木村真三の発言 (原子力問題調査特別委員会)

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○木村参考人 それでは、お話しさせていただきます。
 まず、原子力規制委員会の適格性について、皆さん、論じたいと思います。
 原子力規制委員会及び原子力規制庁の立ち位置が、原発は経済活動に必要というもの、つまり、原発をスムーズに稼働させることを当然の前提としている機関であるということです。米国のNRCも同じ立ち位置です。
 実際、規制委員会の履歴を見ていけば、原発を積極的に推進してきた委員が多数を占めており、これまでの新規制基準の下での適格性審査や老朽原発の延長申請について、全て、適合、適格で許可を与えてきたことからも分かります。電力会社は、原子力規制委員会に申し出ればその望みの結果が得られるとたかをくくっていることは確かです。
 その意味で、原子力規制委員会の原発の適格性審査に対する中立性や市民性を満たしているかどうか、その適格性には大いに疑問が残ります。原発は必要であるとして、稼働させるための審査であって、稼働させない審査ではないというのが現状でございます。
 続きまして、規制委員会の検証審査機関の必要性というところを論じてまいります。
 原子力規制委員会は、準立法、準行政、準司法機関としての位置づけであり、立法権、行政権、司法権の行使において瑕疵がないかを審査する機関が必要です。つまり、規制委員会が行った決定の当否、それによる権力行使の正邪、第三者として下す判断の誤りなどについては、監視、審査、勧告を与える検証審査機関を備えねば、独走しても歯止めが利かなくなるという可能性がございます。
 こういった点から申し上げて、実際に規制委員会自体としての独立性というものを踏まえた上で、きちんとした第三者機関がそれが正しいかどうかを考えていくということが重要になろうかと思います。
 こういったことを前提に置いて、これから申し上げます問題というのを原子力規制委員会ではこれまでほとんど検討されてこられませんでした。現場に即して具体的に俎上に上げてもらいたいと思います。
 まず一つは、福島第一原子力発電所事故において、福島では、除染によって線量が下がったというのはもちろんございます。それは、農地と宅地の一部。
 森林は、ウェザリング効果と呼ばれる、気象現象を含めて、効果で下がってまいりました。それはほとんど、特に、ここで申し上げますのは、ウェザリング効果としての森林の部分です。それは、短寿命核種と呼ばれる放射性物質、非常に線量が高かったものが一気に下がっていく現象、そこを取り込んでしまえば明らかに事故当初からいえば低くなっていますが、半減期が比較的長いセシウム134、また、半減期が三十年というセシウム137においては、それでは説明がつきません。
 なぜならば、これは植物の三大栄養素と呼ばれる窒素、リン酸、カリ、そのカリウムの同族元素としてセシウムが存在します。このセシウムとカリウムの植物は見分けがつきません。そのため、栄養素としてセシウムを吸収、濃縮していくということになります。その結果として、成長点に集まって、それが落葉や落実となって地表面に落ちていく、放射性物質が森林の場合では常に地表面に蓄積されているということになってしまいます。
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 こういったことが実際には森林の中で行われていますし、中山間地域、福島県は約七割の山間部になっております、そういったところでは除染の効果というのは非常に限定的であるということです。こういったような、除染によっての劇的な線量の低下というのは考えにくいものです。実際、チョルノービリでも同じようなことが言われております。
 続きまして、甲状腺がんについてちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 こちらに述べる、ベラルーシ共和国ブレスト州における甲状腺がんの推移というグラフがございます。
 その前に、ベラルーシ共和国というところでチェルノブイリとの位置関係を見ていただきますと、お分かりにもなりますように、ブレスト州というのは、汚染の比較的強い部分から弱い部分、ほとんどないというところまでを含んでいる状況です。これはヨウ素131という半減期が僅か八日間という非常に短い半減期のものの汚染地図でございますが、こうした汚染の中で暮らす人々の中に、以下のような甲状腺がんの推移というものが見えてまいります。
