尾身茂の発言 (予算委員会公聴会)
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○公述人(尾身茂君) 尾身です。本日は、このような機会を賜りまして、心よりお礼を申し上げます。
緊急事態宣言は、時期はともかく早晩解除されると思いますが、実は、解除されても、文字どおりゼロにすることはできないと思います。
本日は、ワクチンが多くの人に接種されるまでのしばらくの間に感染に強い社会をいかに構築していくかについて意見を述べさせていただきたいと思います。まずは現状の分析、その後、感染に強い社会をいかに構築するかについて私の意見を述べさせていただきます。
まずは現状の分析です。
この一年、私たちが学んできたことの一つは、恒例事業が感染拡大の契機になったということであります。実際、昨年、国や自治体がかなり前から、いわゆる時短や人の動きの抑制とともに、年末の忘年会などをなるべく控えるよう度々要請がしました。しかし、結果的には、結果的にはこのメッセージが社会に十分に浸透せず、忘年会などを契機に、まず比較的若い年齢層から感染が始まり、その後、世代を超えて高齢者などに感染が広がり、最終的には緊急事態宣言の発出となりました。このことを、この事実を社会全体が私はしっかりと認識することが必要だと思います。このことが、来るべき年度末に、歓送迎会、謝恩会、卒業旅行、宴会を伴う花見などを介しての感染を防ぐためにこの認識が重要だと思います。
さて、今回の緊急事態宣言は、言わば急所をついた対策でありましたが、多くの国民の方々の協力もあり、一定程度の効果は間違いなかったと思います。しかし、首都圏を中心に感染減少の下げ止まり、一部では微増の傾向が見られています。この下げ止まりには、少なくとも二つの理由が関与していると思います。
まず一つ目ですが、一年以上にわたる言わばコロナ疲れというものもあってか、緊急事態宣言期間内の現在でも既に高齢者の昼カラオケ、若者での会食を介しての感染がまた増えております。
二点目ですが、今回の緊急事態宣言発出の結果、飲食店でのクラスター感染は減ってきましたが、最近ではクラスターが多様化し、特に首都圏では、匿名性など、その特殊性のために、言わば見えにくいクラスター、つまり隠れた感染源が存在している可能性が否定できません。この隠れた感染源から高齢者、高齢者施設や家庭内に広がり、それで見えてきているようになっているわけです。
ところで、変異株が最近話題になっていますが、この変異株が現在の下げ止まりにどれだけ影響しているかは現在のところまだ正確には分かりません。これからの課題だと思います。研究の課題だと思います。
さて、次に、感染症に強い社会について少し述べたいと思います。
この感染症に強い社会の構築のためには、国や自治体が困難な問題解決のために率先して汗をかいていることを人々に知っていただくことが極めて重要だと思います。具体的には、人々の納得感と共感が得られるように、具体的な目標、数値目標も含めた具体的な目標を明示するなど、明確なメッセージを発信することが私は非常に重要だと思います。
まず、国や自治体に具体的に行っていただきたいことは、病床の更なる確保であります。そのためには、私は、三点、病床の確保のためには三点が重要だと思います。
まず一点目は、既存の病床を有効かつ弾力的に活用することであります。例えば、今四つ挙げますが、例えば、医療機関の役割分担を今まで以上に明確した上で、各都道府県が司令塔を決めて入院調整などを行うことであります。次に、既存の病床をゾーニングしてコロナ患者のICU病棟などをつくること。それから三番目は、コロナ患者を受け入れる病院を今まで以上に増加させること。それから、コロナ患者の受入れ状況を全体として、もう既にやっていただいていますけど、今まで以上に見える化することなどであります。
それから二点目です。病床の確保の二点目は、病床そのものを更に増加させることで、例えば、必要であれば臨時の医療施設の建設などが必要であります。
三点目は、施設を確保しても医療人材が足りないということが問題でありますので、これには国がリーダーシップを発揮して全国的な医療従事者の確保の仕組みをつくることが、今までも幾つか行われていますけど、これが急務だと思います。
次に、国や自治体に行っていただきたいことの二つ目は、いわゆるリバウンド防止であります。
