国際経済・外交に関する調査会

2021-02-17 参議院 全72発言

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会議録情報#0
令和三年二月十七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴保 庸介君
    理 事
                今井絵理子君
                柘植 芳文君
                丸川 珠代君
                川田 龍平君
                三浦 信祐君
                柳ヶ瀬裕文君
                上田 清司君
                伊藤  岳君
    委 員
                朝日健太郎君
                猪口 邦子君
                小野田紀美君
                金子原二郎君
                中西 祐介君
                二之湯 智君
                山田 修路君
                吉川ゆうみ君
                小沼  巧君
                熊谷 裕人君
                田島麻衣子君
                横沢 高徳君
                里見 隆治君
                高橋 光男君
                高良 鉄美君
                ながえ孝子君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        清野 和彦君
   参考人
       公益財団法人日
       本自然保護協会
       広報会員連携部
       長        道家 哲平君
       公益財団法人世
       界自然保護基金
       ジャパン事務局
       長        東梅 貞義君
       東京海洋大学海
       洋政策文化学部
       門教授      森下 丈二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際経済・外交に関する調査
 (「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
 ち、海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利
 活用及び開発の在り方並びに海洋環境をめぐる
 諸課題及び取組の在り方(海洋における生物の
 多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に向
 けた課題と取組)について)
    ─────────────
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鶴保庸介#1
○会長(鶴保庸介君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
 本日は、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利活用及び開発の在り方並びに海洋環境をめぐる諸課題及び取組の在り方」に関し、「海洋における生物の多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に向けた課題と取組」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席いただいております参考人は、公益財団法人日本自然保護協会広報会員連携部長道家哲平君、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン事務局長東梅貞義君、東京海洋大学海洋政策文化学部門教授森下丈二君でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 本日は、コロナ禍の中、こうして御出席をいただいたこと、大変恐縮に存じております。
 皆様から忌憚のない御意見をいただきまして、我々の今後の議論の糧にしていきたいと思いますので、どうぞ闊達な御議論、御協力をよろしくお願いをいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げたいと思います。
 まず、道家参考人、東梅参考人、森下参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず道家参考人からお願いをいたします。道家参考人。
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道家哲平#2
○参考人(道家哲平君) ありがとうございます。
 皆さん、こんにちは。公益財団法人日本自然保護協会から参りました道家と申します。私の方は、広報会員連携部の部長という肩書なんですけれども、同時に国際の担当をしております。
 本日の資料、お配りをさせていただきました。こちらに基づいて御説明をさせていただければというふうに思っております。二十分ということで、一部資料も飛ばしながらになるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、まず一枚めくっていただきまして、二ページ目のところに簡単に日本自然保護協会のことを御紹介させていただいております。
 一九五一年にできた組織です。名前のとおり、日本の自然を保護するということをミッションに掲げて取り組んでまいりました。国際的な動きや全国各地の自然保護運動を展開しながら、その守られた場所が世界遺産になるといった取組もずっとしてまいりましたし、そもそもの世界遺産条約の批准の働きかけ等もさせていただきました。
 私は、この中の国際自然保護連合、IUCN、レッドリストを作っている組織、世界遺産の審査をしている国際的な機関の日本の窓口が自然保護協会にございまして、その関係で、IUCN及び生物多様性条約という条約について長年携わってまいりました。
 次めくっていただきますと、本日の内容、ざっくりと四つのテーマを掲げさせていただいています。生物多様性条約という国際的な枠組みについて、そして、その中における海洋に関する話題、そして、現在、その生物多様性条約では二〇二一年から二〇三〇年までの新たな世界目標、世界枠組みというのを決めようとしていますので、そちらの動きについて、そして、そこに向けて日本における課題は何なのかというのを私見を述べさせていただきたいというふうに思っています。
 それでは、四ページ目の方に行きたいと思います。
 生物多様性については、この二〇二〇年前後、多くのレポートが今出されていて、現状についての危機を鳴らす、そういうレポートが多く出ています。こちらはIPBES、生物多様性版のIPCCと呼ばれるような国際機関によってなされたレポートなんですけれども、私たちが自然界に及ぼす影響というのは非常に多岐にわたって広がっていて、そして、八百万種のうち百万種が絶滅のおそれのあるというような世界に今私たちは突入しようとしているということがあります。
 百万種というのが、単に珍しい生き物が消えていくというわけではありません。私たちの身近なところでいうと、ニホンウナギ、ヨーロッパウナギやアメリカウナギといった食に関する動物、野生動物も絶滅の危機にありますしマグロ類もそうですし、二〇二〇年には、マツタケが世界的に絶滅のおそれもあるというような報告もなされました。そして、海の関連でいえば、今世紀末までに気候変動の影響で漁業資源二五%減少するであるだとか、そんな中でも違法、無報告、IUU漁業と呼ばれるものが最大でもう三三%世界の漁獲高に含まれているのではないかというような警鐘を鳴らす声というのもございます。
 ちょっと記述していないんですが、気候変動に関してはサンゴ礁に関するインパクトがとても大きくて、このままでは七〇%近いサンゴが絶滅するかもしれないと、世界的にはサンゴに関する観光でいうと百億ドル近い収入がある、そういう業が危機にあるかもしれないという、そんな状況にあります。
 次めくっていただきますと、ウナギのことを御紹介させていただきたいと思うんです。
 私たち日本人、どうやら万葉集の歌のときからウナギを食べていたという古い歴史のある生き物なんですけれども、なかなかつかみどころのないウナギだったんですが、最近いろんなことが分かってきました。このウナギを見ていくと、この海と陸というののつながり、そして海の政策の重要性というのが見えてくるのではないかなというふうに思っています。
 ウナギは太平洋沖で産卵をしまして、そして、レプトセファルスとかシラスウナギ、小さい段階になって日本の近海にやってきて、そして川を遡上して、そして大きくなって沿岸でまたたくさんの栄養を取ってから海に行って卵を産むと、卵を一回産んだら死んでしまうという、そういう短い周期を持った生き物になります。寿命でいうと、大体八年から十年ぐらいというふうに言われています。
 次をめくっていただきますと、そのウナギの危機というのが見えてくると思うんですけれども。
 こうやってウナギのライフスタイルというのを考えていくと、良好なため池の環境も必要ですし、良好な河川環境も必要ですし、河川工作物も工夫が必要であろうと。環境省の最近の調査では、垂直で、コンクリートのような垂直で六十センチ以上の差がある河川、取水堰とかそういったものがあるとそこから先にウナギは遡上できないと、ウナギ登りは意外と人工物には弱いということが言われています。もちろん流域の農業の影響というのも受けるというような調査も出ています。
 重要なのは、こういったウナギの危機に関わるといいますか、河川を、工作物を造るだとか三面張りにするだとか、あるいは多く消費者に届けたい、安く届けたいという取組をしている人たちがウナギを憎しでやっているわけでは当然ないと。私たちが当たり前のようにやってきたことがある絶滅危惧種を生み出しているというような社会があって、次めくっていただきますと、生物多様性、SDGs、社会をいかに持続可能にしていくかというようなところで考えていくと、その基盤にある、そして私たちが今まで当たり前で普通にやってきたということをいかに見直して、この絶滅という問題に取り組む必要があるだろうというふうに考えられます。
 ちょっと前置き長くなってしまったんですが、そんな生物多様性、個々の種が生きる様々な自然環境について取り組んでいるというのが生物多様性条約になります。
 九ページ目のスライドを見ていただければ。
 本当に簡単な概要になります。一九九二年五月二十二日に採択されて、九三年発効です。現在、百九十五か国が加盟する、アメリカだけが加盟していないんですが、それ以外のほぼ全ての国が加盟しているという、そういう大きな条約になっています。
 この条約は三つの目的を掲げているんですが、全文を入れています。基本的には、生物多様性の保全、持続可能な利用、そして遺伝資源から得られる利益の公正衡平な配分という三つの目的を掲げています。遺伝資源、つまり経済とかにも物すごく深く関わるそういうものについてのルールメークをしているというのがこの生物多様性条約というふうになります。
 次の十ページ目のスライドでは、生物多様性条約の決定のポイントみたいなのをごく簡単に。
 二年に一回国際会議を開催していて、そして、二〇一〇年には第十回締約国会議を日本で開催をしていました。そこで愛知目標という世界目標を作ったりしています。条約は一回の会議で二十とか三十ぐらいの決定を出していくわけなんですけれども、それはどんな意味を持つかというと、一つは、生物多様性、自然に関する国際認識であるとか国際世論をつくっていく、あるいは各国や国際機関のツー・ドゥー・リスト、やるべきリストというのを整理すると。百九十五の国で、今我々が何をすべきかというのに一つの解を与えていくと、共通解をつくり出していくというのがこの条約の枠組みです。
 そのほかにも、地球環境ファシリティーという、日本も最大の供与国の一つなんですけれども、拠出国の一つなんですけれども、そこに出している資金の活用の方向性というお金の流れを決めたり研究の優先度を決めたり、あるいは自由貿易の中で環境配慮のために、じゃ、外来生物についてどんなルールを作らなきゃいけないかという、国際貿易の枠組みの中の外来種とかそういった生物多様性の部分についての専門的な知見による新たなルールを作ると、そんな役割もあります。そしてもう一つ、一番大きなものが、国際ルールだったり世界目標を設定するというようなことがこの条約の役割になっています。
 次からは、この条約において、じゃ、海洋というのはどんなテーマ、どんな課題になっているかというのについて御紹介したいと思います。
 スライドの十二ページ目を見ていただくと、生物多様性条約と海の概略というテーマで簡単にまとめさせていただきました。
 海については古くからのテーマとしてやってきているんですけれども、二〇〇四年に一つ包括的な作業計画、プログラムというのを設けています。そして、二〇一〇年に合意された、日本が議長国として合意に導いた愛知目標では海の関連の目標が幾つも設定されていますし、それ以降も、海に関する議題というのを多く、常に国際交渉ですので大変難しい交渉なんですけれども、交渉を続けながら議論をしていました。もちろん生物多様性条約だけでできることではないので、国連海洋法条約や海洋の投棄に関するロンドン条約等いろんな条約との連動、国際機関との連携の中で進めているというようなものになります。
 次のスライドが二〇一〇年十月のCOP10のときのワンシーンを御紹介をさせていただきまして、その次は愛知目標二〇一〇の合意です。