 この甲状腺検査というのは、チェルノブイリの原発事故前から行われております。それは、ベラルーシ共和国というのは内陸性であって、大きな、海もなく、河川のみしか存在しませんので、ヨウ素の欠乏が見受けられる、ヨウ素欠乏症ぎみの地域であるということがございます。そういった観点から、甲状腺疾患を抱えた国民が非常に多うございまして、それに対しての検査ということで、新生児からの検査を行っております。
 その結果として、事故前から見ていってもお分かりのように、事故から数年たってから子供の甲状腺がんが出てくるということになっています。その子供の甲状腺がんが徐々に増えていくところで、ベラルーシと米国との協定によって甲状腺検査が更に進められた結果、急激な上昇が見られるようになりました。
 このように、時間を経過していくと、小児から、こちらにお示ししておりますように、思春期の甲状腺がん出現者が増えてまいり、最終的には大人へ移行します。
 実際、二〇〇二年からは、このブレスト州では、移動検診車によって、穿刺吸引細胞診といって、疑わしい部分の、甲状腺部位にあるがんとおぼしき部分に対して針を刺して細胞診を行うということをしてまいりました。その結果、思春期から、さらには大人の人たちへの甲状腺がんが非常に増えてきていることが明らかとなりました。
 実際に、事故から三十年たった二〇一六年には二百六十三人、翌年、二〇一七年には三百十人というふうに、現在も甲状腺がんの出現者が増えてまいります。
 このように、原発事故というものは長期にわたる影響があるということを、皆さん、御理解していただきたいと思います。
 続きまして、三枚目の記事なんですが、原発へのミサイル攻撃というふうなタイトルにしておりますが、実は、皆さん、日本では報じられていない情報です。これは、私もネット検索でいろいろ探したんですが、一切出てきません。
 ちなみに、私のところには、今年の四月五日に政府専用機で来日したウクライナの避難民を私が預かっております。その避難民から直接私のところに、今日こういう話をするんだという話をしたところ、六月五日の情報を知っているかという話を言われるので、私は知りませんということになると、その方から実際に情報を、これはウクライナ語で書いてあるんですが、二〇二二年六月五日午前五時半、ユジノウクラインスカ原発の上空をロシアから発射されたミサイルが超低空で飛行し、原子力災害や河川の放射能汚染を引き起こす可能性があったという記事が報じられており、それはアメリカの三大ネットワークであるCNNも大々的に報じました。
 こういったことが、日本の中での情報の中で埋もれてしまい、出されていない。こういう危機感を、じゃ、誰がどう判断していくのかというところの問題点というのは十分考えないといけません。
 原子力規制委員会は、本来、環境と人体への影響を議論すべきところでありますが、そういったところよりも、技術的な部分しか述べておりません。こういったような状況の中で安心して暮らせる世の中を構築していくためには、きちんとした情報を入手し、かつ、それを判断していく機関としても動かなくてはいけないと私は思います。
 原発事故が起きた場合、実際、その影響というのは十年や二十年では収まり切れない常識があります。それにもかかわらず、僅か十年という形で東京電力福島第一原子力発電所事故は矮小化されました。影響はほとんどないという原子放射線に関する国連科学委員会の報告をうのみにすることなく、長期的影響を考えていかないといけないというのは、私が示したベラルーシの現状を見ていただくとお分かりと思います。
 まして、ウクライナへのロシアの侵攻により、原子炉への攻撃が起こる可能性が出てきました昨今、地震、火山などの自然災害にとどまらず、こうした議論をし、その安全性を議論すべきではないでしょうか。
 また、自然災害や戦争、テロリズムによる重大事故に対し、原子力規制委員会は、国際原子力機関が採用している深層防護、第一層から第五層の考えでいえば、第五層に当たる避難計画を適合性審査の対象に組み入れていないということも重要です。こうした議論を原子力規制委員会は真摯に受け止め、国民の安全を守るための議論をするように強く求めます。
 以上です。(拍手)

発言情報

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発言者: 木村真三

speaker_id: 22774

日付: 2022-06-08

院: 衆議院

会議名: 原子力問題調査特別委員会