荒井美由紀の発言 (厚生労働委員会)

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○荒井参考人 日本製薬団体連合会の荒井でございます。
 本日は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する日薬連の考え方を御説明する機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私からは、本改正案に賛成の立場から、主に三点、一つ目は緊急承認制度の創設、二つ目として安全対策、三つ目としてGMP調査など各種特例措置についての考え方を申し上げたいと思います。
 まず、緊急承認制度の創設についてです。
 製薬企業は、グローバルな競争環境の中で、どうしたら必要とされる方に迅速で的確にお薬を届けられるか、そして適切に使用いただけるかということを日々考えております。いろいろな要因はありますが、日本で新薬を開発、供給するため、他の先進国と同様の予見性の高い薬事承認制度を持つことが国際的な競争環境下では大変重要だと考えております。
 私は、昨年の厚生科学審議会制度部会において、米欧の緊急時の薬事審査制度を参考にしながら、本制度案についての議論に参画してまいりました。今回の緊急承認制度の創設は、まさに日本が米欧と比肩する薬事制度を有することになると大変評価しております。
 新型コロナウイルス感染症では、海外で既に承認、許可されている医薬品が日本で現行の特例承認制度を使用して実用化されていますが、国内での治験の要否の検討を行うなど、承認審査のためのデータ収集や手続が慎重に行われ、一定の時間を要したことは御承知のとおりです。医薬品等の承認に当たっては、人種差や医療環境の違いなど様々な要因を考慮する必要はありますが、急速に拡大する感染の中で、この緊急時に、どの程度厳密に、外挿ではなく日本人のデータを確認する必要があるかということは、緊急時のリスクとベネフィットを踏まえ十分考える必要があるというふうに思います。
 また、特例承認制度は、日本と同水準の薬事制度を有する国の承認、許可が前提です。例えば、日本あるいはアジアなど特定の地域だけでの感染症流行で、欧米で開発がなされない場合、通常の制度での開発、申請、承認となり、供給まで一定の年月が必要です。したがって、日本国内で開発が先行した治療薬やワクチンを早期に国民に供給可能とするために、緊急承認の枠組みを設置していくことは大きな意味があると考えています。
 対象範囲も、ワクチンを含む医薬品、診断薬、医療機器、再生医療等製品と広く取られています。より精密又は簡便な診断薬、緊急時の医療環境にあっても投与しやすいデバイスなど様々なものが開発される可能性もあることから、法律に記載されていないため適用除外ということにならないよう、緊急時であることに鑑み、法律では広く制定し、政省令や運用通知で細かい規定を設けるなど、柔軟に対応できるようにすることが肝要です。
 開発に当たっては、これまでも、規制当局と対面、オンラインを通じて開発計画を相談させていただきながら進めてまいりましたが、今回想定されている緊急時というのは、バイオテロや核など様々な有事が想定されており、有事であればなおのこと、規制当局と製薬企業が開発から市販後までシームレスに、かつ迅速に相談できる環境を構築しておくことが重要と考えています。例えば、行政側であらかじめ緊急承認制度の運用基準においてお示しいただくなど、平時からの産業界とのコミュニケーションを一層密にしていくことが有事の備えにもなると考えております。
 加えて、デジタル技術の飛躍的な進展に伴い、様々な方法で取得されたリアルワールドデータを承認審査の中で使えるようにしていくことが重要です。先行して欧米では承認への活用事例が出始めていると聞いていますが、今後、日本が世界に先駆けてリアルワールドデータによる薬事承認をリードしていく意気込みで取り組んでいくことが重要と考えています。
 二点目は、安全対策について申し上げます。
 安全な医薬品を患者の皆様にお届けするのは、製薬企業として当然の責務です。緊急承認制度により、仮に平時よりも少ない治験データで薬事承認が可能となったとしても、安全性をおろそかにすることは当然許されません。少ないデータだからこそ、有効性、安全性共に、より一層の細心の注意を払って治験に取り組んでまいる所存です。
 申請後も並行して検証試験を実施するとともに、市販後には、安全性監視策として、市販後調査、医師、薬剤師、患者様からの自発報告を受け、さらにリアルワールドデータの使用も選択肢の一つとして、多角的に情報収集し、解析し、審議会での専門家による評価もいただきながら、タイムリーに安全対策上必要な注意事項を添付文書の使用上の注意に反映し、医療現場に伝達し、最小化を行います。
 他方、緊急時には、医療機関でないところでの使用や医療従事者のリソースの逼迫もありますので、平時のように企業の医薬情報担当者による安全性情報の収集は困難となることも予想され、十分な配慮が必要です。今後、品目特性、使用状況を考慮した上で、安全管理情報の収集の仕方について官民で一緒に考えていきたいと思います。
 将来的にリアルワールドデータを一層活用していくことは、安全対策の更なる強化の観点から重要です。緊急時に、同時に多くの国民、患者様に投与されることが想定されるため、例えば、現在のマイナンバーカードを活用した医療データ連携を更に進めるとともに、様々な患者情報データベースを連携して、市販後安全対策に有効活用していくことも必要ではないかと考えております。
 加えて、緊急承認制度では安全性の確認を前提としておりますので、健康被害が発生した場合には、速やかに、独立行政法人医薬品医療機器法等に基づき救済を行うことも重要だと考えております。
 三点目に、本改正案では、GMP調査や国家検定、容器包装等への表示を承認の要件としない特例措置が設けられております。
 GMP調査等の各種調査は、一定の時間を要し、審査期間短縮の律速にもなるため、これを承認要件としないことで、供給の早期化につながります。ただし、企業では各種基準を遵守して実施し、いつでも調査可能な状況を整備しています。
 昨今、品質の問題が相次いで報告され、医薬品の安定供給に支障を来すとともに、業界全体の信頼を大きく失墜することとなりました。日薬連としましても、このような特例措置を設けていただく以上、一層の緊張感を持って、ガバナンス、コンプライアンスの徹底を図り、国民、患者様の信頼を回復できるよう、業界一体となり品質確保、安定供給に取り組んでいく所存です。
 最後に、製薬業界の使命は、有効で安全な医薬品を創出すること、人々の生活に欠かせない高品質な医薬品を製造し、安定供給を維持することです。今般、新型コロナ感染症において、国産ワクチン、治療薬を期待する多くの声を頂戴しておりまして、政府から多大なる御支援をいただきながら、製薬企業は懸命に開発に取り組んでおります。日本が世界に冠たるパンデミックからの救い手として、ひいては真の意味での健康大国となる礎として、製薬業界は貢献していかなければならないと考えております。
 生命科学の進歩に加えて、ここ数年のデジタル技術の進歩は特筆すべきものがあります。これらの技術は、創薬から臨床開発、薬事承認、製造、流通、情報収集、提供という医薬品のバリューチェーンを一層高度なものに革新し得る可能性を持っています。一方、医薬品のバリューチェーンのエコシステムの枠組みは、民間だけで構築できるものではなく、官民一体となって構築していく必要があります。本改正案はそのための第一歩となるものであり、できるだけ早い施行を期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上、簡単でございますけれども、今回の改正法案に対する私どもの認識でございます。
 御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 荒井美由紀

speaker_id: 29769

日付: 2022-04-12

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会