森下丈二の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(森下丈二君) 東京海洋大学の森下でございます。本日はよろしくお願いいたします。
東京海洋大学、例のさかなクンがいる大学になりますので、彼、授業をやっているわけじゃないんですけれど、学生さんも彼がいると思って入ってくる人がどうやらいるようですが。
私の方からは、非常に薄い資料、六枚物を配らせていただいております。道家参考人、東梅参考人、非常に分かりやすい資料で、字が大きいものを準備されて、字が小さくてとても申し訳ないんですけれど、結果的に紙の節約、環境負荷も減らすということで、その辺りは少し御辛抱をいただければと思います。
今日私がお話しする内容ですが、表題「はじめに」のところに書いていますように、海洋の生物多様性の問題、あるいは海洋生物資源の持続可能な利用、こういう問題を話すときに、様々な対比といいますか対立というか、危機とそれへの解答という形で、私、対比軸という言葉を使いましたが、そういうものが存在します。往々にして、二者択一的、あるいはこれを全部我慢してこっちをやるんだというようなことが主張される場合も多いんですけれど、そうだけでもないんじゃないんですかということを今日意見として述べさせていただこうかと思います。
東梅参考人おっしゃったように、これを実現するためには、日本としてルールメーキングに、国際的なルールメーキングに積極的に参加していくということが非常に大事ですが、もう一歩進めて言えば、ルールメーキングを更に超えたパラダイムメーキングあるいはパラダイムチェンジというものを日本がリードするべきだというのが、むしろ私の今日の意見の肝といいますか中心の課題になってきます。
まず初めに、その対比軸、例えばどういう考え方、どういうものを私が対比軸として見ているかというのを、一枚目見ていただければと思います。
まず、海洋生物資源の持続可能な利用あるいは海の問題、大きく国際的に見た場合、片やという言い方が対立的で良くないんですけれど、開発途上国を中心として、当然ながら、人口を支えるため、経済発展を支えるための漁業生産の拡大、こういうアスピレーションといいますか希望があります。
また、先進諸国でも、EUでもアメリカでもそうですけれど、実は、水産物の消費というものは増えてきている、健康志向でですね、というのがあります。近年のアメリカ人全体の水産物の消費と二十代ぐらいの日本人の水産物の消費、大体同じになってきたそうです。それぐらい逆に日本の方が減っているんですけれど、そういう状態になりつつあります。
水産養殖業、これ、先ほどからいろいろ御紹介いただいたとおり、大きく拡大しております。これはいいのかどうかということもちょっと考えてみたい。
それから、世界の海、いろいろなところが利用されてきているわけですが、近年では、ごく最近では北極に新しい漁業協定ができました。これは、氷が解けていくということを見越して、漁業の持続性を確保するあるいは乱獲等を事前に防ぐということで、新しい協定が作られております。南極においても漁業活動というのは行われております。
こういう利用の面というのが一つの側面にあるわけですが、また、他方、他方という言い方は良くないんですけれど、既に御紹介いただきました愛知目標に端を発するんだと思いますけれど、海洋保護区、MPAの設置目標、去年二〇二〇年までに一〇%だったんですが、今、サーティー・サーティーと言われている、二〇三〇年までに三〇%というものが提案されてきております。
それから、国家管轄権の外側の生物多様性の保護と利用。結局、公の海、公海ですね、ここに新たな協定を作るということが国連を舞台に行われておりまして、ここでも、いかにその生物多様性あるいは海底遺伝資源を保全していくか、利用していくか、そこからの利益をどう扱うかと、こういうような議論が行われております。
また、サメの話も出てまいりました。まあ鯨は今日は余り触らないつもりにしておりますけれど、動物と人間の関係の仕方ということで、特別な動物、カリスマ度の高い動物については特に保護すべきだと、どういう状況にあろうとそういうものは使ってはいけないというような考え方もだんだん広まりつつあると。
