三谷和央の発言 (消費者問題に関する特別委員会)

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○三谷参考人 一般社団法人全国消費者団体連絡会の事務局次長の三谷と申します。
 本日は、消費者契約法及び消費者裁判手続特例法の改正の審議に関し、意見を述べさせていただく機会をいただき、ありがとうございます。本来でしたら、事務局長の浦郷が発言させていただく予定でしたが、所用のやむを得ない事情により、私どもより意見を述べさせていただきます。
 全国消団連は、消費者団体の全国的な連絡組織で、全国四十八の団体が緩やかにつながりながら、暮らしに関わる様々なテーマについて、消費者の立場から意見発信を進めております。
 今回の法案、特に消費者裁判手続特例法の部分につきましては、おおむね消費者庁の検討会の報告書に沿った改正となっておりまして、高く評価しております。その一方で、消費者契約法の部分につきましては、既に御審議の中で御指摘いただいておりますように、検討会の報告書において示された内容とは大きく異なっている部分がありまして、特に取消権の規定については大きく後退してしまったと受け止めております。
 ただ、そうは申し上げましても、消費者契約法においても僅かですが前進がありますので、今国会におきまして、必要な審議を経て可決、成立いただきますようお願い申し上げます。
 その上で、それぞれの改正について述べさせていただきます。
 初めに、消費者契約法について申し上げます。
 法案の基となりました消費者庁の検討会の報告書の策定に当たりましては、まず、学識経験者を委員とされる研究会が七か月、その後、この検討会が一年と九か月、実に合わせて二年と四か月の時間をかけて検討されてきました。
 検討会では、平成三十年の附帯決議の事項を中心に論議が行われてきました。
 この報告書について、消費者庁は、検討会にて理論的にも実務的にも難しい論点は多く取り上げられ、意見の隔たりもあり、ある程度幅のある形で取りまとめたというふうにおっしゃっております。
 しかし、先ほども野々山先生からもありましたが、報告書では、「考えられる対応」としてその方法について記載の後に、「具体的には、」として要件などの規定があり、さらに、対応し得る事例の詳細も書かれた上で、「なお、」として、なお書きとして補足する形で懸念点が記載されております。検討会の論議の過程におきましては、意見の違いというのは確かに論議中にはあったものの、この報告書の段階では「考えられる対応」を軸に取りまとめられたという認識でおります。
 さらに、検討過程で意見の対立があった点については、別途、将来課題として、今回の改正項目に盛り込まれていないことが明確に示されており、この対比からも、提案された内容は改正案に盛り込まれることが前提となっていたことは明らかではないかと思っております。
 これまでの、検討会の報告書が、全国消団連も委員として参加しておりましたが、このまとめが、先ほどもありましたが、両論併記、あるいは、まるであたかもまとまっていないかのような御発言につきましては、検討会の座長を始め長期にわたって検討してきた各委員がどのような思いでそれを聞いているか、よく考えていただきたいと思っております。
 また、今後につきまして、こうした幅のあるまとめとされるようなことが前例となりまして、今後の消費者関連におけるほかの検討において報告書と大きな内容の違いのある法案というのが出される事態は、前例としてこれ限りにしていただきたいと思っております。このようなことにならないことを強く求めたいと思います。
 その上で、抜本的見直しを求めたいと思います。別紙一になります。
 消費者契約法については、この間の御審議で、様々、原因などが明確化されているところですが、それを踏まえますと、やはり直ちに抜本的見直しを開始することが必要であると感じています。
 特に、取消権については、その強い規定のために要件を明確化する必要があり、そのため、現在の法案の規定となったという答弁が繰り返されております。このままでは、今後の改正論議においても、この取消権をめぐって、後追いの形で個別細やかな場面を規定し、取消権の追加といったこと、またその改正論議に大変な時間と労力、注力が行われ、それが繰り返されてしまうということに危惧を感じております。やはり取消権は、どういう要件かという明確化もありますが、救うべき人を救う、そういう規定であるべきであると思います。
