東梅貞義の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(東梅貞義君) ありがとうございます。
今日は、参議院議員の皆さんにお話しできる機会をいただいて、大変光栄だと思っております。
海洋問題、生物多様性問題、持続可能な利用問題、これ、全て世界の危機です。今日、既に道家参考人が危機をお伝えしました。
危機を解決するためには幾つかキーワードがあります。中長期で取り組むこと、それは、道家参考人もおっしゃったように、二〇三〇年という長期を見据えて何の目標を設定するかです。二つ目、この問題は、あちらこちらで世界全部でつながっています。ということは、国際的な枠組みなしにはこれは解決できません。大事な取組はどこにでもあります。地域にもあります。国でもあります。でも、それでは解決できない問題のお話を今日はさせていただこうと思っています。もう一つ、ここが一番大事だと思っています。
これは、政治、外交のリーダーシップなしには成立しません。なぜならば、誰もがハッピーになるのではなくて、利害を調整しなければいけません。そうしますと、利害の調整は政治的な交渉が必要になります。全員損しない交渉があったら、それは私も是非見てみたいです。でも、そうではなくて、本当に目指す目標に達するべきにはやはり政治のリーダーシップが必要というふうに考えております。そういう観点から今日はお話しさせていただきたいと思います。
私の資料の、では、二ページ目をめくっていただいて、私どもWWFジャパンの御紹介をさせてください。
まず、私たちWWFは、世界自然保護基金という世界百か国で活動する国際自然NGOです。民間団体です。日本では、公益財団法人世界自然保護基金ジャパンとして一九七一年から活動しております。日本の皆様に支えられて、日本の皆さんと一緒に、世界の自然と、それから日本の自然も併せてどうやって守っていくのか、どうやって共生していくのかということをテーマにしております。
資料をめくっていただきますと、今日は三つお話をさせていただきたいと思っております。
一部は、問題です。現状イコール問題だというのが、非常に残念ですけれども現実です。
二つ目、その問題、危機に対して、国際的な政治意思の高まりがあります。これも皆さんもう既に御存じかもしれませんが、今日は是非お伝えさせていただきたいと思います。そこに日本のプレゼンスがあるのか、日本はどのレベルで参加しているのか、それは長期的に見ていらっしゃる、外交を見ていらっしゃる議員の皆様から見て十分なプレゼンスなのかどうか、是非御議論いただき、また、御質問いただけたらと思います。
三つ目、最後ですけれども、そういう国際的な交渉の場でいかに日本がリーダーシップを発揮できるチャンスがあるのかというお話も触れさせていただけたらと思います。
ちょっとめくっていただきまして、五番目のスライドを見ていただけますでしょうか。
まず、世界の生物多様性、ここまで減っています。マイナス六八%です。当然、生き物ですから増えているものもいる中で、減っているものと全部足し合わせるとマイナス六八%です。もし日本の人口がマイナス六八%になったら、それは問題ですか、危機ですか。私は危機だと思います。
次めくっていただきますと、海の状態です。先ほどは、陸も合わせて、それから水域も合わせて全部です。六ページ目のスライドは、これは海の状態です。海はマイナス三六%ですが、マイナス三六%、三分の一も失われているのは問題ですか、危機でしょうか。
何がそれを引き起こしているのか。ちょっと英語のスライドで恐縮なので、日本語で補足させていただきます。下に一〇〇%とあるのは、どんな問題が一番大きくこれを減らしているのかということです。一番大きいのは赤いところ、オーバーエクスプロイテーションというのは捕り過ぎ、乱獲です。二つ目がえんじ色、ハビタットロス、デグレデーションというのは生き物がすめる場所がない、つまり、先ほど道家さんがお話しされたように、海辺が消えている、砂浜が消えている、なので海の生き物がなくなっていると、そういう状態です。
