消費者問題に関する特別委員会

2021-04-09 衆議院 全84発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
令和三年四月九日(金曜日)
    午後二時三十分開議
 出席委員
   委員長 永岡 桂子君
   理事 穴見 陽一君 理事 伊藤 達也君
   理事 勝俣 孝明君 理事 武村 展英君
   理事 牧原 秀樹君 理事 尾辻かな子君
   理事 柚木 道義君 理事 古屋 範子君
      畦元 将吾君    安藤  裕君
      伊藤信太郎君    小倉 將信君
      門山 宏哲君    木村 弥生君
      小泉 龍司君    佐藤 明男君
      土屋 品子君    冨岡  勉君
      中山 展宏君    西田 昭二君
      百武 公親君    船田  元君
      山下 貴司君    青山 大人君
      稲富 修二君    大西 健介君
      中島 克仁君    堀越 啓仁君
      吉田 統彦君    伊佐 進一君
      畑野 君枝君    串田 誠一君
      井上 一徳君
    …………………………………
   参考人
   (京都大学大学院経済学研究科・研究科長)     依田 高典君
   参考人
   (公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会会長)
   (東北大学・東京大学名誉教授)
   (青山学院大学客員教授) 河上 正二君
   参考人
   (弁護士)
   (日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長) 板倉陽一郎君
   参考人
   (公益社団法人全国消費生活相談員協会理事長)   増田 悦子君
   衆議院調査局第一特別調査室長           藤田 和光君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案(内閣提出第五三号)
     ――――◇―――――
この発言だけを見る →
永岡桂子#1
○永岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 本日は、本案審査のため、参考人として、京都大学大学院経済学研究科・研究科長依田高典君、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会会長、東北大学・東京大学名誉教授、青山学院大学客員教授河上正二君、弁護士、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長板倉陽一郎君、公益社団法人全国消費生活相談員協会理事長増田悦子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願い申し上げます。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず依田参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
依田高典#2
○依田参考人 初めまして。京都大学大学院経済学研究科で研究科長をしております依田高典でございます。
 本日は、意見陳述の機会をいただき、どうもありがとうございます。
 それでは、私から、デジタルプラットフォーム消費者利益保護法の必要性について意見陳述をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、デジタル時代の社会の変化について、三点お話をさせていただきます。
 第一に、リアルからオンライン、アナログからデジタル、そうした移行が進んでいる世界でございます。
 そして、アメリカのGAFAと呼ばれる巨大なプラットフォーマー、具体的には、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルなどが台頭しており、世界経済を支配している状況にございます。
 そしてさらに、今般の一年以上続いている新型コロナウイルスの流行におけるデジタルトランスフォーメーションの必要性、これはもはや無視できるものではございません。
 次に、デジタル社会に必要な政策とは何かについて御説明いたします。
 第一に、先ほど述べたアメリカのGAFAと呼ばれるようなプラットフォーマーが市場の支配力を増して、その行使を抑制する競争政策が必要でございます。
 第二に、プラットフォーム上の取引のトラブルから国民、消費者を守る消費者の保護政策も必要でございます。
 第三として、競争政策と消費者保護政策がプラットフォーマー政策の両輪となることを認識する必要がございます。
 では、まず、デジタル時代の競争政策とは何か、これについても三点述べます。
 内閣官房のデジタル市場競争会議、具体的には、経済産業省等が共同で設置している内閣官房の中の会議体でございますが、そちらが検討したデジタルプラットフォーマーの市場支配力をコントロールする事前規制が求められております。予防する規制が求められております。
 私は、そのワーキンググループ座長として、オンラインモール、アプリストアの出店者、出品者、つまり中小企業いじめを監督する法律というものを検討して、まとめてまいりました。
 幸いなことに、そのプラットフォーマー取引透明化法は、二〇二〇年五月に制定され、二〇二一年二月、この二月に施行されるに至っております。
 他方で、車の両輪であるところのデジタル市場の消費者保護政策についても、三点述べさせていただきます。
 消費者庁のデジタルプラットフォーム消費者取引検討会というものを消費者庁が立ち上げ、合計十二回開催してまいりました。私は、そちらの座長としましても、毎回おおよそ三時間にも及ぶ議論を積み重ねてまいりました。
 第二に、日本のみならず、欧米、特にヨーロッパにおいて、EUデジタルサービス法というものを検討しており、日本同様、デジタル時代における消費者の保護政策が現在進んでいるところでもあります。
 そして第三に、そうした動きを受けて、デジタルプラットフォーマーの公的な責任を法制上明確に定め、危険商品の流通や消費者の泣き寝入りを予防する、消費者利益の保護を図る新法の制定を求める報告書をこの一月にまとめたところでございます。
 ここで、消費者の視点と企業の視点について若干述べさせていただきます。
 第一に、学者や弁護士や消費者団体は、概して言えば、デジタルの消費者トラブルの急増あるいはその悪質化というものを懸念し、消費者保護の法制化を強く求めてまいりました。
 他方で、企業であるプラットフォーマーは、自社ビジネスの便宜を主張し、場所貸しであると自らの立場を述べ、公的責任の免除を主張してきたものでございます。
 第三に、当初、両者の意見の隔たりはなかなか埋まるものではありませんでしたが、興味深いことに、NHKのようなテレビあるいはほかの日刊紙のような新聞がこうした消費者トラブルの実態を報道すること等を通じて、大変興味深いことに、市民、国民の問題意識や社会理解も進んでいく中で、先ほど述べた両者が歩み寄り、接点を見出すような努力も続けられてきたところでございます。
 ここで、一つ、話題を変えまして、私の専門である行動経済学的な視点の重要性について述べたいと思います。
 認知限界という言葉があります。人間の認知には限界があって、万能、完全な存在ではなくて、弱い生き物である。つまり、分かっていてもやめられない、理想と現実の乖離、それをバイアスと呼びますが、バイアスを回避できないのが生身の人間でございます。
 第二に、二〇一七年に、そうした弱い、限定合理的な人間を優しく言葉や情報提供を通じて誘導する、ナッジという英語がございますが、ナッジを解明してノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー・シカゴ大学教授がつとに有名でございます。
 セイラー教授は、来日されたときに、東京駅の近くにございます相田みつを美術館を訪ねまして、なぜかというと、セイラー教授は相田みつをさんのファンでございまして、だって人間だものという色紙を買って帰られた、そういう逸話もございます。
