猪口雄二の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(猪口雄二君) 猪口です。よろしくお願いいたします。
私の方からは、今回の法改正に係る意見を述べさせていただきます。
一枚めくっていただきますと、まず、医師の働き方改革についてでございます。
これにつきましては、医療法等の改正で、医師の働き方を地域医療とのバランスを見ながら改革していかなければならないと思います。医師の厳しい勤務環境の改善は長年の課題であり、医師の労働時間短縮への取組や健康確保等の推進は重要だと考えます。一方、二〇二四年四月施行というスケジュールがあることで拙速に進めることは、地域医療の混乱を招きかねないと考えます。コロナ禍により混乱している病院の医療現場が医師の働き方改革に取り組める状況であるのかどうか、これを注視していく必要があると思います。
働き方の新制度を早期に幅広く浸透させる必要があります。特に、大学病院や基幹病院などにおいては、派遣医師の引揚げで地域医療に影響が出ないよう早期に周知が求められます。病院の宿日直が労働時間の適用となるかどうかは医師派遣に大きな影響を与えています。地域の実情等も勘案できるよう、労基署に弾力的、謙抑的な運用と医療機関への支援を求めたいと思います。
続きまして、各医療関係職種の専門性の活用ということで、まず、医療関係職種の業務範囲の見直しについてです。
タスクシフト・シェアについては、新たな職種の創設ではなく、既に認められている業務の着実な実施が基本であると考えます。タスクシフト・シェアを受ける側の医療関係職種に対する支援も必要であると考えます。今回の法改正による業務の拡大については、医療安全の観点から充実した教育、研修体制が必須であります。あわせて、需給見通しに基づく育成の視点も重要です。
医師の育成課程の見直しについてです。
いわゆるスチューデントドクターに関する制度創設などの今回の改正概要は、医師育成課程において極めて重要なものと考えます。医療安全と国民の医療への信頼を守るため、CBTやOSCEの更なる改善と臨床参加型臨床実習の充実を求めます。
続きまして、地域の実情に応じた医療提供体制の確保についてです。
地域医療構想の実現に向けた医療機関の再編支援。病床機能再編支援事業の対象地域、医療機関の選定や執行に当たっては、それが当事者だけではなく、地域の関係者間の十分な協議と合意に基づいて行われることが実際の運用においても担保されることが必要だと思われます。都道府県行政や病床機能再編支援補助金申請者は、交付条件を満たしていると同時に、地域医療構想調整会議や医療審議会等の場において十分かつ丁寧な説明を行い、関係者の理解を得るように努めることが大切だと思います。
続きまして、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置付けについてです。
平時から有事に備え、新興・再興感染症の感染拡大や災害等にも強い医療提供体制の構築をすべきと考えます。医療計画におけるいわゆる五疾病五事業に新興・再興感染症対策を追加することには賛同いたします。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で強く認識されたとおり、新興・再興感染症による医療崩壊を防ぐためには、感染症法上の予防計画だけでなく、感染症への対応と通常の医療が両立し得る医療提供体制を整備していくことが重要と考えます。
続きまして、外来機能の明確化、連携についてです。
特定機能病院や地域医療支援病院以外であっても、地域の基幹的な医療機関について紹介患者への外来を基本とする医療計画として位置付ける。すなわち、都道府県が、地域の医療機関の中から医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関として明確化するということになろうかと思います。
なお、地域における協議の場においては、各医療機関の自主的な手挙げ方式、それが基本であり、さらに、地域における必要な調整を行うことを十分に担保されたいと思います。また、同一病院内でも診療科により高度医療を提供する頻度は大きく異なると考えられるため、総合的に勘案することが重要と思われます。
上記の機能を担う医療機関は、紹介外来だけでなく、逆紹介により再診患者を地域に戻す役割も担うべきと考えます。その促進策は、地域の関係者にとっても納得が得られるものとすべきであろうと思います。
続きまして、持分の定めのない医療法人への移行計画認定制度の延長。持分の定めのない医療法人への移行計画の認定制度については、昨年九月三十日をもって一旦期限が切れているところであります。改正案のとおり延長し、公布日に施行されたいと考えて、願っております。現在、移行計画の認定を得るべく厚生労働省に事前相談をしている医療法人に対しては、新法が施行され次第、速やかに厚生労働省において認定を進めることが必要であると考えます。
最後になりますが、改正法案と今後の対応についてです。
各地の医療機関、特に病院は、公か民か、あるいは施設の大小、機能にかかわらず、新型コロナウイルス感染症への対応に大変な尽力をしております。今回の制度改正は、そうした現場の苦労を報い、支えとなるものでなければなりません。
大規模な制度改革は想定外の問題を生じやすく、また、硬直的な制度運営がなされれば、現場に不安や混乱を招きかねないと思います。今回の医療法改正、改正法の施行に際しては、政省令、告示や関係通知等による具体的な制度設計を含め、地域の実情に応じ、かつ柔軟に運営されることを求めます。
また、国や地方公共団体に対して、地域の不安惹起や混乱の発生を未然に防ぐために、現場に対して丁寧かつ詳細な説明を行うことを求めます。今回の医療法改正による制度改革を確実に進めていくために、様々な財政支援、これが不可欠であると考えます。
以上です。どうもありがとうございました。