真鍋寿史の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(真鍋寿史君) 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。丸紅洋上風力開発株式会社の真鍋と申します。本日はよろしくお願いいたします。
では、お手元の資料に沿って説明をさせていただきたいと思います。
まずは、私どもの親会社であります丸紅、総合商社でございまして、いろいろ事業をさせていただいております。
二ページ目が概要、組織の概要でございまして、営業としては、真ん中辺りになりますけれども、六グループ十四本部制を取っておりまして、我々は電力本部、電力事業をさせていただいております。
過去、様々な発電所に投資をさせていただいておりまして、その概要が三ページ目、世界中でネット持分容量で約十二ギガワット相当の発電所を今維持運営をさせていただいております。
四ページ目が国内ですね。国内市場はまだ小さな市場のアセットになりますけれども、約五百メガワット相当のネット持分容量を保有させていただいております。主には、太陽光、並びに、小社の特徴であるんですけれども、水力、小水力を結構歴史的に長くやらせていただいております。
続きまして、五ページ目が、風力で我々どういったことをやってきているかということを簡単にまとめております。これ、全てではないんですけれども、赤枠が陸上風力で、青いボックスが洋上風力になります。
洋上風力に関して御説明いたしますと、英国ですね、イギリスの二件、左上の方にございますが、ガンフリートサンズということとウエスタモストラフ、この二件をデンマークのオーステッド、旧ドンエナジーですね、と一緒に市場に参画しまして、このガンフリートサンズの方に関しましては二〇一〇年に商業運転開始ということで、もう既に十年以上前に運転開始しているアセットでございます。こちらが日本企業としては欧州の洋上風力に関しまして初めて参画をした事例でございます。
続きまして、国内の方なんですけれども、先ほど佐藤様の方からも話がありました福島県の浮体式洋上風力の実証事業、こちらは経済産業省様の補助金をいただいておりますが、この福島、並びに北九州、こちらはNEDOの御支援をいただきまして、今実証に取り組んでおります。こちら、先ほど佐藤さんの方の話にもありました浮体式、両実証とも浮体式の洋上風力でございます。それから、東北の方ですね、秋田県、秋田能代の方で今着床式の洋上風力の建設を始めておりまして、こちらが昨年建設開始、二〇二二年ですので、来年の末に商業運転開始ということで、今、当社の方で取組をさせていただいております。
その時系列が六ページ目の方に簡単にまとめてございます。
二〇一三年、震災後ですね、福島復興のシンボルということで福島沖に、約二十キロですね、二十キロ沖合に洋上風力発電所を建設を始めておりまして、約八年ぐらいオペレーションをしております。こちら、正直、今、佐藤様の方から話がありましたように、いろいろ技術的な困難さもございまして苦労しているんですけれども、今御説明いただいたように、日本で浮体式ができないというわけではなくて、いろいろ実証ならではの問題もあって難しさが直面したんですけれども、我々としては、これ後ほどもございますが、今回この福島での経験でいろいろ学びもありましたので、これを是非生かして、今後、国内外の浮体式洋上風力の拡大に努めていきたいと考えております。
それから、二〇一九年ですが、北九州響灘沖合に、これ右下の方にございますが、三メガワット機の風車、これヨーロッパ製、ドイツ製になりますけれども、の風車を浮かべて今オペレーションをしております。
それから、二〇二〇年が先ほどの秋田県の工事でございます。
秋田の方の詳細が七ページ目でございます。こちらは港湾区域ということで、秋田県の二つの港、秋田港と能代港、この二つのサイトで合計百四十メガワットの着床式の洋上風力発電所を今建設をしております。こちら二〇一五年に秋田県の方から採択をいただきまして、約五年間開発に時間を掛けて昨年から建設をしているということで、商業ベースで考えますとこちらが日本初の洋上風力発電所でございます。現在、商業ベースで建設が始まっているのは国内ではこの一件のみでございます。