 そうした中において、決してデジタル社会から、人間の弱みにつけ込む悪質業者というのは、悲しいことではありますが、なくなりません。
 なぜかといいますと、デジタル社会の特徴は、誰でも低費用で気軽にデジタルの取引に参入できることが魅力だからです。
 デジタルの魅力が悪質業者の惹起をしてしまう、これは皮肉なことではありますが、残念ながら、全ての出店者、出品者が善意の存在ではありません。
 しかも、そうした企業は日本企業だけとは限りません。外国からそうした悪質業者が入ってくることもなかなか避けられません。巨大なプラットフォーマーの公的な責任は、そうした意味において無視できないものではありますが、従前の消費者関連法の中でプラットフォーマーの公的責任というのを明示的、明確に定めた規定というものも弱いところがございました。
 プラットフォーマーのそうした自助努力に対する配慮も、一方で私は大変重要であると考えております。
 第一に、プラットフォーマー、GAFAは現代のイノベーションの牽引者であり、彼らの新しいビジネスが消費者便益を大きく改善するところもございます。
 そうした中において、お上である政府がしもべとしての民間事業者の行為をあれこれ縛るのは、ある意味で時代遅れであると言わざるを得ません。
 企業の創意工夫を尊重した官民の共同規制と言われる新しい規制の在り方が求められるところでございます。
 できるところから始めることが現実的な船出となります。
 第一に、プラットフォーマーが出店者、出品者と消費者の紛争解決に取り組む努力義務、第二に、政府が危険商品の出品を停止させたり、消費者が悪質業者の情報開示を求めたりする権利、第三に、官民協議会を設置し、官民が不断にコミュニケーションをしながら、そして消費者が救済を申し出る制度の創設、そうしたものが新しい法案の中に盛り込められるべきであると考えております。
 しかしながら、今後検討すべき幾つかの課題も残っております。
 第一に、今回、BツーC取引に対する規律は定められることになろうかと思いますが、CツーC取引の規律は今なお今後の検討課題でございます。
 第二に、発展著しいデジタル広告のターゲティング広告や、あるいは一人一人に異なった値段をつけるパーソナルプライシングというものがありますが、今なおそちらに関してはもう少し静観することも必要かと考えております。
 そして三番目、消費者保護政策というものは消費者教育政策というものがあってこそ機能するものでございます。
 最後になりますが、日本のデジタル社会を目指して大切なことは何か。
 一番、日本のデジタルトランスフォーメーションはもはや待ったなしでございます。デジタル社会に多大の危険、リスクが存在するからといって、従来どおりのアナログにとどまることはもはや許されません。そうした中において、デジタルトランスフォーメーションは待ったなしで進めていかないといけない。
 第二に、そのデジタルトランスフォーメーションの前提として、消費者の安全、安心があってこそ成立するものでございます。
 第三に、そうしたデジタル市場上の取引環境を整備して、世界のデジタル化の中でもっともっと日本企業のプレゼンスを高めていくような視点も重要でございます。
 以上、まとめて結論となりますが、私は、デジタルプラットフォーム消費者利益保護法の制定を求めるものでございます。
 以上であります。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →
永岡桂子#3
○永岡委員長 ありがとうございます。
 次に、河上参考人にお願いをいたします。
この発言だけを見る →
河上正二#4
○河上参考人 河上と申します。
 私の肩書のところがいろいろと入り乱れておりまして大変申し訳ございませんけれども、実は、参考人としてどういう立場でお話をすればいいのかということについてさっきまで迷っておりまして、基本的には、私は大学で民法とそれから消費者法を研究、教育してまいりましたものですから、やはり一研究者としてお話をさせていただくのがいいだろうということで、その意味で、意見メモの方の肩書とこれとがちょっとずれているということになりますけれども、ちょっとお許しいただければというふうに思います。
 実は、それとは別に、消費者庁の預託法等検討委員会の委員長もさせていただいていたというようなこともあって、そこでもデジタル関係のものについて一定の意見をまとめたという経験がございます。これまでのところ、見ました段階では、今回の取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案も非常によく考えられたものであるというのが認識でございますけれども、できれば、それに加えてこういうこともお願いできればということで、幾つかお話をさせていただこうと思います。
 お手元に発言メモというのをお配りさせていただいているかと思いますが、初めのところ、それから二番目のインターネット通販と詐欺的な定期購入商法というのは、今、依田先生からお話があったところと繰り返しになる部分がございますので、ある程度省略をさせていただいていいかと思います。
 ただ、今、プラットフォームビジネスというのは非常にグローバルに展開されているということでございまして、海外でも議論が大いに進んでおりますし、一部の国では立法的な手当ても設けられているということがございますので、こうしたグローバル化に対応するには、それらのルールとイコールフッティングの状態というものを求めていく必要があるだろうというふうに思います。
 三ページ目の五のオンラインプラットフォームの構造というところでございますけれども、その真ん中から下あたりに書いてありますけれども、プラットフォームを介して商品等の販売をしようとする者及びプラットフォームを介してその売主から商品等を購入しようとする買主等、これは、それぞれ、実は、プラットフォーム事業者があらかじめ用意した利用規約、これは約款と呼んでいいだろうと思いますが、そういうものに同意することによって利用契約を締結するという構造を持っております。
 しかも、プラットフォーマーは、その利用者が多ければ多くなるほど価値を高める、利益を上げる。そして、プラットフォーム事業者の定める利用規約によって、その全体ルールを事実上定めていくことになっているというわけであります。
 プラットフォーマーと売主等との利用契約と買主側との利用契約というのは、これはばらばらの契約ではなくて相互依存関係にありまして、言ってみれば、多面市場が全体として一つのシステムを構成しているというふうに考えられますために、一方の契約関係だけを切り離して単独で考察するのは、これはまずいということでして、全体を一つのシステムとして観察する必要があるというのが基本的な認識でございます。
 その六のところに、プラットフォーマーの責務というものを書いております。
 この責務に関しては、実は、有名なYというオークション、これについて名古屋高裁に判決が出ているのがありまして、その中で名古屋高裁は、利用者が詐欺等の被害に遭わないように、犯罪的行為の内容、手口あるいは件数などを踏まえて、利用者に対して、時宜に即して、相応の注意喚起の措置を取るべき義務、これを負うんだと。
 さらに、プラットフォーマーは取引のきっかけを提供するにすぎず、単なる場の提供者にすぎないという抗弁は、今日では否定されるべきであるということになろうかと思います。つまり、プラットフォーム事業者というのは、システムの構築者ないしプラットフォーム市場の形成者としての役割を担っているからであります。
 このシステムのコントロール可能性ということを考えていくと、プラットフォーマーの立場というのは、売主の詐欺的な行為など不適切な行為に関する情報が得られた場合には、売主との間での利用契約上も、利用停止等の対応を取ることができる立場にあるというふうに考えられるわけであります。
 最後の段落ですが、プラットフォーム事業者自身による不適切な表示に起因する損害についても、プラットフォーム事業者は利用者に対して賠償責任を負わないといけないということになりますし、その延長上の問題として、商品、売主に関する評価システムをプラットフォーム事業者が導入しているような場合は、その評価の公正さと透明さを確保する、そういう責務があるんだということになります。
