遠藤久夫の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(遠藤久夫君) ありがとうございます。学習院大学の遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、発言の機会をいただきまして、心より感謝申し上げます。
それでは、時間も限られておりますので早速入らせていただきますが、私自身は医療経済を専門にしておりまして、また、医療保険部会の部会長をやっておりました関係上、この議論をずっと取りまとめてきたという形もありますものですから、そういう視点からお話をさせていただきたいと思います。
まず、最初のページでございますけれども、これは全世代型社会保障改革が必要である理由ということで、大きく分けて二つを書いたものであります。
元々、我が国の社会保障制度、高齢者対象とするものが多いということは国際的な比較でも分かっておりますので、若い人たちが今非常にいろいろな課題を抱えておりますので、そういう意味では、それをシフトさせる必要があるということであります。
もう一つは、既に、次のページになりますが、少子高齢化が進むことによりまして、これまでの高齢者を対象とした社会保障制度、年金、介護、医療でございますけれども、それの費用負担が、現役世代の負担が非常に増えてくるという、先ほど佐野参考人からお話があったような内容が出てくるわけであります。これは世代会計論などと言いますけれども、当然のことながら給付を受ける人が増えてきますので、今の現役世代は昔の現役世代よりもある意味損をするという、そういう形になります。まさに今回の後期高齢者の自己負担増の問題は、こちらの方の議論として行われるわけであります。
人口のその増減と非常に関係がありまして、図の一に書きましたように二〇二二年というのが一つのポイントでありまして、七十五歳以上が急速に増えてまいります。これは団塊の世代が後期高齢者になる年でありますので、急激に増えると。したがいまして、逆に七十五歳未満が減るという形になっております。その後、だんだんと七十五歳以上人口の増加率は減少しますけれども、常に七十五歳未満よりも上回っておりますから、世の中全体とすれば七十五歳以上の人の割合が増えてくるという、こういう状態になるわけであります。
先ほどこれは佐野委員が言った話とオーバーラップをいたしますけれども、まさに一人当たりの自己負担であるとか保険料の額だとかを二〇一八年と二〇一〇年の間、差を取って比較してみますと、現役世代の方がやっぱり保険料あるいは自己負担は増えております、高齢世代と比較しまして。それに対して、医療保険の方は高齢世代の方が増えているという、こういう構造があるものですから、後に生まれた方が損をするという状態は続いているということであります。
ただ、その下、表の二でございますけど、これは、先ほどちょっとお話ありました、要するに現役世代が後期高齢者世代を財政的に助けます後期高齢者支援金の増加率を見てみるわけですけど、上の方が後期高齢者支援金の増加、下が国民医療費の増加ですけれども、国民医療費の増加が当然上回っているという状態で、現役世代の負担が増しているということで全世代型社会保障改革が必要なんだと、こういうことなんですが、それでは、しかし、自己負担を上げていくという今回の議論について、今度は高齢者の負担能力はどうかということも見なければいけないということになるわけであります。
それが次のページでございまして、これは一人当たりの医療費を年齢別に四十歳以上を書いたものです。これは厚労省が審議会に出された資料をベースに作ったものでありますけれども、一人当たりの自己負担というものも出されておりました。こういう状態が合計の①というところに書いてあります。
これ見てみますと、まず、一人当たり医療費というのは、当然のことながら年齢の増加関数になります。年齢が増えれば増えてまいります。それに対して一人当たり自己負担は、七十から七十四歳が二割負担で、七十五歳以上は、一般であれば一割、現役並み所得は三割ということで、それよりは負担が抑えられているものですから、結果的には、一人当たりの自己負担の増加が六十五から六十九歳が八・九万円、それぐらいを超えないぐらいになっているという形で自己負担は抑えられてきているということになるわけです。
ただ一方、高齢者の場合は収入が少なくなります。これが右から二つ目の列ですけれども、これは、当然のことながら高齢になるに従って収入が減ってまいります。その結果、この割合が、収入に占めるところの自己負担の割合が高くなってくるということになります。こういうような負担能力の中でどこまで高齢者に負担をお願いできるかという形になるわけであります。
次のページは、実は、その高齢者の医療費というのは増えてはいるんですけど、これは、一人当たりの高齢者の医療費の伸び率というのは実は現役世代と比べると低いわけです、伸び率は低いという、これは重要なことなんですね。ただし、高齢者の数が増えておりますから、結果的には高齢者の医療費は増えているんですけれども、現役世代よりも増えておりますけれども、一人当たりに換算しますとずっとマイナスなんですね、マイナスと、失礼しました、現役世代と比べると低い水準で、これは非常に重要な意味を持っていると思います。ある意味、余りこれを抑えることが難しいという状況にあるということも言えるわけであります。