 愛知目標の重要性を改めてここでちょっと強調したいんですが、これは本当に偉大な目標でした。つまり、生物多様性というなかなか人が捉え切れないそういう課題について我々が何をすべきかというものを、それは政府レベルもあるかもしれません、民間レベルもあるでしょう、そういったいろんな人たちが何をすべきかというのを二十に整理して二〇二〇年までの目標に仕上げたと。これはすごい偉大なもので、我々が何に注力しなければいけないか、目標を設定したということは、目標を評価できる、課題を設定して次の教訓というのを導き出せる枠組みをつくったというようなすごい偉大な仕事でした。
 それに基づいて様々な取組がなされているんですけれども、十五ページ目のスライドを見ていただくと、地球規模生物多様性概況第五版という最終報告書が二〇二〇年九月に出されました。愛知目標、二十の目標にはいろんな要素が入っているんですけれども、全ての要素を満たした目標というのは一つもない、オールグリーンというものは一つもないという状況にはなりました。一方で、グリーン、目標達成、あるいは進展ありというイエロー、進展はあるんだけれども不十分だというような評価がされています。
 海の関連はどのようなものがあるのかというのが十六ページ目のスライドになります。
 ここでは海関連の愛知目標の評価なんですけれども、済みません、一個抜けがありました。愛知目標の三番、生物多様性に悪影響を及ぼす補助金のレビューというのもされていまして、その中では、漁業補助金というのが今後課題になるだろうということが指摘されています。補助金の適正化というような目標の中にも海の目標はありますし、持続可能な養殖業の目標設定もありますし、持続可能な漁業、特にIUU漁業、違法、無規制、無報告の漁業の課題、あるいはプラスチックの課題、そういったものが指摘されているところです。
 特に、愛知目標の十一番では、海洋保護区というテーマの中でも、世界、公約ベースでは一〇%目標が達成されているんですが、実質、設定が二〇二〇年までに終わるかというと、ちょっと終わらなかったようでもあります。一方で日本は、沖合海底自然環境保全地域制度というのを導入されて、環境省の発表だったと思いますが、一三・三%、保護区の公約というのが達成されたりしています。
 一方で、絶滅危惧種に関してはネガティブなレポートになっています。絶滅危惧種が増大するような形です。特に、海洋生態系の頂点にいるサメ類が、四分の一ですかね、千二百五十種のうち三百十六種が絶滅危惧に分類されるなど、ちょっと生態系にやっぱり何らかの大きな異常というか問題が起きているんではないかと。日本においてはジュゴンの危機的状況というようなものがあります。
 大事なのは、保全効果が出ていないわけではなくて、保全の取組の成果は出ているんだけれども、それ以上の負のインパクトが大きいというところがポイントになるかなと思っています。
 次のスライドめくっていただきますと、今回の資料にも載っていましたが、漁獲対象魚種の資源評価、非持続可能な漁業の割合というのがどんどん増えているということもあります。
 次のスライドを見ていただきますと、十八になりますが、日本だと、海の海生哺乳類ジュゴンについては、どんどん見られる場所が減ってきつつはありますけれども、一方で、確認されている海域もまだ残されているという状態で、本当に危機的な状況にある中で、日本としての北限のジュゴンを守っていく取組というのが今世界的にも注目をされていくのではないかなというふうに考えています。
 以上が愛知目標関連の海の課題なんですけれども、二十ページのスライドを見ていただきますと、それ以外の海の課題というのもたくさんあります。EBSAと略されるんですけど、重要海域を特定しようというような動き、実際の保護の枠組みというのは国連海洋法条約の方で議論が進んでいます。
 そのほか、海洋プラスチックも含めた、オーシャンデブリスという英語なんですけれども、海洋漂流物に関する行動計画を設定して、それが世界的に進めてどうしていくかというレビューをしていったり、海底掘削、海中騒音、それから海洋酸性化という、CO2が大気に出ると海に溶け出しまして、そして海がどんどん中性ないしは酸性の方に移動すると。ただ、これは、そういう傾向が見られていて、はっきり見られていて、ただ、生き物の食物連鎖にどこまで悪影響を及ぼすかというのがまだはっきり分かっていない、ただし影響は絶対出ると。酸性化に行くということは、例えばサンゴであるだとか貝であるとかの生育に今後障害、阻害というものが出てくるんではないかというふうなことも言われたりしています。
 ということで、海に関する生物多様性条約の話題というのは、非常に多岐にわたる取組がされていて、常に常に大きな議題として話題になっているというのが現状にあります。単に守るというだけではなくて、経済的な視点あるいは場合によっては安全保障、気候変動との連動、いろんなテーマに関わる課題になっているという状況です。
 このような評価を受けて、じゃ、次の十年どうしていくかというのがこのポスト二〇二〇枠組みあるいはポスト愛知目標と呼ばれるものになります。こちらは、現在まだ交渉の途中という状態で、そして、この新型コロナの流行によって国際交渉の対面での交渉がなかなか会議が開けていないという現状にあります。なので、ここはちょっと御報告がとても、ドラフトの段階ですという御説明になってしまうんですけれども。
 二十二のスライドを見ていただきますと、今のところの枠組みは、日本が提案して合意された愛知・名古屋COP10で共有された、人と自然の共生という社会を二〇五〇年までにつくりましょうという目標の下に、その目標をより具体化した二〇五〇ゴール、二〇五〇ゴールに至るために二〇三〇年までにどんな社会にしていかなきゃいけないかという二〇三〇マイルストーン、そして、その社会にしていくための行動目標として二〇三〇の行動目標、二十の目標が掲げられていると、そのための実施のツールを作ると、こんな枠組みの中で議論を進めているというのが現状になります。
 二十三ページのスライドを見ていただくと、それぞれまだ、この目標の表現ぶりも含めて、それこそ、この準備会合のインフォーマルなオンラインのセッションが今日の夜中十時からまた開催されるという、そういう状況だったりします。
 海関連でいうと、陸域、海域の五〇%以上を空間計画に置き、あるいは海域重要地域を三〇%保護しようと、日本は一三・三という報告を先ほどしましたが、更に一七%の拡張、日本だけじゃなくて世界で目指していこうというような目標が入ったり、あと、後で話題出るかもしれません、海洋へのプラスチック廃棄物、そういったものの汚染を減らしていこうだとか、そんな目標設定が、どんな文言でどんな数値目標なのかはまだこれからなんですけれども、議論されていくと、されているというのが現状になっています。
 二十四ページのスライドなんですけれども、ちょっと繰り返しになるかもしれないんですが、愛知目標の評価はフルで満たすものはなかったよと、これは本当に危機的な状況で、その生物多様性の危機というのは現在も進行していて、きっとそれは、自然が失われるということは社会も経済の持続性も失われるという、そういう危機的状況にありますと。ですが、いろんな研究を見ると、ネーチャーポジティブというキーワードなんですけど、生物多様性を回復させていくという、自然を元に戻していくという道筋はまだ私たちの世界にはあるので、生態系復元というのに力を入れていこうと。でも、それは、狭義の自然保護を進めるというだけではうまくいかずに、気候変動対策、気候変動アクションだとか汚染や外来種の対策だとか持続可能な生産や消費といった経済の対策であるだとか、総合的な対策というのが今求められているというような状況にあります。
 二十五ページ目のスライドには、菅首相もパネルに入っているハイレベル・パネル・フォー・ア・サステナブル・オーシャン・エコノミーというパネルの方で持続可能な海洋経済の模索というのがされています。危機にあるということは、それを解決するためのビジネスというのが生まれようとしているというふうに言えるかもしれません。
 生物多様性をしっかり保全し、持続可能な海産物の生産性とか再生可能エネルギーの創出、これを海の舞台でもっとできるのではないかと、そして雇用も創出をしていくと、これを同時に、生物多様性を守りながら同時に貢献していくという動きをすることで十五・五兆ドルの投資リターンがあるだろうというようなことも言われているというような形です。こういったビジネスに関する様々な提案というものが今世界の中で動いています。
 二十六のスライドのところでは、その生物多様性を守るというのが、気候変動でもそうだし、新型コロナのような感染症を抑制するというようなことも言われていますし、欧州では、生物多様性と気候変動を同時に、グリーンリカバリーですね、取り組むことでコロナからの復興を掲げていこうというようなことがあったり、それをビジネスや金融のセクターが後押しといいますか応援するというような動きが生まれています。こういった動きに日本としてしっかり乗っていったりあるいはリーダーシップを取っていくというのが課題になるのではないかなというふうに思います。
 ということで、もう少しで時間になってきましたので、日本の課題に関してなんですけれども、本当に様々な課題があるんですが、ボトルネックになっている部分はどこだろうと考えて、ここで二つあると思います。
 二十八のスライドなんですけど、一つは、やっぱり海洋保護区三〇%という、まだ数字としては合意されてはいないんですけれども、これについては、日本も含めて、自然と人々のための高い野心同盟といったものが五十か国で今年の一月十一日に発足しています。大体、国際世論としては、二〇三〇年までに三〇%という方向でいっているだろうと。
 日本の海洋保護区というのは、実態を見てみると、海底掘削の禁止、規制であるだとか、もちろんそれは大事な仕組みなんですけれども、自然資源、海洋資源や海洋の利用も含めて、全体の多様性保全という仕組みでいくと十分なのだろうかと。そこの保護区として設定された場所の管理効果を高めるという視点も重要ですし、将来どう面積を拡充していくかというような視点も必要ですし、でも、大事なのが、その戦略、そういったものを立案するための基礎が陸と比較してやっぱり圧倒的に少ないんじゃないかと、集約できていないんではないかというふうに感じることがあります。
 調査研究、モニタリング、分析、政策検討、実施のための普及啓発、民間共同、いろんな仕組みを、行政の総合力をどう強化していくか。それはきっと、少なくとも、私はよく環境省の方を見ることが多いんですけれども、その省内での配分ではちょっともう無理じゃないかなと、いかに追加的な支援、仕組み、人、予算付けていくことが、今後戦略的に配置していくということが日本としては大事なんじゃないかなというふうに思っています。
 そして、次の二十九ページ目が最後なんですけれども。
 海の政策なんですけれども、陸と海は分離せずに考えていくということがやっぱり重要だと思っています。陸と海の連続性、あるいは自然、文化、社会、経済、そういった連環の中で海の課題が出てくるので、それを総合的な政策で進める、その総合力をどう高めるかというのが大事になってくると思います。
 IUCNというところでは、ネーチャーベースドソリューション、自然に根差した解決策というのをもっともっと模索して強くしていこうという話を考えているんですが、私も、この分野、海だけの専門ではないんですけれども、海洋政策本部が立ち上げられているんですが、どうしても民間からは動きが見えてこないというような状況があるんではないかなというふうに思います。
 日本自然保護協会では、今、砂浜ムーブメントという名前で砂浜の保全を訴えているんですけれども、これは、ある種象徴的に、海を守るにも陸を守ることも大事なんですが、そこの連続性の中で砂浜というもののガバナンスがすっぽり抜けていて、日本としては、国土としては大事な国土のはずなのに、どこが、どの省庁が担当でというのと、危機が、危機といいますか、砂浜の供給を止めているところと保全しているところがうまく連動していないと。
 こういった多岐にわたる関係省庁の中で、アンバランスな行政パワーというか行政機構の中での役割分担があっていて調整不足、ここをいかに日本として強化をしていくか、そのためのポスト二〇二〇枠組みとかを見据えた次期生物多様性国家戦略の中の海洋の施策とか、そして、国際的に進むルールメークにどう対応していくかというのが日本としての今後の課題ではないかなというふうに思います。
 済みません、ちょっと時間超過してしまいましたが、私の発表は以上になります。
 御清聴ありがとうございます。
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鶴保庸介#3
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 次に、東梅参考人にお願いをします。東梅参考人。
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東梅貞義#4
○参考人(東梅貞義君) ありがとうございます。
 今日は、参議院議員の皆さんにお話しできる機会をいただいて、大変光栄だと思っております。
 海洋問題、生物多様性問題、持続可能な利用問題、これ、全て世界の危機です。今日、既に道家参考人が危機をお伝えしました。
 危機を解決するためには幾つかキーワードがあります。中長期で取り組むこと、それは、道家参考人もおっしゃったように、二〇三〇年という長期を見据えて何の目標を設定するかです。二つ目、この問題は、あちらこちらで世界全部でつながっています。ということは、国際的な枠組みなしにはこれは解決できません。大事な取組はどこにでもあります。地域にもあります。国でもあります。でも、それでは解決できない問題のお話を今日はさせていただこうと思っています。もう一つ、ここが一番大事だと思っています。
 これは、政治、外交のリーダーシップなしには成立しません。なぜならば、誰もがハッピーになるのではなくて、利害を調整しなければいけません。そうしますと、利害の調整は政治的な交渉が必要になります。全員損しない交渉があったら、それは私も是非見てみたいです。でも、そうではなくて、本当に目指す目標に達するべきにはやはり政治のリーダーシップが必要というふうに考えております。そういう観点から今日はお話しさせていただきたいと思います。