 最後のページになりますが、こうした利用契約上の付随義務として、レビューの公正さ、あるいは透明性の確保義務というものが求められるんじゃないかということであります。
 今回の法律案、これは、どちらかというと行政規制関係のものというものに限られているように思われまして、民事の義務に関する民事規定を今後充実させていく必要があるというのが私の意見でございます。
 シェアリングエコノミーにおいては、これを仲介するプラットフォーマーに情報が集中しておりますから、その意味では一定の制度的対応も行われてはおりますが、これは、民事の解釈上も、買主のリスクを軽減するためのより積極的な措置を取ることが要求されていいんじゃないかということになります。
 最後の七のところに、システム構築責任という言葉を掲げておりますけれども、プラットフォーマーにおいては、このプラットフォーマーをシステム構築者として位置づけて、複数の契約ないしそれを構成要素とするシステム全体を正面から捉えてルールを整備するということが不可欠であります。その一環として、民事的にも、プラットフォーム事業者のより積極的な義務を明文で基礎づける可能性があるというふうに思います。
 コロナ禍のこの時代において、本法を制定するということは非常に大事なことでもございます。それだけに、これを是非改善しながら、是非よい法律にしていただければというふうにお願いしたいと思います。
 以上でございます。拍手
この発言だけを見る →
永岡桂子#5
○永岡委員長 河上参考人、ありがとうございました。
 次に、板倉参考人にお願いを申し上げます。
この発言だけを見る →
板倉陽一郎#6
○板倉参考人 弁護士で、日弁連消費者問題対策委員会副委員長、こちらは電子商取引・通信ネットワーク部会の部会長というものを兼ねておりますが、板倉でございます。
 本日は、このような機会を与えていただき、ありがとうございます。
 お手元に私の意見陳述用の資料をお配りしておりますので、こちらを参照しつつ、私の意見陳述をさせていただきたいと思います。
 主として、条文案を既にいただいておりますので、条文案に順番にコメントするという形を取っておりますが、八ページを見ていただきますと、最初に附則を載せております。
 これは何かと申しますと、いろいろな法案、最近は、何年見直しとか、個人情報保護法などは三年ごと見直しの条項などがありますが、本法案においても、三年を目途として見直すという条項が入っております。
 ただ、非常にデジタルプラットフォーム関係は動きが速い。それから、先ほどの依田先生が座長の検討会、私も同じ日弁連の肩書で委員をさせていただいておりましたが、残念ながら積み残しの論点がいろいろございます。こちらの論点の議論や、今回設立されると思われるデジタルプラットフォームの協議会等の状況を見て、三年では遅いということであれば、これは積極的に早めに見直しの検討に着手していただきたいと思います。
 本当に毎日のようにデジタルプラットフォームないしインターネットをめぐる事件というのは報道される状況ですので、せっかく今回ベースになる法律ができるということであれば、一から作るのに比べれば非常に議論はしやすいと思いますので、ちゅうちょなく、これは前倒しで検討していただきたいなと思います。
 もう一つは、先ほどの検討会の報告書でも、消費者庁において必要な人材の確保その他の組織体制の充実を図るべきであると記載されたとおりですが、こちらは、アメリカのGAFA規制といえば、それはもう連邦取引委員会、FTCにおいて相当のパワーを持ってなされているわけでございます。ヨーロッパにおいても、いろいろな機関が相当の力を割いて監視、監督を行っているものでありますので、日本においても相応の人員及び予算が必要になると思います。
 消費者庁等の関係省庁に十分な予算、それから機構・定員、予算だけあっても駄目ですし、人だけ割り当てられても、ポジションを横から動かしてくださいでは、やはりこれも困ってしまいますので、予算、機構・定員、是非、全て確保していただいて、十分な体制で施行していただきたいなと思います。
 九ページに参ります。
 こちらは三条の条文を書かせていただいております。これは取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務の条文ですが、検討会で、様々な関係事業者ないし関係事業者の団体に来ていただきましてお話を伺いましたが、残念ながら、最もたちが悪い部類の事業者というのは、そういう検討会では、当然来ていただけるわけではありません。
 ここで例に挙げておりますような、情報商材の取引デジタルプラットフォームのような、どう考えても、その存在自体が極めて害悪である、この極悪層というのは、私がつけたネーミングではなくて、検討会の座長代理をされていた神戸大学の中川先生のネーミングですが、もう最初から悪いことをして、いざとなったら逃げるというようなのを極悪層というふうに消費者法の分野で呼んでおります。
 こういう取引デジタルプラットフォームについては、やはり、残念ながら検討会でも実態把握や検討が十分ではなかったので、これらの検討をした上で、今の努力義務では、彼らは基本的には効果はないわけです。守る気もないでしょうし、協議会にも参加しないでしょうから。効果がないということが分かれば、これは、ちゃんとやっていただけるデジタルプラットフォームに対して勧告、命令が出されるということはなくとも、極悪層のデジタルプラットフォームに対する勧告、命令、さらに、違反した場合の罰則というのは検討されるべきものだろうと思います。
 それから、その下に記載しておりますのは、日弁連の方で並行して、オンラインの紛争解決手続についての意見書を出させていただいております。こちらも資料の三として配付させていただいております。
 内容は多岐にわたりますが、デジタルプラットフォーム関係についても意見を述べさせていただいておりまして、こちらの我々日弁連の提案としては、適切な身分確認等が定期的に行われない等の場合には、たな子ですね、販売業者等々、法案では販売業者等と言っておりますが、販売業者等との契約をやめるといったようなことをしてほしいというような意見の趣旨を述べております。
 なので、この努力義務全てについて勧告、命令、罰則に変えるべきという意見にはなっておりませんが、オンラインの紛争解決をきちんと整備していただく、そのためには、当然、相手方の身元確認等が犯罪収益移転防止法のレベルで必要であろうと。こういうことを確認をして、ちゃんとやっていないというようなたな子については取引をしないでほしい、その取引をしないということについて、守っていただけないのであれば、勧告、命令、罰則という仕組みも必要ではないかという意見を、これは日弁連として述べております。
 十ページに参ります。
 十ページは利用停止要請の部分ですが、これは割とテクニカルな部分になってしまうんですが、こちらの定め方が、安全についての表示が不適切な場合でたな子に連絡がつかないような場合には利用停止要請ができる、こういうことになっております。全てこれは表示に係っておりますが、一々、安全ですと書いて出品する人はいませんので、安全じゃない場合に、その書いてないということを表示として捉えないと、この条項は機能しないことになります。
 なので、是非ここは、非表示も表示に含める、ないしは、非表示であることを全体として勘案して表示であるというような解釈ですよというのが確認できるといいだろうというふうに思っています。
 もう一つ、安全性の判断に資する事項以外は消費者庁において内閣府令で定めていただくことになっておりますが、これはやはり、消費者の権利利益の保護に必要なものというのが目まぐるしく変わると思いますので、十分な内容で、かつ相当の頻度で適切に改正して定めていただきたいなと思います。
 それから、十二ページに飛びまして、販売業者等の開示請求についてですが、こちらの開示請求は、損害があるというふうに主張される場合にたな子に連絡がつかないときに用いる請求になりますが、内閣府令で定める額を超える被害が要るということになりますので、こちらが余りにも高い、例えば何十万円ですとなると、ほとんど行使できないことになりますので、十分に低廉な額で内閣府令は定めてほしいなと思います。
