黒川清の発言 (原子力問題調査特別委員会)
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○黒川参考人 私はこの分野の専門ではありませんので、結果として日本の組織の関係に関わっていることだなと思います。
最近かなり考えているんですが、例えば、三菱銀行に入ります、十年、十五年すればそれなりのバンカーですよね、住友銀行に移れますか、非常に移りにくいですよね。では、東京大学でマスターも取って、工学部ですね、エンジニアになります、日立に入ります、十年、十五年もすれば相当なエンジニアですよね、その人はパナソニックに移れますか、非常に移りにくいですよね。そんな国がありますか、移れない国。世界中にあるかという話を聞くと、役所の人は、ありませんねと。ではどうしてそうなんだという話をするんですけれども。
そうすると、横に動けないことが常識だと思っているだけの話で、それで三十年前までは経済成長していたからだと思います。つまり、忖度男しか上がらなかったんですよ。今の上の人たちも、よそに動けないので、結局、大会社のトップになっても自分で決めたことがないんですね。だから、今GDPは全然増えていないですよ、この三十年間。つまり、自分で決めたことのない人が幾ら上に行ったって決められないんです。しかも、企業が何か困ったときに霞が関に行くんですよ。こんなことがアメリカやイギリスであると思いますか。
だから、そこに日本の何か慣れというか、たまたま三十年前までうまくいった理由は何かといえば、冷戦という枠組みがあって、冷戦の枠組みの一番のフロントは日本とドイツだったわけですよ。そのときに日本は、幸か不幸か、日本が引き揚げた朝鮮半島でまず戦争が起こったものだから、一気にアメリカが来て基地をどんどん増やしたわけですよね。本当に韓国の人たちがかわいそうだと思って、日本が引き揚げた途端に冷戦の枠組みで戦争し合ったわけでしょう。これがようやっと終わったと思ったら、次、ベトナム戦争が始まったわけですよ。またアメリカのフロントは日本とそれからフィリピンですよね。それで日本はすごく経済成長したわけです。
アメリカのGIさんが来て、新しいラジオとかテレビを持ってくると、それを見て、ちいちゃく軽く安くするというのは日本人は得意なんですよ。それで、貿易で調子に乗ってきて、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるとばか売れしちゃうんですね。
あのとき、エズラ・ボーゲルさんは、ジャパノロジーじゃないんですけれども、たまたま日本に、中国へしょっちゅう行っていましたけれども、行っているうちに日本のことを研究しようと思って、日本に何年もいていろいろなインタビューをして、これを書いたらばか売れしたんですね、また。だから、日本はおだてると調子に乗るんだということが結構分かっちゃったということがあるんです。
ですから、なぜこの三十年間は経済が上がっていないのかということを考えてください。それまではそういう枠組みで、だから、忖度していれば上がれただけなんですよ、私に言わせると。だから、この三十年、ベルリンの壁が落ちて冷戦が終わり、冷戦が終わっていわゆるDXというふうになったわけですけれども、今頃DXなんて言っていることが時代遅れで。これは三十年前ですから。
だから、そういう意味で、日本が全然成長していないところに、これは財界の問題ですけれども、これは明らかに、今度東電の会長になった小林さんが言っていましたけれども、こんなのは政府の政策とかそういう問題じゃなくて財界の問題だと言っていました。財界が駄目だからGDPが増えないんですよ。だから、そういうところでみんな何か閉塞感があるのが今だと私は思っています。
だから、これをどう変えるかという話が非常に大事な問題ですけれども、将来の人たちがやるよりしようがないのかなというのが私の感想です。
ありがとうございます。