 私の資料の、では、二ページ目をめくっていただいて、私どもWWFジャパンの御紹介をさせてください。
 まず、私たちWWFは、世界自然保護基金という世界百か国で活動する国際自然NGOです。民間団体です。日本では、公益財団法人世界自然保護基金ジャパンとして一九七一年から活動しております。日本の皆様に支えられて、日本の皆さんと一緒に、世界の自然と、それから日本の自然も併せてどうやって守っていくのか、どうやって共生していくのかということをテーマにしております。
 資料をめくっていただきますと、今日は三つお話をさせていただきたいと思っております。
 一部は、問題です。現状イコール問題だというのが、非常に残念ですけれども現実です。
 二つ目、その問題、危機に対して、国際的な政治意思の高まりがあります。これも皆さんもう既に御存じかもしれませんが、今日は是非お伝えさせていただきたいと思います。そこに日本のプレゼンスがあるのか、日本はどのレベルで参加しているのか、それは長期的に見ていらっしゃる、外交を見ていらっしゃる議員の皆様から見て十分なプレゼンスなのかどうか、是非御議論いただき、また、御質問いただけたらと思います。
 三つ目、最後ですけれども、そういう国際的な交渉の場でいかに日本がリーダーシップを発揮できるチャンスがあるのかというお話も触れさせていただけたらと思います。
 ちょっとめくっていただきまして、五番目のスライドを見ていただけますでしょうか。
 まず、世界の生物多様性、ここまで減っています。マイナス六八%です。当然、生き物ですから増えているものもいる中で、減っているものと全部足し合わせるとマイナス六八%です。もし日本の人口がマイナス六八%になったら、それは問題ですか、危機ですか。私は危機だと思います。
 次めくっていただきますと、海の状態です。先ほどは、陸も合わせて、それから水域も合わせて全部です。六ページ目のスライドは、これは海の状態です。海はマイナス三六%ですが、マイナス三六%、三分の一も失われているのは問題ですか、危機でしょうか。
 何がそれを引き起こしているのか。ちょっと英語のスライドで恐縮なので、日本語で補足させていただきます。下に一〇〇%とあるのは、どんな問題が一番大きくこれを減らしているのかということです。一番大きいのは赤いところ、オーバーエクスプロイテーションというのは捕り過ぎ、乱獲です。二つ目がえんじ色、ハビタットロス、デグレデーションというのは生き物がすめる場所がない、つまり、先ほど道家さんがお話しされたように、海辺が消えている、砂浜が消えている、なので海の生き物がなくなっていると、そういう状態です。
 七ページ目のスライド、今度は漁業資源のお話です。これは、また森下参考人がおっしゃることなので私はちょっとライトめにしようと思いますが。
 残念ながら、これ横軸が時間軸ですが、九〇年から今二〇二〇年に向かって三十年間、オレンジ色が捕る漁業です、捕る漁業は増やせていません。じゃ、世界の皆さんの食を何が支えているかというと、養殖です。薄いブルー、濃いブルーですね。
 次めくっていただきますと、八番。
 やはりこれも、私も皆さんに危機をお伝えしたいですし、道家さんも先ほどお伝えされた内容と同じです。ただ、私が皆さんに注意していただきたいと思っているのは、真ん中のマキシマリー・サステナブリー・フィッシュドと書いていますが、これはもう限界ぎりぎりまで捕っているということなので、もうこれ以上は増やせない、捕る量を増やせないということです。ということは、どの程度の危機であるかということは、またこの表を是非見ていただきたいと思っています。
 九番目のスライドは、じゃ、世界だけではなくて日本はどうなっているかというお話です。
 日本の漁業資源、半分が枯渇状態ということで、これも非常に厳しいです。ですので、これは、世界の問題、海外の問題ではなくて日本でも起きている問題です。
 十番目見ていただきますと、これもウナギ、これは非常に象徴的です。
 私も実はおいしいウナギを食べたいと思いますが、将来まで本当にウナギが食べられるのかというと、ウナギが育つ場所の危機がありますし、ウナギを違法に取引しているという実態がここまで大きいということです。
 十一ページを見ていただきますと、では、全て問題だらけかというと、改善をする、持続可能な漁業を広げるという取組が増えています。
 これは、この二年ぐらいでも、取り扱っている、そういう国際的な認証を扱っているところの企業が二倍、三百社であったり、一・七倍、百五十社、それぞれ養殖、それぞれ天然の漁業、増えてはいるんです。ただ、残念ながら、日本の生産者の方が取れているかというと、日本の中では、持続可能な漁業の部分は六件、それから持続可能な養殖業が十三件、足下は非常に限定的です。本当にこのままで事業者の方にお任せでいいんでしょうか。それとも、それは本当に持続可能な資源の利用、二〇三〇年に向かうためには、相当な政治の意思であったりリーダーシップが求められるんでしょうか。
 プラスチックのお話をさせていただきたいと思います。
 昨年のこの調査会の皆様の御議論、それから御発言の中に、海洋プラスチックのことをもっと詳しくお知りになりたいという発言の記録を拝見いたしました。これも、是非今日はお伝えさせていただきたいと思います。
 海洋にもう既に一億五千万トンのプラスチックがあります。これが皆さんが見ていらっしゃるニュースの裏側にあるファクトです。今あるだけじゃないんです。毎年一千百万トン、これが流れ込んでいます。これが今の二〇二〇年のデータです。二〇四〇年にどうなるか。毎年流入する量というのは、これが増えるんです、千百万トンから二千九百万トン。その中で、どんどんどんどんたまる一方のプラスチックは、一億五千万トンであったものが四億五千万トンまで増えます。これで持続可能な利用が達成できるでしょうかというのが、これがこの危機の大きさです。
 十三ページ御覧ください。これは世界の問題なのか、これは日本の問題なのかという論点です。
 日本の廃プラスチック発生量というのは、アメリカ、中国に次ぎ、世界で三番目です。もちろん、日本のその発生量が全部海に入っているかどうかはまた別の議論ですけれども、この発生を抑えずにこの問題が解決できるでしょうか。それは、業界の自主努力、それから研究開発でできるものなのか、やはり長期的に外交から見て、国際協力から見て大事なのかどうかということを是非御覧になっていただきたいと願っております。
 次見ていただきますと、十四ページ、国内のプラスチック。
 私も、毎日家庭でリサイクルしております。できるリサイクルはしております。ただ、国内のプラスチックリサイクルは、諸外国と比べても、残念ながら一六%で、決して高いとは言えません。
 もっと残念な事実があります。十五ページ御覧ください。
 赤く示しましたけれども、皆さんがリサイクルしているプラスチックは、結果として、熱回収という名前ですが、燃やしています。これはこれで意義のあることだとは思っていますけれども、二〇五〇年脱炭素を長期的に目指すときにプラスチックを燃やし続けることが可能でしょうか。
 それから、十六ページ見ていただきますと、私たちのこのいろんな文化、習慣というのがこのコロナには役立っている部分があるんだろうな、きれい好きであったり、いろんな衛生にすごく意識が高いということは大事なことなんですが、一方、一人当たりの容器プラスチックの排出量、これ、一人当たりでいうと世界で二番目です。衛生は大事です。でも、衛生イコール排出量が高いということを二〇三〇年にも同じ状態でいくのでしょうか、それとも、これは相当な変革が必要でしょうか。
 ここから、国際的に、では、そういう危機に対して、問題ではなくて危機に対してどんな政治的意思が示されているのかということを御紹介申し上げます。
 サステナビリティーが国際合意であることは疑いがございません。ただ、この十七のすてきな絵の中には、生物多様性とはどこにも書いておりません。
 これをめくっていただきますと、先ほど道家参考人がお話しになったSDGs十七の達成は、実は一番下の森、海、水環境、それから気候に支えられているということですね。実はこれ、支えられているんじゃないんです。この貧困、飢餓、健康、水、まちづくり、気候変動、海の豊かさ、森の豊かさ、この四十四のターゲット、生物多様性が過去減り続けたあの状態を次の十年、次の二〇五〇年までに続けると達成できなくなります。ですので、支えられているのではなくて、このままの状態が続けば達成できませんということが国際機関から既に出ています。
 という位置付けがある中で、既に日本は過去にリーダーシップを取っています。二〇一〇年、二十ページを見ていただきますと、生物多様性条約ホスト国になりました。愛知目標の採択に多大な貢献をしました。二〇五〇年、人と自然が共生するというビジョンも、各国と話し合い、出しています。達成状況が非常に厳しいというのは既に道家参考人がお話しされたとおりです。二〇二一年は、次の目標、グローバル・バイオダイバーシティー・フレームワークというふうに呼ばれていますが、それを政治が決めるスーパーイヤーでございます。
 二十一ページの達成状況、残念ながら完全達成ゼロ、これは先ほど道家参考人がおっしゃったとおりです。海洋保護区、生き物がそこで生き続ける、そしてもう一度増えるということに関する達成状況もまだらです。
 二十三ページ御覧ください。
 これだけ減ってしまった、かつSDGsの達成に不可欠な生物多様性、これをどうやって取り戻すのか。科学のアドバイスが必要で、いろいろないい取組を積み重ねるだけでは達成できないということが示されております。
 ここにあるカラフルなグラフ、横軸は時間軸です。縦軸が生物多様性、生き物の豊かさです。残念ながら、黒いところは実線で、減り続けました。一番下にあります灰色のライン、今からも更に減り続ける、これは、今取り組んでいる取組がそのまま続くとこのまま減り続けます。一方、緑のラインは、海洋保護区をしっかり設定するということをすると回復の道を歩み始めます。しかし、注目していただきたいのは、二一〇〇年という超長期にわたってそれを継続したとしても実は二〇一〇年の生き物の豊かさが取り戻せない、つまりは、これは環境行政だけでは達成できないということを示しています。
 じゃ、あと何が必要かというと、持続可能な生産、つまりは、海洋資源の持続的な利用、それから、無駄にしない、それから、それは生産の現場においても消費の現場においてもというブルーのラインというのがありますけれども、それを足し合わせると黄色いライン、私、これゴールデンカーブと呼んでおりますが、生き物が今よりももう一度豊かになる、それによって私たちの生活、SDGsが達成させられる、そういう未来を描くことができるということが分かってきました。
 ということは、これは環境政策ではなくて持続可能な世界を達成するために必要な政策というふうにもう一度捉え直して、それを国際交渉の中でどう実現するかということが今年二〇二一年のスーパーイヤーです。
 既に、世界の政治リーダーによるコミットが始まっております。昨年の九月、国連生物多様性サミットがありました。そこで八十四か国の地域の首脳が宣言しております。ドイツ・メルケル首相、首相が参加されています。ペルーの大統領も参加されています。ベトナムの首相もここで表明しています。残念ながら、日本は、私、昨日もう一度ウエブサイトをチェックしましたが、今年二月現在、未参加です。それは日本の本当に方針なんでしょうか、それとも見落としなんでしょうか、どういう状態なのか、是非知りたいと思っています。
 二十五ページを見ていただきますと、矢継ぎ早に次のコミットが始まっています。
 フランスのマクロン大統領を始めとする五十二か国がこのハイ・アンビション・コアリション・フォー・ネーチャー、つまりは、世界の生物多様性、私たちの生活を支える生き物を守るため、三〇%をしっかり保全しようということにコミットされています。日本は、小泉環境大臣、ビデオメッセージで日本の参加を表明されています。私もユーチューブで拝見いたしました。見ている方の人数は百人程度でした。本当に日本のプレゼンスがそれであるんでしょうか。フランスはマクロン大統領、イギリスはジョンソン首相が参加されています。
 参加されているだけではなくて、フランスの場合には、気候変動関連の海外援助、莫大な額になりますけれど、その三分の一、三〇%は、先ほど道家参考人がおっしゃった、自然をベースにして、自然を取り戻すことによってSDGsを達成する、そこに投資をするとコミットされています。イギリスのジョンソン首相は、三十億ポンド、これ四千四百億円というかなりの金額です。これを、やはりこの三〇%を守ることによってSDGsを達成しよう、海の豊かさを取り戻そうというところにコミットされています。
 日本のこのコミットレベル、プレゼンスというのは、皆様の中長期的な目から御覧になって、外交でプレゼンスを上げるという点から見ていかがでしょうか。
 あと残り、第三部のお話をさせていただきたいと思います。
 ということで、二十七ページを見ていただきますと、やはり、ドイツ・メルケル首相を始め世界の八十四か国が生物多様性を取り戻す、もう一度豊かにするということにコミットしている中で、日本も、首脳レベルで宣言に参加をする、リーダーズ・プレッジ・フォー・ネーチャーということで、これ常に見られるオープンなサイトですけれども、そういうところに日本のプレゼンス、それも、誰が参加しているのか分からないというのではなくて、リーダーの名前が明示されているということが一つ鍵になろうかと思います。
 次のページを見ていただきますと、小泉大臣がいち早くこのハイ・アンビション・コアリション、世界の自然をもう一度豊かにするというのにコミットしておられますが、他国が大統領、首相というレベルでコミットしている中で、日本も、是非、菅首相が参加を表明しつつ、参加だけではなくて、日本はそれにどう貢献するのか、外交政策としてどう貢献するのか、それはどんな規模なのかと、それがどんな規模が適正なのかも含めて、是非御議論いただけたらと願っております。
 最後に、プラスチック問題のお話をさせていただきたいと思います。
