小沢樹里の発言 (国土交通委員会)
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○小沢参考人 よろしくお願いいたします。
私は、一般社団法人関東交通犯罪遺族の会の小沢と申します。
本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、二〇〇八年に、平成二十年、飲酒運転による交通事件により、義理の両親を亡くし、双子の弟妹が二人とも高次脳機能障害、PTSD、弟に関しては下半身麻痺という後遺症を負った遺族です。
交通事故により、死亡事案、後遺症事案、当事者家族として、交通事故に対して多角的な視点で見てまいりました。裁判では罪名が三つ、四人の加害者と刑事事件だけで五年間、裁判に関わりました。命の貴さ、また生きていくことの苦しさ、さらには支えていく家族の苦しさやもどかしさを知っている家族であると思っております。だからこそ、遺族、後遺障害に偏る支援ではなく、どちらにも支援が行き届く、そのような仕組みが国土交通省におきましてしっかりと構築されることの必要性を感じております。
これまで遺族団体として多くの被害者の方との接点を持ってきた中で感じたことを踏まえまして、本日は意見を述べさせていただきたいと思います。
多くの被害者や遺族の方とお話をさせていただく中で、具体的なニーズといたしまして、被害者や遺族として当然抱く喜怒哀楽の様々な感情を外に出せる場所が欲しい、このような日常の急激な変化、そして、同じ家族であってもどのように接していいか分からないなどといった、さらには、通常経験することもない裁判への対応など、様々な支援の必要性を感じてきました。このため、遺族団体としての活動では、当たり前のことを当たり前に安心して聞ける団体を目指して、活動してきたところでございます。
こうした取組を続けていく中、被害者や遺族が当たり前のことを当たり前にすることができる社会を実現するため、関係省庁などへの要望を行ってまいりました。
国土交通省に対しましては、一昨年秋、当時は赤羽交通大臣でございましたが、団体として直接御要望を伝えさせていただく機会もございました。大臣というお立場でもありながら、遺族の支援や理解を同じ目線で寄り添って聞いていただきました。また、国土交通省の職員の方の多くが非常に交通事故にも被害者救済対策にも強く関心を持ってくださっていたことに、驚きとともに、大変感謝をいたしました。
そうした中で、国土交通省におけます被害者支援のあり方の検討会にも委員として参画をさせていただくようになりまして、自賠責制度における被害者支援、事故防止について、具体的な内容につき、その財源をめぐる状況についても認識したところでございます。
その中で、支援の事業の内容につきまして、被害者、遺族支援、事故防止の両輪の体制で充実していただきたいと強く願います。交通事故による被害に遭った被害者や遺族への支援の充実、これらは大変重要な課題です。そして、同じ思いをする方を一人でも減らしていただきたい、これが何より重要であると感じております。
私自身は遺族団体の代表をしておりますので、まず、遺族の観点から伝えさせていただきます。
具体的には、自賠責制度における支援内容として、ひき逃げ等の被害への対応はされております。ですが、遺族への支援はこれまでほとんどなかったことにつきまして、被害者救済の情報や心のケアの支援の充実が必要であると感じております。
特に、遺族や遺児のための教育環境面のフォロー、交通事故の被害に遭った後、大人だけではなく、子供たちにもしっかりと心のケアが受けられるよう、環境整備が必要でございます。その一つとして、交通事故を経験した当事者が交通遺児、家族の家庭教師を担えるような仕組みができないかと考えております。
また、後遺障害が残る場合でございます。医療面につきましては、リハビリテーションの体制の充実が必要です。私も参加した検討会の委員には、約三十年もの長期にわたりまして遷延性意識障害の介護をされている方や、御自身に脊髄損傷が残り、必死にリハビリを経て検討委員会の委員として参加されている方、高次脳機能障害の家族の見守りサポートを約二十年続けられている方が参加しております。それぞれの障害に応じたリハビリテーションが受けられること、これが非常に重要です。
遷延性意識障害の場合は、療護センターやその機能を持つ委託病床があります。在院期間中はもちろんのこと、退院後も療護センターや委託病床のリハビリテーションを受けたいという場合には受けられるような環境になってもらえると、遷延性意識障害を持つ、介護をする家族にとっては安心できるのではないでしょうか。
そして、親なき後の介護についても急速な対応が必要でございます。
また、脊髄損傷や高次脳機能障害におきましては、昨年七月に、今後の被害者救済対策の在り方について取りまとめられました報告書で初めて、両者がリハビリテーションを受けられる環境整備に取り組むことが示されました。今後、急性期の病院を退院した後、一つの病院で比較的長期にわたって脊髄損傷からの社会復帰に向けたリハビリテーションを継続して受けられる病院探しや、高次脳機能障害の方の社会復帰に取り組む自立訓練施設探しなど、やっと探し始めたという段階でございます。これらの取組も充実をさせていっていただけたらと思います。
次に、福祉面についてでございます。
圧倒的にヘルパーの方の数が不足しております。特に、医療的なケアをできるヘルパーの不足は本当に深刻です。障害者が地域で生活を営むことができないという大変厳しい現状がございます。様々な障害に応じたスキルのあるヘルパーも少なく、質の面、量の面からも、ヘルパーの確保が早急に取り組んでいただきたい課題であると思っております。
加えまして、介護者が介護ができなくなったときの対応が非常に困難な現状があります。厚生労働省の施策として、入院、入所施設から地域生活への流れがあり、それについては納得をしております。これが、対応できる地域の受皿が足りていないと委員会で聞いてまいりました。地域の受皿の確保をするために、是非、皆さんに耳をかしていただき、取り組んでいただきたいと思います。
