佐藤郁の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(佐藤郁君) では、御説明させていただきたいと思います。
資料がクリップ留めになっておると思いますが、A4横の資料と、その後ろにこういったパンフレットが幾つか入っていますので、後ほど御覧いただければと思います。
それと、ほかに、この「第九の波濤」という漫画本もお配りさせていただいていると思います。これは小学館の方から販売されているものですが、私ども一切お金払っていません。作者の方が私どもの取組に感銘を受けてというふうに前おっしゃっておられましたが、漫画の主題にしていただいて、特に地元の方、漁師さんの視点から、浮体式洋上風力発電、それと、それにまつわるいろんな事業についてまとめていただいております。先日、河野先生にもお渡しさせていただいたら読みましたよと言っていただけましたので、非常に読みやすい本になっておりますので、是非後ほど御覧いただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、資料に基づき説明させていただきたいと思います。
一ページ目をおめくりいただいて、二つ課題をいただいております。一つ目が、事業の概要及び事業を取り巻く現状、二つ目が、今後、事業を進めていく上での政策的な部分も含めた課題等ということです。
一つめくっていただきまして、まず課題の一、事業の概要及び事業を取り巻く現状について御説明させていただきたいと思います。内容は五つに分けております。
一つ目は、まず、日本における浮体式洋上風力発電への誤解を解きたい。いろいろ誤解があるようでして、いろんなお話が私の耳にも入ってきます。それを解きたい、是非ここの場で解かせていただきたいなと思っております。二つ目、なぜ、日本の風力発電産業が全て撤退したのか。三つ目、なぜ、日本は再エネ導入が進まないのか。四つ目、なぜ、信じてしまうのか。五つ目、では、日本の洋上風力は世界と戦えるのか。この観点から御説明させていただきたいと思います。
一つおめくりください。
課題一、まず、日本における浮体式洋上風力発電への誤解を解きたいということで、一つ目の誤解です。浮体式はまともに発電できないという話がいろんなところから聞かれます。これは多分、福島でやられていました事業の件での発言かなというふうに思うんですが、実は、福島でいろいろ実証されていましたが、私どもは五島の方でやらさせていただいていたんですけれども、設備利用率、つまり、一年間フルに発電したときにその風車がどれだけ発電できるか、それが一〇〇%だとしたときに、二十四時間三百六十五日フル発電したときを一〇〇%としたときに実際に発電できたのはどれだけですかというのが設備利用率になります。基本的には、この設備利用率、二つの要素で決まります。一つは風車の性能です。それからあと、系統の安定。例えば、今日も非常に晴天なので出力制限を受けているんですけれども、出力制限を受けると、その分設備利用率が下がります。三つ目が風です。風が吹かないところに風車を幾ら置いても設備利用率は上がりません。この設備利用率が、実は、福島のプロジェクト、こちらは実際に福島の報告書の方に書いてあったものですが、三・七%というふうに書いてあります。これをもって、まともに発電できないと言われている方がおられます。
ただ、実は、この右側、二メガワットの風車というのがあるんですね。そちらは非常に優秀で、風も十分に吹いていると。これも同じ報告書の中に書いてあるんですが、二メガワットの稼働率、設備利用率はおおむね商用水準であるというふうに書いています。ですので、浮体式はまともに発電できないというのは大きな間違いです。日本においても浮体式は十分に発電できることが、五島それから福島においても証明されております。
じゃ、何が悪いのか。それは、やはり風車が悪かったりとか浮体が悪かったりとか、それからマネジメントの問題、いろいろ原因はあるかと思います。ただ、それは技術の問題であって、日本というこの立地の問題ではありませんので、その部分をお分かりいただけると助かります。
二つ目の誤解です。浮体式は大型化ができない、こういうふうに言われることがあります。実際、この下の四つの写真がありますが、この二つの、右側ですね、が七メガワット、五メガワットという風車です。こちらもなかなか技術的な問題から発電が難しかったというふうに報告書の方には書いておりますが、実際のところ、この右の写真にありますように、欧州では既に八・四メガワットと、で、更にこれを超えるものについて実用化されています。実際にもう発電を始めています。ですから、大型化ができないわけではなくて、これはこの浮体だったりこの風車だったりの問題であって、浮体全般のものではございません。このことも御理解いただきたいと思います。