 温暖化、脱炭素の目標は国連の条約で決まっています。生物多様性の目標も国連の条約で決まっています。残念ながら、プラスチック問題、海洋プラスチック問題には国連の条約がまだありません。
 でも、もう既に七十か国がこの国際協定を早期に発足させるべきだと、つまりは、それぞれの努力ではなくて国際協力と、それから、それは条約というコミットを基にして解決すべきだということを表明しております。日本のプレゼンスは、まだここには残念ながら弱い状態です。もし詳しく状況が必要でしたら、また御説明させていただきたいと思います。
 ということで、やはりそのような枠組みをいかに日本がいち早くその場に参加をし、表明をし、コミットをし、目標を作りというプロセスに入っていくのか。反対に、それが決まった後に日本で国内目標作りをするというのではなくて、ルールメーキングを最初に同時にするというところにまさに日本の海のリーダーシップが発揮される最大のチャンスがあるんではないかなというふうに、国際環境NGOとしては考えております。
 御清聴ありがとうございました。
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鶴保庸介#5
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 次に、森下参考人にお願いをいたします。森下参考人。
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森下丈二#6
○参考人(森下丈二君) 東京海洋大学の森下でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 東京海洋大学、例のさかなクンがいる大学になりますので、彼、授業をやっているわけじゃないんですけれど、学生さんも彼がいると思って入ってくる人がどうやらいるようですが。
 私の方からは、非常に薄い資料、六枚物を配らせていただいております。道家参考人、東梅参考人、非常に分かりやすい資料で、字が大きいものを準備されて、字が小さくてとても申し訳ないんですけれど、結果的に紙の節約、環境負荷も減らすということで、その辺りは少し御辛抱をいただければと思います。
 今日私がお話しする内容ですが、表題「はじめに」のところに書いていますように、海洋の生物多様性の問題、あるいは海洋生物資源の持続可能な利用、こういう問題を話すときに、様々な対比といいますか対立というか、危機とそれへの解答という形で、私、対比軸という言葉を使いましたが、そういうものが存在します。往々にして、二者択一的、あるいはこれを全部我慢してこっちをやるんだというようなことが主張される場合も多いんですけれど、そうだけでもないんじゃないんですかということを今日意見として述べさせていただこうかと思います。
 東梅参考人おっしゃったように、これを実現するためには、日本としてルールメーキングに、国際的なルールメーキングに積極的に参加していくということが非常に大事ですが、もう一歩進めて言えば、ルールメーキングを更に超えたパラダイムメーキングあるいはパラダイムチェンジというものを日本がリードするべきだというのが、むしろ私の今日の意見の肝といいますか中心の課題になってきます。
 まず初めに、その対比軸、例えばどういう考え方、どういうものを私が対比軸として見ているかというのを、一枚目見ていただければと思います。
 まず、海洋生物資源の持続可能な利用あるいは海の問題、大きく国際的に見た場合、片やという言い方が対立的で良くないんですけれど、開発途上国を中心として、当然ながら、人口を支えるため、経済発展を支えるための漁業生産の拡大、こういうアスピレーションといいますか希望があります。
 また、先進諸国でも、EUでもアメリカでもそうですけれど、実は、水産物の消費というものは増えてきている、健康志向でですね、というのがあります。近年のアメリカ人全体の水産物の消費と二十代ぐらいの日本人の水産物の消費、大体同じになってきたそうです。それぐらい逆に日本の方が減っているんですけれど、そういう状態になりつつあります。
 水産養殖業、これ、先ほどからいろいろ御紹介いただいたとおり、大きく拡大しております。これはいいのかどうかということもちょっと考えてみたい。
 それから、世界の海、いろいろなところが利用されてきているわけですが、近年では、ごく最近では北極に新しい漁業協定ができました。これは、氷が解けていくということを見越して、漁業の持続性を確保するあるいは乱獲等を事前に防ぐということで、新しい協定が作られております。南極においても漁業活動というのは行われております。
 こういう利用の面というのが一つの側面にあるわけですが、また、他方、他方という言い方は良くないんですけれど、既に御紹介いただきました愛知目標に端を発するんだと思いますけれど、海洋保護区、MPAの設置目標、去年二〇二〇年までに一〇%だったんですが、今、サーティー・サーティーと言われている、二〇三〇年までに三〇%というものが提案されてきております。
 それから、国家管轄権の外側の生物多様性の保護と利用。結局、公の海、公海ですね、ここに新たな協定を作るということが国連を舞台に行われておりまして、ここでも、いかにその生物多様性あるいは海底遺伝資源を保全していくか、利用していくか、そこからの利益をどう扱うかと、こういうような議論が行われております。
 また、サメの話も出てまいりました。まあ鯨は今日は余り触らないつもりにしておりますけれど、動物と人間の関係の仕方ということで、特別な動物、カリスマ度の高い動物については特に保護すべきだと、どういう状況にあろうとそういうものは使ってはいけないというような考え方もだんだん広まりつつあると。
 この間にどうしてもやっぱり緊張関係が生まれる。漁業者の方々は、海洋保護区なんてけしからぬと、漁業をやめるのかと、日本の二百海里の中で三〇%も閉じられたら自分たちは生きていけないと、こういう話が出てきてしまうわけですね。しかし、そういう捉え方は正しいのかということも今日はお話ししたいと思います。
 それから、もう一つの対比軸といいますか今日お伝えしたい中身としては、日本の漁業、右肩下がりだというのは、既に事前にお配りされております参考資料、それから、私に先立つ二人の参考人の方々も触れたところであります。
 日本、御存じのように、我々小学校でも習いましたけれど、世界有数の漁場です、日本周辺水域は。同時に、生物多様性も世界的には非常に高いところが日本です。ある意味、生物多様性が高いところであるから漁業がちゃんと成り立ってきたというところがあるわけですね。これを対立軸で捉えるのではなくて、両方をうまく伸ばせないかということになるかと思います。
 そういう条件でありながら、あるいは歴史的に日本人というものは魚をしっかり食べてきたということでありながら、漁業は、生産量は右肩下がり、就業者数もどんどん減っていく、まさに絶滅危惧種になっております。漁業者は絶滅危惧種です。魚離れも進むと。
 他方、世界では、海面から捕ってくる漁業というのは九千万トン辺りで停滞しておりますが、養殖を加えてどんどん漁業が伸びている、いろんな国で漁業者の数は増えている、魚価も上がっている、漁業というのは成長産業というふうに見られる、そういうところが非常にたくさんあるわけですね。本来、一番魚との付き合いが強かったはずの日本でこういう右肩下がりが起こって、世界では反対に右肩上がりが起こっている、何でか。こういう一つの対比の軸についてお話ししていきたいと思います。
 幾つか下に大きな矢印で書いていますが、利用と保護というのは本当に対立するのか。お話ししたとおりですね、ここをちょっと考えてみたいと。
 それから、どうして日本の漁業は右肩下がりなのに世界の漁業は右肩上がりなのか、何が日本は間違っているのか、あるいは右肩下がりでもいいんだろうか、いいのか。いいという意見もあるかと思います。この辺りも見てみたいと思います。
 それから、この二つの対比軸、今お話しした対比軸、つながっていないように見えるんですが、実は私の頭の中ではしっかりつながっておりまして、生物多様性、環境保全というだけではなくて、食の問題、今日これ是非しっかり話していきたいと思っているんですが、日本にとってどれぐらい食の問題、食料安全保障が大事で、その危機の度合いが高いか、それについて何ができるか。答えはあるんですが、それをするためには大変な苦労が出てきます。
 一枚めくっていただきまして、国際的な動き、もうここは説明する必要多分ないと思いますので、下の矢印のところだけ少し説明したいと思います。
 海洋保護区、MPAにつきましては、二〇二〇年一〇%、あるいは二〇三〇年三〇%ということで、環境省も含めて、このゴールをクリアしようという動きが非常に活発になっているわけですが、どうもMPAを、海洋保護区を設定することがゴールになっているんじゃないかと、数値が独り歩きしているんじゃないかということを、私、繰り返しいろんなところで申し上げております。
 変な例えなんですけれど、私を含めて既婚者の方はよく御存じのように、結婚式、ゴールインと言いますよね。実際は、でも、そこスタートです。そこからいかに夫婦で家庭をつくっていって幸福を高めていくか、それが大事なわけです。海洋保護区も、三〇%を設定した段階で終わるゴールではなくて、ターゲットではなくて、そこは用意ドンのスタートポイントです。その後どうするか、何でそもそも海洋保護区をつくるのか。海洋の生物多様性を守るということは、それが人間社会、経済にとって重要だという話はもうたくさんされたわけですが、それって一体どういうことを意味するのか、生物多様性が減ると本当に漁業は困るんだろうか。希少種、絶滅危惧種がなくなっていくことで経済が良くなくなる、社会が良くなくなる、一体どういうふうにそれはつながるのか、よく考えてみるとなかなか説明しづらかったりするところがあります。
 それから、生物多様性の保護をめぐっては、先ほどのBBNJ、国家管轄権外の保護ということが国連の場でも非常に強く取り上げられておりまして、これからもいろんなところで皆さん耳にすることがあるかと思うんですが、とにかく公の海、二百海里の外を保護しようという動きが強くなってきているんですが、実は、生物多様性というのは沿岸域、二百海里の中の方がはるかに高い、これは、もう考えてみれば明らかです。生物が生き延びるためには、陸からの栄養塩だったり、あるいは海流、温度、海底地形、いろんなものが必要になります。公の海へ行くと、深くて生物多様性に必要な栄養塩が少なくて、だから、元々生物の密度は低いんですね。そこを閉じる、閉じて一体何を止めるというか、どういう脅威があって何を止めるかといって考えたときにまた分からなくなるんですが。
 実は、世界の漁獲量九千万トンのうち九五%は二百海里の中です。たった五%が公海で捕られる魚です。公海で捕られる魚の主なものはマグロになりますけれど、マグロ、全世界で捕られるマグロの量は約五百万トンですが、これもかなりの部分が二百海里の中です。ですから、せいぜい二百万トンとかなんですね、公海は。底魚と言われる魚、ほかの浮魚になりますと、生物密度が低いので、数万トンの漁業がそこら、ぽろぽろとあるという形です。ですから、三百万トン、四百万トンが公海から捕られているかなというのが大体の感じでして、全体は九千万トンですから、九五という、九五%は二百海里の中という数字でさえ、もしかすると過小評価かもしれません。
 ただ、公海で何もするなと言っているわけじゃないんですけれど、本当に有効な生物多様性の保全をするためには、むしろ、本当に生物多様性が多くて、そこが何らかの脅威にさらされているとすれば、さらされている原因が何かということをしっかり見詰めて、それに対して措置をとる、これがその結婚式の後の生活なんです。三〇%セットしたらこれで終わり、一〇%セットしたらこれで終わりではないわけですね。何をやるかというのが非常に大事になってきます。
 もちろん、その後も、その目標はちゃんと達成されているかどうか、目標を達成するためにどのような指標を見ていけばいいか、その指標をどういうふうに分析して、そこから出た結果に基づいて更に行動を変えていかなければならない。
 例えば、三〇%の公の海を何らかの格好で人が入れない海域にしたとします。気候変動、三十年後、海はどうなっているでしょうか。今三〇%閉じたところが本当に一番大事な海域になっているのかどうか。これ、賞味期限と一緒で、あらゆる環境政策は、その状況に合わせて変更していく必要があります。ところが、どうもセットしてしまえば終わりというような感じも聞こえるものですから、こういう言い方をしてしまいます。
 生物多様性を守る、乱獲というのは非常にやっぱり問題です。いろんなところで乱獲起こっているんですけれど、逆に言えば、しっかりとした漁業の管理を行っている漁業者の方々にそれに見合う正当な利益あるいは正当な漁業の発展というものをもたらす形の乱獲の撲滅、こういうものを考えないといけない。これが一般の方々といいますか漁業者一般に対する圧力になってしまうとまた元も子もないというところで、この辺りはしっかり見ていかないといけないと思います。
 一枚めくってください。
 世界の漁業の現状、これももうお話しされたとおりです。世界、右肩上がり、養殖を中心に右肩上がり、それから、一人当たりの水産物の消費のペースも、ヨーロッパ、アメリカ、それからアジア、全部上がっております。他方、下の右側、上の方に一回上がってだんだん下がっている国が、赤っぽい線がありますが、これ日本です。日本は一人当たりの水産物の消費量が一九九〇年ぐらいからどんどんどんどん下がってきて、今や肉の方が多いということになります。
 もう一枚めくっていただいて、ここら辺ももう説明したところです。漁業のピーク、一九八〇年代でしたが、その頃に比べますと、今は三分の一ぐらいに下がってしまった、四百四十二万トンという数字です。日本の養殖業は伸びておりません。簡単に言いますと、約百万トンで推移、沿岸漁業ゆっくりと減少しているというような形です。沖合漁業は、八〇年代に比べますと大幅に減りました。このうちの大部分はマイワシになります。マイワシは、捕り過ぎというよりは、いわゆるレジームシフトという学説があるんですが、そのときの海洋環境によってどれかの魚が優占種になるということで入れ替わっていく、こういう現象の中でイワシが捕れなくなったというふうに理解するのが一般的です。