八ページ目が、簡単ではございますが、丸紅の洋上風力の取組でございまして、ちょっと守秘義務の関係で全部は出せないんですけれども、秋田能代に続いて、我々は、しっかりと国内の洋上風力の拡大、再エネの拡大に努めていきたいと考えておりまして、一部公開しているものでございますが、山形や北海道の方でも是非その機会をつかみたいと考えております。あとは、一番下になりますが、スコットランドですね。ヨーロッパの方ではもう着床式から浮体式に主戦場が移りつつありまして、我々もヨーロッパのプレーヤーと一緒に、このスコットランド沖では、ほぼ大半が浮体式の海域で、商業ベースで大規模に取り組んでいきたいと考えております。
あとは、九ページ目、関連ビジネスになりますけれども、洋上風力、海の上に風車を設置するため、船が必要となります。
次の田中委員の方がこちらの専門であられると思いますので、我々の方は簡単に御説明させていただきますが、ヨーロッパ、イギリスのこういった洋上風力用の船五隻を持っているシージャックス社に二〇一二年に私ども出資を参画しておりまして、この洋上風力の建設工事の部分も携わらせていただいているというところでございます。
こういった約十年強の取組を踏まえて、私ども丸紅グループとしては、洋上風力専門で取り組んでいこうということで、手前みそで恐縮ですけれども、昨年、この丸紅洋上風力開発という会社をつくらせていただきました。おかげさまで、経済産業省様、国土交通省様に大変野心的なビジョンも見せていただきまして、日本でも、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットという目標をセットしていただきまして、我々もそれに取り組んでいるというところでございます。
ちょっと手前みそになりますけれども、十二ページ目からちょっと数ページ、我々がどういったことを注意して洋上風力に取り組んでいるのかというのを説明した上で、最後、我々が直面している様々な課題だとか今後の方向性につきまして、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
まず一点目、十二ページになりますけれども、EPCでございます。
EPC、業界用語かもしれませんけれども、いわゆる建設工事でございます。洋上ですので、文字どおり海の上で工事をするということで、陸上風力とはレベルの違う難しさがございます。一つの事故が重大事故、死亡事故につながるということで、これ、ヨーロッパの方でもその黎明期には非常に多くの事故が起こっておりまして、当然、当然といいますか、残念ながら命を落とされている方もいらっしゃるかと聞いております。こういったことを国内で絶対に起こさないように、我々としては、今、秋田能代で建設を始めておりますけれども、きっちりとした安全管理、工程管理を組みまして、洋上の工事に関しましてはスケジュールをしっかり組むということが非常に重要になっております。
非常に分かりやすい例でいきますと、例えば一つの部品を忘れてきちゃったというケース、工事だとあり得るんですけれども、陸上であれば、そのパーツを、忘れてきたものを取りに行ってトラックで運べば一日、二日の遅れで済むんですけれども、洋上の場合、船がもう出ていってしまっている、そのときに、物がない、あるいは壊れてしまったとなると、その手配に数日、物自体はすぐ手配できても、その間、船を待たせてしまうと。これ、事業者目線で船を待たせるということは致命的でございまして、この船、一日当たり一千万円以上、数千万円のコストが掛かります。そうすると、十日、例えば一千万円で十日掛かると、それだけでコストが一億円発生するわけです。そのぐらいこの洋上の工事というものはシビアにつくらないといけない、安全上も工程上もシビアにつくらないといけないと。
プラス、戸田建設さんのように非常に御実績のある会社さんもいらっしゃいますけれども、まだまだ日本の国内にはこの洋上の工事にたけた建設会社さんが余り多くないと。これは歴史的に、ヨーロッパと違って、オイル・アンド・ガスの産業が元々国内になかったということが大きいです。そのため、この洋上風力の工事、一括で全部やるということができるスーパーゼネコンさん、ゼネコンさんというか、そういった企業さんがなかなかまだ多くないということが実態とありまして、そういったことも踏まえて、事業者側、当社の場合は我々になりますけれども、事業者側がこの部分のリスクをある程度取らないといけないというのが実態がございます。そういった実態も踏まえまして、こういった工程のパッケージが幾つかに分かれて、それをマネージする能力が問われるということがあります。