 もう一つ、開示していただく販売業者等の情報、こちらが、これも内閣府令に係っているわけですが、同じような制度として発信者情報開示というのがあります。これは、関連してプロバイダー責任制限法の改正が今国会にもかかっておりますが、その発信者情報開示の対象情報が限定列挙であったがために、非常に実務家は苦労してきたという事実があります。
 なので、今回は、定め方によると思いますので、限定列挙ではなくて例示列挙、包括条項を入れるような形で是非定めてほしいなと。これは府令レベルでできると思いますので、そのようにしていただきたいなというふうに思います。
 それから、十六ページに飛びます。
 こちらは、先ほどの検討会の報告書の、今後の検討課題のところを抜いて記載させていただいておりますが、依田先生からもありましたように、CツーC取引の実態把握及び検討、これはやはり、検討会としては積み残しだと思っておりますので、速やかに着手してほしいなと思います。
 今回、結局、隠れBについては適用するというような形になっております。そうすると、CツーCのデジタルプラットフォームにおいても事実上従わざるを得ないということになります。いるかもしれないので、結局、この法律に従う。他方で、この法律に従ったとしても、この法律に従った場合の免責というのはCツーCプラットフォームのCの部分はかからないということになって、事業者としても宙ぶらりんだろうと思います。
 議論としては、CツーCのCについては、消費者法が適用されない、行政規制等がないのでデジタルプラットフォームにかけるのも変なんだというような考え方も一つあろうかと思いますが、他方で、間接侵害のようなものはそれ自身の責任であるといって定めることは決して法制上は不可能ではないと思いますので、これは、CツーCの実態把握、検討を速やかに行うべきだろうと思います。
 それから、積み残しの論点では、私はやはり、不正、悪質レビューというのを残したのが非常に心残りです。こちらの検討も速やかに行い、場合によっては、そのレビューを主導するようなコンサルタントであるとか、書いてしまうような人に対する直接の罰則も含めて検討すべきだろうと思います。
 十七ページに参ります。
 こちらも今回は法案には入っていない話なのですが、外国事業者の話です。
 ここで発言を引かせていただいているのは、規制改革会議の第十四回の貿易・投資等ワーキング・グループという平成二十六年五月二十七日の会議の議事録で、これは法務省の民事局参事官が直接コメントされていることでありますが、外国会社について、やはり登記がされていないということについては、いろいろ大変な問題が起きるんじゃないか、特にBツーCは大変な問題が起きるのではないかと平成二十六年の段階で御担当者が言っていますが、大変な問題が起きているわけでございます。
 外国会社は、日本において取引を継続してするような場合には登記しないといけないことになっていますが、これが全く守られていません。取引デジタルプラットフォームの提供者にせよ、たな子である販売業者等にせよ、外国会社の登記の義務があるのに履行していないのは、これは単なる違法です。日本国がなめられているというようなことにもなりますので、是非、これは積極的に代表者登記義務の履行を徹底させる運用をお願いしたいと思います。これは、日弁連でもプロバイダー責任制限法に関する意見書の中で述べておりますが、デジタルプラットフォーム、本法との関係でも同じことが言えます。
 さらに、同民事局の参事官は、場合によっては取引継続禁止命令というのもできる、外国会社が不法な目的に基づいて日本で事業を行う場合にはそういうのもできるんだというようなことを自認されていることであります。なので、極悪層である販売業者等というのがデジタルプラットフォームにはたまに紛れ込むわけですが、そういう者に対しては、法務省自身が御確認されているとおり、取引継続禁止命令、これは、外国会社の事業が不法な目的に基づいて行われたときということですのでハードルは高いのかもしれませんが、例えば、被害者等の利害関係人と法務大臣が協力して申し立てることによって取引継続禁止命令を行うということも積極的に是非やっていただきたいなと思っております。
 それから、十八ページは、まだ審議入りされておりませんが、特商法等の改正のポンチ絵を貼らせていただいております。
 なぜこれを貼っているのかと申しますと、そちらの法案で、左下に赤く囲みましたが、外国執行当局に対する情報提供制度を入れるという案が示されております、預託法も含めてですね。
 これは当然、デジタルプラットフォームないしたな子、販売業者等に対しての執行等を検討される場合には、アメリカのFTCであるとかヨーロッパの消費者当局と情報を交換するんだということも含めて、こちらの法案でも提案されているというふうに認識しております。このようなことができるという体制も含めて、是非、関係当局には、人員、予算、機構・定員等、十分な体制を構築していただきたいなと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。拍手
この発言だけを見る →
永岡桂子#7
○永岡委員長 ありがとうございました。
 次に、増田参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
増田悦子#8
○増田参考人 公益社団法人全国消費生活相談員協会の理事長をしています増田悦子と申します。
 本協会は、消費生活相談員を主な構成員とする公益社団法人です。本日は、消費生活相談員としての意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
 多くの消費者は、個々の販売店の情報がなく、価格の妥当性、商品の安全性、事業者が信用できるかなどの心配から、デジタルプラットフォームを利用しています。
 デジタルプラットフォームの利便性や有益性については言うまでもありません。また、デジタルプラットフォームは販売店の信用性を調査した上で販売することを許可しているはずだ、トラブルがあったら救済してくれるだろうという期待を持っています。今やなくてはならないデジタルプラットフォームについて、消費者利益の保護のための新法が制定されることは、消費者としても、消費生活相談員としても、大変感謝申し上げたいと思います。
 その上で、消費者からの基本的な期待に応えていただきたく、意見を述べたいと思います。
 まず初めに、本法案の対象についてですが、BツーCを対象とし、加えて、消費者を装った販売業者も含めるとしています。
 しかし、今は、副業も容認されたり、インターネットの利用によって、費用をかけずに誰でも事業をスタートできるようになりました。特商法のインターネットオークションのガイドラインで販売業者かどうかの判断基準が示されていますが、販売業者として認められるにはハードルが高く、これまで、私の消費生活相談の現場で活用した経験がありません。今後、消費者庁で検討される場合に是非留意していただきたいと思います。
 また、CツーC取引の場合、当事者同士での解決は困難で、場合によってはエスカレーションします。多くは少額の取引ですので、すぐに裁判に移行することもできません。デジタルプラットフォーム提供者によるODR機能としての一定の解決を目指すことも含めて、今後の課題にしていただきたいと思っております。
 二番目に、デジタルプラットフォーム提供者が講じる措置についてです。
 本法案では、消費者と販売業者との円滑な連絡を可能とする措置や、苦情があった場合の調査を行うこと、必要に応じて所在確認をすることなどを努力義務としています。
 しかし、デジタルプラットフォームへの出店を募り、消費者との取引を取り持つ業務であるなら、デジタルプラットフォームにおける販売店管理責任は、クレジットカード会社の加盟店管理責任と大きな差がないのではないかと考えています。よって、努力義務で足りるのか、大変懸念があります。
 販売店がどのような商品やサービスを幾らで販売するのか、その商品はどこから仕入れるのか、どのような方法で誰がサービスを提供するのかなど、一般的に消費者が知りたい最低限の事項については事前に確認を取っていただく必要があるのではないかと思います。