あと、誤解の三つ目、日本の浮体技術は遅れているというふうに言われる方もおります。実際に、このカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略、十二月二十五日に発表されたものですが、こちらには、商用化を常に見据えながら、技術開発を加速化し、世界で戦える技術力を培っていく必要があるというふうにあります。
ただ、これは右側のものを見ていただきますと、これは行政改革推進会議で十二月九日に出された資料になります。スパー方式については、長崎五島の実証事業を経て商用段階に入っているというふうに書いています、私どもとしては有り難い話なんですが。つまり、技術が遅れているわけではなくて、国が商用化を認めた唯一の技術になりますが、このスパー方式については今世界のトップスリーに入っております。ですから、十把一からげで日本が遅れているというわけではないということを御理解いただければと思います。
実際に、次のページ御覧いただきたいと思いますが、浮体式の技術の現状です。左側にいろいろ絵が描いてありますが、これはカーボントラストというところが公表している資料になります。国旗がいろいろ一番左に並んでいますが、日本の国旗が四つもあります。ですから、日本の技術は決して遅れているわけではなくて、最先端を実は走っていました。ただ、この日本の国旗、上の三つはどれも撤退してしまったんですけれども。今、一番下の一つだけが残っていると。北九州で今やられているものに関しては、これ実はフランスの技術になります。
一番今世界で進んでいるのは、下から四番目にあります①と書いてあるノルウェーの技術です。これは私どもと同じスパー型を使っております。二番目がこの一番上にあるプリンシプルパワーというところが行っているものでして、これがアメリカのエンジニアリングになります。ちなみに、ここには東京ガスさんが二十五億円出資しております。ほかに、一番下になりますが、東京電力さんですね、こちらも、これはまだ実証の準備段階のある意味まだ卵の技術ではありますが、三〇%の出資をしております。
今、この技術開発の流れなんですが、一番上にありますように、研究、開発、事業化、産業化という形で分かれています。それぞれ、魔の川だったり死の谷だったりダーウィンの海だったり、恐ろしいものを越えていかなければいけないんですが、今この死の谷を越えたものが世界で四つの技術があります。さらに、この先、産業化、ダーウィンの海を越えていかなければいけないというところです。
右に黄色で書いてありますけれども、技術開発には大体十年掛かります。ですから、今実験室段階のものは多分二〇五〇年には間に合わないというふうに考えています。つまり、今後は、浮体をどうするかというところではなくて、更にその先、直流で送電をどうするかといったことが主戦場になっているのかなというふうに考えております。
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浮体式洋上風力発電の開発スケジュールです。先ほど十年掛かると言いましたが、これ私どもの開発になりますけれども、一番初めに実験始めたのが二〇〇七年になりまして、もう開発から十年以上たっております。やっと今実証が終わって商用化にたどり着いたというところで、これだけ時間が掛かるんだなということを御理解いただければなと思います。
次のページ御覧ください。
なぜ、日本の風力発電産業が全て撤退したのかというところです。答えは、産業化に至らなかったというところです。つまり、実証まで、この右の魔の川、死の谷、ダーウィンの海がありますけれども、死の谷は越えたんです。ただ、ダーウィンの海が越えられなかったわけですね。その理由は何かというと、台風とか地震とか系統制約とかですね、いろんな規制が原因です。つまり、大量生産にならなかったということです。
ちなみに、左側の答えの下にありますけれども、二〇一九年の単年の導入量です。欧米三社、これ下のグラフから読み取ったものですが、欧米三社は二万八千メガワット、これで、三社でシェア四五%占めているわけですが、の導入があります。でも、これ日本全体で実は二百七十メガワットしかないんですね。一%未満です。累積、今まで入れた風車を全部合わせても四千メガワットぐらいです。これではやはり産業化はできません。