 消費者契約法は、消費者と事業者間のあらゆる契約を対象とした包括的な民事ルールであるということは、お二人の先生もおっしゃっておりました。現在の社会における商道徳の規範となる消費者契約法としていく必要があると私どもも思います。
 近年、消費者志向経営ということに取り組む事業者が広がりを見せていることについては、強く期待することであり、うれしいことでありますが、悪質な事業者ではなく、真っ当な事業者が評価、支持され、そうした事業者を通じて経済が循環することが大事であり、その規範となるような法律にしていただきたいと思っております。
 また、現在の高齢化や、社会のデジタル化の中で取引もデジタル化が加速しております。成年年齢引下げも施行されました。このように、消費者を取り巻く情勢というのは大きく変化しておりますので、これらに対しても、広く規範として対応できる法律としていただきたいと思います。
 そうしていくためには、既存の枠にとらわれない抜本的な論議を早急に始めることが必要な時期に来ていると思っております。
 契約法の改正による対応が被害の後追いとならないためには、なるべく汎用性のある一般的な規定を置くことによって、悪質な事案に柔軟に対処できることが必要であります。そのために、現在の、困惑、誤認などの類型の具体性のある場面における取消権の規定だけでなく、より柔軟な規定や、契約締結の場面だけに限らない、解約や契約途中なども含めて、広範な規定の在り方というのを求めたいと思います。こうしたことを考える抜本的論議を直ちに開始することを求めたいと思います。
 今後の消費者契約法の見直しに当たりましては、検討会の報告書で提案された論点から落ちた経緯、あるいはその原因、理由というものを明らかにすることにより、次の抜本的な見直しの論議につながると思っておりますが、この点につきましては、今国会の御審議におかれまして、既に、与野党の議員の皆様の建設的で熱心な御審議の中で、その原因が順次明確化されているところであり、大変深く感謝しております。ありがとうございます。
 改めて、弊会からも、少しだけ各規定について述べさせていただきます。
 まず、取消権の判断力不足に着目した規定ですが、やはり今後の高齢社会に向けて、この規定は大変重要であると思っております。
 取消権については、要件を明確化する必要があるということは分かるのですけれども、別紙二にありますとおり、この報告書には、要件というものがきちんと明確化されておりますし、かつ、その事例についても具体的に書かれておりましたが、今回の契約法の枠組みには入らないということが答弁の中で明らかになってきました。
 既に審議の中でも御審議いただいているとおり、現に被害がある中で、その対応の検討ということになっておりますので、直ちに抜本的な見直しということが必要です。認知症の高齢者が家を失う、路頭に迷うというような事案は、問題なく救えるような枠組みにしていただきたいと考えております。
 次に、平均的な損害額についてです。
 検討会の論議では、平均的な損害の額の立証の負担軽減を目指した論議がされてきました。今回、消費者に解約料の算定根拠の概要を示す努力義務が設けられました。これは、大変前進ではあると思っております。
 ただ、そもそも、解約料を提示するのは事業者なんですけれども、それについて消費者が平均的な損害額を立証するという、その立証責任は消費者側にあるということで、消費者にとってはこの平均的な損害額を立証するのは困難です。
 そのため、長年、弊会も、立証責任というものは事業者の方に転換するべきではないかということは求めてきましたが、こうした関係性ということも抜本的見直しの中で考えていただきたいと思っておりますし、検討会の中で事業者の委員の方もおっしゃっておりました、社会が多様化する中で、平均的な損害の額という物差しの在り方自体も見直す必要があるのではないかということについては、どんどん個別化する取引の中で、消費者団体としても同意するところはあります。
 なので、今後、抜本的な見直しでは、この立証責任の転換、あるいは、解約料という物差しの在り方についても改めて検討いただきたいと思います。
