末冨芳の発言 (内閣委員会)
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○末冨参考人 日本大学の末冨でございます。
お手元の黄色いスライドを基に話をさせていただきます。
私は、日本大学で教えておりますほかに、ヤフーオーサーとして記事を書かせていただいております。
今次国会では、子供の権利を基盤とし、子供のための政策や法について真摯な議論を行っておられる、いわば子供国会とでもいうべき議論が展開されていることに敬意を表します。
それでは、子供の権利を基盤にした子供のための省庁、政策、財源、人員について、意見を申し述べさせていただきます。
一、子供の権利の基本法について。
子供の権利の基本法の重要性について、日本国憲法では基本的人権を定め、また、一九九四年に批准されました児童の権利に関する条約でも、子供の基本的人権は位置づけられております。私自身は、教育学、教育費問題、教育財政の研究者でございますが、心身の発達の途上にあり、特別な保護、配慮や支援を必要とする子供にこそ、基本的人権、権利の実現や擁護、周知、実施体制に関する基本法が必要であるというふうに考えておりました。
なぜ子供の権利の基本法が必要か。深刻な子供の実態があるからです。
四ページにございますように、増加が止まらない児童虐待の相談件数や深刻な家族の増加。五ページにございますように、子供の権利を認識せず、尊重もせず、守ることもできない日本の大人たち。学校の教員の五人に一人しか、子供の権利を内容までよく知っていると回答しておりません。また、六ページにございますように、調査開始以降最悪の子供、若者の自殺、不登校。子供、若者が死を選んでしまう理由すら把握できない日本という現状もございます。七ページに参ります。これまで、ほかの参考人も申し述べられておりましたが、声や意見も聞かれず、国や社会への帰属、参画意識も低い日本の子供、若者たちという現状がございますが、今なら変われる、進化できると信じております。
八ページに参ります。
子供の権利を基盤にし、政策、実践を豊かにすることが、子供も大人も尊重し合う幸せな社会への道です。教育や福祉を始め、子供に関わる様々な政策領域を子供の権利の基本法でつないでいく、横串を通すことこそが、大人も子供も幸せになる社会への近道です。
なお、こちらの絵は、我が家のぼう画伯が、今日の日のために、子供の幸せのためにと願って描いて、提供してくれたものになります。
それでは、先に進みます。九ページに参ります。
教育においても、子供の権利を基盤にした実践が展開されています。杉並区の教育ビジョンにございますように、子供の幸せ、そして大人の幸せを大切にし、国や社会のみんなの幸せにつなげるんだという発想が当たり前になってきております。先進的な教育改革を展開しておられます遠藤洋路熊本市教育長は、子供の権利の基本法と教育基本法で子供の今と将来の幸せを保障する体制をと申し述べられております。
また、次のページに参りますが、広島県では、現在、内申点を低くし、自己表現を大事にするという高校入試改革が展開されていますが、この発想の根底には、子供の権利を尊重し、子供一人一人の多様な個性を発揮していくことで、次世代の日本のイノベーションや成長につなげていくんだという平川理恵広島県教育長の発想があるように私は解釈をしております。
それでは次に、二番目、子供のための省庁、政策、財源、人員について申し述べます。
私自身は、子供のための省庁、政策には、第一要件、財源、第二要件、人員、第三要件、子供の権利の基本法が必要であり、この三つを基盤とし、子供自身の課題や問題を改善するために機能を発揮する、実効性の高い省庁及び省庁横断型の政策実施体制こそが必要であると主張してまいりました。
次のスライドに参ります。
大事なことで、三回申し上げます。財源、財源、財源です。子供のために、どうぞよろしくお願いいたします。
なぜそれを申し上げるかというと、十四ページ目、財源が不足し、制度が不安定であるために、日本は、年々、子供を産み育てにくい国だと若い世代が感じるようになっております。制度を充実させたとしても、ころころと変わってしまう支援制度では、若者世代は不安になってしまうということです。私自身も、「子育て罰」という著書にそのことはまとめております。
その次のページに参ります、十五ページ目。
出産費用すら、高い、怖かったという声もあるということで、早急な改善が必要です。
あわせまして、十六ページ目。
子供政策、家族対策については、児童手当、年少扶養控除、出産、保育、教育、医療の無償化等の子供給付の総合パッケージを取りまとめ、若い世代にしっかりと示していくことが今すぐ必要です。その際に、超少子化局面では所得制限の撤廃が必要であり、全ての所得階層が子供を産み育てやすい日本にならなければ、少子化の改善などあり得ません。児童手当始め家族関係支出を削減して出生率が改善したエビデンスはないはずです。