ですから、トヨタの車が世界をリードしているのは、日本に市場があって、その市場を基に成長して、それを世界に売っている。世界で売れることによって、我々は更に安くていい技術を持って、安全な技術を持って利用することができる。それをこの風力発電においてもやっていけば、ダーウィンの海さえ越えられれば、次のアクションができるかなというところです。
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なぜ、日本は再エネ導入が進まないのか。これは簡単です。電気が足りています。停電はめったに起こりません。発電所が足りているからですね。
ここを一つ仮定をします。もし、電力会社の社長さんが日本の将来なんてどうでもいいというふうに思っていたら、どういうふうに考えるだろうなと思って想像してみました。
一、日本の電気は足りている。風力発電所、太陽光発電所が増える。既存の発電所を止めなくてはならない。そうですね、多過ぎますね。そうすると、火力発電所の稼働率が落ちます。運転しなくてよくなります。発電単価が上がります。発電しないと、原油は使わないのでコスト掛からないように見えますけれども、固定資産だとかいろんなコストが掛かります、維持管理が掛かります。原油が上がっても価格に転嫁できるので余り懐が痛まないんですけれども、稼働率が下がると、それは懐が痛むわけですね。つまり、利益が減ります。今の経営者が困ります。困るとどうするか。あらゆる手段で妨害するでしょう。再エネは不安定になるとか浮体は技術が駄目だとか、いろんなことを言い始めます。そうすると、再エネの市場形成が遅れます。そうすると、産業化ができないのでコストが高いままになります。需要がないから産業が育たない、国内の産業がなくなる。主力電源として問題だ。設備投資を先送り。つまり、電力会社は設備投資を先送りしますので、目先の利益が上がります。日本の将来よりも自分のボーナス、退職金と。いつかは崩壊すると分かっているが、そのときは自分は社長じゃないよ。日本の将来なんてどうでもいい。もし電力会社の社長さんに、こういう人はいないと思いますけれども、こういう人がいたらこういうことを考えるんじゃないのかなという想像です。
次、お願いします。
じゃ、なぜ、そういうことを信じてしまうのか。それは簡単です。だまそうと思っていないからです。そう信じているからですね。
例えば、再エネが入ると調整力が大変だというふうな話があります。調整力というのは発電を減らせる速度なんですね。ピークの対応ではありません。そうすると、調整力が一番低いのは石炭火力、その後、火力があって風力があります。じゃ、もうかるのはどれというと、石炭火力、一番もうかります。火力は、燃料の分だけ値段を上げられますので損しません。でも、風力は、増えれば増えるほど稼働率が、火力発電所の稼働率が下がりますので損します。そうすると、ベース電源というのは何かというと、本来、調整困難電源であるはずのものです。つまり、風力発電も、調整が難しいということであれば、本来であれば調整として使わなければいけない話ですが、なかなかそれができていないということです。まあ、これ、実際何でできないのということなんですね。ヨーロッパはやっています。日本の技術者、そんなに能力低いんですか。そんなことはないと思います。
次に、電気代が高くなって産業競争力が落ちるという話もあります。でも、電気代の割合というのは全産業平均でたった一・七%です。最大でも鉄鋼の四・五%です。鉄鋼価格の変化は電気代に関係なく三〇〇%も乱高下しているんですね。これも何か違うなというところです。
大量の蓄電池が必要になるという人もいます。蓄電するには当然発電しなきゃいけません。充電効率も悪くなります。増設ではなく、ピークだけEVの電源を使えばいいんじゃないのという形も考えている人もいます。発電機を止める方が圧倒的に安いんですね、蓄電池を入れるよりも。一か月止めてもたった八%です。コストにして一円から二円です。ですから、たくさんつくって止める。もちろん、火力発電所も、止まっている火力発電所たくさんあります。それがいいのかなというところです。
次のページですね、こちらが先ほどの数字の根拠になりますので、後ほど御覧いただければと思います。
十二ページ御覧ください。
