秋田喜代美の発言 (内閣委員会)
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○秋田参考人 おはようございます。秋田でございます。
この度は、発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。お手元に配付資料はございませんので、口頭で説明をさせていただきたいと思います。
私は、今回の子ども・子育て支援法並びに児童手当の一部を改正する法律案に賛成をいたしております。そこで、その理由をこれから順に御説明をさせていただきたいと思います。
まず一つ目は、子ども・子育て支援法の一部改正に関する三点でございます。
一つは、関係機関の相互の連携の推進に関する事項を追加する件でございますが、この記載によって、専門家が連帯、連携し、妊娠期からの切れ目ない支援を行うことによって、子供と子育て家族を支援するネットワークの網、ネットワーク網、セーフティーネットがより細やかになります。子育てする家族にとっては安心感が高まり、専門家の協働によって子育て支援の質の向上が見込めると判断されます。
そして、第二点目の事業主の拠出金の上限割合の引上げに関してでございますが、皆様御存じのように、ゼロ歳から二歳児の保育所運営費に関しましては一千億円が追加拠出されることとなったことから、保育所等運営費に充てる拠出金の額が現行の充当上限割合である六分の一を超えることがもう今既に見込まれるという実態を踏まえますと、また、特にゼロから二歳児の保育ニーズが極めて高いことからも、この法案の変更というものが妥当であるというふうに考えられます。
なお、保育の質が、運営費が増えると保育の質が高まるということは、反対に、海外では、オランダやカナダでは、運営費が削減されると質の低下を招くということがエビデンスでも既に出されている点からも、極めて重要であると考えられます。
そして、第三点には、積極的に取り組む事業主に対する助成及び援助を行う事業ですけれども、仕事と子育ての両立を更に推進していく優れた方策の一つでございます。実態としては中小企業の割合が低いというような事実がございますので、この推進へのインセンティブになることが望まれますし、広くイメージアップのための広報をしていくというようなことによって、両立支援の機運を更に高めることが重要であると判断しております。
そして、次に、恐らく今回の最も大きな論点であります児童手当法の一部改正に関して意見を述べさせていただきます。
まず、この点に関して意見を述べるに当たり、私の前提を申し上げます。
私は、子ども・子育て支援新システム検討会議の発足以来今日まで、子ども・子育て支援新制度の検討会議の委員として、ずっと継続して参画してまいりました。この期間、国の子育て支援政策は、待機児童対策、幼児教育、保育の無償化など、全体として充実が図られてきていると認識しております。
しかし、それでも実際には、待機児童対策等の量的拡充は図られてきてもまだ十分ではなく、さらに、質の充実も必要とされていますが、財源は十分とは言えません。保育の量的な拡大を更に進めると同時に、質の充実も今後、乳幼児期の子供にとって生涯にわたる人格の形成を培う上で重要であるというふうに判断されます。
子ども・子育て支援の量的拡大と質の向上を実現するためには一兆円超の予算が必要ということが言われてきておりますが、令和三年度の予算は現在七千億で、当初想定された額より三千億円不足しております。まだまだ予算は十分ではなく、子育て支援のための予算も今後更に充実していく必要があるという認識に立っているのが、まず私の前提であり立場であるということを述べさせていただきます。
その上で、限られた財源をどのように配分していくのか、その配分の優先順位は何か、それが国全体の子供たちや子育て家族のウェルビーイングにとって重要かという判断が、今回の児童手当法案の議論の主要論点であるというふうに理解しております。
限られた財源をどうするかということでございますが、第一に、国際的な政策動向から考えてみますと、児童手当や児童扶養手当のような保護者に現金給付を直接行う現金給付と、保育や幼児教育等、子供自身の生活をする場の保育、幼児教育の充実を図る現物給付で、どちらをより厚く配分する政策を取ってきているかというような比率を見ますと、先進諸国、スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス等の先進諸国においては、どの国でも、現金給付よりも現物給付をより充実するよう増やしてきているということが内閣府の資料等で指摘されております。
そして、スウェーデン、ドイツ、フランスでは、実際に現物給付の比率が現金給付よりも多くなっています。これは、保護者に配付される手当が専ら子供のために真に使われるかということの保証が十分にはなく、保護者自らが使用する懸念もないわけではないからです。
また、多くの子供たちが乳児期から保育所に登園しているという現在の我が国の状況を考えますと、現物給付によって子育て家族を支えるということが極めて重要になってきていると考えられます。
また、児童手当のような現金給付に関しても、イギリスやフランスでは所得による違いをつけております。それは、世界的に経済的な格差が増大する中で、より困難な層に手厚く、困窮の層に手厚く子ども・子育てに関する資金の充実が図られるべきだと考えられているからです。
税金ですので、真に貧困世帯、困窮世帯の子供たちが質の高い保育を受け、子供をより多く産んでも安心して子育てが家庭でできることに優先的に配分されるべきではないかというふうに考えられます。
英国、米国等の保育の質の効果研究でも、経済的困難層の乳幼児の保育の質が子供の発達に及ぼす影響が大きいということが示されております。家庭の経済状況が児童虐待の生起の直接原因となっているという因果関係は同定できませんけれども、経済状況が媒介要因の一つとして影響することは指摘されているところです。
厚労省の二〇一九年の世帯調査によりましても、全世帯が五百五十二万三千円、児童のいる世帯が七百四十五万九千円でありまして、特に子育て世代では六百十四万円が世帯年収でありますので、今回の千二百万円は、およそその二倍になります。しかも、今回は、世帯の合算額ではなく、世帯主のみで千二百万円の所得制限になっております。つまり、共働き世帯が増えていることから、世帯合算で見ればより高くなる可能性も考慮に入れる必要があります。
また、年収が千二百万を超える世帯では金融資産が大きいということも示されていますし、児童手当が実際の生活費や養育費よりも将来の貯蓄や保険料として使用されているというようなことも内閣府のデータで示されています。世帯年収が高くなるほど金融資産も多く、さらに、児童手当が貯蓄等に使用されることも容易に予想されます。
この所得制限で児童手当受給対象となる児童数は約四%でございます。この今回の見直しの三百七十億の財源効果が見込めるわけですが、それを子育て安心プランそして待機児童対策の方に割り当てていくということが困っている家庭をより厚く支援することにつながりますし、今後は、多子世帯への給付の拡充や、経済格差拡大の中で生活困窮世帯への給付支援等、現在において喫緊に必要とする保育の問題の解決に使用されるべきではないかと判断をいたします。
少子化対策という観点から見たときにも、今回、新たに不妊治療それから全ての子供の幼児教育の無償化に大きな予算配分が充てられております。ですので、児童手当で、特に所得の高い層での少子化対策として児童手当がどこまで有効であるのかというようなところも疑問があります。
このようなことから、新型コロナで経済格差が一層拡大している中で、限られた予算では、所得制限をかけて、その資金を保育の充実に充てていくための第一歩にするということが妥当なものであるというふうに判断がなされます。
終わりですけれども、最も重要なことは、社会保障の中でも子ども・子育て支援のための予算は国の未来を開いていくために今後も一層充実していく必要があるということ、そして、それを子供たち、特に困窮世帯の子供たちへの喫緊の課題に対して手厚く対応し、人生の始まりにおいて目の前の子供たちが豊かな人生のスタートを切れるようにしてほしいと願っておりますことをつけ加えまして、私の意見陳述とさせていただきます。
以上になります。(拍手)