この間にどうしてもやっぱり緊張関係が生まれる。漁業者の方々は、海洋保護区なんてけしからぬと、漁業をやめるのかと、日本の二百海里の中で三〇%も閉じられたら自分たちは生きていけないと、こういう話が出てきてしまうわけですね。しかし、そういう捉え方は正しいのかということも今日はお話ししたいと思います。
それから、もう一つの対比軸といいますか今日お伝えしたい中身としては、日本の漁業、右肩下がりだというのは、既に事前にお配りされております参考資料、それから、私に先立つ二人の参考人の方々も触れたところであります。
日本、御存じのように、我々小学校でも習いましたけれど、世界有数の漁場です、日本周辺水域は。同時に、生物多様性も世界的には非常に高いところが日本です。ある意味、生物多様性が高いところであるから漁業がちゃんと成り立ってきたというところがあるわけですね。これを対立軸で捉えるのではなくて、両方をうまく伸ばせないかということになるかと思います。
そういう条件でありながら、あるいは歴史的に日本人というものは魚をしっかり食べてきたということでありながら、漁業は、生産量は右肩下がり、就業者数もどんどん減っていく、まさに絶滅危惧種になっております。漁業者は絶滅危惧種です。魚離れも進むと。
他方、世界では、海面から捕ってくる漁業というのは九千万トン辺りで停滞しておりますが、養殖を加えてどんどん漁業が伸びている、いろんな国で漁業者の数は増えている、魚価も上がっている、漁業というのは成長産業というふうに見られる、そういうところが非常にたくさんあるわけですね。本来、一番魚との付き合いが強かったはずの日本でこういう右肩下がりが起こって、世界では反対に右肩上がりが起こっている、何でか。こういう一つの対比の軸についてお話ししていきたいと思います。
幾つか下に大きな矢印で書いていますが、利用と保護というのは本当に対立するのか。お話ししたとおりですね、ここをちょっと考えてみたいと。
それから、どうして日本の漁業は右肩下がりなのに世界の漁業は右肩上がりなのか、何が日本は間違っているのか、あるいは右肩下がりでもいいんだろうか、いいのか。いいという意見もあるかと思います。この辺りも見てみたいと思います。
それから、この二つの対比軸、今お話しした対比軸、つながっていないように見えるんですが、実は私の頭の中ではしっかりつながっておりまして、生物多様性、環境保全というだけではなくて、食の問題、今日これ是非しっかり話していきたいと思っているんですが、日本にとってどれぐらい食の問題、食料安全保障が大事で、その危機の度合いが高いか、それについて何ができるか。答えはあるんですが、それをするためには大変な苦労が出てきます。
一枚めくっていただきまして、国際的な動き、もうここは説明する必要多分ないと思いますので、下の矢印のところだけ少し説明したいと思います。
海洋保護区、MPAにつきましては、二〇二〇年一〇%、あるいは二〇三〇年三〇%ということで、環境省も含めて、このゴールをクリアしようという動きが非常に活発になっているわけですが、どうもMPAを、海洋保護区を設定することがゴールになっているんじゃないかと、数値が独り歩きしているんじゃないかということを、私、繰り返しいろんなところで申し上げております。
変な例えなんですけれど、私を含めて既婚者の方はよく御存じのように、結婚式、ゴールインと言いますよね。実際は、でも、そこスタートです。そこからいかに夫婦で家庭をつくっていって幸福を高めていくか、それが大事なわけです。海洋保護区も、三〇%を設定した段階で終わるゴールではなくて、ターゲットではなくて、そこは用意ドンのスタートポイントです。その後どうするか、何でそもそも海洋保護区をつくるのか。海洋の生物多様性を守るということは、それが人間社会、経済にとって重要だという話はもうたくさんされたわけですが、それって一体どういうことを意味するのか、生物多様性が減ると本当に漁業は困るんだろうか。希少種、絶滅危惧種がなくなっていくことで経済が良くなくなる、社会が良くなくなる、一体どういうふうにそれはつながるのか、よく考えてみるとなかなか説明しづらかったりするところがあります。