 インターネット取引の場合、価格の比較が大変しやすいので、消費者は価格に大変敏感です。その販売店の商品が他の事業者の同種の商品と比較して余りに低価格であったり、あるいは高価格であった場合には、その理由を確認していただきたいと思います。余りに低価格のブランド品は模倣品であったり、通常より余りに高価格な商品やサービスである場合、効能、効果についての広告に問題があることが多くあります。
 また、消費者から苦情があった場合には、調査を行い、同種の苦情の発生状況を確認していただきたいと思います。販売店への苦情は様々ありますが、同種の苦情が複数寄せられる場合は必ず理由があります。それが改善されないのであれば、プラットフォームから退場してもらう必要があるのではないかと思います。
 そして、特商法で定められている連絡先等の記載事項が虚偽であったり、修正していなかったりは特商法違反です。デジタルプラットフォーム提供者として、常に正確な連絡先の届出義務や表示義務、違反する場合の措置などの内部規定を策定すべきではないかと思います。こうした事前調査、途上調査を既に実施しているデジタルプラットフォームがありますし、小規模なデジタルプラットフォームは許されるということではないのではないかと思います。
 今後、措置の内容を指針で定めるに当たっては、こうした事前調査、途上調査のほか、エスクローサービス、苦情の申出窓口、補償制度、レビューの監視など、デジタルプラットフォームとして消費者から当然に期待される機能について提案していただきたいと思います。
 また、消費者に対し、デジタルプラットフォーム提供者が講じた措置の概要及び実施の状況について開示するとされていますが、これは、消費者が安全に利用できるプラットフォームかどうか適切に判断するために大変重要なことだと思います。
 そのためには、消費者がすぐ分かる場所に分かりやすく表示していただきたいと思います。消費者の適切な選択を可能とし、同時に、消費者利益のために費用をかけて制度を導入しているデジタルプラットフォーム提供者のインセンティブにもなると思います。そして、それは結果的に消費者教育にもつながるものと思います。
 三番目に、デジタルプラットフォームの利用の停止に係る要請についてです。
 事故のおそれがあると分かった場合や、消費者を誤認させる虚偽、誇大な広告表示がされている場合、利用の停止等をデジタルプラットフォーム提供者に行政から要請できることは、消費者の安全、安心のために非常に重要な制度だと思います。
 しかし、要請であることと、販売業者を特定できない場合という要件があることから、速やかな情報伝達となるか懸念があります。消費者に情報が届くまでには時間がかかりますし、販売業者が特定できたとしても、デジタルプラットフォーム提供者の積極的な協力がなければ、小規模な販売業者の場合、情報入手が遅れる可能性があります。
 特商法や景表法に基づき行政機関が執行するまでには時間がかかり、その間に、消費者被害が継続して発生することにもなります。危険な商品については取引停止措置、商品回収することを即座に販売店に伝え、偽ブランドや詐欺的な情報商材など、事実と相違するものについてはデジタルプラットフォームでの販売をすぐに排除していただきたいと思います。デジタルプラットフォーム提供者が情報を把握したら速やかにプラットフォーム内に通知することを義務づけしていただくことで、消費者被害が拡大防止、未然防止されて、同時に、販売業者が被害を拡大させないためのサポートにもなると考えます。
 四番目に、販売業者等の情報の開示請求についてです。
 本法案では、消費者から販売業者の情報の開示請求ができることになっています。その際、一定金額以上という条件が入るようですが、通信販売の取引額は少額であり、その少額の被害について消費生活センターにたくさんの相談が寄せられていることを配慮していただきたいと思います。
 また、さきにお伝えしたとおり、特商法で定められている連絡先等の記載事項が虚偽であったり、修正していなかったりは特商法違反です。この条文の中で、なぜ違反している販売業者に意見を聞かなければならないのか、開示を拒否した場合にはどうするのかなどの疑問が湧きました。せっかくの開示請求の実効性に不安が残ります。
 五番目に、紛争解決の対応についてです。
 消費者と販売店との話合いが進まなかったり、苦情を申し出た場合には、デジタルプラットフォームとして解決のために尽力していただきたいと思います。また、消費生活センターから連絡した場合、大手デジタルプラットフォームにおいても、担当者によって対応が異なったり、プラットフォームによって対応のレベルが異なる場合があります。補償制度も、実質的で利用しやすいものでなければ、制度を導入しているとは言えません。制度をつくるだけでなく、現場での運用を適切に行っていただかないと、努力義務を果たしていることにはならないのではないかと思います。
 また、デジタルプラットフォーム提供者の中には電話番号の記載がないところもあります。電話番号を明記すること、消費生活センターから紛争解決のための連絡が入った場合は、積極的に連携協力して、一緒に解決を目指していただきたいと思います。デジタルプラットフォームは、消費者と事業者をつなぐ場の提供者であり、同時に当事者であるという意識を持っていただきたいと思います。
 この度の法案は消費者利益のための大きな前進だと考えていますし、消費者の安全、安心の機能を既に導入しているデジタルプラットフォームがあることも承知しています。しかし、小規模のプラットフォームや情報商材ばかりを集めて販売しているプラットフォームなどについては、やはり努力義務を果たすことを期待できるか疑問です。努力義務の取組の程度が低い場合や、消費者とのトラブルが多数発生しているのに、その販売業者を放置しているような場合、そのデジタルプラットフォーム自体に指導等が必要ではないかと考えます。
 全国の消費生活相談員がこの法律に期待しています。消費生活センターとの連携により、消費者の利益の確保ができるよう、心から望んでいます。
 そして、最後になりますが、本法案ではSNSは対象とされていませんが、消費生活センターに寄せられる悪質な定期購入や詐欺的な情報商材等のトラブルの多くは、SNSの広告に誘引されて、販売業者のサイトへ誘導されています。広告の審査基準の厳格な運用や表示されている広告の監視、苦情が入ったときの調査など、SNSもデジタルプラットフォームとしての役割を果たす必要があると考えます。SNS広告規制について、特商法で行うのか、この法律で行うのかも含め、今後検討していただきたいと思っております。
 以上でございます。拍手
この発言だけを見る →
永岡桂子#9
○永岡委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
この発言だけを見る →
永岡桂子#10
○永岡委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武村展英君。
この発言だけを見る →
武村展英#11
○武村委員 本日、参考人の皆様におかれましては、御多忙な中、また、急なお願いにもかかわりませず、こうして貴重な御意見をお聞かせいただけますことを、まずもって心から感謝を申し上げます。自由民主党の武村展英と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、デジタルプラットフォーム企業の今後の規制の在り方について、依田参考人にお伺いをいたします。
 本法案が対象としているデジタルプラットフォーム、これを一言で言っても、GAFAと呼ばれるような大変大きいものもありますし、小さな規模のものもございます。こうした規模もそうですし、取引の種類も異なります。取引の場の提供といいましても、関与の程度は様々です。こうした多種多様なデジタルプラットフォーム企業がありますし、こうした企業が消費者トラブルに対して果たしていく役割についての考え方もまだばらばらだというふうに思っております。
 本法案を策定する前段階の消費者庁の有識者による検討会である、デジタルプラットフォーム企業を介した消費者取引における環境整備等に関する検討会の報告書を座長としておまとめになりました。こうした立場からお伺いをしたいと存じます。
 本報告書の前文では、多種多様な考え方が収れんするのを待つのではなくて、橋頭堡、つまり、不利な状況の中で前進をしていくための拠点として、まずコアとなる考え方を確立すべきとの方針であるというふうに承知をしています。