七ページ目のスライド、今度は漁業資源のお話です。これは、また森下参考人がおっしゃることなので私はちょっとライトめにしようと思いますが。
残念ながら、これ横軸が時間軸ですが、九〇年から今二〇二〇年に向かって三十年間、オレンジ色が捕る漁業です、捕る漁業は増やせていません。じゃ、世界の皆さんの食を何が支えているかというと、養殖です。薄いブルー、濃いブルーですね。
次めくっていただきますと、八番。
やはりこれも、私も皆さんに危機をお伝えしたいですし、道家さんも先ほどお伝えされた内容と同じです。ただ、私が皆さんに注意していただきたいと思っているのは、真ん中のマキシマリー・サステナブリー・フィッシュドと書いていますが、これはもう限界ぎりぎりまで捕っているということなので、もうこれ以上は増やせない、捕る量を増やせないということです。ということは、どの程度の危機であるかということは、またこの表を是非見ていただきたいと思っています。
九番目のスライドは、じゃ、世界だけではなくて日本はどうなっているかというお話です。
日本の漁業資源、半分が枯渇状態ということで、これも非常に厳しいです。ですので、これは、世界の問題、海外の問題ではなくて日本でも起きている問題です。
十番目見ていただきますと、これもウナギ、これは非常に象徴的です。
私も実はおいしいウナギを食べたいと思いますが、将来まで本当にウナギが食べられるのかというと、ウナギが育つ場所の危機がありますし、ウナギを違法に取引しているという実態がここまで大きいということです。
十一ページを見ていただきますと、では、全て問題だらけかというと、改善をする、持続可能な漁業を広げるという取組が増えています。
これは、この二年ぐらいでも、取り扱っている、そういう国際的な認証を扱っているところの企業が二倍、三百社であったり、一・七倍、百五十社、それぞれ養殖、それぞれ天然の漁業、増えてはいるんです。ただ、残念ながら、日本の生産者の方が取れているかというと、日本の中では、持続可能な漁業の部分は六件、それから持続可能な養殖業が十三件、足下は非常に限定的です。本当にこのままで事業者の方にお任せでいいんでしょうか。それとも、それは本当に持続可能な資源の利用、二〇三〇年に向かうためには、相当な政治の意思であったりリーダーシップが求められるんでしょうか。
プラスチックのお話をさせていただきたいと思います。
昨年のこの調査会の皆様の御議論、それから御発言の中に、海洋プラスチックのことをもっと詳しくお知りになりたいという発言の記録を拝見いたしました。これも、是非今日はお伝えさせていただきたいと思います。
海洋にもう既に一億五千万トンのプラスチックがあります。これが皆さんが見ていらっしゃるニュースの裏側にあるファクトです。今あるだけじゃないんです。毎年一千百万トン、これが流れ込んでいます。これが今の二〇二〇年のデータです。二〇四〇年にどうなるか。毎年流入する量というのは、これが増えるんです、千百万トンから二千九百万トン。その中で、どんどんどんどんたまる一方のプラスチックは、一億五千万トンであったものが四億五千万トンまで増えます。これで持続可能な利用が達成できるでしょうかというのが、これがこの危機の大きさです。
十三ページ御覧ください。これは世界の問題なのか、これは日本の問題なのかという論点です。
日本の廃プラスチック発生量というのは、アメリカ、中国に次ぎ、世界で三番目です。もちろん、日本のその発生量が全部海に入っているかどうかはまた別の議論ですけれども、この発生を抑えずにこの問題が解決できるでしょうか。それは、業界の自主努力、それから研究開発でできるものなのか、やはり長期的に外交から見て、国際協力から見て大事なのかどうかということを是非御覧になっていただきたいと願っております。
次見ていただきますと、十四ページ、国内のプラスチック。
私も、毎日家庭でリサイクルしております。できるリサイクルはしております。ただ、国内のプラスチックリサイクルは、諸外国と比べても、残念ながら一六%で、決して高いとは言えません。
もっと残念な事実があります。十五ページ御覧ください。
