拝師徳彦の発言 (地方創生及び消費者問題に関する特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(拝師徳彦君) 全国消費者行政ウォッチねっとの事務局長を務めております弁護士の拝師と申します。
 私は、元々、このデジタルプラットフォーム、以下、DPFと省略して言わせていただきますが、このDPFとかITとかの方面には余り詳しくないんですけれども、今回、消費者庁がDPFと消費者との関係での規制をするということですので、他の消費者団体の皆さんとも一緒に勉強して、ウォッチねっととしてもDPF規制に関する意見を出させていただいております。意見の方は、事前に配付させていただいた意見書を御参照いただければと思います。
 今日の私の話は、当日配付させていただいた一枚目の発言の骨子に記載してある順番に従って発言をさせていただきたいと思います。
 まずは、現在のDPF市場の課題について触れさせていただきます。
 このDPFの問題ですが、今、経団連さんからもお話があったように、コロナの影響もあって非常に消費者に近いものになっていると。非常に利用が拡大しているということで、大変身近な存在になっているわけでありますけれども、他方で、非常に分かりにくい問題だろうというふうに思っています。その要因としては、そもそもの仕組みの複雑さとか、その秘匿性とか、いろいろ要因はあるんだと思いますが、個人的には、やはりDPF事業者の責任とか役割の曖昧さに起因する部分が大きいのではないかというふうに思っております。
 この責任とか役割の曖昧さということですけれども、要するに、トラブルが発生したときにDPF事業者がどこまで関与すべきなのか、あるいはどこまで責任を負うべきなのかというのが消費者にとってはよく分からないと。あるいは、トラブル予防、防止のためにDPF事業者が何をすべきかというのがよく分からないということです。しかも、現状は、トラブルが発生したときにDPF側の対応がまちまちであるという状況ですので、消費者からすると、DPF事業者がどのような立場にあるのか、あるいはどのような役割を果たすべきなのかという点についての認識が混沌としているんだろうというふうに思っております。
 この辺のルールをきちんと整理をしてDPFの役割、責任をしっかり果たしていただかないと、消費者は、DPFで取引するときには、場合によっては一か八かという、ひょっとするととんでもない業者に当たってしまうかもしれないという覚悟で取引に臨まなくてはいけないということになりかねません。そのようなことでは本当にデジタル市場が健全に発展していくんだろうかという疑問を持っております。
 次に、クレジットカード規制とDPFについて少し触れさせていただきたいと思います。
 もう十年以上前のことになりますが、クレジットを規制している割賦販売法という法律の改正運動に私関わったことがございます。平成二十年改正と言われる大改正につながった大きな運動でした。
 なぜここでクレジットの話を持ち出すのかといいますと、クレジットとこの法案で対象になっている取引DPF、よく似た側面があるんだろうというふうに思っています。すなわち、いずれも加盟店との提携関係を前提にするシステムであるということ、それから、取引のシステムそのものをクレジット会社あるいはDPF事業者側が構築して、そのシステムを消費者が利用することで事業が成り立つ、そういう仕組みになっていると、これらの点で両者の構造というのはよく似ているんじゃないかというふうに思うわけです。
 この平成二十年改正のときに、割賦販売法改正運動という消費者運動の際、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会のメンバーでイギリスに視察に行きました。なぜイギリスに行ったのかと申しますと、実はイギリスでは、クレジットカードについて、クレジットカード会社が何かあったときに連帯責任を負うと、そういう法的なルールになっていると。要するに、カードで買物をして商品に何か問題があったと、で、販売業者がきちんと責任を取ってくれないという場合にはクレジットカード会社が補償をしてくれると、そういう仕組みになっているということなんですね。ですから、イギリスの消費者団体の方は、消費者に対して、高い物を買うんだったらクレジットカードを作った方が安心だよというふうにアドバイスをするというふうに聞きまして、大変驚きました。