 ちなみに、少しお話も出ました、サンマが大不漁です。それがたくさん報道されておりまして、確かにそのサンマ漁業、危機的状況にありますが、サンマがいたところに今実はサバとイワシが捕れ始めております。こういう形で、海にどこかにぽかっと穴が空くとほかの魚が埋めるという状況も実はあって、こういうものに対していかに柔軟に、更に持続可能な形で対応していけるかということが大事なのかなと思います。
 もう一枚めくってください。
 この辺りが今日危機という関係では私が言いたかったことなんですが、食料危機、今、もう皆さん御存じのように、気候変動だとかいろんなものがあります。日本の食料自給率、御存じのとおり三七%ぐらいです、輸入が止まれば六割の人が食べるものがないという。
 これを学生さんにもこつこつ言うんですが、日本は国土が狭いから、山が多いから作れないじゃないかと、こういうふうに教わったり言われたりするんですが、ちょっとその世界の国の食料自給率というのを見てください。アメリカ、これ二〇一一年、ちょっと古いんですけど、比較のためにここになっちゃいました。アメリカ一二七%、ドイツ、工業国ですね、日本と同様に、九二%、フランス一二九、フランスは小麦だとかワインだとかいろいろ作ります。イギリスでさえ七二%、オーストラリア二〇五、カナダに至っては二五八%、その中で日本は、二〇一一年で三九%、今三七%です。
 元々日本はこんなものだったのかなと思って一九六一年を比べますと、ドイツ、一九六一年の段階で実は六七%だったのを九二%に引き上げました。イギリスも、四二%、今の日本並みだったのを七二%に持ち上げております。元々豊かなはずのカナダ、実は一九六一年には一〇〇%ちょうどだったんですが、それを二・五倍まで引き上げたと。他方、日本は、一九六一年、実は八〇%近い食料自給率を保っておりました。この後何が起こったかであります。
 日本の場合、もちろん人口が増えました。当時、一九六一年当時の人口は九千四百万強です。今一億二千五百万ぐらいですから、当時から食料生産量を全く増やさないとして今同じ量の食料を、一九六〇年代と同じ食料を生産しているとすると、今日の時点の食料自給率は六〇%であったはずです。それが三九まで下がっております。
 その下にちっちゃなちっちゃな字がいっぱい入っているんですけど、これ学生に見せるとみんな喜ぶので付けたんですが、都道府県別食料自給率という面白いデータがありまして、皆さん御出身のところを探していただければいいんですが、東京の食料自給率、カロリーベースで一%です。東京で食べるものの九九%は東京の外から参ります。隣、神奈川も二%、大阪一%。一〇〇%を超えているのは東北以北と北海道、九州でさえ一〇〇%を超えておりません。
 これでびっくりするのも一つなんですけれど、日本の国内の流通網がいろんな意味で寸断されたときにあっという間にコンビニとかスーパーから物がなくなるということを、もう大震災のとき、それからこの間の地震のときに皆さん見ているわけですけれど、その脆弱さをある意味示すものがこの数字になります。東京に住むのがいかに恐ろしいかということですね。
 それから、食料が自給できないということは、実は環境にとても負荷を掛けております。世界の環境にです。
 フードマイレージという指標がありまして、温暖化ガスの排出、食べる食料が温暖化ガスの排出に換算したらどうなるかということなんですが、上の方にありますように、日本は総量で九千二億八百万マイルですね。韓国がその三分の一、アメリカも三分の一、イギリス五分の一ぐらい、ドイツ、フランスとどんどん下がっていきます。日本はこれだけ環境に負荷を掛けているわけですね。国民一人当たりにこれを割ってみますと、やっぱり日本は、韓国と近いところがあるんですが、かなり上の方。アメリカなどは、人口の数が日本の二倍以上ありますから、一人当たりになると日本の七分の一です。イギリスでも半分、こういうところがあります。
 それから、日本が食料を輸入するということがこういう温暖化ガスの関係で負担を掛けているというだけではなくて、水です。水資源の問題になります。
 バーチャルウオーターという基準があるんですが、ある食べ物を食べた場合、実際どれぐらいそれはほかの国で、特に輸入している場合はほかの国で水を使っているかという数字です。これ、「NHKスペシャル」、最近やったところからメモったんですが、トマト一個で五十三リッターと。すごいのは牛肉です。牛肉一キロで一万五千四百十五リッターの水を必要とします。風呂おけ七十七杯分だそうです。ワイン一本飲んだら、それはどこかの外国で六百五十二リッターの水を使ったということになります。日本全体が輸入する形として、バーチャルな形で輸入する水の量は八十兆リットル、日本国内で自前で自給している水の量とほぼ一緒になります。
 これがいかに恐ろしいかというのは、いろんな国で水の不足が起こっています。特に、地下水に依存している国々、恐らく二〇五〇年ぐらいまでには七割ぐらいの国で地下水が枯渇するという話になっているんですが、アメリカの農業、日本が非常に頼っていますアメリカの農業についても、聞かれたことあるかもしれませんが、オガララ帯水帯という、化石水と言われるんですけれど、太古の昔に地面の中にしみ込んで、それが地下水としてたまっている水があるんですが、これがなければアメリカの農業というものは潰れます。この水は、雨が降ってたまる水とは違って、化石水という名前のとおり太古の水でして、そう簡単に補給されないんですね。そういう状況も我々は見えていない。
 食料危機というのはほかの国の問題だというふうに感じるかもしれませんが、今のグローバルな世界では、どこかで潰れると必ず日本にすごい短い間に関わってきます。先ほどのバーチャルウオーターの問題、温暖化ガスの問題、この辺全部関わってきます。
 おまけに、世界の国、二百ぐらいあるわけですけど、たった二十か国が輸出の八〇%を担うという形で、ほとんどの国は輸入させていただいていると。日本の経済力で今まで頑張ってきたわけですけれど、私の専門である漁業もそうですけれど、この頃日本が買い負けします。アメリカへ行って例えばシャケを買い付けたいと思っても、中国などの経済力に負けて買えないという状況がもう数年前から起こりつつあります。
 こういう状況をどうするか。取組、最後のところになりますけれど、漁業改革の問題、これは、資料もありましたので、大きな、七十年ぶりに漁業法を改正したということで、様々な動きがあります。
 もう一つ、さっきからウナギの話が出ているんですが、マグロ、ウナギ、サケ、エビから学ぶものと書いているんですけど、この魚種は、スーパーのシステムで日本中で毎日食べられるという供給を達成しようとしたがために資源に負荷を掛けてしまった魚種になります。
 魚というのは、例えばスマホだとか車みたいに、需要に対してどんどん作っていけばいいものじゃないんです。需要に合わせようとすると、どうしても資源の限界が来ます。ところが、それに応えようとして、スーパーのシステムに乗ってある意味成功してきた、あるいは必ず売っているものとしてマグロ、ウナギ、サケ、エビ、こういうものがあるわけですね。おかげさまで、マグロとウナギは資源の悪化を招いた。サケ、これについては外国の養殖業にほとんど取って代わられた。エビについては、マングローブの林とかが潰れるという話は聞かれたことがあると思います。これをどうすればいいかと。
 このスーパー中心のシステムというのは、少ない品種のものを大量に日本中で、公平な形というか同じような形でリアルタイムで売っていくというシステムになります。九州であろうが東京であろうが北海道であろうが、マグロのさくをイオンで買ったら、同じような形で同じ値段で出てくると。これをやると、天然資源である生物多様性の上に立つ海洋生物資源というのはどうしても負荷を受けて困ってしまう。
 では、どういう形かというと、日本の周り、非常に豊かな生物多様性があります。非常に多くの種類の魚を今まで食べてきた。そういう多品種のものをいかにその限界の中で、生物学的な限界の中で少量に広く流通させていくか、これが一つのチャレンジ、パラダイムの変化だというふうに思っております。昔は、こういうシステム、なかなか難しいところがある。ただ、今はICTがあります。流通システムも、やり方を変えればまさにこれをサポートすることができるというふうに思うわけです。
 海洋保護区の話はもういたしました。様々なツールがあり様々な必要性の問題があり、政治的意思も非常に大事だと思います。
 こういうのがありますが、ふだんいろんな人と話してきて感じますところは、どうも、こういう問題をやっぱり日本国民一般が知らない、あるいは危機意識を十分持っていない、毎日飽食、見かけ上の飽食の中で安心してしまっている、本当にこれは大丈夫なのかということを機会があるたびに訴えさせていただいています。これが環境と、あるいは生物多様性と持続的な利用をつなぐ一つの橋ではないかと、両方を立てることしか恐らく解決の道はないんじゃないかと、そういうふうに思います。
 若干時間超過しました。どうもありがとうございました。
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鶴保庸介#7
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。
 まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。
 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いをいたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
 朝日健太郎君。
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朝日健太郎#8
○朝日健太郎君 自由民主党の朝日健太郎でございます。
 本日、三名の参考人の方、御説明本当にありがとうございました。
 非常に貴重なお話を聞いていて、自分自身のことを申し上げますと、私、ビーチバレーボールという競技をやっておりまして、まさに砂浜システムのど真ん中で活動させていただいて、選手時代からこの海洋環境の問題というのは競技と並行して取り組ませていただいておりましたので、今日は、潮の香りのする質問で、非常に貴重な機会をいただきました。本当に皆さん、ありがとうございます。
 ということで、質問を進めさせていただきたいと思います。
 非常に、今回の調査会、三年やるんですけれども、海洋国家としての我が国としての取組をどのようにしていくのかという、非常にそういった大方針の中で様々な参考人からいろいろと御参加をいただきながら進めているんですけれども、やはり一つ言えることは、中長期的な課題であること、非常に国際的な枠組みで進めなければならないこと、こういったところがやっぱりポイントになってくるかと思います。
 我が国を振り返ってみると、やはり高度成長期から見れば、もう開発、乱開発的な経済発展を経て、保全が取り沙汰され、いよいよ保全から復元とか、まさにSDGs、世界的にそういった時代に入ってきた中でのこの海洋政策の考え方、取組をどうしていこうかということになってくるかと思っています。
 その上で、我々参議院は、ODA、政府開発援助というものを非常に重視をしている院でございます。そう考えたときに、これまで、先ほど言った政府開発援助、文字のとおり、諸外国に対する経済支援であるとか技術支援、こうしたもので国際協調を図りながら様々な調和を図る、国際社会の調和を図るという目的で進めてきたわけですけれども、これからは先ほど言ったようなテーマも少し変わってくるんではないかなと。
 そこで、まずは、お二人、道家参考人と東梅参考人にお聞きしたいんですけれども、もちろん国内でやるべき課題解決に向けたアクションというのは必要かと思うんですけれども、それとは別に、政府が行う開発援助、ODA的な視点で、それぞれのお立場で、仮に二国間で考えたときに、どういった政府が取り組む開発援助的な支援策というものがあるのか。非常に間口の広い質問になって恐縮なんですけれども、それぞれのお立場で御意見いただければと思います。
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道家哲平#9
○参考人(道家哲平君) 御質問ありがとうございます。
 ODA全般ということになるかと思いますので、回答を手短にしたいと思いますが。
 日本では、JICA、国際協力機構などが様々な技術支援を行っているというふうに聞いています。
 ただ、生物多様性という分野に関して言うと、まだまだ支援案件が少ないというようなことも聞いています。そこには、専門家の拡充、専門技術の拡充やその技術の体系をどんどん広げていくという点があると聞いていますので、そういったスタッフやその専門性の拡充も含めた取組が必要なんではないかなというふうに思っています。
 海の分野でいうと、日本のODAがというわけではないんですけれども、特に漁業とかに関して、むしろ問題とされるものも幾つか出てきているというふうに聞いています。それは、愛知目標の三番の補助金の適正化という議論でもあるんですが、漁業の支援のために、たくさん捕れる、もっと捕れる、そういう技術の支援ばかりしていると、あるいは、それに基づいて国内の施策も、魚が捕れなくなりました、じゃ、もっと捕れるような技術開発に補助金を出すと、こんな仕組みをもっと見直していく必要があるだろうというようなことが次のポスト目標の議論でも出てくるのではないかなと思っています。
 つまり、支援も、もっと捕れるようにするとかいうのだけじゃなくて、より資源を持続可能に利用できるように、地域の先住民、地域共同体も含めた様々なコミュニティーの人に参画してもらって持続可能な仕組みをつくるという方向に、もっとよりそういうソフトの部分も含めたものに支援を出していくということが、例えば漁港整備とか最低限の支援は必要かもしれないですけれども、もっとソフトの部分、ノウハウの部分、そういったものに力を注げていくという方が一つの方向性としてあるのではないかなと思っています。