赤く示しましたけれども、皆さんがリサイクルしているプラスチックは、結果として、熱回収という名前ですが、燃やしています。これはこれで意義のあることだとは思っていますけれども、二〇五〇年脱炭素を長期的に目指すときにプラスチックを燃やし続けることが可能でしょうか。
それから、十六ページ見ていただきますと、私たちのこのいろんな文化、習慣というのがこのコロナには役立っている部分があるんだろうな、きれい好きであったり、いろんな衛生にすごく意識が高いということは大事なことなんですが、一方、一人当たりの容器プラスチックの排出量、これ、一人当たりでいうと世界で二番目です。衛生は大事です。でも、衛生イコール排出量が高いということを二〇三〇年にも同じ状態でいくのでしょうか、それとも、これは相当な変革が必要でしょうか。
ここから、国際的に、では、そういう危機に対して、問題ではなくて危機に対してどんな政治的意思が示されているのかということを御紹介申し上げます。
サステナビリティーが国際合意であることは疑いがございません。ただ、この十七のすてきな絵の中には、生物多様性とはどこにも書いておりません。
これをめくっていただきますと、先ほど道家参考人がお話しになったSDGs十七の達成は、実は一番下の森、海、水環境、それから気候に支えられているということですね。実はこれ、支えられているんじゃないんです。この貧困、飢餓、健康、水、まちづくり、気候変動、海の豊かさ、森の豊かさ、この四十四のターゲット、生物多様性が過去減り続けたあの状態を次の十年、次の二〇五〇年までに続けると達成できなくなります。ですので、支えられているのではなくて、このままの状態が続けば達成できませんということが国際機関から既に出ています。
という位置付けがある中で、既に日本は過去にリーダーシップを取っています。二〇一〇年、二十ページを見ていただきますと、生物多様性条約ホスト国になりました。愛知目標の採択に多大な貢献をしました。二〇五〇年、人と自然が共生するというビジョンも、各国と話し合い、出しています。達成状況が非常に厳しいというのは既に道家参考人がお話しされたとおりです。二〇二一年は、次の目標、グローバル・バイオダイバーシティー・フレームワークというふうに呼ばれていますが、それを政治が決めるスーパーイヤーでございます。
二十一ページの達成状況、残念ながら完全達成ゼロ、これは先ほど道家参考人がおっしゃったとおりです。海洋保護区、生き物がそこで生き続ける、そしてもう一度増えるということに関する達成状況もまだらです。
二十三ページ御覧ください。
これだけ減ってしまった、かつSDGsの達成に不可欠な生物多様性、これをどうやって取り戻すのか。科学のアドバイスが必要で、いろいろないい取組を積み重ねるだけでは達成できないということが示されております。
ここにあるカラフルなグラフ、横軸は時間軸です。縦軸が生物多様性、生き物の豊かさです。残念ながら、黒いところは実線で、減り続けました。一番下にあります灰色のライン、今からも更に減り続ける、これは、今取り組んでいる取組がそのまま続くとこのまま減り続けます。一方、緑のラインは、海洋保護区をしっかり設定するということをすると回復の道を歩み始めます。しかし、注目していただきたいのは、二一〇〇年という超長期にわたってそれを継続したとしても実は二〇一〇年の生き物の豊かさが取り戻せない、つまりは、これは環境行政だけでは達成できないということを示しています。
じゃ、あと何が必要かというと、持続可能な生産、つまりは、海洋資源の持続的な利用、それから、無駄にしない、それから、それは生産の現場においても消費の現場においてもというブルーのラインというのがありますけれども、それを足し合わせると黄色いライン、私、これゴールデンカーブと呼んでおりますが、生き物が今よりももう一度豊かになる、それによって私たちの生活、SDGsが達成させられる、そういう未来を描くことができるということが分かってきました。
ということは、これは環境政策ではなくて持続可能な世界を達成するために必要な政策というふうにもう一度捉え直して、それを国際交渉の中でどう実現するかということが今年二〇二一年のスーパーイヤーです。
