大庭三枝の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(大庭三枝君) 御質問ありがとうございました。
 今の点は非常に重要でして、先ほど私がリベラル国際秩序の後退というところで特に今回は余り言及しなかったのが、これが、普遍的な価値ですね、多元的民主主義や人権保護といったことについての後退が起こっているという現実があります。これは、元々は欧米諸国の中で排外的な保護主義が台頭しているというようなことの議論として出てきたんですけれども、実はアジアにおきましても、非常に深刻な民主主義の後退がもう既に起こっておりました。
 タイはちょっと早くて、やはり二〇〇六年に当時のタクシン首相、このタクシン政権自体も問題があったんですけれども、タクシン首相がクーデターで倒されて、その後ずっと混乱が続き、そして二〇一四年に軍政が登場してからずっと軍政があり、そして選挙というものもされずにずっと二〇一九年まで来て、で、もうその選挙をやっても結局実質的にはその軍政のトップであった人が首相のままでいるという、そういうことがあります。
 そして、カンボジアは、選挙の前に野党を解体したり、無理やり解体したり、あるいは政権に批判的な英字紙をシャットダウンしたりというような非常に厳しい対応を取った上で、一応選挙を開催して、今のフン・セン政権が維持されているという、そういうことがあります。
 このように、アジアにおいてどうも人権や民主主義といったことの後退が起こっているという状況が見られるということは、もう既に、もうこのミャンマーの前から見られていたんですね。
 ミャンマーについては、今回のクーデター以前の話ですと、ロヒンギャ問題が、実は二〇一一年に民政移管といって、これは、新しい憲法の下で一応文民の大統領であるテイン・セインが大統領になった後、その後の方がむしろ人々のロヒンギャへの差別的感情というのが、表現の自由という波に乗ってむしろ深刻化したということで、民政移管自体の一定の評価はされながらも、ミャンマーの中でのロヒンギャ問題への状況についての非常に大きな懸念というのは国際的にも非常に強く見られたわけですね。
 でも、民政移管はしているので何とかなるかなと思っていたところにこの軍のクーデターというのが起こりました。これはミャンマーの国内を見ている専門家からすると、実は国内的な政治ロジック、政治的な文脈があって、その辺りは今日は時間の関係で割愛しますけれども、全体で見たときには、このようなもう既に二〇一〇年代を通じて起こっていたアジアにおける民主主義や人権の後退の一環としてこのミャンマーの問題を捉えることができます。
 それに加えて、コロナの対策というものに名を借りた権威主義体制の強化、国内の締め付けの強化ということが行われているという、そういう現実もあります。例えば言論統制、言論統制をどういう形でするかというと、コロナに関するデマを飛ばす、デマを、デマというか今の言葉で言うと言わばフェイクニュースですね、フェイクニュースを取り締まるという名目の下でその言論統制を強化するといったような、そういった動きが各地で見られまして、インドネシアでもこういったコロナ対策の名を借りて、それに乗ずる形で国軍の力というのが強まっているといった、そういった流れがあります。
 そういった大状況の中でこのミャンマーの話を見ると非常に興味深いのですが、ASEANとしての声明は、これは、とにかくミャンマーの人民のその利益というものに沿ってちゃんと原状回復しなさい。それから、ASEANは、目的の一つとして人権保護の推進や民主化の推進ということは既にうたっております。ですので、こういった元々の原則というものに立ち返りなさいといったような声明も出しています。
 ですので、ASEAN全体としてはこのような民主化や人権というものに沿った声明は出しているんですね。だけれども、各国の状況がそれとそぐわないという、そういった、いわゆる実態とその建前の乖離というものが既にASEANの中で生まれていて、それが一層広がる可能性、懸念があるわけです。
 なので、日本としては、先ほど私は打つ手が非常に限られているとは言ったんですけれども、ここは単にミャンマーが中国の方に行ってしまうとかそういう理解ではなく、やはりその長期の流れを見据えて、日本として、民主主義や人権というのは非常に大事で、それをちゃんと遵守するような形にすべきということを強く主張すべきだと思います。というのは、ミャンマーの中でも多くの国の中でもこういった強権体制へのデモはずっと続いているからです。
 以上です。

発言情報

speech_id: 120415262X00120210316_191

発言者: 大庭三枝

speaker_id: 11780

日付: 2021-03-16

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会