 ほかにもありますが、今後の骨太の論議というところ、どういった論議になるかというところを大変心配あるいは期待しておるところですけれども、是非とも直ちに検討を始めていただきたいと思います。
 次に、特例法の方につきまして述べさせていただきます。
 消費者裁判手続特例法の方ですけれども、二〇一六年十二月に施行されまして五年余りになりますが、これまで特定適格消費者団体の認定を受けた団体は四団体、そして被害回復訴訟件数も四件にとどまっております。裁判外で解決した事例というものは一定数あるんですけれども、非常に控えめなスタートとなっていると受け止めております。
 このような状況を踏まえまして、消費者庁にて検討会が設置され、今回の法案改正に至る検討会がありましたが、こちらは半年にわたって、かなり短い期間で精力的に論議が行われました。そのため、非常に今回の改正案は被害回復のための消費者団体訴訟制度をより使いやすくする内容であり、本改正案の成立を強く希望いたします。
 ただ、短期の検討で、半年しかありませんでしたので、まだ論議し足りない部分というものもありました。十分な検討時間が確保できず、積み残された課題につきましては、別紙三に掲載させていただいております。その中から少しだけ抜粋をさせて要望を申し上げます。
 一つ目は、こちら、別紙三の1(3)2の記載にあります「相手方の財産に関する情報の開示手続」です。
 被告事業者の財産状況がどうであるかということはなるべく早期に把握して、そして多数の被害者の回復を実現できるだけ資力が事業者側にあるかどうか判断するということが早期に求められるところであります。
 この点について、現行制度では特例が設けられておらず、簡易確定手続、二段階目ですが、こちらが終了して債権者と債権額が確定しなければ、財産状況の開示を求めることができません。その時点で事業者に十分な財産がない場合は、手続に参加した消費者は正当な分配が受けられず、費用倒れになるおそれさえあります。また、団体にとっても、債権届出から後の費用の回収ということもままならない結果となると危惧しております。
 本制度では、共通義務確認訴訟で団体の請求が容認された時点で、被告事業者の金銭支払いの義務というものは確認されているはずですので、遅くともその段階で財産情報の開示を求めることができるように特例を定めるべきではないかと考えております。そうすれば、確認できた財産の額に応じて、対象消費者に通知、公告をするときに、被害の回復の見通しをより正確に伝えることができますから、対象消費者が手続に参加するか否かの判断の手助けになると考えております。
 もう一つは、パワーポイント下段の真ん中にあります「行政的手法の検討」です。
 悪質な事業者ということにつきましては、所在が把握できなかったり、財産が隠匿され把握できないなど、本制度を始めとした民事訴訟手続だけでは被害回復には限界があります。悪質な事業者による多数消費者被害を回復するためには、早期かつ広範に被害情報を探知できる行政が、悪質な事業者の財産を保全するなど、被害回復に積極的に関与することが必要です。
 この点を踏まえ、既に消費者庁では、消費者の財産被害に関わる、これは平成二十五年ですね、行政による経済的不利益賦課制度及び財産の隠匿・散逸防止策についてと題する報告書がまとまっております。この報告書では、賦課金制度のほか、供託命令制度や消費者庁による破産手続申立て、及び行政が直接消費者の被害救済を図るための手法、制度が提案され、検討に当たっての課題も整理されております。このうち実現したのは、賦課金制度のうち景品表示法の賦課金制度だけにとどまっております。これらの行政手法についても、今後検討を進められることを心より強く要望いたすところです。
 最後に、この間の議員の皆様の前向きで建設的な、次につながる御議論を尽くしていただいていることに、改めて深くお礼申し上げます。そして、消費者契約法におきましては直ちに抜本的な見直しの検討を開始していただきますよう、いま一度申し上げ、私からの発言を終えさせていただきます。
 ありがとうございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 三谷和央

speaker_id: 33078

日付: 2022-04-12

院: 衆議院

会議名: 消費者問題に関する特別委員会