既に、世界の政治リーダーによるコミットが始まっております。昨年の九月、国連生物多様性サミットがありました。そこで八十四か国の地域の首脳が宣言しております。ドイツ・メルケル首相、首相が参加されています。ペルーの大統領も参加されています。ベトナムの首相もここで表明しています。残念ながら、日本は、私、昨日もう一度ウエブサイトをチェックしましたが、今年二月現在、未参加です。それは日本の本当に方針なんでしょうか、それとも見落としなんでしょうか、どういう状態なのか、是非知りたいと思っています。
二十五ページを見ていただきますと、矢継ぎ早に次のコミットが始まっています。
フランスのマクロン大統領を始めとする五十二か国がこのハイ・アンビション・コアリション・フォー・ネーチャー、つまりは、世界の生物多様性、私たちの生活を支える生き物を守るため、三〇%をしっかり保全しようということにコミットされています。日本は、小泉環境大臣、ビデオメッセージで日本の参加を表明されています。私もユーチューブで拝見いたしました。見ている方の人数は百人程度でした。本当に日本のプレゼンスがそれであるんでしょうか。フランスはマクロン大統領、イギリスはジョンソン首相が参加されています。
参加されているだけではなくて、フランスの場合には、気候変動関連の海外援助、莫大な額になりますけれど、その三分の一、三〇%は、先ほど道家参考人がおっしゃった、自然をベースにして、自然を取り戻すことによってSDGsを達成する、そこに投資をするとコミットされています。イギリスのジョンソン首相は、三十億ポンド、これ四千四百億円というかなりの金額です。これを、やはりこの三〇%を守ることによってSDGsを達成しよう、海の豊かさを取り戻そうというところにコミットされています。
日本のこのコミットレベル、プレゼンスというのは、皆様の中長期的な目から御覧になって、外交でプレゼンスを上げるという点から見ていかがでしょうか。
あと残り、第三部のお話をさせていただきたいと思います。
ということで、二十七ページを見ていただきますと、やはり、ドイツ・メルケル首相を始め世界の八十四か国が生物多様性を取り戻す、もう一度豊かにするということにコミットしている中で、日本も、首脳レベルで宣言に参加をする、リーダーズ・プレッジ・フォー・ネーチャーということで、これ常に見られるオープンなサイトですけれども、そういうところに日本のプレゼンス、それも、誰が参加しているのか分からないというのではなくて、リーダーの名前が明示されているということが一つ鍵になろうかと思います。
次のページを見ていただきますと、小泉大臣がいち早くこのハイ・アンビション・コアリション、世界の自然をもう一度豊かにするというのにコミットしておられますが、他国が大統領、首相というレベルでコミットしている中で、日本も、是非、菅首相が参加を表明しつつ、参加だけではなくて、日本はそれにどう貢献するのか、外交政策としてどう貢献するのか、それはどんな規模なのかと、それがどんな規模が適正なのかも含めて、是非御議論いただけたらと願っております。
最後に、プラスチック問題のお話をさせていただきたいと思います。
温暖化、脱炭素の目標は国連の条約で決まっています。生物多様性の目標も国連の条約で決まっています。残念ながら、プラスチック問題、海洋プラスチック問題には国連の条約がまだありません。
でも、もう既に七十か国がこの国際協定を早期に発足させるべきだと、つまりは、それぞれの努力ではなくて国際協力と、それから、それは条約というコミットを基にして解決すべきだということを表明しております。日本のプレゼンスは、まだここには残念ながら弱い状態です。もし詳しく状況が必要でしたら、また御説明させていただきたいと思います。
ということで、やはりそのような枠組みをいかに日本がいち早くその場に参加をし、表明をし、コミットをし、目標を作りというプロセスに入っていくのか。反対に、それが決まった後に日本で国内目標作りをするというのではなくて、ルールメーキングを最初に同時にするというところにまさに日本の海のリーダーシップが発揮される最大のチャンスがあるんではないかなというふうに、国際環境NGOとしては考えております。
御清聴ありがとうございました。