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東梅貞義#10
○参考人(東梅貞義君) 朝日議員、質問ありがとうございました。
 ODAの目的自体を、もう一度本当に世界のSDGs達成のために必要なことを組み合わせてやるというふうに見直す必要があるんではないかなというふうに感じております。
 当然、その国の所得が上がる、それから、いろんな生産高が上がるということは重要な指標の一つではあると思いますけれども、それだけを拡大すると、残念ながら、日本であったり先進国が犯してきた間違いを繰り返す可能性があると思っています。
 一方、生物多様性を取り戻すことと持続可能な利用は、森下参考人がおっしゃったように一体化しています。ということは、これは、先ほど私もちょっとグラフでお示ししましたけれども、三つ組み合わせてやる必要があります。
 まず一つは、生き物の場所を守る保護区、保護区だけではなくて、きちっと管理するという、そういう場所を管理することを応援することが必要です。これ、いろんな国でやられているように見えて、そうでもないというのが私が実際に現場に行ったときの感覚です。
 例えば、ODAの対象ではもうありませんけれども、チリ、OECDの国です。でも、その国でまだ海洋保護区というのが設定されていなかったんです。そこを、私ども民間団体として、チリの海洋保護区、チリで初めての海洋保護区の設定を応援しました。それは、設定をするだけではなくて、どう管理策をつくるのか、そこに住民の方はどう参加できるのかという仕組みづくりも併せて応援しました。これが世界中で今できているかというと、まだできていません。そこには日本のODAが果たす役割というのが大きいと思います。それが一番目の施策です。
 二つ目、これはもう持続可能な、漁業を始めとする持続可能な利用に対する支援策です。これも、やはり資源の状態がどうなっているのかということから始めないと、生産の拡大だけを今までは応援している側面が強かったと思います。そうではなくて、管理をすることによって、大事な貯金である今いる魚を減らさずに取り分が多くなるような形で漁業資源を回復させる、そこに対するODAの役割というのは非常に大きいと思います。
 これも、やはり私のWWFの同僚が、国際条約、例えばマグロをインド洋の地域で管理する条約があります。そこの政府代表団の方々もやはりいろんなテクニカルなことをまず理解するのに支援が必要で、そうすると、条約に参加しているだけで資源管理できるかというと、条約に参加している国の方々がうまく資源管理を理解するということにも支援を必要としております。
 というこの二つを組み合わせることによって相当に日本のODAがSDGs達成に貢献できるチャンスがあるんではないかなと思います。
 以上です。
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朝日健太郎#11
○朝日健太郎君 ありがとうございました。非常に分かりやすい御説明でした。ありがとうございます。
 じゃ、続きましてもう一問だけ、森下参考人に一問お願いしたいと思います。
 先ほど説明の中で最後の方にありました、より関心、やっぱり意識を持ってもらうというお話がある中で、やはり中長期的な課題に取り組んでいくという視点に立つと、やはり次世代のそういった若者たち始め、この社会をどんなふうに残していくのかと考えたときに、やはり教育、啓発と同じ意味かもしれませんが、教育という観点は非常に重要だと思っています。
 まさに、私、例えば砂浜で子供たちとはだしになってスポーツをやることも十分な教育の一環だというふうに思いながら活動をしておりますけれども、森下参考人のお立場的に、大学でも教鞭を執られていると思いますけれども、そういう若者という、どのようなセクターに対して、こういった生物多様性であるとか持続的な食物、食料保存であるとか、アプローチの仕方ですよね、具体的に例えば御意見があれば参考までに伺いたいと思うんですけれども。
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森下丈二#12
○参考人(森下丈二君) どうも質問ありがとうございました。
 一つの答えというのはあり得ないと思います。いろいろな施策を取りながら関心を高めていく、意識を高めていく、啓発していくということだと思うんですが、若い年齢から始めるにこしたことがないというのは一つ言えると思います。
 日本の小学校教育の中では、もちろんまだこういうところは十分に取り入れられていなかったり、あるいは、先生方の様々なイニシアチブでSDGsについては説明があったとしても、ふだんの自分たちの生活の中でこういう問題がどういうものなのか、あるいはふだん食べているものというのはどういうふうにどこから来てということについてやっぱり十分教わる機会がないというのが大きな課題かと思っております。
 大学生を私教えているわけですけれど、十八、十九になって初めてこういう話を聞きましたという、海洋大に来る学生ですから意識高い方だと思うんですけれど、そういう意見も、お話もよく聞きます。文科省が悪いと言うつもりは全然ないんですけれど、やはり新たな状況に従った形で、何をちゃんと子供たちに伝えていくかということは組織的にやる必要があるだろうと。
 日本と同様に先進国の中で食料自給率が低くて、教育が行き届いているといいますかしっかりやっているのは、代表的なのはスイスです。テレビ番組で見ましたけど、スイスの子供が国産の卵をスーパーで買うんですけど、スイス、卵すごい高いんです。一つ百円ぐらいするのがあるんですね。小学生の女の子にインタビューして、何でそんな高いのを買うの、輸入の方が安いのにと言ったら、小学生の女の子が、いや、スイスの農家の人を私たちは支えないといけないからですとぱっと言ってしまうと、日本の子供からは出てこない答えだと思います。
 以上です。
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朝日健太郎#13
○朝日健太郎君 ありがとうございました。今の御回答で、さかなクンが本当に想像できました。
 ありがとうございました。質問を終わりたいと思います。
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鶴保庸介#14
○会長(鶴保庸介君) 質疑を続けたいと思います。
 横沢高徳君。
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横沢高徳#15
○横沢高徳君 立憲民主党の横沢高徳です。
 貴重な御意見いただきまして、ありがとうございます。
 私も、出身岩手県でございまして、東日本大震災から十年、震災のときは、この海とともにどういうふうに生きるかというのをすごく考えさせられたことを覚えております。これからも参議院の皆様とともに一緒に考えていきたいと思います。
 まず、道家参考人にお伺いいたします。
 ウナギ登りの話は非常に興味深いものがありましたが、愛知目標からの約十年間、我が国においては、東日本大震災を始めとする数多くの自然災害からの復旧や復興、そしてまた新型コロナウイルス対策など、生活や雇用や経済再生の政策が多くなっていたと思います。必ずしも生物多様性は優先順位が高くなかったと思います。
 そこで、愛知目標に代わる次の目標に向けて、我が国政府のこれまで足りなかったところ、そして、これから生物多様性の視点を組み込んだ政策の実現に向けて何が必要かというところをお伺いしたいと思います。
 また、先ほど砂浜の話もありましたが、近年、災害が多発し、政府としても防災・減災、国土強靱化に取り組んでいるところであります。東日本大震災からの復興事業でも巨大な防潮堤が建設されまして、地元の漁業者からも、海岸海域の環境の変化があるという話も聞かれております。国民の命と財産を守るインフラ整備と海洋の生物多様性のバランスの取れた在り方が求められていると思いますが、この点に関しても御意見を伺いたいと思います。
 続きまして、東梅参考人にお伺いいたします。
 国際的枠組み、そして政治、外交の役割が非常に重要だというお話を聞きました。まさしくそう思います。そして、サステナビリティーがやはり日本は遅れているということで、MSC、ASCの認証もなかなか進まないというところですが、今回テーマとなっている海洋の生物多様性の保全に改めてこの国がどのように関わっていくべきかと。先ほどははっきりと明言はなかったんですが、改めてお聞きしたいと思いますし、先ほどの防潮堤の件、命と財産を守るインフラ整備と生物多様性のバランスをどう考えていったらいいかというところも重ねてお伺いしたいと思います。
 続いて、森下参考人にお伺いをいたします。食料の話は非常に興味深かったところでございます。
 近年の気候変動の影響によりまして海水温の上昇が見られる中、私の地元三陸海岸でも、サンマやアキサケの漁獲量が大きく減っております。気候変動問題は、水産資源を持続的に利用するに当たり大きく影響を及ぼす課題と考えます。先週の本調査会においても、極域をめぐる我が国の取組、北極海の氷が解けることで資源が活用できるなどの議論がありました。
 そこで、北極政策にも縁の深い森下参考人に、極域における海洋生物資源の持続可能な利用について今後どのように我が国が取り組むべきか、また、課題はどのようなものがあるのか、お伺いしたいと思います。
 もう一点、今日は鯨の話はしないと言っていましたが、IWC議長などを歴任し、長期にわたって捕鯨の国際交渉に関わってきたスペシャリストということで、今後我が国が持続的な捕鯨政策を遂行していくに当たりまして、国際的な様々な課題にどう取り組んでいくべきか、改めてお伺いしたいと思います。
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鶴保庸介#16
○会長(鶴保庸介君) それでは、道家参考人。
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道家哲平#17
○参考人(道家哲平君) 御質問ありがとうございます。
 では、二つについてお答えしたいと思います。まず、COP10から十年、日本の政策の評価と次のという御質問の方からお答えしたいと思っています。
 COP10から十年、早いようで長いようであっという間、私としてはあっという間の十年でした。その中では、多くのプラスの取組は生まれていると思っています。例えば、企業による生物多様性の取組も圧倒的な量とスピードで増えていったり、政府における施策においてもグリーンインフラというようなキーワードが生まれたり、自然資本という考え方が経済の方で広がったり。そういう新しい、自然を台なしにしないというか自然とほかの公益を同時に達成するとか、それこそ次の質問ともつながりますけど、自然を生かした防災と減災というEco―DRRというキーワードも生まれました。
 ただ、キーワードが生まれて、それがメーンの大きな仕事になっているかというと、それは、まだまだ大きな別の旧来的な仕事のうちのほんの僅かのような印象を受けています。
 ですので、足りない点という意味では、環境の分野も同時に達成できる国土のインフラを、インフラ整備であるだとか防災・減災であるだとか、あるいは経済をどう環境の保全も満たしつつ取り組んでいくか、そういう環境をどんどん内部化というか主流化というか、そういう視点をより強化をしていくということが重要になってくるかなというふうに思っています。そこに自然環境を中心とする主務官庁である環境省がどれだけのリーダーシップを、あるいは協力関係を果たしていけるかというところは大きな鍵になっていくのではないかなというふうに思っています。ですので、ネーチャーベースドソリューションあるいは自然に根差した解決策というのが広がっていくというのが日本としては期待したいというところがあります。
 防災、防潮堤の関係に関して言いますと、自然保護協会でも、ちょうど三、四月号の特集で、十年の特集で、今、被災地の皆さんにいろいろと十年の変化を聞いているところです。出てきた課題は、やはり災害があった後急速に、あるいは国だったり県だったりが早い復興こそ正義のような動きの中で、ちゃんと考えることができずに、いつの間にか、どんなものが果たしてできるのかというのが想像付かないままそういう施設ができてしまった、設備ができてしまったという課題があったかと。
 そういう意味では、事前から、地域によって自分たちは自然とどうつながりがあるか、これからどんな自然との関わりをつくり上げていくかということをもっともっと考えていくということが、別に東日本だけじゃなくて、これからどこかの地域で必ず自然に、ますます災害に見舞われるであろう日本においては大事なのかなと。
 その意味で、生物多様性に関する地域戦略という仕組みがあるんですけど、まだまだ設定が、都道府県レベルでは進んでいるんですが市町村レベルは進んでいない部分がありまして、生物多様性地域戦略じゃなくてもいいんですが、そのような人と自然との関わりをそれぞれの地域でどうしていくかということを真剣に考えていくことが、いざ災害ということが起きたときにも、柔軟な、より地域の人たちが将来に禍根を残さない意思決定、協議ができるという場面をつくる上では重要なのではないのかなというふうに思っています。
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鶴保庸介#18
○会長(鶴保庸介君) 引き続いて、東梅参考人、よろしいですか。
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東梅貞義#19
○参考人(東梅貞義君) 横沢議員、御質問ありがとうございました。
 国がどういう役割を果たすべきなのか、どういう関わりであるべきなのかという御質問をいただきました。ありがとうございます。
 国際的な目標、それから国の目標は、二つの大きな要素があると思っています。一つは、それをやることで本当に問題が解決するレベルなのかどうかというサイエンスの部分、もう一つは、それは本当に国としてプライオリティーを上げて優先順位を高くやるかどうか、この二つだと思っています。