これまで全ての交通被害者や家族、遺族の話をしてまいりましたが、親なき後の介護が叫ばれている一方、ヤングケアラーの存在を知っていただきたいと思います。
個人的な話にはなりますが、義理の両親が死亡、弟妹は高次脳機能障害、第四腰椎脱臼骨折、事故後も何度もの手術をしてまいりました。病院に関しては二十三か所、それに伴い薬局が別に併設されております。この病院通いは今も続いています。家族の中で手が回らない、でも介護を頼めるほどでもない。そこで、当時四歳であった息子、今年ちょうど大学一年生となりましたが、裁判の期間中、刑事裁判、民事裁判合わせて、八年間、ずっと彼の人生を犠牲にしてきたことを親として情けなく感じております。お友達と遊びたかったと思います。宿題を犠牲にして御飯作りを優先してもらったときもありました。一番ひどかったのは、自殺をしないか見てくれと頼んだこともありました。
遺族になると、心も体も壊れます。障害を持つ家族がいれば、家族の犠牲は当然と思われるかもしれません。心を病んでいたり障害を持った家族がいれば、その家族を、介護で、家族で担わなくてはならない、社会に頼ることができない、これが今の社会の現状です。だからこそ、介護への問題は、高齢化だけではなく、若き社会の担い手にも、交通事故に遭った瞬間、誰もが苦しむ問題なんです。この私たちの家族は一例であり、本当に多くの方が遺族になり、当事者になり、声に出すことも戸惑う状況が続いております。被害者支援からこぼれ落ちている、これが社会の問題でございます。
このような課題のほかにも、ショートステイの課題、家庭崩壊、介護者のうつなど、課題は山積しております。これまで以上に被害者、遺族の声に寄り添った施策をしていただきたい。もし財源が厳しいなら歳出を抑制すればよいという声もお伺いします。これ以上、命が失われることを目の前で見たくはありません。課題はとても多いですが、国民一人一人に愛のある施策を今後期待したいと思っております。
事故防止においても、高齢ドライバーがハンドルを握らなくても安心して生活できる社会、現実、ドライブレコーダーの導入促進、飲酒運転の検知器の導入など、事故を未然に防ぐための対策をしっかりと講じていただくことが必要かと思います。
国土交通省やNASVAから出されております自動車アセスメントなどのしっかりとしたデータは、これまでの多くの事故を防いできた、命を守るデータであると私は思っております。事故防止の取組を自動車業界の方々に知っていただく機会をつくっていただくことが、安全な車社会の実現につながるのではないかと思っております。
さらに、ソフト面の対策として、子供たちへの交通安全教育も、加害者目線だけではなく、被害者目線に立った教育がされることが必要です。被害者目線を知っていただくことが、命の大切さや家族の大切さを考える心のケア、又は相手を思いやる教育につながるのではないかと思っております。また、グリーフケアという悲嘆のケアについても浸透していっていただけたらなと思っております。
交通事故は、誰もが被害者になり得ます。被害者支援の充実は、被害に遭ったそれぞれの被害者に対し、施策の中で、偏った支援ではなく、平等に講じていただくことが必要です。社会の誰もを救済できる受皿として、自賠責保険が被害者支援の要であっていただきたいのです。
このほかにも充実していただきたいことを挙げれば切りがないんですが、このような施策の充実に取り組むためには財源の裏づけが必要でございます。
検討会における議論でも、先ほど意見を述べられました藤田様のおっしゃるとおり、まずは一般会計からの繰戻しが今後もしっかりと継続して行われることが重要であると考えております。
一方で、それだけに頼る状況になることは、数十年先の未来、子供たちの未来を考えたとき、また、介護を今まさに受けている方にとり、大きな不安がございます。社会における財源の不安を早く払拭していただきたい、そのように考えております。
そのためには、手元に積立金がある程度ある今、賦課金制度を導入していただくことは必要であり、これをこれ以上後回しにはできない状況であると思います。
自動車そのものの安全性向上により、将来的に事故は更に減っていったとしても、これまでに事故の被害に遭った方も多く、将来にわたった継続した支援が必要になることが見込まれております。この観点からも、被害者支援、交通事故防止、これが永続的な仕組みの下で実施できる体制をすぐにでも確立していただく必要があると思っております。
一方で、賦課金導入は、自動車ユーザーの皆様の負担を求める取組であるため、自動車ユーザーの皆様の御理解をいただけることが重要であると考えております。そのために、国土交通省におきまして、自賠責のお金の使い道につきまして、自動車ユーザーに届くよう、私たち遺族や被害者が置かれた状況について、含めまして、広報をしっかりと行っていただくことが必要です。
皆さんにいま一度、御自宅の道路を通るときを想像していただきたいのです。日本の横断歩道の中で、どれだけの方が車を止めているでしょうか。現状は、手を挙げている子供を無視してまで横切る交通社会です。いま一度、車は凶器であること、道路には、年齢も様々で、障害を持つ方もいる。様々な方が使う道としての認識を、改めて自動車ユーザー一人一人が、自分自身のハンドルを持つ自覚として、他者への愛を考える、歩行者優先の道路であることを意識づける機会になっていただきたいと思います。海外では横断歩道で必ず止まる、このように日本でも必ず変えていきたいと思っております。
改めて広報の在り方について検討をしていただき、広報の充実を図っていただきたいと思いますし、広報の充実に際しましては、交通事故被害に遭われた方を救済する制度を早期に情報を届ける被害者ノートなども活用していただきながら、広報と被害者支援の必要性を同時に訴える形で知っていただけるようにするために、保険会社など様々な連携を図ることについて検討していただきたいと思います。
以上になります。
ありがとうございました。(拍手)