 このコアとなる考え方をお聞かせいただきたいと存じます。
この発言だけを見る →
依田高典#12
○依田参考人 武村先生、どうもありがとうございます。
 デジタル市場というのは、大変新しい社会的な取引慣行ではございますが、今、この現代において、津々浦々まで至っているところでございます。そうした中で、武村先生が述べましたGAFAあるいは日本における楽天等の大きなプラットフォーマー、巨大IT企業が及ぶ範囲というものは、かなり大きいものであるのは確かでございます。
 経済学、統計学の世界に、八対二の冪法則というものがございます。先ほど河上先生も述べました、一人の影響が多数の者に及んでいくというネットワーク効果が存在する世界においては、そうした巨大企業の及ぶ範囲はおおよそ八、及ばない範囲は二という経験則がございます。
 したがいまして、この法律が制定されましたら、恐らく巨大IT企業は、こうした法律の制定をもって身を正すことによって、自己的な、自発的な規律を取るものと考えています。しかし、そうしたところが及ぶのはおおよそ八割でございまして、残りの二割に対してこの法律がどこまで及ぶものかに関しましては、まだ不透明なところもございます。
 しかしながら、完全十割の一〇〇%、津々浦々まで法の目をかけるのにはなお相当の時間がかかるものでございますから、国民の生活に必須、不可欠なものとなっているデジタルに関して、しかも、取りあえず、差し当たりにおきましてはBツーCから始めることとして、まずは国民の八割方のところの生活をデジタルの悪質業者から守る、そして、巨大IT事業者に関しては、自発努力をもって身を正していただくところから始めます。
 しかし、及ばざる二割に関しては、先ほど板倉先生が申し上げたように、これだけでは不十分でありますので、何らかの早期の対応、手当てが必要であるとも考えております。
 私からは以上です。
この発言だけを見る →
武村展英#13
○武村委員 ありがとうございました。
 次の質問に移ります。
 CツーC取引を対象にすべきかという議論に関連しまして、河上参考人にお伺いをいたします。
 先ほども少し触れていただきましたけれども、まず第一点目は、我が国の現在の法体系についてです。
 現行の我が国の民法や商法の法体系では、事業者ではない個人が不特定多数の者に対して単発的に商品、サービスの売主となるようなケースについて、そもそも想定をされていないというふうに思います。現在の法体系では、通信販売業者と同等の消費者保護の規制は課されていないと理解をしています。
 そこで、今後、そのような個人について、どのような責任、役割、義務が考えられ、どのような検討が必要かをお聞かせいただきたいと存じます。
 もう一点、河上先生にお伺いをいたします。
 EUについての事例です。EUにおける現行のプラットフォーム規制についても、本法案と同様に、消費者と事業者である出品者が取引を行う場を提供するプラットフォームを対象としていて、CツーC取引は対象とされていないというふうに聞いています。
 諸外国でも模索中ではないかというふうに思いますが、こうした理解でよいのか。また、そうした現状にある背景をお伺いいたします。
この発言だけを見る →
河上正二#14
○河上参考人 どうもありがとうございます。
 CツーC取引について、プラットフォーマーが果たすべき役割というものをどう考えていくべきかという御質問だと承りました。
 実は、現段階では、消費者保護の政策がどこまで及ぶべきかという点については、学会においても余り整理されていない状況にあります。
 ただ、例えば消費者契約法の適用に関しても、最近では、いろんな消費者法の研究者の間で、今までは、消費者、事業者という壁を作っておいてその壁を守るという形で議論をしていたけれども、これからはやはり、壁を越えて、にじみ出しが必要になるだろうと。つまり、相手がBに似たCとか、そういう曖昧なものがどんどん出てきているということになりますので、今後そのBとCの切り分けも課題となるということは明らかであります。
 ただ、プラットフォーマーの介在する取引の形態、それから利用形態の中身も多様でありますし、その三者の関係についてもなかなかいろいろなものがあるので、今後、シェアリングエコノミーなんかも対象になりますけれども、果たしてどこまでの義務をどの主体に対してかけていけるかということをやはり考えていく必要があろうかと思います。
 ただ、消費者にとってみると、相手が一体何者か分からないという状態で置かれてしまうというのは大変まずいわけでありまして、消費者の選択に当たって、やはり、相手方との間で一定の橋渡しをするということは必要になるんだと思うんですね。
 ちょっと気にしないといけないのは、Cが販売業者であったときに、そのCを明らかにすることで、逆にそのCを狙い撃ちにしたマイナスの誹謗中傷が起きるというような逆の効果もありますから、そこら辺の切り分け、これをしっかりとやっていかないといけないということであります。
 将来的には、一対一の関係を超えた、一体としてのシステム責任を考えて、プラットフォーマーについても一定の役割というか責務を分担していただくというのが好ましいというのが私の考えでございます。
 他方、EUとの関係をどうかという御質問がございましたけれども、実は、EUなど、加盟国のレベルで法整備は進められておりますが、二〇〇〇年代の半ば頃から、ここの平準化ということが進められています。日本も最終的にはイコールフッティングに立って、いろいろな平準化に合わせていかないといけないということなのでありますけれども。
 ただ、ちょっとこれは私の認識が正しいかどうか分かりませんけれども、EUでは、そもそも、見ず知らずの人間を相手にネットで物を購入するということについては物すごく慎重であります、お客さん自身がですね。ですから、CツーCの場に規制を強化しているとしても、各国は域内市場の確立の方に関心がありますから、必ずしも消費者保護の問題とはされていないという現実がございます。ですから、EU内でのルールの統一というのは、今、形成途上にあるということになります。モデル準則というのがありますけれども、これは、今、指令のための討議草案という段階でございます。
 私の方で編集しました「消費者法研究」という雑誌がございますが、この中で比較的なことについても資料を出しておりますので、御参照いただければと思います。
 EUによって正式に採択された立法ではないので、その段階ではまだ加盟各国を拘束するものではないということになっておりますが、今後大いに参考にされてよいものであります。
 BツーCについては、EUは電子商取引法の下で悪質な事業者を排除するということになっているんですが、これもまた、あくまでノーティスはあった、つまり、その認識があった、あるいは通知を受けたというときを前提として行動を取る、そういう前提のものでございますので、今、通信販売業者とそれからプラットフォーマーとを同じレベルで義務づけをするというところまでは進みにくいというのはよく理解できます。
 今回の法案というのはそこまで踏み込めなかったということなんでしょうけれども、ただ、やはりそこの切り分けを何とかやりながら、にじみ出しを認めていって、そして、消費者が相手が誰か分からないという状況でどうしても責任を取ってくれる人がいないというときに、プラットフォーマーにその義務の一部を負担していただくという方向を考えていかないと、民事ルールとしては不完全だろうというふうに思います。
この発言だけを見る →
武村展英#15
○武村委員 ありがとうございました。
 次の質問に移らせていただきます。
 トラブルの解決についてプラットフォーム企業が果たす役割について、板倉参考人にお伺いをいたします。
 プラットフォームが取引によって生じた損害を直接補填すべきという議論があります。先ほど河上先生の方からも、本来的には債務不履行責任、損害賠償責任を負うべきものであるというふうにお話ございましたが、私も、将来的にはそういったことが必要になってこようかと思いますが、しかしながら、現段階におきましては、それ以前にプラットフォーム企業が果たすべき役割があるというふうに思います。
 日弁連の意見書によりますと、プラットフォームにおけるトラブルの解決に当たって、ADRやODRの活用が示唆をされています。
