忽那賢志の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(忽那賢志君) 国立国際医療研究センターの忽那と申します。
私は、国際医療センターという病院で感染症専門医をやっておりまして、現在、医師十七年目、国際医療センターに来て十年になりますが、この十年間で特に新興感染症の対策というものに従事をしてまいりました。
まず、その中で、最初に感染症専門医の育成の重要性についてお話をさせていただきたいと思います。
これまで、新興感染症、例えばエボラ出血熱のような感染症に対して、日本全国に感染症指定医療機関というものが配置されてまいりました。ただ、それは、今回のような新型コロナウイルス感染症のようにすごく大規模でこれだけ患者数が発生するようなものが想定されていたものではなかったというものになります。具体的にはMERSとか、広がるとしても特定の病院で診療できる規模のものが想定されて対応が行われてきたということですが、今回のような新型コロナの流行を起こることが今後もあり得るということを考えますと、より次回、次にパンデミックが起こった場合にも次の対応ができるような準備というものを今後はしていかないといけないだろうというふうに考えております。
しかし、日本国内の医学部における感染症の教育、そして専門家の育成というのはまだまだ不十分なところがございます。私は山口大学を卒業したんですけれども、系統立った感染症の教育を十分に受けられたかというと、当時はそうではなかったと言わざるを得ませんし、多くの大学医学部でそのような状況がありました。近年は改善されてきてはいますけれども、こうした感染症の知識ですね、基礎知識というものが医療従事者全体においてもまだまだ不足しているところは否めないかと思いますので、医学部あるいは医療従事者全体にこうした感染症の基本的な教育、感染対策、これを行っていくということが今後の課題の一つではないかというふうに考えております。
私は感染症専門医ではありますが、まだ全国に千五百人くらいの専門資格を持った人しかいないということで、ほかの診療科に比べるとまだまだ少ない領域になります。
今回の新型コロナウイルス感染症、もちろん感染症専門医だけが診ているわけではなくて、呼吸器内科の先生方、集中治療医の先生方、救急科の先生方などなど診ていただいていますが、診療と感染対策両方をリードするという意味においては感染症専門医が病院の中で役立つ機会というのは多いと思いますが、感染症専門医が全国的に不足しているという状況は現在あると考えておりますので、感染症専門医、そして、私の領域とは異なりますが、集中治療医ですね、集中治療医も数としては不足しておりますので、この二つの領域の専門医の育成ということも次のパンデミックの前に備えて準備をしていくべきかというふうに考えております。
次に、病床確保の問題についてですが、病院の臨床医をしていて思っていることを述べさせていただきます。
実際に、病院の中で働いていると、コロナの病床確保に関しては、もちろんたくさんの患者さんを診れればそれにこしたことはないんですけれども、幾つかやはり課題がございます。
それは、一つはやはり経営の問題がありまして、コロナの患者さんをたくさん受ければ受けるほど通常の診療が行えなくなるということもありますし、最近は少なくなりましたけれども、やはりコロナの患者さんを診ている病院というところにほかの疾患の患者さんが来たがらなくなるというような問題が特に一年前の今頃はありましたので、そういう意味で非常に経営的な問題があるということと、あとは、感染症指定医療機関以外の病院では、そういうまあ風評被害と言うとあれですけれども、コロナを診ている病院にはなかなか患者さんが来ない、来ていただけないという問題があって、なかなかその受入れが進まなかったというところがあるかと思います。ただ、この辺りは、最近はコロナを診ている病院というのも一般的になってきたかと思いますので、解決が少しずつ進んでいるところかと思います。
あとは、コロナの患者さんを診るスタッフの数ですね。病床だけ増やしても、スタッフの確保というのがなかなかうまくいかないことがあります。それは特に看護師さんの数であったりとかですね。
