山花郁夫の発言 (法務委員会)

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○山花委員 令和三年三月に第四次犯罪被害者等基本計画というのがあって、その二十ページのところに、警察による被害者の実名報道、匿名報道についてはとございますので、それに書かれていることなんだろうとは思います。
 外国のケースをいろいろ調べてみたんですけれども、先ほど、冒頭、少し頭出しをいたしましたが、報道機関が報じるかどうかということと、公権力の方で何を発表しているかということで若干違いがあって、ある意味、フィルターが二回あるんですよ。
 つまり、例えば日本でいうと、警察の方で、例えば性犯罪について、被害者、これはプライバシー等々があるので発表しないと決めているというケース。そうじゃないんだけれども、公表はしているんだけれども、報道機関の方で、こういったことは必ずしも一般の方々が知るべき話ではないよねということで、報道の方で自粛というか自制しているかというケースがあって。ということでいうと、日本のように、犯罪の被害者の情報についてこれだけ報じている国というのは結構珍しいのではないかと思われます。
 ただ、よく参照されるのがアメリカなんですけれども、アメリカと日本というのは割と結構報道されていて、そちらを見ていると何か普通なんじゃないのと思われるかもしれませんが、ちょっと区別をしながら言いますが、分かったところと分からないところとあるものですので。つまり、報道機関の側で自制しているケースと警察が発表しているケース、分けて申し上げます。
 お隣の国、韓国なんですが、九一年に施行された特定強力犯罪処罰特例法とか、性暴力犯罪処罰法及び家庭内暴力処罰法というのがあって、被害者の姓名、年齢、住所、職業など被害者の特定につながる情報は、本人や家族の同意がない限り報道されないとされています。これは法律によって、報道しちゃいけないということになっています。
 米国は、先ほど、割と報じられていると申し上げましたが、幾つかの州法で、メディアを含めた公衆に対して、犯罪被害者の氏名を掲載している記録の公開、この制限をしています。
 時折出される英国なんですが、被疑者について実名報道が行われていることがありますけれども、法廷侮辱罪というのがあって、陪審制の国ですので、陪審員の判断に先入観を与えることを防止することを目的とした規制があります。これは被疑者です。被疑者の氏名、住所、年齢、職業、罪名及び公判内容以外の情報を報道することが許されないということです。
 英国は、そうはいっても、例えば被害者のこと、あるいは被疑者のことについて報じているケースがあるよね、しかも実名でということで紹介されるケースがあるんですけれども、ただ、よくよく調べてみると、これは警察の方でガイドラインがあって、九八年に情報保護法というのがあります。犯罪、交通事故証人、近親者などに、情報公開に同意するかどうかということを確認することとされていますので、つまり、被害者の側が発表していいよと言ったケースについて警察が発表しているということです。
 警察に個人情報を提供した被害者がメディアへの個人情報の公開を望んだ場合には、ああ、ごめんなさい、本来的には公開しないとされているケースも、例えば少年だとか、さっきの性犯罪だとか、あるんですけれども、それでも公開してくれというケースがありますけれども、それは例外的な判断であるということで、警察の方でも公表する。中には、こんなひどい目に遭ったんだということで世間に訴えたいという方もいらっしゃるでしょうから、それは被害者の意思を尊重するということになっています。
 ドイツに関して言うと、そもそも、ちょっといろいろなケースを出して恐縮ですが、被疑者のケースですが、被疑者は実名報道はしていませんで、名前の方はあれなんですけれども、それにイニシャルをつけて報じているということで、被害者名に関しては本人や遺族の承諾がない限り原則として報道されないということ。つまり、やはり被害者側あるいは遺族の方々の意思が尊重されるということです。
 プレスコードというのがあって、これはやはり同じように、原則として、ドイツの場合には、基本、報道でもそういうのはしません。極めて例外的なケースについて、やはり、同意があったかどうかということで、これは警察側です、警察側が、プライバシー保護の観点から、原則として、犯罪被害者、また容疑者の名前も公表しない、年齢と大まかな居住地域だけを公表しているということのようです。
 フランス、これは少年法の事件なんですけれども、フランスの少年法は、推知報道が禁止された上に罰則の規定も設けられているということです。
 有名なのがスウェーデンで、これは、かつて実名報道か匿名報道かが大議論になったときに、匿名報道派の人たちがスウェーデンをモデルにしてということを言っていたぐらい、基本的には匿名で被疑者について報じている国なんですが、なぜかこの国は被害者については割と報道されているという、ちょっとアンバランスかなという気がします。
 ベルギーについても、やはり実名報道はしていません。被害者の人権やプライバシーを最重視するということであります。