 こうした手厚い消費者保護ルールが導入されている結果、イギリスではクレジットカードの利用が極めて盛んになっているというふうに当時聞きました。クレジットカード会社が加盟店をきちんと管理し、消費者に対して法的な責任を負うことで、消費者団体までが言わば宣伝役となってカード市場が発達していくと、そういうことになっているわけです。
 逆に、加盟店管理がきちんと行われずに悪質加盟店が増えれば、消費者団体はカード利用を控えるように啓発することになると思います。そうすると、カード市場というのは発展していかないだろうと、そういう関係になると思います。
 翻って、このDPFの関係ですね、デジタルプラットフォームの関係についても同じだと思うんですが、DPF事業者が一定のルールの下でしっかりとその役割を担って消費者保護をやっていくということになれば、事業者も消費者も一丸となってデジタル市場の発展に力を注いでいくということになるだろうと思いますし、逆にきちんとした役割を果たしていただけないということになると健全な発展にブレーキが掛かっていくと、そういうことになるのだろうというふうに思います。
 ちなみに、我が国の割賦販売法の規制が十分なものかどうかというのはここではおくとして、この割賦販売法上の例えば加盟店調査義務であるとか、後で触れます加盟店情報交換制度、こういう悪質加盟店を排除するルールとか制度というのはそれなりに機能してきているというふうに思っておりますので、今後の取引DPF規制においても参考になるのではないかというふうに思っております。
 次に、本法案の評価について申し上げたいと思います。
 今回審議していただいている法案は、私たちが本来求めているDPF事業者の責任、役割からするとまだまだ不十分な部分もあるのかなというふうには思っておりますが、少なくとも、例えば三条ないし五条においてDPF事業者の責任、役割を明確にし、消費者保護のために一定の役割を果たすべきことを求めているという点で健全なデジタル市場の発展に向けた大きな一歩であることには間違いないだろうというふうに思っておりますので、この法案については是非今国会で成立させていただければというふうに思っております。
 以下、残された課題のうち重要と思われるものについて意見を述べさせていただきます。
 なお、衆議院では既に十四項目にわたる附帯決議が採択されているというふうに伺っております。これらについてはいずれも私も賛成の立場であるということを申し添えさせていただきます。
 具体的な要望事項、法案の課題について申し上げます。
 まず一つ目は、危険商品の流通について、これは法案の四条関係になるかと思います。
 残念なことに、現在のデジタル市場には、消費者の生命、身体を害するような危険商品であるとか、あるいは法に触れるような違法な商品が流通しているというふうに聞いております。この点、今回の法案では、取引DPF提供者に対して一定の要件の下で出品削除等の要請ができるというふうにされておりますので、一応の手当てをしているということになっております。
 ただし、取引DPF提供者が独自で危険商品等についての情報を入手するという場合もあり得ますので、そのような場合には、取引DPF提供者から販売業者にきちんとその旨の情報提供をするように義務付ける必要があるのではないかなというふうに思っております。
 また、危険商品の流通については、事業者対消費者、BツーCであっても、消費者対消費者、CツーCの取引であっても、速やかに対応すべき必要性の高さというのは同じだと思います。ですから、今回の法案ではCツーCの関係は入っておりませんが、まずはCツーCを取り扱うDPF事業者についても押しなべて任意の協力には応じていただいて、任意の協力にやはり応じていただけない、協力していただけないDPF事業者というのがあるということであれば、次の見直しの際にCツーCの方も法律で取り組んでいくべきだろうというふうに思っております。
 それから、(二)の悪質加盟店情報の共有についてでございます。
 現在のDPF業界では悪質加盟店に関する情報共有システムができていないというふうに聞いています。あるDPF上で問題のある取引をしている業者、当然ほかのDPFでもやる可能性があるわけですから早めに排除しなくてはいけないと思うわけですけれども、その情報がほかのDPFの方に流れてこないということになると、あちこち転々とされて荒らされてしまうということになると思います。
