除本理史の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(除本理史君) ありがとうございます。
 本当になりわいの再生というところが被災地の復興の鍵になりますので、その点が大変重要だということなのでありますが、なかなか、自然と非常に密接な関わりを持って暮らしてきた地域であるがゆえに、元のライフスタイルを取り戻すということはなかなか難しいというところが非常に大きなネックになっているのだと思います。
 先ほどおっしゃったように、今進んでいる施策というのは、今までの暮らしやなりわいの在り方というよりは、そこから少し外れたところで、工場の建設とか、それ自体は雇用を生んだとすればそれ自体意味がある、ないわけではないと思いますけれども、元の暮らしを取り戻すというところからすると少しずれてしまうという思いを当事者の方は持っておられると。もちろん、被災当事者の方も、そうしたいろんな補助金なんかを使いながら積極的に事業にチャレンジしておられる方、たくさんおられますけれども、ただ、そのことと自分たちの実感としてなりわいを取り戻せているかということとはまた少しずれがあるのかなというふうに思っております。
 特に、産業として成立しないようなレベルの農的な営みの位置というのが非常に大きかったわけですね。例えば自家菜園レベルのもの、あるいは、多少販売するぐらいで基本的には自家消費に回ったり親類で分配するだとかいったようなものですね、こうしたレベルの、日々の日常生活と切り離せないような農的な営みで、彼らにとっては、彼ら、彼女らにとっては、もちろんそれによって食品を買わずに済んでいるとか経済的な意味がありましたし、近隣で作物を交換することによって人間関係が成立するとかいろんなような意味があった。もちろん体を動かすということも非常に重要なことであります。
 そうした産業とは言えないようななりわいとしての農とか、生活の一部になっているような農業、それから、先ほど言いましたような山菜取りとかキノコ取り、これは学術上はマイナーサブシステンスとかと言われていまして、メジャーと対比してですね、お金を稼ぐ生業ではなくて、お金を稼ぐわけじゃないんだけれども、実はすごく重要な意味を持っていると。
 これは、例えば環境研究分野なんかであれば、教育的な価値だとか文化的な価値というようなものが非常に注目されていますけれども、そうしたものというのは、これ全く基本的には金銭を目的にしませんが、非常に重要な活動であった。こうしたものが断たれてしまっているということも大きな問題で、それが先ほど御紹介したあぶくまの山の暮らし研究所という活動の関心事の一つなんですね。そうしたなりわいの在り方あるいは山の暮らしの在り方を再建していくためには、今のこの山の汚染の状況だとなかなか難しくて、百五十年先を見なければならないというようなところなのかなと思っております。
 そういうこともありまして、帰還をするということも必ずしも簡単ではないので、単にその被災地域に帰還をするというところだけを目指すのではなくて、やっぱりその避難先で暮らしが成り立っていくというようなところに目標を置くというのもその方々の選択としては支えていくべきなんだろうなというふうに思っております。

発言情報

speech_id: 120415262X00120210316_167

発言者: 除本理史

speaker_id: 21499

日付: 2021-03-16

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会