我々は、国内でやってきたこと、並びに先ほどの船をもってヨーロッパでもこういった建設オペレーションをやってきたということで、経験者、知見がある者をプロジェクトに投入してマネージをさせていただいております。
続きまして、十三ページ目ですが、施工管理、運営になります。いわゆるオペレーションですね。建設した後、オペレーションをする必要がございます。
こちらは福島沖の洋上の変電所でございます。そちらに船で実際にアクセスしてメンテナンス等を行うわけですけれども、我々ここのオペレーションを約八年ぐらいやってきたということで、これなかなか御理解いただくのが難しいかもしれませんけれども、これ船一つにしても、国内になかなかない船なんですね。船からこの設備に乗り移るのも、普通であればできるだろうと思われるかもしれませんけれども、これ波があって揺れています。向こう側の発電設備の方も揺れているので、これきっちりと固定しないと人が乗り移るときに最悪落下してしまうということもあります。落下すると、これはもう残念ながら命は助かりません。
そういったこともあって、どのように発電設備に船を接岸するのか、船の仕様はとか接岸の補助設備の形状はどうするかとか、そういったことを非常に細かく設計をしていかないとこのオペレーションもままならないということで、我々はやっぱり五年以上これをやってきて、いろんなことを経験して、オペレーションの観点から設計に反映させていかなきゃいけないこともたくさんあります。そういった経験、知見を今後にも生かしていきたいと考えています。
それから、十四ページ目がファイナンスです。
先ほどの秋田県のプロジェクトは、公表されておりますけれども、プロジェクトコストが総額で大体一千億円でございます。これから国内でもかなり多くの大型の案件が予定されておりまして、その一案件当たりのコストが大体二千億とか数千億円というプロジェクトサイズになってきます。そうしますと、全てが事業者側の自己資金でやるのは到底難しくて、やはり金融機関さんの御支援をいただきながらこのプロジェクトファイナンスを組むというのが一般的なやり方になります。
我々はこのプロジェクトで初めてプロジェクトファイナンスを組むことができたわけですけれども、やはりレンダーさん、金融機関さんに、プロジェクトの八割から七割、大半のリスクを取っていただく以上、しっかりとしたプロジェクトをつくり上げていかなきゃいけないということで、これは日本国内にとっても大きなチャレンジでありますし、我々もしっかりとこの秋田の経験を生かして、次の案件ではより良い条件で、より条件のいい資金調達をしていきたいと考えております。
それから、十五ページ目が漁業との協調ですね。
これはもう、洋上風力に限らず、再エネをやる限りは、地元の皆様との協調、共存共栄というのが非常に重要になってまいります。洋上風力に関しましては特に漁業者の皆様の御理解が必要だということで、我々は、国内では福島、北九州、秋田県秋田港、能代港、この三か所で洋上風力をやらせていただいている中で、全て漁業者様との調整は我々でやらせていただいてきております。
当然難しい局面も多々ありますけれども、しっかりとそこは先方様の目線、立場に立って、この洋上風力のメリット、地元に還元できる内容だとかを丁寧に御説明をして、しっかりと同意を取り付けてくるということが大事でありましたし、今後もそういったことを生かして取り組んでいきたいと思います。
最後になりましたが、洋上風力の目標、課題を簡単にまとめさせていただいております。
こちらは、先生方で御存じの方もいらっしゃると思うんですけれども、昨年の七月に経済産業大臣と国土交通大臣を中心とした洋上風力の官民協議会というものが立ち上がっております。これは、文字どおり、官、この二つの省、並びに民間事業者の代表が一堂に会しまして、洋上風力の目標だったり課題、こういったものを整理をするという協議会が立ち上がっております。私もそこに民間代表の一人として参加をさせていただいておりまして、ここで記載させていただいているような課題、こういったものに取り組んでいるというところをちょっとまとめさせていただきました。
まず、大きなところとしては、洋上風力の産業ビジョンの策定とあります。
先ほど佐藤様の方からもありましたが、日本では、残念ながら、もう風力産業、風力メーカーさんが洋上風力分野からは撤退という形で、産業がない状態でございます。そういった大量生産がなかなかできなかった背景がありますけれども、欧州、米州、そういった海外のメーカーさんのサポートをいただかないと風力がつくれないというのが実態です。