 いい例があると思っています。菅首相、昨年度、所信表明演説で二〇五〇年脱炭素を発表されました。あれは、二〇一五年にパリ協定、国際合意ができました。最後に、二〇二〇年に日本とアメリカが二〇五〇年脱炭素を宣言し、あとは、それをどうやって達成するのかというと、目標が定まれば、産業はそれにどう生かし競争力を上げるのかということが考えられます。一方、目標が定まらなければ、今のとおりやっていこうという、そういう大きな力が産業に、生活者に、国民みんなに働きます。ということは、やはり目標の設定は、国、特に政治のトップリーダーで示していただく必要があると思っています。
 そうすると、生物多様性は本当に二〇三〇年に回復させるという目標なのか、今までどおりにいい取組を行うレベルなのか、それは、是非、リーダーにしかできないお仕事ではないかなというふうに思います。
 一方、何をしたらいいのかということは、なかなか思い付き、それから今までの仕事だけでできるかというと、難しいと思っています。
 それをよく示してくれたのがやはり気候変動の取組。IPCCという世界の研究者、世界の知見が集まり、もし二度未満にできれば経済に、人間の生命を守るのにどのくらい貢献するのか、でも、二度未満でも足りなくて一・五度まで抑えることが可能になれば、それが更にどれだけの世界で経済損失を抑えることができるのかということを示していただきました。
 そうすると、まだ生物多様性、まだ持続可能な利用で分かっていないことがあります。どこまで徹底的に保護区をつくること、資源管理をすることがどの程度必要なのかということは、まだ国際目標を、政治では話していますけれども、研究の裏付けはもっと必要だと思います。
 そうすると、日本が得意としている科学研究、国際協力を通じて貢献するというときに、政治の話合いだけではなくて、そういう、どの程度やることがどれだけの利益を生み出すのかという、これ政府間パネルいろいろありますけれども、そういうところに貢献するということは、もう一つ、日本が科学立国であり科学に基づいた政策決定をする国として重要な役割になると思います。
 防潮堤のお話、私も、母方の実家が岩手県の山田町というところでして、実際に、防潮堤は子供の頃から見て育ちました。それから、二〇一一年の震災の後にも、歩いていって、やはり見ました。やはり命を守る大事な役割があるなということも痛感いたしました。
 一方、防潮堤を造ることによってコミュニティーのつながりが失われたり自然とのつながりが失われる、これは、実際に多くの指摘があると思っています。そうすると、やはりこれは、より地域の方々が選択できるように、失われるものと守れるものが数字であったりその地域的な広がりであったり、そういうことがこれからも見えることが必要なんだろうなというふうに考えております。
 ですので、防潮堤ということで規格は定まっているというふうにも理解していますけれども、一方、どの選択肢はどの程度のトレードオフ、守れるものと失うものがそれぞれに両方あるのかということがより分かって、それが地域の住民の方々、それから地域の自治体の方々がより今後も選べるようになるということができればより望ましいだろうというふうに考えております。
 以上です。
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森下丈二#20
○参考人(森下丈二君) どうも質問ありがとうございました。
 まず、北極海なり極域の海洋生物資源の利用あるいは将来的な展望ということだと思うんですけれど、北極の方、簡単に申しますと、ほとんどの科学者、日本の科学者も世界の科学者もそうなんですが、近い将来あそこで経済的に有望な漁業資源はまず出ないだろうというのが結論です。
 実は、南極では漁業が成り立っておりまして、日本の船も、日本国籍が一つ、それから南アフリカを中心に動いている船があるんですけど、その理由は、メロ、マゼランアイナメという非常に高い値段でアメリカ、ヨーロッパなどで売れる魚が捕れるんですね。ですから、その単価が高いということで経済的に成り立つわけですけれど、北極では、それはなかなか起こらないだろうと。
 それから、南極と北極の大きな違いは、北極にはたくさんの先住民の方々の沿岸での活動があります。彼らからのデータなり情報というのもあるんですけれど、そういうところでの漁業というものもちゃんと尊重していかないといけないということがありまして、新しくできた協定も、柱としては、将来的にもし漁業ができてくるんであればちゃんと管理をしましょうという考え方に立ちます。
 もう一つの柱は、実は科学的な調査研究の国際的な協力になります。むしろ、今の、現時点の日本にとっては、これの方が国益上も、あるいは本当に貢献できる度合いという意味でも大きな部分があるのかなと。
 北極は、遠い場所のようでありながら、昨今の気候変動あるいは災害も、北極でどういう寒気団があるかとかどこに下りてくるかとか、あるいは北極地震につながる大地での状況が日本にそのまま来るというようなこともありまして、そういう研究に日本がしっかりとリーダーシップを取って参画するということは、漁業のみならず非常に大事かなと思います。
 その観点では、日本は科学に強いということで言うんですけど、科学の現場を見ていると、特に教育の現場を見ていると、いわゆる博士号、PhDですね、理系のPhDに進む学生さん、日本人の学生さんが非常に減っています。うちでもそうですけれど、留学生の人たちがそういう席を埋めていくということ、それも非常にいいことなんですけれど、例えば魚類資源学者、新しい漁業法改正の下では非常に大事なんですが、絶対数が足りません。若い人がなかなか入ってこない、そういう状況もあります。
 こういうものに対して、例えば北極だとかの海洋研究、一つの起爆剤あるいは関心を持つものとして若い人が関心を持っていただければ、それはまた、派生効果かもしれませんけれど、新たな海洋のフロンティアという形で科学にもフィードバックが来るのかなというふうに見ている次第です。
 もう一つの御質問、鯨の方は、これしゃべり出すと大変なことになるんですが、一分、二分でやりますと、いろいろな交渉に私も関わってまいりました。難しい国際交渉いっぱいあるんですね。科学的に難しい、法律的に難しい、あるいは各国の政策が難しいというのがあるんですが、本当に難しい交渉は、最終的にそれぞれの国がよって立つところの価値観、倫理観が圧倒的に違う場合です。鯨はこれに当たります。
 ですから、科学的に、ある種の鯨はたくさんいて、それを持続可能な形で利用できるということを証明しても、あるいは法律の解釈から、商業捕鯨モラトリアムというのがありますけど、あれには、十年の間に科学的な知見を見直してゼロ以外の捕獲枠を検討すると書いてあるんですね。そういう読み方あるいは経済的な観点、この辺りを全部説得しても、最後には、いや、鯨を捕ることは悪ですという立場がある限り、交渉が最後には成り立たない、こういう交渉が国際交渉の中で一番大変です。それを三十年以上やって、残念ながら共通点がないということで国際捕鯨委員会からの脱退ということをやったわけですが、これで捕鯨問題が終わるわけではありません。
 捕鯨問題について、あるいは国際捕鯨委員会に参加することについて、私は二つの柱がある、あったというふうな言い方をしているんですが、一つは、厳然として日本の各地域で捕鯨を再開したいという御希望があるわけですね。これが科学的にも法律的にも問題なければ政府としてはそれをサポートするという当然のことがあって、これは、脱退という形で一つの答えを出したわけです。大変な身を切った決定ではありましたけれど、そういう形で答えを出したわけです。
 もう一つは、海洋の生物資源、鯨だけではなくて海洋の生物資源を科学的、倫理観とか道徳観とか価値観の違いを超えて、いかに世界で科学的に法律的に、それを橋として話をして出口を見付けていくかという交渉、これができるかどうかというのが大きな柱であると思います。これはまだ残っているわけです。日本が脱退しても残っている。
 ですから、日本政府は脱退後もオブザーバーとしてIWCに加わる、加わり続けるというかオブザーバーとして参加し続ける、科学委員会にもデータを出す、海洋生物資源、鯨のみならずほかの海洋生物資源を持続的に利用するということを支持するほかの国々と意見交換、サポートのし合いをしていくと、こういう決定をしたわけです。
 ですから、むしろ、これからはその理屈、価値観、こういうところについてどう折り合いを付けていくのがいいのかということに焦点を当てたような、国際的な観点からすればですね、課題ということが言えるんだと思います。
 もちろん、国内で再開された商業捕鯨をどう進めていくかというまた大きな課題がありますが、今日は、そこは御質問の対象ではないということもありますし時間の関係もありますので、むしろ、国際的な観点から見ればその二つの柱があって、特に、まさにパラダイム、理屈、考え方の問題というのがIWCが象徴しているもの、それについて日本は引き続き取り組んでいかなければいけないと、こういう認識にあるかと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
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横沢高徳#21
○横沢高徳君 ありがとうございました。終わります。
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鶴保庸介#22
○会長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。
 それでは、引き続き質疑を続けたいと思います。
 高橋光男君。
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高橋光男#23
○高橋光男君 公明党の高橋光男と申します。
 本日は、三名の参考人の皆様、非常に示唆に富む御説明をいただきまして、ありがとうございました。
 私も、実は二年前まで十七年ほど、日本の外交官として働いてまいりました。ポルトガル語の専門家として、アフリカ、ブラジル、そういったような国々で国際協力をまさに中心に仕事をさせていただきましたので、これから日本がこの生物多様性守っていくに当たって、国内はもちろんのこと、当然、国際社会においてどのような貢献を果たしていくのか、こうしたことについて非常に関心を高く持っております。その観点で、今日は時間が限られておりますので、三名の参考人の方々にまとめて一つずつ御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、道家参考人にお伺いします。
 この愛知目標、十年がたったわけです。世界、最も成功したと言われる今回のこの愛知目標、これからこの十年をどういうふうにしていくのかと、国際社会としてどのように取り組んでいくのかと、これ、非常に大事な課題だということです。
 国際的には、二〇一七年国連総会におきましても、持続可能な開発のための国連海洋科学の十年というものが今年から始まりました。二〇三〇年までの十年間に重点的に取り組むものとして、研究開発、海洋事故での早期警報システムの構築、観測システムの基盤強化、人材育成等が掲げられています。まさに、SDGsゴール十四、海の豊かさを守ろうと、これを達成していく観点からも、本当に日本としてどのような貢献を行っていくべきなのか、これはまさに本当に大事な課題だというふうに思っております。
 先ほど、地球環境ファシリティーにはこれまで日本が最大の貢献国だというふうにおっしゃられましたが、これまでの日本のこの分野での国際協力のやり方、基金に投入してやっていくという方向性もさることながら、やはり二国間での技術協力を中心とする、先ほど申し上げた重点的なことについての取組についてどのような貢献ができるのか、こうしたことについて御意見をお伺いできればなと思います。
 続きまして、東梅参考人にお伺いします。
 昨年八月にモーリシャスでの油流出事故、これからおよそ半年がたちました。同国の首相が表明していますように、この事故につきましては我が国の責任とは考えられていませんけれども、日本として、中長期的な視点から、一つ、海難事故防止、二つ、汚染された環境の回復、三つ、地域住民、特に零細漁業者の生計の回復、こうしたものについて協力をコミットしています。
 WWFも、将来を見据えた観点から支援方法を探っていくというふうに表明されたと承知しておりますけれども、この政府間での協力、また、国際機関、NGO等との協力等、これは協調してやっていく必要があると思いますが、どのような課題があるのか、まさにその観点から御意見をいただきたいと思います。事故の再発防止であったり、また、一たびこうした事故が起きた場合の環境回復や生物多様性の保護に向けた国際協力の推進の在り方についてお伺いします。
 最後に、森下参考人にお伺いします。
 私も、最初、IWCのことをお伺いしようと実は思いました。しかしながら、お伺いしていてちょっと考えを変えました。サンマについて言及されたところが非常に関心を持ちました。
 まさに、今、このサンマにつきましては、北太平洋漁業委員会の年次会合というのが今月二十三日から二十五日、これは、漁業枠の削減について日本が提案して、中国や台湾も同意する可能性があると一部報道がなされています。
 先ほど参考人は、サンマが捕れなくてもサバやイワシが捕れ始めているというようなお話がありました。これは、漁業者の立場からして、実際そういった転換をして果たして事業を継続していくことができるのかという点についてお伺いしたいと思います。また、ICTの活用といったようなことも、これは、日本の技術が非常に活用できる余地があるのではないかというふうに思います。
 こうしたことであったり、あと、国民意識の涵養、醸成といった観点からは、どうしても捕鯨のことをお伺いしてしまうんですが、森下参考人も言った、国際的な反捕鯨キャンペーンの「ザ・コーブ」という映画に対して、日本の女性の監督が「ビハインド・ザ・コーブ」というドキュメンタリー映画を出した際にはインタビューにもお答えになられたというふうに承知していますけれども、こうした民間の取組、そしてまた、ある識者の方には、この捕鯨をユネスコの産業遺産に登録すべきだというような意見もあります。