それから、生物多様性の保護をめぐっては、先ほどのBBNJ、国家管轄権外の保護ということが国連の場でも非常に強く取り上げられておりまして、これからもいろんなところで皆さん耳にすることがあるかと思うんですが、とにかく公の海、二百海里の外を保護しようという動きが強くなってきているんですが、実は、生物多様性というのは沿岸域、二百海里の中の方がはるかに高い、これは、もう考えてみれば明らかです。生物が生き延びるためには、陸からの栄養塩だったり、あるいは海流、温度、海底地形、いろんなものが必要になります。公の海へ行くと、深くて生物多様性に必要な栄養塩が少なくて、だから、元々生物の密度は低いんですね。そこを閉じる、閉じて一体何を止めるというか、どういう脅威があって何を止めるかといって考えたときにまた分からなくなるんですが。
実は、世界の漁獲量九千万トンのうち九五%は二百海里の中です。たった五%が公海で捕られる魚です。公海で捕られる魚の主なものはマグロになりますけれど、マグロ、全世界で捕られるマグロの量は約五百万トンですが、これもかなりの部分が二百海里の中です。ですから、せいぜい二百万トンとかなんですね、公海は。底魚と言われる魚、ほかの浮魚になりますと、生物密度が低いので、数万トンの漁業がそこら、ぽろぽろとあるという形です。ですから、三百万トン、四百万トンが公海から捕られているかなというのが大体の感じでして、全体は九千万トンですから、九五という、九五%は二百海里の中という数字でさえ、もしかすると過小評価かもしれません。
ただ、公海で何もするなと言っているわけじゃないんですけれど、本当に有効な生物多様性の保全をするためには、むしろ、本当に生物多様性が多くて、そこが何らかの脅威にさらされているとすれば、さらされている原因が何かということをしっかり見詰めて、それに対して措置をとる、これがその結婚式の後の生活なんです。三〇%セットしたらこれで終わり、一〇%セットしたらこれで終わりではないわけですね。何をやるかというのが非常に大事になってきます。
もちろん、その後も、その目標はちゃんと達成されているかどうか、目標を達成するためにどのような指標を見ていけばいいか、その指標をどういうふうに分析して、そこから出た結果に基づいて更に行動を変えていかなければならない。
例えば、三〇%の公の海を何らかの格好で人が入れない海域にしたとします。気候変動、三十年後、海はどうなっているでしょうか。今三〇%閉じたところが本当に一番大事な海域になっているのかどうか。これ、賞味期限と一緒で、あらゆる環境政策は、その状況に合わせて変更していく必要があります。ところが、どうもセットしてしまえば終わりというような感じも聞こえるものですから、こういう言い方をしてしまいます。
生物多様性を守る、乱獲というのは非常にやっぱり問題です。いろんなところで乱獲起こっているんですけれど、逆に言えば、しっかりとした漁業の管理を行っている漁業者の方々にそれに見合う正当な利益あるいは正当な漁業の発展というものをもたらす形の乱獲の撲滅、こういうものを考えないといけない。これが一般の方々といいますか漁業者一般に対する圧力になってしまうとまた元も子もないというところで、この辺りはしっかり見ていかないといけないと思います。
一枚めくってください。
世界の漁業の現状、これももうお話しされたとおりです。世界、右肩上がり、養殖を中心に右肩上がり、それから、一人当たりの水産物の消費のペースも、ヨーロッパ、アメリカ、それからアジア、全部上がっております。他方、下の右側、上の方に一回上がってだんだん下がっている国が、赤っぽい線がありますが、これ日本です。日本は一人当たりの水産物の消費量が一九九〇年ぐらいからどんどんどんどん下がってきて、今や肉の方が多いということになります。
もう一枚めくっていただいて、ここら辺ももう説明したところです。漁業のピーク、一九八〇年代でしたが、その頃に比べますと、今は三分の一ぐらいに下がってしまった、四百四十二万トンという数字です。日本の養殖業は伸びておりません。簡単に言いますと、約百万トンで推移、沿岸漁業ゆっくりと減少しているというような形です。沖合漁業は、八〇年代に比べますと大幅に減りました。このうちの大部分はマイワシになります。マイワシは、捕り過ぎというよりは、いわゆるレジームシフトという学説があるんですが、そのときの海洋環境によってどれかの魚が優占種になるということで入れ替わっていく、こういう現象の中でイワシが捕れなくなったというふうに理解するのが一般的です。
ちなみに、少しお話も出ました、サンマが大不漁です。それがたくさん報道されておりまして、確かにそのサンマ漁業、危機的状況にありますが、サンマがいたところに今実はサバとイワシが捕れ始めております。こういう形で、海にどこかにぽかっと穴が空くとほかの魚が埋めるという状況も実はあって、こういうものに対していかに柔軟に、更に持続可能な形で対応していけるかということが大事なのかなと思います。