 ちなみに、クレジットの世界では、かつて任意の加盟店情報の交換システムがあったんですけれども、余りうまく機能しなかったという経過がありました。このために、割賦販売法という法律できちんと法的に位置付けて、認定割賦販売協会という枠組みをつくって、これによる加盟店情報交換制度という形で制度化をしました。
 DPF業界についても、まずは官民協議会での検討事項ということになるかもしれませんが、ここできちんと検討してやっていただければそれでよいのかと思いますが、仮にDPF事業者が自分たちでこのような仕組みを構築できないということであれば、やはり法律で、悪質加盟店情報について情報交換する制度をきちんと法的枠組みをつくって、法律がリードしていくということがあってもいいのではないかなというふうに思っております。
 その際の要望ですけれども、適格消費者団体等、消費者側にも悪質加盟店に関する情報を提供できる仕組みにしていただけると有り難いと思っております。
 それから、(三)の不正レビューの関係です。
 先ほど経団連さんからも御意見がありまして、全く同じ意見でございます。
 この消費者レビューについては、消費者からすると、単に商品購入の際に参考になるというだけではなくて、消費者が他の消費者のために正しい情報を伝えることで、消費者同士が協力し合いながら消費者の権利を実現していくという重要な意味合いがあるというふうに思っております。これがきちんと運用されれば、デジタル分野における消費者市民社会の進展にもつながっていくのではないかと期待をしているところです。
 ところが、現在の消費者レビューは、先ほどもお話があったように、当該販売業者自身あるいはこれに指示された者が自社に都合のいい、あるいはライバル企業を追い落とすような書き込みをするということが横行していると聞いておりまして、非常に残念に思っております。
 このままでは本当に優良な販売業者についての高評価のレビューも信用されなくなってしまい、正直者がばかを見るというようなことになってしまうおそれがあります。そういう状況になってきますと、そもそも正しい情報を記載しようという消費者もいなくなってしまって、消費者レビューがあたかもうその代名詞というようにやゆされるという事態になりかねないというふうに危惧しております。
 こういうことにならないように、不正レビューについては厳罰をもって臨むべきだろうというふうに思いますし、DPF事業者も消費者レビューの適正性確保のために調査、協力する義務を負うべきだろうというふうに考えております。この点については、次の法改正を待たずに早急に検討していただきたいというふうに思っております。
 それから、(四)ですね、外国執行当局との情報交換について申し上げます。
 DPF事業者の大手は国際的に事業を展開しておりますし、販売業者の方もしばしば国をまたいで取引するという状況になっております。このため、海外の執行当局が持っている情報を共有するということも非常に重要だろうというふうに思いますが、本法案ではこの部分について対応されていないのではないかというふうに思います。もちろん、今国会に別途法案提出されている特商法、預託法の改正法案に実はこの点盛り込まれておりますので、通信販売の枠組みで海外の執行当局と情報共有するということは可能なわけですけれども、取引DPF提供者が関係する情報については端的に本法に基づいて情報共有できる仕組みにしておいた方が直截でよいのではないかというふうに思いますので、行政処分の導入と併せて今後の課題としておいていただければというふうに思っております。
 最後に、行政サイドの体制強化についてお願いがございます。
 先ほどからもお話に出ておりますように、デジタル市場が大きく進展しつつある中で、その実情をタイムリーに把握し、消費者保護の観点から対策を講じ、必要に応じてその執行をするという行政の役割はますます重要になっていくと思います。
 しかし、現実にはマンパワー非常に不足しているというのが現状ですので、この辺についての人的、財政的手当て、専門的人材の育成も含めてお願いしたいと思います。また、地方の消費生活センターでそういう情報を吸い上げるということになりますので、こちらについても今まで以上に手厚い財政支援、人的支援をお願いできればと思います。
 私からは以上です。

発言情報

speech_id: 120415328X00520210421_005

発言者: 拝師徳彦

speaker_id: 2015

日付: 2021-04-21

院: 参議院

会議名: 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会