舘田一博の発言 (内閣委員会)
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○舘田参考人 御紹介いただきました東邦大学の舘田と申します。貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。
私は、感染症の専門家、法律の専門家ではありませんので、今日は皆様方に、新型コロナウイルス感染症の現状と、そして現在の問題点、それと、それに関連して、法律に関連するであろうそういったところを中心にお話しさせていただいて、後半の質疑に進めていただければというふうに思います。
お手元に資料を配らせていただきましたけれども、簡単に振り返っていただければというふうに思います。
最初のページで、まさに今、一億人の感染者が見られる状況の中で、死者も二百万人を超えるという状況になってまいりました。そして、今日の報道を見ても、アメリカでは今日三千三百人ですよね、一日で。そして、イギリスでは千二百人以上の方がお亡くなりになっているということが報告されています。非常に大変な状況が続いているということが理解できるかと思います。
次のページは、一日当たりの感染者数及び死亡者数の推移ということで、左に感染者数、右に死亡数を示しています。これはよく報道されているとおりですけれども、今でも一日七十五万人以上の感染者数が出て、一日一万五千人以上の方がお亡くなりになっている。毎日です。そういう状況が続いています。
下の図になりますけれども、一日当たりの感染者、日本です。皆さん方御存じのように、第一波、第二波、第三波、何とかそのピークを乗り越えている、そういった状況です。下は日本の死亡者数になるわけですけれども、やはり、残念ながら、この第三波において非常に感染者数が多くなってきているということがお分かりのところかと思います。もちろん、この第三波、冬のコロナということで、我々にとって初めての経験であり、予想を超える感染者数の増加がこの死者数の増加につながっているというふうに思います。
次のページの上、これは世界の疫学ですけれども、ただ、これは非常に大事な事実を示しているというふうに思います。それは、よく言われるように、アメリカが二千四百万を超える感染者が出て四十万人以上の死亡者数が出ているとか、あるいは、ブラジルが、イギリスが、フランスがというのはよく言われているとおりであります。一方で、日本は、ここまでに三十万人ぐらい、残念ながら、四千人、五千人の方がお亡くなりになっているんですけれども、世界の中では、その感染者数も死亡者数も、かなり頑張って少なく維持してきているということがお分かりいただけるかと思います。
そんな中で、私が今日強調したいのは、一番右側です、死亡率です。死亡率は、日本の死亡率は一・四%ですけれども、世界の死亡率でも二・一%、アメリカでも一・七%、ほかの国でも大体二%前後です。メキシコがちょっと飛び抜けて八・六%。まあ、やはりこれは医療事情の問題があるのかもしれませんけれども、大事なのは、死亡率においては大きな違いが見られていないということです。すなわち、それは、百人の人が感染すれば一人か二人がお亡くなりになる、千人感染すれば十人、二十人の方がお亡くなりになる。そういうことからも、感染者をいかに少なくできるのかということが非常に重要であるということが理解できるかと思います。
下の図は、年齢別の感染者数と死亡者数ということですけれども、ちょっと見にくいですけれども、よく言われるように、二十代にピークがあり、続いて三十代、そういうふうなことになるわけですけれども、大事なポイントは、よく言われる高齢者において死亡者数が多いということと、もう一つは、ちょっと見にくいんですけれども、十代あるいはそれ以下では感染者数が少ないということも大事な事実になろうかと思います。
次のページ、これは、この感染症は肺炎です。しかし、肺炎だけではないということが明らかになってきました。すなわち、これは、血管の内皮細胞にも感染を起こして、血管の障害、血栓をつくる。それが後遺症であったり重篤化につながってしまうということが明らかになっているわけです。この事実は非常に重要で、恐らくこういうふうなところから新しい治療薬の可能性が出てくるんじゃないかということが期待されているところです。
