伊藤周平の発言 (内閣委員会)
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○伊藤参考人 おはようございます。鹿児島大学の伊藤と申します。よろしくお願いします。
本当に、このような機会をつくっていただいて、非常にありがたく思っております。
私の方は、レジュメみたいな感じなんですけれども、これを全部読むと十分じゃ終わらないので、要点だけお話ししたいと思います。
端的に言いますと、まず、今回の子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案は廃案にしていただきたい。
そこに、後で書いているように、私の対案みたいなのがあるんですけれども、是非、子ども・子育て支援新制度については抜本的な見直しを行って、議員立法でも何でもいいですから出していただきたいと思っております。
このままでは待機児童は解消できないだろうし、実際問題として、先ほどの支援事業の計画のお話がありましたが、計画に連携を盛り込むというのがありますけれども、これもほとんど理念的なもので、実態として、子ども・子育て支援法自体が待機児童解消なり子育て支援の拡充になっていないというのが一番大きな論点。
それから、先ほどからお話が出ています児童手当法の特例給付の廃止。これを廃止した上で待機児童解消の財源にするというのは、これは社会保障・税一体改革の一つの流れだろうと思うんですね。つまり、社会保障の財源は消費税でやるか、別の社会保障の給付を削って、そっちに、財源にするか。
でも、このやり方って、本当に保育が充実するんですか、これは。消費税を上げなかったら保育士の給料は上がらないんですかということになりますよね、結局、リンクさせれば。あるいは、今回みたいに、待機児童の解消をやるためには児童手当を削るんですか。これはおかしいと思いませんか。
そういう観点から私は意見を述べさせていただきます。
コロナ禍の法案提出ということで、そこに書いてありますように、非常に状況が悪い中、子供の貧困だけじゃなくて学生の貧困も、私のゼミ生は学費が払えなくて除籍になりました。バイトもなくなった。親にも私は電話をかけたんですけれども、でもそういう状況です。本当に若い人たちの貧困は深刻な状況で、学ぶ権利すらも十分保障されない。
それから、待機児童の問題もそこに書いてありますが、二ページから三ページにずっと書いているんですけれども、結局、本来であれば認可保育所をもっと増やして、保育士の給料をよくして、配置基準をもうちょっと手厚くすればいいんですが、それをやらない。むしろ、小規模保育事業とかそういうのを作って、保育士でなくてもいい、保育士の資格は要らないと。こんなのあり得ますか。学校で、済みません、私の学校は半分しか教員免許を持っていない教師しかいないんですというのは通用しないでしょう。何で保育所はそれができるんですか、保育施設は。本来、保育士資格のある人に、その人たちをちゃんと給料をよくして配置すべきですが、そういう規制緩和をずっとやってきました。
そして、子ども・子育て支援制度、新制度のときに、四ページのところですが、結局、これは御承知のとおり、二〇一二年の六月に、もう九年前ですけれども、当時与党だった民主党と自民党、公明党の三党合意で、従来は幼保一体化ということだったんですが、それをなくした上で、子ども・子育て支援法と認定こども園法の一部改正、児童福祉法の改正ですが、児童福祉法の、先ほどもお話がありましたが、消費税一〇%への引上げによる増収分ですね、七千億でしたっけ。あと三千億で一兆円。なかなか三千億が確保できないということですが。そういう形で子育て支援を充実するということだったんですが、私はそういう狙いじゃなかったと思うんです。
子ども・子育て支援新制度は、あくまでも介護保険のようにしたかったわけです。あるいは障害者福祉のように。市町村が持っている保育の実施義務を外したかった。だけれども、それはいろいろな保育団体も含めていろいろなところの批判があって、結局、児童福祉法の二十四条一項は残りました。なので、新制度というのはすごい複雑な制度になっています。訳が分かりません。給付制度なのか、それともそういった市町村が委託できる制度なのかよく分かりません。法的に整合性が取れない制度なんです。これについてはもう時間がないのでとてもしゃべれないんですが。