 イタリア、スイスなど、ちょっといろいろな国があるんですけれども、るるお話をさせていただきましたが、つまり、報道が報じるかどうかということでもかなり抑制的にされているケースが多いのと、そもそも、警察が発表するときに配慮しているというケースが多いということであります。
 それで、昨日、質疑の通告のときに、これは個人情報保護法との関係でどうなんですかということで通告したんですが、ちょっと、ずっと何となくもやもやっとしていたんですが、実は私自身が、そちら側の立場に立ったことがあるんですよ。
 十年前、三・一一の前に、あっちが衝撃的だったので忘れられている方もいらっしゃるかもしれませんが、ニュージーランドのクライストチャーチというところで大きな地震がありまして、日本人の語学留学生が大変犠牲になりました。当時、私は外務大臣政務官をやっていまして、現地に行っていました。ずっと御遺体の確認ができず、私が現地対策本部長三代目だったんですが、そのとき初めて日本人の方の御遺体の照合があって、御家族の方にお知らせしなければいけないという、なかなか慣れない大変な思いもいたしましたが、そのときに報道発表を担いました。
 これは、少なくとも、外務省のルールで、当時、御遺族なり被害者の方の同意がなければ名前は発表しないと。問い合わせたところ、今でもそうしていると外務省は言っていました。
 恐らく皆さんも新聞報道なんかで、例えば、メキシコで邦人男性、事故で亡くなる、何歳というような記事を御覧になることがあって、必ずしも名前とか職業とか、何県の人かと分からないで報じているケースがあると思います。あれは多分、同意が取れていないんですよ。
 日々、そもそも、生存を信じてこられていた、まだその時点では御遺族ではなくて、家族会の方なんですが、その方に対して、ちょっとお伝えしなければいけないことがありますと言って呼び出して、合致する御遺体が発見されましたということを告知するとともに、プレスに対してどうしますかということについても聞かなければいけませんでした。大変つらい役を担っていたんですが。
 ただ、これは、今いろいろ説明しましたけれども、紹介しましたけれども、国によってルールが違って、実は、ニュージーランドという国は、生存されている方はともかく、亡くなったという死亡情報については、死者は人権享有主体でないものですので、御遺族の心情はともかくとして、死者の情報、つまり、この方が亡くなられたという個人情報について、公の機関が知った以上は必ず発表しなければいけないという考え方をあの国は持っています。なので、実は、その御遺族の方に、どうしますか、日本のプレスに対してと聞いても、もし不同意だったときは、私は発表できないんですけれども、ただ、ニュージーランド政府は発表してしまいますよということも併せてお伝えをしました。
 実際、現場にいたときには、最終的には、皆さん、もう発表してくださいということになるんですけれども、少し生々しい話をすると、ただ、まずは自分の口から家族に伝えたい、親族に伝えたいというのがあるので、ちょっと待ってくださいという話があって、例えば、夜に私が告知をすると、翌日の昼に報道発表するというようなケースがあったりとか、実は、ニュージーランド政府にもお願いをして、ニュージーランドの法律は動かせませんけれども、四十八時間ホールドすることができるという規定が向こうにあって、四十八時間後にはリリースしなきゃいけないというので、こちらが発表するまでは待ってくれというような話をしていたのです。というエピソードはここまでとして。
 改めて、外務省にもう一回確認を、今回のことをきっかけにして話を聞いてみました。これって何かルールは決まっているんですかと言ったところ、外務省なりのルールなんだけれども、そもそも個人情報保護法だとか国家公務員法の守秘義務がありますので、誰が亡くなられたのか、被害に遭われたのかというのは個人情報なので、同意がない限りは発表しませんというのが外務省の現時点でのルールだそうです。
 そういったことからすると、恐らく、今まで議論がなかったのかもしれません。政府として、必ずしも、この被害者の情報についてどうリリースするかということについて、個人情報保護法だとか国家公務員法の守秘義務、この間ちょっと別の件で問題になっていますが、これとの関係について整理はどうされているのかしらと思って、必ずしも統一されていないような気がします。
 少なくとも、警察の関係で、被害者の情報を、要するに、この第四次犯罪被害者等基本計画、いろいろ配慮はするとは言ってはいますが、必ず同意がなければ発表しないということにはなっていないと思います。言葉を換えて言うと、ちょっときつい言い方かもしれないけれども、被害者の意思を無視してでも発表するケースがあるんだと思いますけれども、この点について、個人情報保護法であるとか国家公務員法との関係について、どのように整理されているんでしょうか。

発言情報

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発言者: 山花郁夫

speaker_id: 324

日付: 2021-04-09

院: 衆議院

会議名: 法務委員会