当院も、今、元々は結核の病床として使っていた四十床を主に使っていますけれども、そこに患者さんが全員入ると、これまでそこの病棟にいた看護師さんの数では足りないんですね。これはなぜかといいますと、やはり、個人防護具を一人一人患者さんに来て着脱して診療する、そういうことをしていると通常のやはりスタッフの数では足りないので、同じ患者数であってもコロナの患者さんとそうでない患者さんを診るのに必要なスタッフの数というのは異なるということで、やはりスタッフの確保が問題になりますし、長期間やはりコロナの患者さんの診療をしていると非常にストレスがたまってきますし、中にはやはりその精神的なストレスにかなり悩まされている人も出てきますので、長期間やはりずっと同じ病棟で働くということもだんだんと困難になってくるというようなところがあります。
そうした中で、コロナの患者さんを診療する医療従事者を増やすためにどうすればいいのかということなんですけれども、一つは、医師に関しましては、現状、感染症専門医、呼吸器内科医、集中治療医などの数は限られておりますので、一方で、この一年間でコロナに関して分かってきたことがかなりたくさんございます。
基本的には均一の病態、つまり同じ感染症で同じような経過をたどって悪くなっていくということが分かっていますので、絶対に感染症専門医でないと診れない、呼吸器内科医でないと診れないということでもなく、専門家のサポートの下で診療することは十分可能かと思いますので、今後はあるいは内科、外科の先生も診療に関わっていただくことでより多くの患者さんを診療できるようになるのかなというふうに考えておりますので、特に現在、医療従事者のワクチン接種が進んでおります。そうすると、我々も感染のリスクがだんだんと下がってきておりますので、そうした中で、今後、他の診療科の先生方に関わっていただくということも大事なのかなというふうに考えております。
もう一つは、ほかの、これまでコロナを診ていなかった病院にも診療に参加をしていただくということも今後は広げていくべきかと考えております。これも、やはり感染のリスクということで診療をなかなかしにくかった医療機関も、ワクチン接種によってやはり感染のリスクが減ってきたということがあります。
問題としては、やはり感染症の専門家が不在の中でコロナの診療をするというところに課題がございましたので、そうした医療機関には、例えば自治体から専門家の派遣をして感染対策の指導、例えばゾーニングであるとか個人防護具の着脱ですとかそういったことを指導する、そういう体制があるとほかの病院でもコロナの患者さんを診療しやすくなるのかなというふうに思っておりますし、診療が、急性期の患者さんが診療できないまでも、回復した方、いまだ当院も、コロナから良くなったけれどもリハビリを続けないといけないと、そういう方で、最近はスムーズになってきましたけれども、転院がうまくいかないような事例があります。そうした病院に受け入れていただけるように、もう少しこれがスムーズになると、急性期を診る医療機関としても有り難いなというふうに思っております。
次に、自宅療養者のケアについてですが、現在、関西では自宅療養者が非常に増えており、重症化している方も中にはいらっしゃいます。こうした本来入院が必要な中で入院できないような患者さん、高齢者や特に基礎疾患のある方が増えてきております。こうした方々に、十分な医療は提供できないまでも、例えば薬剤ですね、コロナの中等症以上の方、酸素投与が必要な方には例えばレムデシビルという点滴の薬があります、そしてデキサメタゾンというステロイドの薬がありますが、これらは有効性が科学的根拠をもって示されている薬剤になりますが、こうした薬剤を自宅療養者、あるいはホテル待機の方であっても投与できるような枠組みが必要ではないかと考えております。特に、在宅の診療をされている先生方や開業医の先生方の御協力をいただいて、そうした自宅療養の患者さんにも重症化リスクの高いような方、あるいは重症化してきて入院ができないような方にケアができるような仕組みが、特に入院が、医療機関が逼迫して自宅療養者が増えている時期には必要ではないかというふうに思っております。
最後に、ワクチン接種についてですが、現在、高齢者を中心にワクチン接種が進んでいると思いますが、高齢者、そして今後基礎疾患のある方にワクチン接種が進むことで、今後入院が必要になるような重症者が恐らく確実に減ってくるだろうと考えております。ですので、高齢者が六月、七月ぐらいに完了するとすれば、それ以降、重症者の患者さん、かなり減ってくると考えておりますので、既に現在計画されているとは思いますが、ワクチン接種については引き続き高齢者、基礎疾患のある方から接種を進めていただければ、医療機関としても今後大変助かるというふうに考えております。
私からは以上になります。貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。