 取引デジタルプラットフォーム企業、提供者には、トラブルの解決についてどのような役割を果たすべきと考えになられるか、お伺いをいたします。
この発言だけを見る →
板倉陽一郎#16
○板倉参考人 御質問ありがとうございます。
 配付させていただいた意見書が日弁連の機関決定としての意見でありますが、やはりこのコロナ禍ですので、紛争解決もオンラインでできるように、適切な認定を経て、オンラインADR、ODRと言っておりますが、これを使った紛争解決を、最初からそれに乗りますよというようなことを是非やってほしいなと思っております。
 政府においてもODRの議論はいろいろしていただいておりましたが、なかなか消費者被害についてまで議論が及んでいなかったと思いますので、そちらの議論も含めて、是非、こちらの意見書に書いたようなODRを設置し、それについてあらかじめ、取引デジタルプラットフォーム提供者においては、それを使って紛争解決をしますというようなことをやっていただく、紛争解決についてですね。意見書ではそれ以外に、消費者の方に負担をしないでほしいとかいろいろ入れておりますが、基本的にはそういう枠組みで紛争解決していただくというのが入っていると、その取引デジタルプラットフォーム提供者は信用されるのではないか、こんなような意見を持っております。
この発言だけを見る →
武村展英#17
○武村委員 ありがとうございました。
 続きまして、プラットフォーム企業の加盟店管理につきまして、増田参考人にお伺いをいたします。
 全国消費相談員協会の意見書では、プラットフォーム企業が出品する加盟店に対して、クレジット会社による加盟店調査義務と同程度の調査をすることを義務づけるべきだという御意見を出されています。
 この点につきまして、現段階では多種多様なプラットフォームがあり、その役割について様々な考え方がある、そうした現状において、最初の一歩としてのこの法律で、一律に全てのプラットフォーム企業に対してこうした規制をかけるというのは、やはりちょっと厳し過ぎるんじゃないかなという感想を持ったんですが、この点につきましてどのようにお考えになられるのか、お伺いをいたします。
この発言だけを見る →
増田悦子#18
○増田参考人 ありがとうございます。
 確かに、私も、現段階では厳しいというふうに認識しております。
 ただ、明らかに詐欺的な情報であるとか、明らかに高価格過ぎるとか、危ないものとか、誰が見ても分かるようなものを販売しているとかいうこともございますので、そうしたものは事前調査が全くされていないというふうに理解できると思います。
 ですので、やはり最低限の調査というものを義務づけしていただくと、そういう中小のところであってもできるのではないかなというふうに思いますので、割販法においてもすぐさま今の状況にたどり着いたわけではありませんので、少しずつでも調査義務、途上調査を含めて進めていただきたいというふうに希望しております。
この発言だけを見る →
永岡桂子#19
○永岡委員長 武村展英君、時間でございますので、手短にどうぞ。
この発言だけを見る →
武村展英#20
○武村委員 ありがとうございました。
 プラットフォーム規制につきましては、この法案はあくまで取組の第一歩であります。今後も、よりよい制度をつくっていくために、官民挙げての取組をしなければなりません。参考人の皆様におかれましては、今後とも御指導、御助言を賜りますことをお願い申し上げますとともに、今後ますますの御活躍を御祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 本日は誠にありがとうございました。
この発言だけを見る →
永岡桂子#21
○永岡委員長 次に、柚木道義君。
この発言だけを見る →
柚木道義#22
○柚木委員 立憲民主党・無所属の柚木道義でございます。
 冒頭、四人の先生、参考人の皆様、御多用中にもかかわりませず、本当に大変示唆に富んだ御指導、御指摘をいただき、ありがとうございます。
 時間の関係で、全員の参考人にお伺いできるかどうか分かりませんが、順次質問させていただければと思います。
 まず、河上参考人にお伺いをしたいんですが、大きな方向性ということで、消費者庁ができて以降の流れの中で、ちょっと整理をして伺いたいと思います。
 二〇〇八年一月、当時、福田元首相が通常国会の施政方針演説で、生活者や消費者が主役となる社会に向け、消費者行政を統一的、一元的に推進するための強い権限を持つ新組織を発足するという発言の中での、二〇〇九年、消費者庁が設置されました。
 そして、設置されて十年以上がたち、消費者の権利に関する理解は一定程度進んだものの、今日御指摘、御示唆いただきました、特にデジタル化が進む中で、新しい取引の場が生まれ、新しい消費者被害も生まれているという状況だと思います。
 確かに、消費者基本法には、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差があることを前提とした消費者保護施策を進めることが書き込まれています。
 今日、河上参考人の意見陳述、資料の中のまさに六番のPF事業者の責務の中に、こうあります。PF事業者は取引のきっかけを提供するにすぎず、単なる場の提供者にすぎないという抗弁は、今日では否定されるべきであると。
 また、そのまとめに、PF事業者がPF利用者間の取引については一切責任を負わない旨などの免責条項を設けていることが少なくないが、PF事業者は、自身が売主でない場合でも、システムの安全性に関して一定の義務を負い、これを怠った場合は、本来、債務不履行又は不法行為による損害賠償責任を負う、少なくとも、PF利用者が消費者である場合は、PF事業者とPF利用者との間のPF利用契約は消費者契約であり、一切責任を負わないと定めた免責条項は、消費者契約法八条により無効と解されようと。
 大変私もそのとおりだなと思って拝聴しておりましたが、実際に目の前に消費者の被害が起こったときに、その取引の相手が事業者であるか消費者であるかで、消費者庁の役割というのは変わるんでしょうか。多種多様な消費者被害に対応するために設置された消費者庁だからこそ、消費者被害があったときには、その権利回復に向けて、消費者庁としては全力で対応すべきだと考えますが、河上参考人、先生の御所見をいただければと思います。
この発言だけを見る →
河上正二#23
○河上参考人 ありがとうございました。
 柚木先生の言われたのはもう本当にそのとおりだなと思いながら今伺いました。
 消費者庁というものが設置された段階で考えられていたのは、消費者基本法もそうですけれども、事業者、消費者の情報力、交渉力の格差というものを前提として、その底上げを図るというこれまでのコンセプトがあったわけで、それをある意味では乗り越えていかないといけない段階に来ているという感じが私もしております。
 そうなりますと、この大きな方向性としては、私は、柚木先生のおっしゃったような方向性が今後必要になるということになるわけですので、その辺は、消費者庁にも頑張れというふうにエールを送りたいというふうに思います。
 今の段階では、少なくとも、消費者問題としての枠の中で一定のにじみ出しを認めていって、消費者的な顔をしているけれども実はこれは事業者だというものをできるだけつかまえていくというやり方で一歩一歩進めていくということが現時点では実際的なのかなという感じはしておりますけれども、おっしゃるお考えについては賛成でございます。
この発言だけを見る →
柚木道義#24
○柚木委員 ありがとうございます。
 続きまして、板倉参考人に二点まとめて伺えればと思います。
 デジタルプラットフォーム上では、ありとあらゆる人、事業者が混在をしているわけでございます。そうした中、今回の新法では、CツーC取引について、検討会では今後の検討課題となっているわけですが、現段階でも入れるべき項目というのがあるように思われるわけですが、それはどういったことであるとお考えかというのが一点。
 そしてもう一点は、今回の閣法では、DPF提供者による販売事業者の定期的な本人確認などは努力義務となっているわけでございますが、このDPF提供者が取引の場を提供し、また、その提供によって利益を得ているわけでありますので、努力義務ではなくて義務にして、そして、その取引の場の安全確保を行う必要性があると考えますが、いかがでしょうか。