もう一枚めくってください。
この辺りが今日危機という関係では私が言いたかったことなんですが、食料危機、今、もう皆さん御存じのように、気候変動だとかいろんなものがあります。日本の食料自給率、御存じのとおり三七%ぐらいです、輸入が止まれば六割の人が食べるものがないという。
これを学生さんにもこつこつ言うんですが、日本は国土が狭いから、山が多いから作れないじゃないかと、こういうふうに教わったり言われたりするんですが、ちょっとその世界の国の食料自給率というのを見てください。アメリカ、これ二〇一一年、ちょっと古いんですけど、比較のためにここになっちゃいました。アメリカ一二七%、ドイツ、工業国ですね、日本と同様に、九二%、フランス一二九、フランスは小麦だとかワインだとかいろいろ作ります。イギリスでさえ七二%、オーストラリア二〇五、カナダに至っては二五八%、その中で日本は、二〇一一年で三九%、今三七%です。
元々日本はこんなものだったのかなと思って一九六一年を比べますと、ドイツ、一九六一年の段階で実は六七%だったのを九二%に引き上げました。イギリスも、四二%、今の日本並みだったのを七二%に持ち上げております。元々豊かなはずのカナダ、実は一九六一年には一〇〇%ちょうどだったんですが、それを二・五倍まで引き上げたと。他方、日本は、一九六一年、実は八〇%近い食料自給率を保っておりました。この後何が起こったかであります。
日本の場合、もちろん人口が増えました。当時、一九六一年当時の人口は九千四百万強です。今一億二千五百万ぐらいですから、当時から食料生産量を全く増やさないとして今同じ量の食料を、一九六〇年代と同じ食料を生産しているとすると、今日の時点の食料自給率は六〇%であったはずです。それが三九まで下がっております。
その下にちっちゃなちっちゃな字がいっぱい入っているんですけど、これ学生に見せるとみんな喜ぶので付けたんですが、都道府県別食料自給率という面白いデータがありまして、皆さん御出身のところを探していただければいいんですが、東京の食料自給率、カロリーベースで一%です。東京で食べるものの九九%は東京の外から参ります。隣、神奈川も二%、大阪一%。一〇〇%を超えているのは東北以北と北海道、九州でさえ一〇〇%を超えておりません。
これでびっくりするのも一つなんですけれど、日本の国内の流通網がいろんな意味で寸断されたときにあっという間にコンビニとかスーパーから物がなくなるということを、もう大震災のとき、それからこの間の地震のときに皆さん見ているわけですけれど、その脆弱さをある意味示すものがこの数字になります。東京に住むのがいかに恐ろしいかということですね。
それから、食料が自給できないということは、実は環境にとても負荷を掛けております。世界の環境にです。
フードマイレージという指標がありまして、温暖化ガスの排出、食べる食料が温暖化ガスの排出に換算したらどうなるかということなんですが、上の方にありますように、日本は総量で九千二億八百万マイルですね。韓国がその三分の一、アメリカも三分の一、イギリス五分の一ぐらい、ドイツ、フランスとどんどん下がっていきます。日本はこれだけ環境に負荷を掛けているわけですね。国民一人当たりにこれを割ってみますと、やっぱり日本は、韓国と近いところがあるんですが、かなり上の方。アメリカなどは、人口の数が日本の二倍以上ありますから、一人当たりになると日本の七分の一です。イギリスでも半分、こういうところがあります。
それから、日本が食料を輸入するということがこういう温暖化ガスの関係で負担を掛けているというだけではなくて、水です。水資源の問題になります。
バーチャルウオーターという基準があるんですが、ある食べ物を食べた場合、実際どれぐらいそれはほかの国で、特に輸入している場合はほかの国で水を使っているかという数字です。これ、「NHKスペシャル」、最近やったところからメモったんですが、トマト一個で五十三リッターと。すごいのは牛肉です。牛肉一キロで一万五千四百十五リッターの水を必要とします。風呂おけ七十七杯分だそうです。ワイン一本飲んだら、それはどこかの外国で六百五十二リッターの水を使ったということになります。日本全体が輸入する形として、バーチャルな形で輸入する水の量は八十兆リットル、日本国内で自前で自給している水の量とほぼ一緒になります。
