山中ともえの発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○参考人(山中ともえ君) それでは、よろしくお願いします。(資料映写)
 私、調布市立飛田給小学校の校長をしておりまして、校長歴としてはもう十一年目となります。校長歴長いんですが、私、元々は障害のある子供の通級指導を教員として担当しておりまして、その後、教育委員会の方、都の教育委員会の方に指導主事として入りまして、行政職に十年ほどおりましたが、ちょうどそのときに特殊教育から特別支援教育へという転換の時期を迎えまして、それに関する仕事に携わってまいりました。その後、小学校の校長として出たのですが、特別支援教育をもう推進するという時期でしたので、インクルーシブ教育システムということでの研究協力校もしたりして現在に至っております。
 その過程の中で、私の経歴、そういった経歴がありましたので、全国に特別支援学級や小中学校に設置されている通級による指導教室の校長先生の会があるんですけれども、全国で一万八千校余りが加盟しております。略して全特協と申しておりますが、その会長の方を昨年度までさせていただいておりましたので、その経験なども併せて今日お話しさせていただければと思います。
 このような会、障害のある子供について先生方がこのような勉強会、委員会している中に私を参考人として呼んでいただいたこと、大変有り難く思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 インクルーシブ教育ということで、済みません、私が持ってきたの、どうしてもきちっとしたものをと思って、文科省の資料の中から取ってきていますので、もう先生方も御存じのものばかりだと思いますが、日本の教育制度って今はこういうような、上に行けば行くほど重い子供ですが、というふうな形になっているんですけれども、日本の教育制度というのはこういう形になっていて、もちろん小中学校で通常の自分の行くべき学校、ところで学んでいる。けれども、障害がある程度によってはだんだん、本当に自宅にいて、本当に重くて学校にも行けない子供もいます。そういった形は訪問教育というような形で、日本の場合は全員とにかく就学するということは、ほかの国に比べてとても私は勝っているところだと思います。どんなに重い子でも、必ず子供は成長する、そこに必ず教員を配置するという考え方でやってきています。
 インクルーシブ教育ということで、多分、特別支援学校とか、場を別にしているところですね、そこのところが課題になるとは思うんですけれども、別に差別とかということではなくて、その子たちが一番伸びる状況というのを考えた場合の多様な学びの場だと思っています。それにしても、その特別支援学校とかだけではなく、小中学校の中に特別支援学級、特別支援学校、場を別にしたところに行くほどではないんだけれども、同じ学校の中でそういう場をつくって、そこで特別な教育課程を組めるというような学級ですとか、それから、ほとんど通常の学級にいるんですけれども、一部特別な指導を行うという通級指導ですね、私の学校には通級指導が設置されているんですけれども、そういった通級指導ですとか、あとは、今いろいろな支援の手が各学校に入っているところです。
 この教育制度も、今インクルーシブ教育システムということで進んできているんですけれども、日本は元々、明治の時代から京都盲唖院というものが設置されていて、まだそのときは全員対象とかということではないんですけれども、視覚障害や聴覚障害に対する指導というのはずっと行われてきて、ずっと脈々と継承されています。それが養護学校から特別支援学校になって、養護学校時代には全員就学とか、そういうような過程を経て今に至ってきていると思います。
 今、障害者の権利条約を批准して、合理的配慮だとか、それから障害者差別解消法の中で合理的配慮を学校は提供することというようなことが進んできているわけなんですけれども、そこの辺の周知だとか進んでいく行き方にまだ課題が大きくあるかなというふうに思っています。
 障害者権利条約の関係で、その委員会からの初審査が今年度あるんですね、もう多分先生方、皆さん御存じだと思うんですけれども。それでどういう評価が日本に対して下されるか、その評価に対してまたどういうふうに次進んでいかなければいけないのかというような、今そういう時期に来ていると思います。