こちらにも書いてありますが、再エネは電気代を安定させる方向に働きます。それから、洋上風力発電は電気代を下げる方向に働きます。
次のページ御覧ください。
こちらも御覧いただければいいと思いますが、こういう先生方もなかなか違った話をされるのかなと。
それから、十五ページは、これは電力中央研究所の資料になりますが、こちらも何か違った資料を使っているのかなというふうなところが見受けられます。
十六ページ御覧ください。
では、日本の洋上風力は世界と戦えるのかという部分です。答え、浮体式であればまだ十分戦えます。これはなぜかというと、これ、今御覧いただいているのがIEAというところが出している資料になりますが、表の真ん中の欄が着床式、右側の欄が浮体式になります。ニアショアと書いてあるのは比較的陸地に近いところ。イギリスでは、もう既に離岸距離が百キロ以上のところで発電をしています。当たり前のように発電をしています。それに比べると六十キロというのは比較的近いんですけれども、日本の場合はすぐに海が深くなりますので、今回は六十キロにしております。
この六十キロで見ても、例えばアメリカは着床と浮体式が拮抗しています。東海岸が着床式で、西海岸が浮体式になるだろうと。ヨーロッパ、ヨーロッパは実は着床よりも浮体式の方が圧倒的に多いんですね。アフリカもそうです。中国は意外に、着床はあるんですけど浮体が少ないんですね。じゃ、韓国はどうか。日本の六分の一しかありません。そう考えると、この二千という数字のある日本の浮体式の市場は非常に大きいものです。
ですから、右側に書いてありますが、日本の浮体式は欧州の着床式に匹敵します。欧州並みの産業化が可能です。今のヨーロッパ、風力が進んでいるというふうに思われるかもしれませんが、浮体式であれば日本は欧州並みの市場をつくれるポテンシャルを持っているということを御理解いただけるかと思います。
課題の二つ目。今後、事業を進めていく上での政策的な部分も含めた課題等ということで、三つについて御説明させていただきます。
一つ目、次のページを御覧ください。十八ページですね。日本の風力発電産業が世界と戦うための三つの要素というのを考えてみました。
一つは、耐台風ですね。欧州には台風がありません。つまり、風力発電の先進国には台風がないんですね。ただ、先ほど見ていただいたように、世界の市場を見ますと、欧州以外のところがたくさんあります。そういうところは台風が来るわけですね、台風、ハリケーンですね。その他、やはり温帯、熱帯の異常な気象というのがあります。日本は台風が多くて、既に十年の実証を経て実用化をしています。ここは大きな要素になるだろうなというふうに思います。ヨーロッパの人たちが、風車がですね、日本に持ってきて、じゃ、これから台風のテストをしましょうとなると、また十年掛かるわけです。そういう意味で、日本は一日の長があると。
次に、低風速ですね。つまり、地球の極地はすごく風がよく吹きます。南極、北極の近くですね、風が強いんですが、残念ながら、我々が住んでいるこの日本、中緯度それから低緯度の部分については余り大きな常時風が吹く場所ではありません。でも、そこでも風車、風力は入れていかなければいけないと。ブレードを長くすれば効率は上がるんです。でも、腕が長くなると折れやすくなります、台風でですね。そこが日本の技術の見せどころかなというふうに考えています。
最後、量産化ですね。日本は、自動車産業で培った量産化とサプライチェーンがあります。航空機産業もあります。ですので、こういったところを十分に活用していく必要があるかなというふうに考えております。
二つ目。世界の脱炭素化に貢献するための二つのシナリオを考えてみました。一つは国内先行型、左手側です。二つ目が国内市場の配慮型ですね。
どちらがいいかというところですが、三つ目、次のページ御覧ください。
シナリオ一、これが日本が選択すべき道ではないかなというふうに考えています。早期に、例えば二〇二五年に一ギガワットの系統と海域を用意して、世界最大の浮体式の風力発電所を造ります。この技術を世界に売っていくと。それは排他的経済水域を使う必要があるでしょう。ただ、排他的経済水域の面積は世界第六位になります。この日本の優れた環境、海洋環境を生かして、それで世界に打って出る、それは十分に競争力があるということで締めさせていただきたいと思います。
以上で終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。