次の下の図、もう一つ大事な事実は、このウイルスが口の中の唾液腺にも感染を起こし、そして唾液中に高濃度に排出される。だから、会話のときのマイクロ飛沫で感染が広がる。だから、それを使った検査ができるようになってきたということが大事な展開になろうかと思います。
次のページの上、クラスター班の御努力によって、いろいろなこのクラスターの特徴が明らかになってきました。右上の接待を伴う飲食店、そういったところが最初は大きな問題になりましたけれども、何とかそれは皆様方の協力によってかなり抑えられている状況です。しかし一方で、普通の仲間同士の会食、飲み会の中でそれが広がるというようなことが、あるいは下、職場、特に、場面の切り替わりということで、休憩所とか更衣室とかそういったところで、油断のときに感染が広がる。あるいは、学校。授業中の学校の広がりというのはそうでもないけれども、サークルや合宿所や、そういった中での広がりが今でも問題になっているということは御承知のとおりです。
右の下、インフルエンザとこのコロナの感染の広がりの特徴というものもはっきりしてきました。インフルエンザは、一人から二人、二人から四人、八人、十六人、面で広がっていくから、だからこれは学級閉鎖になる。一方で、新型コロナは、一人から五人に広げるけれども、五人のうち四人は発症、発症するけれども広げない、一人が次につなげていく、線で広がる、時々クラスターが見える。無症候感染者がそれをつくり出しているということも一つ大事な事実になります。
次のページの上です。これも日本から出てきた新しい事実ですけれども、子供の感染において、子供というのは油断しているから子供の中で広がっているんじゃないかというのが最初の予想でしたけれども、実は、子供の感染は、お父さん、お母さんからの感染がほとんどである。学校の中では感染が広がっていないという、そういった事実に基づき、緊急事態宣言の二回目では、学級閉鎖、学校の閉鎖というのが行われなかったということは事実かと思います。
下の図、これが今非常に大きく問題となっている数字になります。東京におけるということで示していますけれども、色がついているところの入院・療養等調整中、すなわち、PCR等で陽性になったけれども、どうすればいいのかということが宙ぶらりんで分からない、入院すればいいのか、自宅に行けばいいのか、宿泊所に行けばいいのかが決められていないような人が、この時点で七千人も超えていたんですね。当然、その中から重症例が出てお亡くなりになるということが残念ながら起きてしまっている。御存じのとおりかと思います。ここをしっかりとゼロに近づけていくような、そういった対策を早く取っていかないといけないということになろうかと思います。
次のページの上、まさに、隠れCOVID―19のフェーズになって、感染蔓延期の中で、無症状のコロナキャリアがたくさんいる。この中で皆さん方を検査したら、陽性な人が出てもおかしくないわけですよね。そういう蔓延期になっている。接近した会話で、それでも伝播してしまう。全ての人が感染している可能性があるし、特に、高齢者がお集まりになるような、そういった場所が注意しなければいけない。
一方で、検査に関しましてもいろいろな進歩がありました。下の図にありますように、遺伝子検査だけじゃなくて、高感度の抗原検査、簡易抗原検査等が出て、インフルエンザと同じように診断ができるようになってきた。しかも、鼻咽頭拭いみたいに奥まで入れるんじゃなくて、自分で鼻の中を拭うだけ、あるいは唾液を取るだけ、それで検査ができるようになってきたということは非常に大きな進展であり、それをどういうふうに活用していくのかということが今盛んに議論されています。
しかし、いろいろな問題も見えてきました。次のページにありますように、この感染症は、症状が出る、発症する数日前からウイルスが排出されて、そしてうつしている。全く症状がない中で自分が誰かにうつしているということが起きている、それが大きな問題です。
一方で、ウイルスは、感染して一週間ぐらいすると検出されなくなる、すなわち感染性は下がってくるということが明らかになっています。
ただ、問題は、そういった患者さん、生きているウイルスが出なくなっている患者さんにおいても、PCRは陽性を持続するということです。すなわち、何を意味しているか。PCR陽性、陽性で見ていくと、その中には、感染性のない人が不必要な隔離が行われているような、そういった状況が生じてしまうということが明らかになってきた。
こういうことを分かった上でどういうふうに対応していくのかということが非常に大事な問題になります。