 これも御存じだと思うんですが、これも文科省の資料なんですけれども、特別支援教育を受けているというんですかね、子供の割合というか人数だったりするんですけれども、これ十年前と比較して、黄色の矢印が十年前と比較した数字なんですけれども、特別支援学校も特別支援学級も通級指導も全部増えているんですね。今、子供の数、日本全体では減っている、減少しているわけなんですけれども、こういう特別支援教育を受ける子供は増えていると。特に、特別支援学級と通級による指導、ここがやっぱり増えているわけですね。通級指導というのはやっぱり、平成五年に制度化されたんですけれども、通常の学級にいて一部やっぱり特別な指導を受けられるというようなことが保護者も選択されるということかなというふうに思っています。こんな形で増えているんだよということですね。
 インクルーシブ教育という、場を、必ず場を一緒にするというようなところになってきますけれども、交流及び共同学習ということで、これはもうずうっと前から推進されています。特別支援学校とあと小中学校が学校間交流であったり、それから東京都は副籍と言ったり、埼玉の方では支援籍なんというふうな、籍ですね、言い方しているんですけれども、特別支援学校のお子さんが居住地の学校に行くというようなことがなされたりしています。
 ただ、やっぱりここのところの課題があって、じゃ、そんなにたくさん交流及び共同学習、交流の時間が持てているかというと、なかなか、例えば学期に一回程度であったりというようなことがあります。そこのやっぱり難しさというのは、周りの理解であったり、それからそういうそのようなお子さんが行くときにひっついていく人がいないとか、そんなような課題もあろうかなと思います。それから、ずっと言われているんだけれども、まあちょっとなかなか進んでいないかなというようなところがあります。
 これは文科省の方も交流及び共同学習のガイドなんというのを改訂して出していただいたりしているんですけれども、これも、何というんですかね、なかなかちょっと進んでいない状況があるかなと思います。
 ただ、特別支援学級は、同じ小学校、中学校の中にある学級ですので、そういったところでは、例えば給食だったり行事だったり、授業以外のところでも交流はしやすい状況にあります。
 それから、今回いただいているテーマがインクルーシブ教育ということなんですけれども、このインクルーシブ教育システムは、平成二十四年の、ちょっと長いんですけれども、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進という報告が中教審の初等中等教育分科会の方から示されて、これがやっぱり示されたときは、結構学校は、まあ大きいショックというんですかね、あっ、変わっていくんだなという状況ではあったんですけれども。この中でも、多様な学びの場ということで、特別支援学校や特別支援学級が必要ではないということではないんですね、必要ではないわけではないんだけれども、教育委員会とか上の方からあなたはここに行きなさいというふうに決めてそこに行くということではなくて、就学相談をきちんとして、保護者も合意した上で、合意形成に基づいて学校を選択していきましょうという動きがあります。
 ただ、そうはいっても、まだ全国ではなかなかそこのところが周知が進んでいなくて、保護者や本人とのやり取りがうまくいっていないというような部分も散見されます。
 これがそのときに変わった就学相談の仕組みで、ちょっと細かいんですけれども、要するに、簡単に申し上げますと、上から決めるのではなくて、早期から障害のある子の場合は相談を充実させていって、保護者と十分な合意形成を経て就学先を決定していきましょうと。その後、就学先を決定した後もなんですけれども、きちっと、転学したりとか、学びの場、柔軟な学びの場ということで、ここに示されているんですけれども、現状ではなかなか、例えば特別支援学級や特別支援学校に就学した場合に、その後またじゃ通常の、良くなったから通常の小中学校に行こうねというような動きは、全くないわけではないんですけれども、まだまだ状態として多いということではありません。この辺もちょっと、柔軟な就学相談の仕組みというようなところも大切かなと思っています。
 これ、ほかの県では、この就学相談に関わる方がやっぱりかなりいろいろスキルがないと、保護者ときちんとお話をしたりとか、いろんな場があるよとか先の見通しとかということを保護者ときちっと相談していくのに、そういった適切な人材がやっぱりなかなか配置されていないという状況は、この前のちょっと校長同士の集まりの中でもやっぱりそういった意見が出されました。