これがいかに恐ろしいかというのは、いろんな国で水の不足が起こっています。特に、地下水に依存している国々、恐らく二〇五〇年ぐらいまでには七割ぐらいの国で地下水が枯渇するという話になっているんですが、アメリカの農業、日本が非常に頼っていますアメリカの農業についても、聞かれたことあるかもしれませんが、オガララ帯水帯という、化石水と言われるんですけれど、太古の昔に地面の中にしみ込んで、それが地下水としてたまっている水があるんですが、これがなければアメリカの農業というものは潰れます。この水は、雨が降ってたまる水とは違って、化石水という名前のとおり太古の水でして、そう簡単に補給されないんですね。そういう状況も我々は見えていない。
食料危機というのはほかの国の問題だというふうに感じるかもしれませんが、今のグローバルな世界では、どこかで潰れると必ず日本にすごい短い間に関わってきます。先ほどのバーチャルウオーターの問題、温暖化ガスの問題、この辺全部関わってきます。
おまけに、世界の国、二百ぐらいあるわけですけど、たった二十か国が輸出の八〇%を担うという形で、ほとんどの国は輸入させていただいていると。日本の経済力で今まで頑張ってきたわけですけれど、私の専門である漁業もそうですけれど、この頃日本が買い負けします。アメリカへ行って例えばシャケを買い付けたいと思っても、中国などの経済力に負けて買えないという状況がもう数年前から起こりつつあります。
こういう状況をどうするか。取組、最後のところになりますけれど、漁業改革の問題、これは、資料もありましたので、大きな、七十年ぶりに漁業法を改正したということで、様々な動きがあります。
もう一つ、さっきからウナギの話が出ているんですが、マグロ、ウナギ、サケ、エビから学ぶものと書いているんですけど、この魚種は、スーパーのシステムで日本中で毎日食べられるという供給を達成しようとしたがために資源に負荷を掛けてしまった魚種になります。
魚というのは、例えばスマホだとか車みたいに、需要に対してどんどん作っていけばいいものじゃないんです。需要に合わせようとすると、どうしても資源の限界が来ます。ところが、それに応えようとして、スーパーのシステムに乗ってある意味成功してきた、あるいは必ず売っているものとしてマグロ、ウナギ、サケ、エビ、こういうものがあるわけですね。おかげさまで、マグロとウナギは資源の悪化を招いた。サケ、これについては外国の養殖業にほとんど取って代わられた。エビについては、マングローブの林とかが潰れるという話は聞かれたことがあると思います。これをどうすればいいかと。
このスーパー中心のシステムというのは、少ない品種のものを大量に日本中で、公平な形というか同じような形でリアルタイムで売っていくというシステムになります。九州であろうが東京であろうが北海道であろうが、マグロのさくをイオンで買ったら、同じような形で同じ値段で出てくると。これをやると、天然資源である生物多様性の上に立つ海洋生物資源というのはどうしても負荷を受けて困ってしまう。
では、どういう形かというと、日本の周り、非常に豊かな生物多様性があります。非常に多くの種類の魚を今まで食べてきた。そういう多品種のものをいかにその限界の中で、生物学的な限界の中で少量に広く流通させていくか、これが一つのチャレンジ、パラダイムの変化だというふうに思っております。昔は、こういうシステム、なかなか難しいところがある。ただ、今はICTがあります。流通システムも、やり方を変えればまさにこれをサポートすることができるというふうに思うわけです。
海洋保護区の話はもういたしました。様々なツールがあり様々な必要性の問題があり、政治的意思も非常に大事だと思います。
こういうのがありますが、ふだんいろんな人と話してきて感じますところは、どうも、こういう問題をやっぱり日本国民一般が知らない、あるいは危機意識を十分持っていない、毎日飽食、見かけ上の飽食の中で安心してしまっている、本当にこれは大丈夫なのかということを機会があるたびに訴えさせていただいています。これが環境と、あるいは生物多様性と持続的な利用をつなぐ一つの橋ではないかと、両方を立てることしか恐らく解決の道はないんじゃないかと、そういうふうに思います。
若干時間超過しました。どうもありがとうございました。