次のページの上、非常に大事な事実として、第一波、五月三十一日の時点と、第二波、八月三十日の時点での、これは右の赤いところだけ見てもらえればいいと思いますけれども、七十歳以上の死亡率が二五%から八%にまで減少しました。高齢者は依然としてリスクが高いんですけれども、それでも、第一波と第二波でこれだけ死亡率の低下が見られているということは、これは非常に大事な事実になろうかと思います。
下、ワクチン。非常に期待されるものになるわけですけれども、ただ、私たち感染症学会としては、これは、過剰な期待を抑えて慎重に、冷静に判断していかなければいけないということは、今でもそういう思いで教育、啓発を行っているわけです。
ただ、データは毎日のようにアップデートされる中で、次のページ、世界中で進行するワクチン接種に関して、新しいデータが蓄積されてきました。
アメリカだけでも一千万人を超えるような人が接種される、あるいは、イスラエルでは人口の二五%、二百五十万人を超える人が接種される中で、その有効性が証明されてきているということは非常にプロミッシングなデータではないかなというふうに思います。もちろん副作用が出ています。しかし、それは予想の範囲内ということで、そういった状況の中で、いかに日本で効率的に早く、必要とする方たちにそれをお届けするのかということが大事になろうかと思います。
もう一つ問題が出てきたのが変異株の問題ですけれども、これは昨日も埼玉でまた新しく報告されました。しかし、大事な事実は、今、日本で一万株以上の遺伝子の検索が行われている中で、変異株というのはまだ数十株ですよね。今の感染の状況においては、変異株というのは大きな役割を果たしていないというのが大事な事実です。ただし、今から、これからはどうなるかということは非常に注意していかなければいけないというのも、大事な方向性になろうかと思います。
次のページの上になりますけれども、まさに第三波を今越えようとしているこの状況の中で、ハンマーとダンスの戦略が必要になってくるわけですけれども、皆さん方、我々の今の大きな問題、課題は、この緊急事態宣言をどういうふうに解除に持っていくのか。
誰も一気に解除できるなんて思っていない、少なくとも私たちはそう思っている。恐らくどこかで、段階的な、より次の波が起きにくいような戦略を取っていかなければいけない。第一回目の緊急事態宣言のあの解除の経験を生かした、この二回目の緊急事態宣言の解除ということにつなげていかなければいけないことになろうかと思います。
最後、最後のスライドですけれども、これが今、やはり法律においても大事なところだと思います。
このウイルスは、人や社会や国に分断を引き起こしてしまうウイルスです。話せない、会えない、会話ができないわけですよね。そういう中で、差別や偏見が生まれやすい状況があって、実際にそういうふうな人たちが出てきているということも事実です。それをどういうふうに抑えていくのか、守っていくのかということは非常に大事。私たちの問題でもあり、これはメディアの問題でもあり、もちろん政治の問題でもあるということを考えています。
市民と行政、専門家の温度差、リスクコミュニケーション、私たちが考えていることが一般の人たちになかなか伝わっていないというこの現実があります。どうやってそれを伝えて、そしてワンボイスの中で一緒にこの危機を乗り越えていくか、それが今政治に求められているんじゃないかなと思います。
国民性というか、日本に住まわれている人たちの協力によって何とかここまでやってきているわけですけれども、その一方で、ある意味、みんなが協力してくれるというのは非常にありがたいことですけれども、それが、例えば自粛警察であったりとか、いろいろなところで差別や偏見につながる、そういったリスクにつながっているということも事実かと思います。それをどうやって防いでいくのか。
そして最後は、このピンチをチャンスに変える、そういうふうな発想の中で私たちは進んでいかなければいけない。今までに見られた技術、革新、そして連携や協力ですよ。
だから、このコロナを乗り越えたときには、我々はより感染症に強い社会を築き上げていなければいけないし、その次に必ず来るパンデミック感染症に対して、より高い備えを備えた国になっていかなければいけないというのが大事なところかと思います。そういう視点で、是非、法律の改正も含めてお願いできればというふうに思います。
以上です。(拍手)