 それから、これが特別支援学校に就学する基準ですね。学校教育法施行令の二十二条の三という言い方を私たちしていますけれども、この中には視覚障害云々、聴覚障害云々というふうにあるんですけれども、今は、例えば医療的ケアの話がよくあるんですけれども、医療的ケアを受けていて、この基準でいったら特別支援学校に行くことが相当なんだけれども、例えば看護師さんを付けたりして小中学校に入っているですとか、車椅子でしたらバリアフリー、施設をバリアフリー化して通常の小中学校に行くとか、かなりそういったことは進んでいます。
 ただ、施設にしてもその看護師の配置にしてもやっぱり予算の伴うことなので、なかなかその予算がうまく、適切に人材配置とかにつながっていかないというようなこともあります。なかなか全ての学校に今エレベーターがあるという状況ではないので、車椅子のお子さんなんかも難しいなということもあります。ただ、視覚障害なんかの拡大教科書ですとか点字教科書の配付、そんなことはなされてきています。
 今ここに、就学相談における課題というのは今ちょっとお話をしてきたところなんですけれども、この保護者の意見、意向を尊重した就学相談というところがまだまだ、言われているんですけれども、実際、当事者の保護者の方々からは自分たちの意見がうまく聞いてもらえなかったというような話がよくあります。
 ただ、特別支援学校とか別な、多様な学びの場に行ったからすごく成長した、そこを選んで行くという方ももちろんいるわけなんですね。だから、特別支援学校とか特別支援学級、やっぱりそこが良かったということももちろんあるわけです。そこを選んで行くための専門知識のある相談員の配置だとか、こういったところが課題だというふうに思います。
 ちょっとこの辺はちょっと見ていただいて。
 それからあと、ここからはちょっと、今小中学校でこんな状況ですよということなんですけど、ちょっとこれは自分の学校の例を取ってきているんですけれども、例えば、今は発達障害のお子さんとか、通常の学級、通常の小中学校に国の方の調査で大体六・五%くらいはいるよねというと、一クラスに二、三人はやっぱり対象となる子供、発達障害と、はっきり発達障害と診断が出る子もいますけれども、出ない子もいます。そういう中で、学校ではいろいろちょっとレベルを考えて対応しているわけですね。
 ユニバーサルデザインなんというふうによく言われていますけれども、そういった授業の仕方で、まず先生が全員が配慮していこうと、それから、その後は少し支援員だとかボランティアとかそういったものを付けましょうと、それから、更にそれでもちょっと難しければ通級を活用しましょうとか、それから特別支援学級行きましょうとかと、そういうレベルがあるので、そういったレベルを、個別の指導計画を作って、特別支援教育コーディネーターが中に介在して、この校内委員会というところで進めていっています。
 ただ、この特別支援教育コーディネーターというのがかなりキーパーソンになるんですが、これは全然、今普通の教員がただそれを任命されているだけで、時間軽減だとか特別な人がこれに当たっているわけではないんですね。この辺がイギリスなどではもう特別支援教育コーディネーターとしてきちっと専任の人が配置されていたりして、まあなかなか、日本の場合だとコーディネーターが学級担任もしながらこのコーディネーターもやるというのはなかなか難しいねというような話はよくあります。
 それから、今言った分かりやすい授業を目指してと、一番ベースのところではこのユニバーサルデザインなんというふうに言われていますが、こういった形でやっています。ただ、これも、ユニバーサルデザインという言い方をしているんですが、アメリカとかできちんと法的な制度があったりというわけではありませんし、こういうことをするから予算が付くということでもないので、これも学校の今自助努力に頼っているというようなところです。
 それから、先ほど言いました障害者差別解消法の中で、合理的配慮というのはもうしなければいけないよ、提供しなければいけないよということなんですけれども、今学校でできている合理的配慮というのは、ちょっとノートにルビを振ってあげたり、一行物差しなんて言っているんですけれども、こんなことをしたり、ここは本当にこれぐらいだったら学校でできるかなというレベルのことなんですけれども、ただ、これすらもまだ保護者から言ってきたときに対応できないというんですかね、なかなか対応していない学校もあります。ただ、本当は、もう合理的配慮といったときに、保護者がこういうふうに言ってきました、じゃ、保護者、当事者も交えてきちんと相談をしてこうしましょうといったときに、調整に入る調停機関というものもちょっとはっきりしないなというのが現状であります。
