河上正二の発言 (消費者問題に関する特別委員会)
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○河上参考人 河上と申します。
私の肩書のところがいろいろと入り乱れておりまして大変申し訳ございませんけれども、実は、参考人としてどういう立場でお話をすればいいのかということについてさっきまで迷っておりまして、基本的には、私は大学で民法とそれから消費者法を研究、教育してまいりましたものですから、やはり一研究者としてお話をさせていただくのがいいだろうということで、その意味で、意見メモの方の肩書とこれとがちょっとずれているということになりますけれども、ちょっとお許しいただければというふうに思います。
実は、それとは別に、消費者庁の預託法等検討委員会の委員長もさせていただいていたというようなこともあって、そこでもデジタル関係のものについて一定の意見をまとめたという経験がございます。これまでのところ、見ました段階では、今回の取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案も非常によく考えられたものであるというのが認識でございますけれども、できれば、それに加えてこういうこともお願いできればということで、幾つかお話をさせていただこうと思います。
お手元に発言メモというのをお配りさせていただいているかと思いますが、初めのところ、それから二番目のインターネット通販と詐欺的な定期購入商法というのは、今、依田先生からお話があったところと繰り返しになる部分がございますので、ある程度省略をさせていただいていいかと思います。
ただ、今、プラットフォームビジネスというのは非常にグローバルに展開されているということでございまして、海外でも議論が大いに進んでおりますし、一部の国では立法的な手当ても設けられているということがございますので、こうしたグローバル化に対応するには、それらのルールとイコールフッティングの状態というものを求めていく必要があるだろうというふうに思います。
三ページ目の五のオンラインプラットフォームの構造というところでございますけれども、その真ん中から下あたりに書いてありますけれども、プラットフォームを介して商品等の販売をしようとする者及びプラットフォームを介してその売主から商品等を購入しようとする買主等、これは、それぞれ、実は、プラットフォーム事業者があらかじめ用意した利用規約、これは約款と呼んでいいだろうと思いますが、そういうものに同意することによって利用契約を締結するという構造を持っております。
しかも、プラットフォーマーは、その利用者が多ければ多くなるほど価値を高める、利益を上げる。そして、プラットフォーム事業者の定める利用規約によって、その全体ルールを事実上定めていくことになっているというわけであります。
プラットフォーマーと売主等との利用契約と買主側との利用契約というのは、これはばらばらの契約ではなくて相互依存関係にありまして、言ってみれば、多面市場が全体として一つのシステムを構成しているというふうに考えられますために、一方の契約関係だけを切り離して単独で考察するのは、これはまずいということでして、全体を一つのシステムとして観察する必要があるというのが基本的な認識でございます。
その六のところに、プラットフォーマーの責務というものを書いております。
この責務に関しては、実は、有名なYというオークション、これについて名古屋高裁に判決が出ているのがありまして、その中で名古屋高裁は、利用者が詐欺等の被害に遭わないように、犯罪的行為の内容、手口あるいは件数などを踏まえて、利用者に対して、時宜に即して、相応の注意喚起の措置を取るべき義務、これを負うんだと。
さらに、プラットフォーマーは取引のきっかけを提供するにすぎず、単なる場の提供者にすぎないという抗弁は、今日では否定されるべきであるということになろうかと思います。つまり、プラットフォーム事業者というのは、システムの構築者ないしプラットフォーム市場の形成者としての役割を担っているからであります。
このシステムのコントロール可能性ということを考えていくと、プラットフォーマーの立場というのは、売主の詐欺的な行為など不適切な行為に関する情報が得られた場合には、売主との間での利用契約上も、利用停止等の対応を取ることができる立場にあるというふうに考えられるわけであります。
最後の段落ですが、プラットフォーム事業者自身による不適切な表示に起因する損害についても、プラットフォーム事業者は利用者に対して賠償責任を負わないといけないということになりますし、その延長上の問題として、商品、売主に関する評価システムをプラットフォーム事業者が導入しているような場合は、その評価の公正さと透明さを確保する、そういう責務があるんだということになります。
最後のページになりますが、こうした利用契約上の付随義務として、レビューの公正さ、あるいは透明性の確保義務というものが求められるんじゃないかということであります。
今回の法律案、これは、どちらかというと行政規制関係のものというものに限られているように思われまして、民事の義務に関する民事規定を今後充実させていく必要があるというのが私の意見でございます。
シェアリングエコノミーにおいては、これを仲介するプラットフォーマーに情報が集中しておりますから、その意味では一定の制度的対応も行われてはおりますが、これは、民事の解釈上も、買主のリスクを軽減するためのより積極的な措置を取ることが要求されていいんじゃないかということになります。
最後の七のところに、システム構築責任という言葉を掲げておりますけれども、プラットフォーマーにおいては、このプラットフォーマーをシステム構築者として位置づけて、複数の契約ないしそれを構成要素とするシステム全体を正面から捉えてルールを整備するということが不可欠であります。その一環として、民事的にも、プラットフォーム事業者のより積極的な義務を明文で基礎づける可能性があるというふうに思います。
コロナ禍のこの時代において、本法を制定するということは非常に大事なことでもございます。それだけに、これを是非改善しながら、是非よい法律にしていただければというふうにお願いしたいと思います。
以上でございます。(拍手)