次が高額療養費制度の話ですけれども、我が国の場合は高額療養費制度というセーフティーネットがございまして、自己負担の上限が決まっております。これは非常に優れた制度でありまして、非常に高額の医療へかかったときには一定額で抑えられるということになるわけです。このときに、後期高齢者の七%を現役並み所得として三割自己負担にしている、この人たちの高額療養費制度の計算の仕方は上にあるわけでありまして、一般的な、五二%が該当しますが、この人たちが外来と入院を含んだ形の上限がそれぞれ決められている。更にその下に低所得層があるという形になっているわけなんですが、次のページを見てみますと、その結果、実際には高額療養費制度は自己負担はしませんので、それを超えますと自己負担はしませんので、実際の法定自己負担率よりも実際の自己負担率、実効自己負担率というのは法定自己負担率よりも下がっております。
例えば、若人の就学から六十九歳というのがいわゆる三割自己負担と、上から二行目でありますけれども、これ見ますと、二一・三%なんですね、三割ではなくて。特に入院などを見てみると、九・九%自己負担ということになります。実際にはうんと高額な人がいるのでそうなっているわけで、ほとんどの人は法定自己負担率に近い金額を払っていますけれども、高額の人がいるのでこれ抑えられていると、こういうような状態になっておりまして、ちょっと話があれになりますが、一番最後のページを見ていただきますと、これは図三というものですが、これは、若人、老人、それから全体見ましても、この実効自己負担率はだんだん右肩下がりになって下がっているんですね。負担率は下がっていると、自己負担率は。これは、法定の自己負担率はむしろ上げているんですけれども、こういう傾向が出ている。これは、要するに医療費が高くなってきて高額療養費制度の適用が増えているということになるわけなんですけど、これが現状としてあるということであります。
また、表の五に戻っていただきますと、後期高齢者医療制度につきましてはどうなっているかというと、現役並み所得以外の人たち、つまり一割自己負担の人たちは、トータルで七・六%実効自己負担、入院している人は四・六%で済んでいると、こういうような状態になっているということであります。
そういうような中で、審議会の中では事務局が表の六のような表を出してこられました、厚労省の試案という形で。二割負担になる層がどのぐらい、どこで切るかというところで、機械的に分けられたということで出してこられたものが一から五になるわけです。
これについて議論が行われました。まず、高齢者の団体であるとか医療者であるとか自治体とか有識者という方たちは、やはり高齢者の疾病率が高いことや所得の少ないということを配慮して、必要な医療にアクセスできないということに対して非常に懸念を示されました。そういう意味では、一、せいぜい二ぐらいまでだろうというような意見がそういう人たちは多かったです。
それに対しまして、経済団体であるとか保険者などは、先ほど言いました現役世代の負担増という問題に歯止めを掛けたいという視点からむしろ五、五なんですが、さらに、この一から五という厚労省の出した分類のほかに、先ほどちょっと見ていただきましたけれども、表の四というのに一般というのが書いてあります、上から二つ目が。その一般というところ、更にその下に低所得層があるわけなんですが、この一般というのは五二%なんですけれども、この表の六の五というのは四四%ですので、もう少しこの一般だったら下まで来るはずだと。だから、そこまで議論をして一般全体を二割負担の対象にするべきだというのが保険者であるとか経済団体の御意見だったわけで、意見は分かれました、見事に分かれました。それぞれに合理性のある議論がされたわけでありますけれども、そこのところは両論併記のような状態になっております。
当然また、激変緩和のための自己負担の増加が一月四千五百円以上にならないように、増加分ですね、自己負担の増加分、この制度による自己負担増加分四千五百円を超えないような仕組みを二年間やったらどうかというような議論があったわけですけど、最終的には、閣議決定された内容につきましてはこれが更に激変緩和的要素が付きまして、最大限三千円で、しかも三年間という形で長引いたということで、激変緩和は更に強力になっていったということであります。
そういうことで、審議会としてはその両論併記的なところに、閣議決定した内容が、ちょうどこの表の六の三というところになったわけでありますけれども、表の三で、最終的には部会としてはその内容でそれぞれ意見を聞いてまとめたということでありますけれども、それぞれの立場からしてみると、やはり御不満はあったと思います、御不満はあったはずです。ですが、バランス的にはまあいいところで落ちたかなというようなことを私としては思っておるわけです。
また御質問等があればお話しさせていただきたいと思います。
どうも御清聴ありがとうございました。