 官民が果たし得る役割について率直な御意見をお伺いしたいと思います。
 以上です。
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鶴保庸介#24
○会長(鶴保庸介君) それでは、順番にお願いします。道家参考人。
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道家哲平#25
○参考人(道家哲平君) 高橋委員、御質問ありがとうございます。
 それでは、日本がこれまでの国際貢献、そしてどんな貢献ができるかという御質問にお答えしたいというふうに思います。
 日本は、ODAもそうですし、あるいは多国間のGEF、地球環境ファシリティーとか、あと、生物多様性条約でいうとジャパン・バイオダイバーシティー・ファンド、生物多様性日本基金というものを五年間で五十億円という、条約としては比較的かなり大きい金額の支援をして、そこで途上国の人材育成や能力養成、そこの支援をしました。ここは非常に大きな成果を出して、ジャパン・ファンドに感謝して行われた事業というのは非常に各国出されています。
 ただ、再拠出については、まだ全然議論というかしていなくて、つまり、COP10から愛知目標のこの期間中の拠出だったので、その次の十年どうするかというのは、ここは日本のリーダーシップの示しどころではないかなというふうに思っています。途上国は、やはりこの人材育成や能力養成に関するニーズというのは非常に今なお高いだろうというふうに思っています。
 海洋科学等に関して言うと、これができたらすばらしいなと思うのは、海洋保護区を日本としてもどう設定し、あるいはその評価、科学的な効果というのを見せていくということが大事なんではないかなというふうに思っています。
 たしかWWFさんがヨーロッパとかでやられている事例ですと、その海洋保護区を設定することで、その中の魚の大きさもどんどん増える、大きさが増えると卵を産む数も増えるので、要は生産性も拡大する、それによってより大きな魚種を捕獲できるようになるから漁業者の収益も上がると。
 そういったプラスの海洋保護区を設定することの効果というのをちゃんと示して、そして拡大をというのが議論に、三〇%のそういった議論になっていますので、日本においてどんな手法でどういう設定をして、それがどういう成果を出したかと。こういう幾つもの海洋がぶつかる生産性の高いところにおける海洋保護区の効果とか、それは途上国にも、東南アジア等にも広がる海には多分適用可能な、知見としては非常に大事なところじゃないかなというふうに思っています。
 あともう一つ、海につながる陸の技術としては、プラスチックの排出の多くは、陸地における管理が不適切なために海に流れ出てしまうというようなことがあります。ですので、ここは日本もまだ課題はあるのかもしれませんが、日本の技術でその陸地におけるプラスチックの適切な管理というのをすることで、海に流れ出る海洋プラスチックの課題というものについてよりポジティブな貢献をしていくというような要素も可能性としてはあるのではないかなというふうに感じました。
 以上です。
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鶴保庸介#26
○会長(鶴保庸介君) 続いて、東梅参考人。
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東梅貞義#27
○参考人(東梅貞義君) 高橋議員、御質問ありがとうございました。
 モーリシャスの件、私も非常に大事な問題だと思っております。
 事件が起きてから、私たちWWF、環境NGOとしてしたことがあります。まず一つは、現地の環境NGOに連絡を取って、何が起きているのか、何に困っているのか、どういうことを支援したいと思っているのかということを情報収集しました。いろんなズーム会議を使ったりつてをたどりながら、どういう方から情報を提供していただけるかと考えました。
 二つ目にしたことがあります。それは、今回は、用船者という立場で、事故原因者そのものではありませんけれども、商船三井という企業さんと対話の機会をいただきました。どういうふうに問題を捉えていらっしゃるのか、どういう回復に導こうと考えているのか、それも直接関わっていらっしゃる方のお立場から聞かせていただきました。
 それから三つ目、今回は、日本の緊急支援隊ということで、いち早く現地に支援を届けています。その大きな役割を担っておられるODAの担当部署であるJICAの方々からも、対話の機会、情報交換の機会をいただきました。そこで見えてきたことがあります。最初は、油汚染によってマングローブが汚染されている映像がニュースに流れました。それから、サンゴ礁が船体によって破壊されているのが見えてきました。私が当初思ったのは、この二つを解決することが大事なんだろうというふうに思っていました。
 一方、現地からいろいろ情報収集、それは、現地のNGOもですし企業さんもそうですし、それから、ODAの立場の省庁からもお話を聞くと、その影響はあるけれども限定的である、つまりは、油汚染だけを見て考えるのではなくて、油汚染以外にも、サンゴ礁が減らした原因が何であるのか。実は減っているんです、これ。
 減らした原因は、やはり陸上の農地開発が進み、そこからの汚染物質が流れ、残念ですけれども、日本でも同じように、沖縄でも、農地が悪いわけではないです、でも、農業者の方のお力だけではなかなかできなくてサンゴ礁が減っているという現実があります。それと同じことがモーリシャスでも起きているというお話を伺いました。その農業以外にも、やはり陸上でいろいろ土地利用を変えているということによって、本来は観光立国であるモーリシャスの宝であるサンゴ礁であったり海の中の生き物に影響が出ているということが分かりました。
 そうなると、今度は、次に応援すべきは、当然、油汚染で影響を受けたサンゴ礁、それからマングローブのモニタリングも必要です。でも、そこだけにとどまることなく、モーリシャスの本当に生活、SDGsを達成するために、海の豊かさであるサンゴ礁とそこの生き物、それから沿岸の漁業資源も、今どんな状態で困っているのか、次にどういう対策が必要なのかというところを応援することが同じ又はそれ以上に重要だということが見えてきました。
 ということで、私ども、民間団体ですので支援の規模は小さいですが、篤志家の方から御支援をいただいた上で、次の三年間に、こういうモーリシャスの海に影響を与えているものが油汚染以外にどういうことがあるのか、それはどのくらい悪化しているのか、今後必要なことはどういうことであるのかという、そういう調査を支援しております。
 ただ、この調査結果というのは、NGOの間での協力だけではなくて、それをまた違うお立場でモーリシャスの環境回復を支援されようとしている企業さんとも共有したいと思っています。それから、もっと大きな役割を担っておられるODAで今後モーリシャスの支援策、その油汚染回復だけではないところに支援されるときにも、私たちの努力である調査結果というのも共有させていただこうと思っております。
 以上です。
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鶴保庸介#28
○会長(鶴保庸介君) それでは、森下参考人、お願いします。
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森下丈二#29
○参考人(森下丈二君) どうも質問をいただき、ありがとうございました。
 サンマあるいは北太平洋漁業委員会との関係なんですけれど、海の中で、卓越種というか優越種というか、そのとき一番捕れるものがどんどん替わっていくという現象、これは、先ほども申しましたレジームシフトというのが起こるわけなんですが、かつてはニシンがたくさん捕れた、イワシが捕れた、サバが捕れたという形で、どんどんどんどん替わっていくわけですね。
 日本で、これについて、替わったものに漁獲をシフトしていくあるいは適応していくというときに障害になるもの幾つかあるんですけれど、まず一つは、既にサバならサバを捕っているほかの漁業者とのあつれきが起こり得る、漁業調整問題ですね。ですから、あなたたちは今までサンマ捕っていたじゃないかと、サンマがいなくなったからサバ捕らせてくれといったって、私はずっとサバ捕ってきたんだから、新たに参入されても困ると、こういう感覚がどうしてもあるわけですね。
 日本の水産行政というのはある意味では調整行政で、いろいろな人たちがいろんな場所でいろんな魚種をどういうふうになるべくけんかしないように捕るかというふうに古来ルールを作ってきたわけです。それが形になったものとして漁業権制度であるとか許可制度ということがあって、裏返して言えば、なるべく人の陣地に入らないように、それぞれ許可なり漁業権をしっかり制限しているところがあります。
 日本の漁船は、非常にみんな同じ、例えば、サンマ棒受け網漁業に参加する船で知事許可漁業であれば大きさはこれぐらい、形これぐらいと、本当に同じなんですね。マグロはえ縄漁業であれば、みんな本当、トン数もみんな同じ、形一緒。
 これ、例えば中国へ行くと、もう千差万別になります。あるいはヨーロッパの漁船になりますと、はえ縄はできる、トロールはできるという形で、そのときの状況によって漁具を変えていくということも平気でできるような船を造るんです、最初から。日本の場合は、漁業調整が基になって、そういうところが比較的しにくい形になっている。それはもちろんメリットがあったわけですけれど、特に日本の場合、沿岸にたくさんの漁業者がいらっしゃって、沖合でも漁船の数が多いという中で、外国みたいにこうやって自由にしちゃったらいいじゃないかと言った途端に大変なことになりますので、非常にこれ、難しい問題です。
 今回のその二〇一八年の十二月の漁業法大改正の下では、資源管理措置について協力をしてくれる漁業者あるいはしっかりとした実績を持っている漁業者については例えば船の改造について規制を緩めるとか、そういうような方向性も出ております。これで全てが解決されるわけじゃないですけれど、そういう形でやっている。
 あるいはそのサンマの話についても、捕れなくなったからすぐサバかという話以外に、実は、回遊ルートが大分変わっております。気候変動がありまして、日本の沿岸からずっと沖合に魚群が形成されています。知事許可の船であると、そこまで行けないんですね。そういうものについて、大きな船あるいは公海操業というものを試験的に始めたりとかということで、幾つかの方策を組み立ててやっている、それの組合せでどういうふうに柔軟性を確保していくかということだと思うんですけど。
 意識の中で、とにかく魚というのはどんどん変わり得るんだと、特に、これから気候変動なりでこういう変化というのは加速していくと見ていいと思いますので、それに追い付くような制度、規制、柔軟性というものを常に進めていくというのが大事になっていくのかと思います。
 鯨の方ですが、「ビハインド・ザ・コーブ」という捕鯨の、反捕鯨反論映画だったわけですけど、元のが「ザ・コーブ」という映画で、「ザ・コーブ」の方にも私出ちゃっているんですけど、出たいと言ったわけではないんですけど。「ザ・コーブ」はアカデミー賞の何かドキュメント賞をもらって、私、だからアカデミー映画に出ているんですけれど、悪役です、もちろん。出ているんですけれど、こういうやはりもののインパクト、皆さんの本件に関するイメージをつくっていくインパクトというのは非常に大きいですね。
 政府の発信というものは、私も政府にいましたからですけれど、いろんな形で情報を出したりとかやるんですけれど、政府というのは、基本的に、商売と情報発信、やはり民間に比べるとどうしても柔軟性が欠けるというか柔軟にできない部分があります。もちろん責任も非常にありますから、インパクトだけを狙ったような情報発信というのはやっぱり政府というのはなかなかしませんね。事実関係として間違っていないこと、あるいは後で間違いのそしり、あるいはバランスが取れていないというようなそしりを受けるような情報についてはなるべく最初から出さないというような形をして、応答要領とかいう言い方が政府の中でありますけど、聞かれたら答えるという感じでやって、これはこれで大事だと思うんですが、政府がそういう格好で透明性を高めるというのは大事ですが。
 他方、やっぱり様々な発信源から、もっとそういう意味では、正直なという言い方がいいのか分かりませんけれど、まさにどこがポイントであるのかということ、あるいは自分の思いが強い部分についてしっかりと発出するということは、あるいは民間の方々の役割なのかもしれません。ですから、みんながみんな同じような情報の出し方、手法をやるというのではなくて、それぞれの立場なりそれぞれの能力に従いながらやっていくということだと思います。
 一番欠けている部分、特に対外発信という意味では、海外での捕鯨問題を中心とした意識形成の中で大きな役割特に最近果たしているのはソーシャルメディアです。これについて英語で日本側の考え方を発信しているという量は、ほぼないというか、比較した場合、恐らく圧倒的に少ない。私もやっていませんから、そういう意味では誰も責められないんですけれど。そういう現実があるのは間違いなくて、これはどういう形で例えば変えていけるんだろうかというようなことを考えるべきかなという感じがします。
 いずれにしても、ソーシャルメディア、プラスマイナスありますけれど、それが大きな世論をつくっていくというのは、今、鯨だけではなくて、いろんなものの現実ではありますから、それに対してどういう対応をできるかということをそれぞれの立場から考えていくということじゃないかなと。答えになっていないかもしれませんが、そういうふうに思います。
 以上です。
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