矢野和彦の発言 (文教科学委員会)
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○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
まず、図書館等関係者及び権利者からのヒアリングについてでございますが、今回の改正については、文化審議会著作権分科会におきまして、図書館等の関係者といたしまして国立国会図書館、日本図書館協会など計五団体、権利者といたしまして日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本新聞協会、日本漫画家協会など計八団体に対して御意見をお伺いしております。
図書館等の関係者からは主に、デジタル化資料の利用を希望する利用者が増加しており、今回の制度の見直しは図書館サービスの可能性を広げるものと考えられる、また、権利者の利益保護の担保を前提としつつ、利用者の利便性向上とともに、現場での運用基準の明瞭化による業務の円滑化と効率化を図ってほしいといった御意見がございました。
また、権利者からは、例えば、図書館から電子データの送信がなされると、電子データが利用者以外に拡散されることが懸念されるとか、将来を含めた市場に影響を与えるような利用の拡大については慎重であるべきなどの御意見を頂戴したところでございます。
また、想定される利用者及びその利用者からの意見の内容についてでございますが、図書館等の利用者として、若手研究者を中心に設立された図書館休館対策プロジェクトからも御意見を伺っており、研究上重要な文献、資料のデジタル化を進めることは、単なる利用者にとっての利便性の向上にとどまらず、学術研究の更なる発展向上にも貢献するものであり、高い公共性も有するといった御意見を頂戴しております。
法改正により期待される効果についてでございますが、こうした関係者の御意見を踏まえ、今回の図書館関係の権利制限規定の見直しを行ったところでございます。この改正により、デジタルネットワーク技術の活用によって図書館等が保有する資料を簡便に入手できるようにすることで、コロナ禍のような予測困難な事態にも対応し、時間的、地理的制約を超えた国民の知のアクセスを向上させ、また持続的な研究活動の促進等にも資するものと考えております。
海外からの利用の可否についてでございますが、海外からの利用の可否については、法律上、今回の図書館資料のメール送信等に関する送信先を国内に限っているわけではございません。しかしながら、個々の図書館等がその設置目的等に応じて送信先の範囲を判断することになるため、各図書館等によって異なってくるものと考えております。特に、公立図書館については、その設置目的や現行の複写、郵送サービスの利用実態を踏まえれば、基本的にその地域に居住する方々が主な利用者になると考えております。
次に、出版業界からの聞き取りの実施及びその影響についてでございますが、今回の改正案は確かに出版業界に大きな影響を与え得るものであることから、出版業界の皆様と随時相談し、御懸念の点の把握及び対応策の検討を丁寧に進めるとともに、文化審議会におきましては、出版業界を代表いたしまして、日本書籍出版協会、日本雑誌協会からヒアリングを行ったところでございます。
その際の御意見を踏まえ、改正案では、正規の電子出版等の市場を阻害しないよう厳格な要件設定を行うこと、データの不正拡散防止措置を講じること、図書館資料のメール送信等については補償金による対価還元を行うことなどの措置を講じることとしております。
今後の具体的な解釈や運用につきましては、文化庁の関与の下、出版業界の皆様を含めた幅広い関係者の御意見を丁寧に伺いながら、適切なルール作りを行ってまいりたいと考えております。
以上です。