そして、十七ページに参りますが、だからこそ必要なのは、全子育て世帯に公平なルールと世代間の負担バランスの是正です。また、親の状況で子供を差別しないでください。所得制限にあったために、所得がある家庭の子供たちが車椅子や装備具を諦めなければならない、また、多子世帯の中間所得層の子供たちが習い事や私立高校の進学を諦める悲しい状況がございます。
十八ページに参ります。
今次国会では、目標値として、GDP比三%、八兆円増予算についても検討されているはずですが、財源に関する与野党合意と中期計画を是非ともお願いいたしたく存じます。子供たちのためにどう使うか、それをどのように国民が負担をしていくのかという議論から逃げずに、避けずに、今すぐ答えを出していただきたいと思います。
あわせまして、十九ページ目。
子供に関する公務員や専門家も不足する状況がございます。三十五人学級の進行がありますが、なお教員が子供に丁寧に関わりにくい状況、少ない専門スタッフ、さらに、教師不足で教育の質の保障も難しくなってきているという状況があり、それは保育や就学前教育でも同じです。だからこそ、子供に関する人員の配置もしっかりとお願いいたしたく存じます。
そして、二十ページ目。
子供政策は子供の幸せ、家族政策は家族全体の幸せを実現していくものですが、子供の幸せと家族の状況が必ずしも一致しない場合があります。親も子育ての責任に追い詰められ、つらくなるときもあるからこそ、子供自身の幸せ、最善の利益の実現を、そして、家族、父母の責任だけではなく、子育ての大変さにも一層寄り添った政治と行政をお願いいたしたく存じます。
あわせまして、二十一ページでは、子供を守る、子供と進むための省庁において実現されるべき政策例を提示してございます。
二十二ページに参ります。この省庁において行われる政策の優先度は、子供への直接効果が高い事項から、特に、子供の命を守ること、子供が安心して幸せに育つ社会、子供ファーストの理念から先に実現していただきたく存じます。あわせまして、二十三ページ。周産期から子供が社会に出て自立し活躍していくまでの切れ目のない支援は、私自身もこれまで内閣府の子供の貧困対策委員として申し述べてまいりましたが、引き続きの実現をお願いいたします。
二十四ページに参ります。
特に急がれる子供政策。まず、子供の権利研修の実現。子供の安全指針の導入を日本版DBSと並行で実施すること。出産、医療の無償化。保育のユニバーサル化。不登校の子供たちへの支援や、居場所やフリースクールを、学校内外でアクセスできる状況。常勤スクールソーシャルワーカー、子供ソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの全自治体配置。ユースセンター、ユースシェルターの設置。子供、若者の性搾取、性被害の防止。あわせて、日本学生支援機構第二種奨学金の所得制限撤廃を始めとする、十八歳成年の自立を支える仕組みの整備をお願いいたします。
最後に、子供の権利を守り実現するために、大人が大切にしたいことを申し述べます。
先ほど野村参考人もおっしゃいましたけれども、子供たちを守る重層的な仕組みが必要です。その際に、国と地方の役割分担、中立性、公平性、迅速性などの国民の信頼と負託に応える原理原則を明らかにし、さらに、子供の権利擁護の専門性の確保や人員の配置の拡充は必須です。
あわせまして、子ども一一〇番の家の事例にございましたように、子供自身や地域の大人たち、あるいは習い事や学校の教職員を含め、子供自身、あるいは子供に関わる大人たちが問題を早期に発見したり、相談をしやすくしたり、必ず自治体で、この窓口に相談すれば何とかなるんだという責任体制等の明確化をお願いいたします。
最後のスライドですが、この場では、国会ですので、国会議員の皆様にお願い申し上げます。
子供の権利の基本法の成立をきっかけに、改めて、子供、若者との対話と意見尊重をお願い申し上げます。あわせまして、子供の権利の研修を、是非、この場にいらっしゃる国会議員の皆様も受けていただければと思います。子供の声を聞き、子供に寄り添うということはとても大事なことであり、一緒にトレーニングをしていくことで、よりよい傾聴や意見反映ができます。さらに、超党派ヒアリング等、子供の声をいたずらに政治利用せず、子供の健全な政治参加のためのルールを前提とした取組を充実させていただきたく存じます。
私自身は、この場にいらっしゃるような国会議員の皆様が子供たち、若者たちの声を聞き、そして、共にこの国をよくしていくための取組が進めば、この国の民主主義はすばらしい、政治家は信頼できる、自分たちのために、そして自分たちと一緒に何かいいことをしてくれるんだと信じられる国になっていくと思います。
以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)