じゃ、そういったグローバルで展開をされている風車メーカーさんに日本で取り組んでいただくと、そのためには、日本でどれだけ市場のポテンシャルがあるのか、将来性があるのか、そういったものを示さないと実態としては欧州の風車メーカーさんは日本に関心を持たないということから、これは民側からのかなり強い要請ではあったんですけれども、やはり日本国として今後洋上風力をどうやっていくのかというのをビジョンを示していただきたいということをずっとお願いをしてまいりました。
そういった陳情を踏まえて、日本政府の方で、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットという、これはかなり世界的に見ても野心的な目標を掲げていただく形になりました。こちらの二〇四〇年の方に関しましては、浮体式を含むということを明記されております。
一方で、官側がそのぐらい御支援をいただいていますので、民間側もしっかりと決意を示すということで、国内の調達比率を二〇四〇年までに六〇%、着床式ですけれども、このコストですね、これを二〇三〇年から三五年までにキロワットアワー当たり八円から九円、これを目指すということを民側からも掲げて、この官民協議会ではこれを大きな目標として今後十年、十五年やっていこうというところで今キックオフを始まったところでございます。
この国内調達比率に関しましては、風車が一社もいないということを考えるとかなりチャレンジングな話でありますけれども、昨日の日経の一面にもありましたように、東芝さんがGEさんと組まれるとか、今後この市場のビジョンが出されたことによって民側はいろんな取組がなされると思いますので、そこは、我々丸紅としては事業者の立場ではありますけれども、そういったことを積極的に、政府の方針を踏まえてこの調達の方も考えていきたいと考えております。
あとは、二点目、入札制度の合理化でございます。これは、ちょっと細かいところは本日は割愛をさせていただきますが、我々がやっている秋田県のやつは港湾区域なんですけれども、その更に沖合、一般海域の入札制度に関しましてはまだ始まったばかりでございまして、様々な課題がございます。こういった課題につきましても、民間側からも意見を出させていただいて、経済産業省様、国土交通省様とより良い制度にできればなと考えております。
あとは、三点目の規制緩和、こちらも二番目と同じような議論になります。
それから、四の系統ですね。こちらも先ほど佐藤様からもありましたように、日本では系統の接続が課題となっております。直流送電も含めて、系統の増強計画というのは、再エネの導入と、洋上風力の導入とセットで議論されるべきであろうと考えております。
それから、五点目が港湾ですね。これは、言ってみれば港でございます。洋上風力をやるためには、しっかりとした港の整備が必要になります。
非常に簡単に御説明いたしますと、非常に巨大な鉄鋼構造物を持ってくるわけです。例えば秋田県の場合、一般の港だとそうだと思うんですけれども、地耐力ですね、地盤のその荷重が耐えられる強度というのが大体決まっておりまして、普通五トンぐらい、スクエアメーター当たり五トンぐらいが限界になっています。一般的にはそのぐらいで設計をされています。ただ、洋上風力の場合はその重さが二十五トンぐらい必要になってくるということで、そのまま乗っけてしまうと港が崩れてしまうということになります。ですので、洋上風力をやるためには港湾インフラを強化していただく必要がありまして、今国内では四か所が認定されましたけれども、まだまだこの四か所では足りないということで、この港湾インフラの整備を是非とも進めていただきたいと。
それから、最後になりますけれども、これはどちらかというと経済産業省様のお考えが強いかと思うんですけれども、この洋上風力産業をここまで国内で伸ばしていくからには、今後アジア展開、日本国としても輸出産業にしようじゃないかということで、まずは基準も国際標準にしていきますし、今後、アジアに日本から政策支援といったところを視野に置きながらも、金融、産業面、そういったところで多角的な支援、展開を図っていきたいということで、これは民間、我々も海外も含めて洋上風力事業を考えておりますので、そういったところとも足並みをそろえながら取り組んでまいりたいと思っております。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。