 以上、二点伺います。
この発言だけを見る →
板倉陽一郎#25
○板倉参考人 御質問ありがとうございます。
 CツーCにつきましては、先ほど述べたように、直ちに検討して宙ぶらりんの状態は解消すべきだと思いますが、今でも入れるべき項目があるとすれば、例えば、三条三項の、指針を定めることになっておりますが、指針では、法律に定められている事項以外を定めてもいけないということはないと思いますので、CツーCのプラットフォームについての項目を設けて定めるというのはあり得るのではないかと思います。
 それから、官民協議会につきまして、ここにCツーCのプラットフォームが入ってこないとCツーCの状況が分かりませんので、現時点では、デジタルプラットフォームの提供者は、これが構成する団体が構成員になるということになっておりますので、そこに入っていただくということは十分あると思いますが、それ以外にも必要な方は加えられるようになっておりますので、そこでもきちんとCツーCについて状況が把握できるように参加していただくというのがあると思います。
 それから、消費者からの申出制度が十条にあります。これについて、CツーCについてもいろいろな申出があると思います。これは法的には申出としては受け取れないのかもしれませんが、消費者庁として、任意の情報提供として是非参考にしていただく。この辺りは直ちにCツーCについて本法が活躍できる範囲かなというふうに思います。
 もう一つ御質問いただいたのが、連絡先の定期的な確認というところですね。これについては、ODRについての日弁連の意見書で、詳細に書いてあるので書き方はややこしくなっておりますが、やはりモニタリングを含めてきちんとやっていただく。
 これは、たまに、デジタルプラットフォームの事業者さんたちが、自分たちをデパート等に例えて、中のたな子が何を売っているかとかは全部把握できないんだとおっしゃる。それはそうだと思いますが、知らない人がデパートに出品することはないわけで、やはり連絡がつかないであるとかいう事業者については出ていってもらう、契約を切ってもらうというようなことについて、これは努力義務の中でも一段階厳しくするというのはあり得ると思います。実際、その方がデジタルプラットフォームも信用が置けると思いますし、自動的にある程度確認できるという技術も、皆さん技術力をお持ちですので、自動的に電話をかけるとか、工夫していただきたいなと思います。
 以上です。
この発言だけを見る →
柚木道義#26
○柚木委員 再び河上参考人にお伺いしたいんですが、参考人は、冒頭御紹介なされましたように、特商法、預託法の検討会の委員長でもいらっしゃるわけですが、その報告書を私も拝見して、その中で、デジタルプラットフォームを経由した取引等への対応という箇所があります。
 ここにはこう書いてあります。デジタルプラットフォームを経由した取引等については、デジタルプラットフォーム企業と連携を図りつつ、オンラインショッピングモール等における販売業者等の特定商取引法の表示義務の履行確保及び法執行時の販売業者等に対する追跡可能性の確保のために特商法の見直しを含めた所要の方策を検討すべきと。
 これはこのとおりだと思うんですが、実は、このデジプラ法案と、今後、特商法、預託法の改正案の審議がこの国会で想定されるわけですが、もうまさに密接不可分であると考えます。
 そこで、ちょっと先出し的な議論にもなって、このデジプラ法とも関連するという観点から伺いたいんですが、ちょうど板倉参考人からの資料の十八ページ目ですかね、消費者利益の擁護増進のための規定の整備の二項目めに、契約書面等の電子化、デジタル化についての言及があるんですね。
 これは、報告書に述べられている、まさに法執行時の販売業者等に対する追跡可能性の確保という観点から考えた場合に、私はやはり、まず紙ベースのものがしっかりと消費者の方の手元にあることが前提で、プラス、希望する方にはデジタルで交付する等あってもいいと思うんですが、それがなければ、かえって詐欺被害等に遭われる方の拡大につながりかねないという懸念を持っておりまして。
 この点については、実は菅首相も余りこの問題点を認識されていなくて、ああ、そういうことが起こり得るのか、そうした場合には非常に、やはり検討していくことが必要だなと、国会答弁もされております。
 こういった視点から、契約書等の電子化、デジタル化について、デジプラ法も絡むわけですが、私は特商法、預託法の観点からも非常に重大な論点だと考えるわけですが、河上参考人の御所見をいただければと思います。
この発言だけを見る →
河上正二#27
○河上参考人 ありがとうございます。
 契約書面に関してデジタル化をするかどうかということについて、消費者庁の方ではデジタル化を認める方向での対応を考えておられるようですけれども、ただ、原則は契約書面はペーパーベースであるというところは変えておられません。
 この辺は若干世間に誤解があるようでして、むしろデジタル書面で欲しいということを消費者が積極的に依頼したときにまでそれを否定するかという問題になったときには、これはよいだろうと。ただ、その意思決定が非常に不十分な場合もございますし、実は、クーリングオフを考えるときの開始期間であるとか、それから契約全体を一覧するときの一覧性といったようなことを考えた場合には、やはり契約書面というのはそれなりに効能を持っておりますので、基本的に、消費者に対して十分な説明があって、なおかつ消費者が、自分はデジタルで欲しいんだ、整理するときには自分のパソコンのボックスの中に入れておいた方が後々見やすいからそうしてほしいというふうに言ったのに、それは駄目だという理屈は、これはなかなか通らないという感じがしております。
 他方で、クーリングオフを消費者がするときには、これはデジタルでクーリングオフができるというふうにしておかないと、この今の時代においてはやはりまずいだろうというようなこともございまして、消費者委員会からもその点についての意見が出ているのは、私は賛成でございます。
この発言だけを見る →
柚木道義#28
○柚木委員 ありがとうございます。
 この契約書面等の電子化については、原則と例外が私は逆転しかねないと。悪いことを考える人は幾らでも考えますから、まさに詐欺被害拡大法案みたいなことに運用上されないための歯止めが明確に必要だと思います。
 最後に、依田参考人と増田参考人、それぞれ御答弁をいただければと思いますが、まさに今、ちょっと特商法との絡みも申し上げたわけですが、絡みという意味で、もう一つは解約権についても非常に私は関連性が高いと思っておりまして、今まさに消費者庁内の検討会、いわゆるつけ込み型勧誘の包括規定、取消権、これはもちろんデジタルであればオンライン上が主ですが、そこを介在して対面とつながる可能性もあるわけですよね。
 そういった中で、非常に、いわゆる類型の整理とか、論点はあるわけですが、私は、やはり取消権、解約権について整理をしてしっかりやっていくことによって、いわゆる消費弱者というか、若年成人も、来年の四月一日から十八、十九も入ってくる、あるいは高齢者の方、コロナ禍で詐欺被害がいろいろ起こっている。そういうことも含めた解約権、取消権について、デジプラ法並びに特商法、預託法、それぞれ、私、関連する論点から、依田参考人と増田参考人、それぞれ御所見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →
依田高典#29
○依田参考人 柚木先生、どうもありがとうございます。大変重要な質問の論点であると考えます。ごく手短に、行動経済学的な観点から、一言回答申し上げます。
 先ほど述べましたように、人間は間違ってしまう存在、弱き存在でございますから、しばしばエラーを犯します。エラーを犯さないように完全合理的な人間を求めることは、人間の本性に反します。したがいまして、誤った選択を犯した後に対して、それをやり直しを認める、つまり、一度間違ってオプトインしてしまった後にオプトアウトを認めるとか、あるいは一度入ってしまったものからほかのものに移るようなポータビリティーを認めるということは、大変理にかなったことと考えております。
 以上でございます。
この発言だけを見る →
← 戻る