リバウンド防止策の一つ目は、いわゆるサーキットブレーカー、サーキットブレーカーというコンセプトの下に、具体的には以下の三つのことをお願いしたいと思います。
まず一点目は、感染拡大の予兆が見られた場合には、いわゆるまん延防止等重点措置の活用も含め迅速な対応が必要だと思います。二番目は、感染リスクが高いと思われる集団、場所を中心に、軽症者、無症状者に焦点を当てた重点検査を強力に進めることが重要だと思います。さらに、変異株PCRの実施目標は現在のところ陽性者の五%から一〇%となっておりますが、迅速に対応するためにはこの目標を更に高くしていくことが重要だと思います。
次に、リバウンド防止策の二つ目としては、見えにくいクラスターの探知であります。このためには、都道府県は保健所設置市区との広域的な連携、この連携がいろんな様々な日本の地方分権ということもあって、なかなかうまく連携がなされていないことも時々ありましたので、この都道府県と保健所設置区との広域的な連携を通して、言わば深掘りの積極的疫学調査、つまり感染源を探るということですね、こうした深掘りの積極的疫学調査を実施していただきたいと思います。
さて、国や自治体に行ってほしい三つ目としては、重症化予防対策です。それには、高齢施設に対する定期的な検査の実施、さらに、感染者が一例でも確認された場合には自治体が、自治体などのいろんな部門と連携して専門の支援チームを迅速に高齢施設に派遣していただきたいと思います。
さて、感染症に強い社会を構築するためには、これまで述べてきたように、まず国や自治体が困難な問題、どんなに困難な問題であってもそれを解決するためにこれまで以上に汗をかいていただくことが私は求められると思います。このリーダーシップがあれば、多くの国民が感染症に強い社会を構築することに積極的に参加してくれると思います。
私たち一般市民の果たす役割も重要であります。私たち一般市民の間で、感染のリスクが低い行動と、感染リスクが低い行動と絶対に避けたい行動の区別をみんなで共有し、めり張りのある行動をこれから実践していくことが、めり張りのある行動を実践していくことが必要だと思います。
感染リスクが低い行動としては、三つ具体的に挙げたいと思います。感染リスクが低い行動としては、同居家族以外でいつも近くにいる四人での会食、また、人が混んでいる場所と時間を避けて行う例えば散歩、買物、映画、美術鑑賞など、これは人が混んでいる場所と時間を避けて行えればほとんどリスクはないと思います。それから、三密が生じないように工夫をした運動ですね、エクササイズ、ジョギング、テニス、野球などは、これはやってもリスクは低いと思います。
一方、絶対に守ってもらいたいこと、これはそんなに多くはありません。まあ、あえて言えば一言、二言で説明できます。それは、従来どおりの三密の回避と感染リスクが高い五つの場面ということだと思います。先ほど申し上げましたように、来るべき年度末において、花見を伴う宴会、卒業旅行、謝恩会、歓送迎会などはできるだけ今回だけは避けていただければと思います。
また、事業者の方々にも政府を通してお願いがございます。まずは、感染症対策に努力する事業者がお客さんから選ばれ、報われる仕組みを政府や自治体と連携して構築する必要があると思います。それから、お店では、換気、距離、お客さんへの注記、喚起を促し、などを促している飲食店をお客さんが、仕組み、お客さんが選択できるような仕組みづくりも重要だと思います。それで、こうした仕組みに実効性を持たせるためには、国、自治体、事業関係者が連携して優良事業者を正式に認定する制度というのも重要だと思います。また、人が集中しやすい催物、イベントなどを企画する場合には、場所や時間帯で人数制限及び動線の工夫などがお願いできればと思います。
最後に、この一年間、多くの人が経済的にも精神的にもつらい経験をしてきました。この感染症を文字どおりゼロにすることはできません。また、感染リスクをゼロにすることもできません。しかし、個人や社会全体がこれまで学んできたことを基にめり張りのある感染対策を実践すれば、医療、公衆衛生や社会経済活動が特段の支障を来さない社会を構築できると思います。それがすなわち感染症に強い社会であると思います。
コロナへの対応も二年目に入り、ワクチン接種も始まりました。高齢者や基礎疾患のある人に対しての接種が進めば、重症化予防も期待され、我々のこの病気に対する見方もかなり変わってくると思います。トンネルの先に少しずつ光も見えてきています。
どうも御清聴ありがとうございました。