ますと、五番目として、このようなことが言えると思うんです。
先ほど申しましたように、やはり、ざっくり言えば巨額の埋蔵金、ここに対する新たな課税をすることが、財務省の提案のように経済の再生と財政再建というダブルの目標を達成する上においては不可欠ではないのか。是非そのことを、細かいところでは法律のいろいろなものがありますので、これは非常に有能な財務省のスタッフの皆さんがやってくれるんじゃないかと思いますが。
やはり日本は主権国家で、国民主権というふうなことをきちんと憲法で明記しているわけですので、私たちの経済学は、国民主権、生活ということでいえば二十五条、これを基準にしていろいろなことを考えなきゃいけないということです。そうすると、消費税の増税じゃなくて減税をしたりすると、これは国民の可処分所得を高めて、消費需要を喚起して、経済の再生へとつながっていく。
あと、最後は、SDGsというふうな大きな枠組みで、ウィズコロナ、ポストコロナの世界というふうなものを日本から積極的に世界に向かって情報発信してほしいというのが私の申し上げたいことです。
時間が参りました。どうも失礼いたしました。(拍手)