 それから、これは校内の体制の、まあこんなようなのを、これも本当自分の学校ですけど、支援員だとかスクールカウンセラーとかボランティアとかいるんですけれども、これが制度としてあるところと、まだきちんと制度としてないところがあります。
 それから、こういった人をコーディネートしていくのも一つの役割かと思うんですけど、なかなかコーディネートする人材、さっきのコーディネーターのお話しましたが、学級担任をやりながらコーディネーターをするというのはなかなか難しいかなと思います。
 今こんなやって、あと算数少人数だとか、小学生、三十五人学級の話ももう進んできましたので、やっぱりより丁寧に少ない人数でやっていくとか個別指導とか補習とか、こんな体制も学校できちっと組織的にできればいいんですが、なかなかこれも組織的にできていない学校もまだあるというような状況です。
 それから、先ほどお話ししましたが、通級による指導というのは部分的に、例えば週に一回だったり二回だったりというようなことで指導を受けられる、発達障害のお子さんなんかが主なんですけれども、ということで、これはインクルーシブ、自分は通常の学級にいて、本当に時々通うという意味ではとても効果的かなと思っています。ただ、障害の程度が重いお子さんはやっぱりこの通級だけでは時間的には足りないということがあるので、特別支援学級、さらにはもっと専門的な教員や専門家のいる特別支援学校を選んで行くということも大事なことかなと思います。
 それから、障害のある子の場合、通常の小中学校で受け入れても、関係機関と連携していくことはもう非常に大事です。学校だけでやっぱり抱えていくことはできないんですが、こういった関係機関ですね、この辺もチーム学校としてどこまで今できているかなというところです。私の学校は、自分のところと関係する機関というものを把握しておいて連絡取ったりというようなことをしていますけれども、なかなかできていないというところもあります。最近は放課後等デイサービスを利用している方もすごく増えてきています。
 それからあと、当事者についてもなんですけれども、インクルーシブ教育を進めていくためには周りの子供の理解を進めていくということがすごく必要だと思っているんですが、なかなかこれも、障害者理解、障害理解というふうに言われていますけれども、系統的に学校でそういう教育が進んでいるとは言えない状況があります。これもすごく大事なことかなというふうに思っています。今、オリンピック・パラリンピック教育なんかでも障害者理解言われているので、そういうことと併せて、さらに周りのこの多様性を尊重する子供の育成ということも併せて必要かなと思います。ここもまだ進んでいないところかななんというふうに思います。
 ちょっとここは飛ばしますが、ちょっと最後に、コロナ禍における課題ということなんですけれども。ちょっと全国の校長先生全てではないんですけど、各地区の代表の方にちょっと特別支援学級や通級による指導を受けている子供の状態だとか課題を聞いたんですけれども、やっぱり子供の状態が落ち着かないとか学習意欲がなかなかとかというような状況が報告されています。
 ただ、特別支援学級の子が比較的通級による指導を受けている子供より状態が良かったというふうに校長先生は感じられているんですね。それはやっぱり、特別支援学級がしっかり多様な学びの場として子供にやっぱりきちっと対応しているからかなと。通級による指導を受けている子供は通常の学級にいるので、通常の学級でなかなか大勢の中でいろんな、何というんですかね、気持ちになったり、そこを担任の先生がなかなか全部サポートするというのは難しいのかななんというふうに思ったところです。
 これから児童生徒一人一人にGIGAスクール構想でタブレットが配付されますので、これを今後どういうふうに活用していくかというのは大変に大きな課題だというふうに思っています。
 以上で私の話は終わらせていただきます。

発言情報

speech_id: 120414324X00120210210_007

発言者: 山中ともえ

speaker_id: 15989

日付: 2021-02-10

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会