やはり、そういう意味では、ちゃんと公的に責任を持って、自治体やあるいは国の責任で財政的な面も含めて保育所を増設していくということが大切なんですが、事業計画というものが、見てもらったら分かるんですけれども、事業計画については五ページの下の方ですね、子ども・子育て支援事業計画というのは、私も関わっていたことがあるんですけれども、市町村レベルで、鹿児島県の阿久根市というところの子ども・子育て会議でそういう計画を策定したんですが、全部コンサルタント会社に丸投げです。だって、分からないんですよ。そういう中で議論して、でもほとんど事務局が出したのを丸のみです。恐らく、こういう自治体が多いんだろうと思うんですよね。計画は作って終わりです。検証も何もしていない。それで本当に需要が足りていたのか。
恐らく、このままいくと、六ページのところに書いてあるんですけれども、子ども・子育て支援事業計画に定めるよう努めるべき事項として、その事業を行う市町村その他の当該市町村において、先ほどお話があった関係機関等の連携の推進に関する事項が追加されています。これ、実は医療計画とか介護保険支援事業計画でも連携というのはよく言われるんですが、全然進んでいません。
だから、やはり理念的なものじゃなくて、本当に計画をちゃんと検証できるような仕組みをつくること、そしてさらに、市町村とかそういったところで保育所を整備する義務があるというのを、そこまで書き込むべきです。ドイツとかはそういうところまでやっていますものね。
だから、ドイツなんかは、後ろの方に判例がありますが、保育所に入れなかったと裁判を起こしたら、自治体が負けるんですよ。損害賠償責任。ちゃんとつくらなかったということ。そういう義務を明記すること、それが必要じゃないかな。
保育の実施については、私は、市町村が責任を持つべきだと思うんです。これは、今、コロナの中で本当に明らかになっているんですけれども、やはり公的なものでやるべきなんですよ。公助じゃなくて、公的責任でやるべきなんです。そういったことが、全然、今回の法案にも出てこないし。
さらに、児童手当については、先ほどもお話ししたとおりです。
これは、よく言われるんですよ、一番困っている人に行き渡る現金給付。これをやると、必ず、一番困っている人には行きません。一番困っている人は声が上げられない、申請できない。
そして、所得制限をつけると、ボーダーの人が困ります。児童手当もそうですが、児童扶養手当もそうですが、まあ、児童扶養手当が特にそうなんですが、前年度の所得で変わってくるんですよ。だから、前年度の所得がすごくあって、ところが、コロナで全然所得がなくなったら、前年度の所得が高過ぎたから、三百何十万を超していたらもらえないわけですよ。所得制限は本来なくすべきです。
それと、皆さん方も、お金がある人に、そんな、五千円も渡す必要はないじゃないかと言うけれども、多くの国はそうしていますよ。日本は割と選別主義的で。結局、お金持ちからは、税金や保険料を高くして取ればいいんですよ。給付は平等なんですよ。それは事務手続もかからないし。もし、それでどうしても嫌と言うんだったら、十万円みたいに、私は受け取りませんに丸をしてもらえればいいです、あの十万円の給付みたいに。そういう普遍的な制度設計をすべきで、普遍的な制度設計、みんなに配るというのが、一番困っている人に行き渡りやすいんです。
これを私は強調したいし、もう一つは、消費税に依存しない、最後のところですが、十二ページのところですが、消費税と保育の財源をリンクするのはやめるべきです。
これだと、消費税を上げられないと保育は充実しないということになります。そういう目的でリンクさせたんだろうと思うんですが、やはり必要な予算は一般財源で、それが政治の力だろうと思うんですね。政治にやる気があれば、限られた財源じゃなくて、必要なところは、朝日訴訟の一審判決が言っていますが、予算の配分、つまり、そういったものは、予算が足りないから最低限度の生活を削るということはやっちゃいけないと。予算が足りなかったらどこかから持ってこい、必要な給付は。それが政治の役割だろうと。まあ、そこまでは言っていませんが。と私は思いますし、やはり、今回の、児童手当の特例給付を外して三百七十億ですか。これ、三百七十億、何で出せぬのですか、特例給付を外さなくても。なぜその財源が確保できないんですか。オリンピック予算で一兆円ぐらい。だから、これは本当に政治の配分の問題じゃないかと思うんです。
特例給付の廃止は是非やめていただいて、更に児童手当なり児童扶養手当を上積みするような政策を求めて、審議を尽くして、今回の子ども・子育て支援の、拡充というか、むしろ逆行ですね、この法案は是非廃案にしていただいて、そういった、もうちょっと一般財源でやって、子供の、更にもう一回言えば、学生たち、若い人たちの貧困に対処できるような財政出動を行ってほしいと思って、私の陳述を終わります。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)