横粂鈞の発言 (農林水産委員会)

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○横粂参考人 ただいま御紹介をいただきました愛知県豊田市農業委員会会長の横粂でございます。
 本日は、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案と農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案に関する参考人質疑の場にお呼びをいただき、誠にありがとうございます。このような場をいただき、お役に立てることは、本当に感謝申し上げます。また、光栄であると感じております。
 さて、私は、新しい農業委員会制度が導入されてからの平成二十九年七月から豊田市農業委員会会長を務めています。会長職としては今年度で二期目になります。会長職以前は、三期九年、農業委員を務めていました。通算では十四年目になります。
 長年の農業委員会活動の中で関わってきた現場活動、また各種の農業施策に取り組んできた現場経験を踏まえ、私の考え方を申し上げたいと思います。特に、新しい農業委員会制度になってからには強い思いがあります。
 まず、豊田市の農業の特徴を説明させていただきます。
 豊田市は、御承知のように、車の町、世界のトヨタの本拠地として有名であります。しかし、車だけでなく農業が非常に盛んであり、米、桃、梨、お茶など多彩な農産物を生産、出荷をしている県内有数の農業市であります。また、市域の面積は県内一であり、平たん部から中山間部まで、多岐にわたる地形があります。担い手の法人化と集積の進んだ平たん部から、分散錯圃の農地、高齢化、担い手減少の中山間地域まで、日本の農業問題のあらゆる側面をかいま見ることのできる地域でもあります。
 豊田市農業委員会の特徴を説明させていただきますと、農地利用最適化推進委員が四十五名、農業委員十九名の構成で、特に農地利用最適化推進委員の配置数は充実をしています。県内でも一番であります。こうしたことは、豊田市の理解と支援により配置数が確保でき、多様な地域事情をカバーできる地域密着型として農地利用最適化推進業務を行えるという体制になっております。
 それでは、まず、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案の内容について、私の意見を述べさせていただきます。
 今回の改正法律案では、これまで現場で進めてきた人・農地プランを地域計画として法定化し、この中で、農地の集約化を図るため、十年後の農地利用の姿を目標地図として明確化することとされています。ざっくり言えば、こう理解をしております。
 地域計画の責任者は市町村ですが、その計画の要である、将来の農地の効率的かつ総合的な利用に関する農地利用の姿を示した地図、いわゆる目標地図の素案は農業委員会が作成をするということになっています。農業委員会は、農地バンク等と協力して、この可視化した、分かりやすい目標地図の素案を作成すると明確化されています。
 農業委員会が、地域の農地の将来像を設計するに当たり、このようにイニシアチブを取ることができるというのは、これまでの人・農地政策の潮目を変える大胆かつ情熱的な内容であり、これでやっと農業委員会の大きな出番が来た、農業委員会に大きな命、使命が与えられたと思っております。確かに責任は非常に重くなります。しかし、本来の農業委員会の果たすべき役割を明確にしたものと感じております。
 農地所有者である出し手、農業者である受け手の意向を最も把握しているのは農業委員会です。また、農業委員会だけでなく、農地バンク、JA、土地改良区等、関係者の協力を得て素案を作成することとなっています。農業委員会に丸投げをされたわけではありません。農業委員会が得意とする現場での活動を基礎に将来の素案を描く、農業委員会が現場で果たしている役割を農水省において再認識をしていただいたと考えており、今回の法律案については賛成であります。一刻も早く本法案を成立させていただきたいと思っております。
 今回の改正法律案では、市町村が関係者の協議の場を設け、徹底して農業の将来像を話し合う、その結果、協議を踏まえ、市町村が地域計画、最終的な目標地図を作成、公表するとあります。段階的にそれぞれの組織の果たす役割、こういった機能が明確にされており、無理のない、現場実態を踏まえたものだと考えております。
 目標地図を実現するためには、農地バンクを活用し、農地の集約化を進めることが重要であります。改正法律案では、市町村の農用地利用集積計画と農地バンクの農用地利用配分計画を統合して、農地バンクは農用地利用集積等促進計画を作成することになっています。農地バンクは、農地の借入れ等を農地所有者へ積極的に申し入れ、農地の集約化をより強力に進めていくこととされております。また、農業委員会も、農地バンクの定める計画作成を要請できたりして、積極的に関わりを持つことができております。
 また、計画策定の中で、特例として、三分の二以上の同意を得て、一括して農地バンクに区域の農地を貸し付ける仕組みがあります。これは、より積極的な農地の集積、集約ができるようになっているものと思います。一括して貸し出す、この制度については、今後、農地利用集約化に対して大きな役割を果たす存在になるであろうと期待をしております。
 愛知県の場合、農地バンク、すなわち農地中間管理機構を利用した地域まるっと中間管理方式、方言が入っておりますけれども、として進められている事例がありますので、少し紹介をさせていただきます。
 愛知県では、豊川市の長沢地区が最初に行われた例であり、当豊田市では、山間地に位置する押井地区にその事例があります。今までの集落営農を一般社団法人押井営農組合として、集落全戸、三十未満ですけれども、それと集落全農地、これも八ヘクタール未満、小さい本当の山間集落ですけれども、集落丸ごと、すなわち一括して丸ごと中間機構に貸出しをし、押井営農組合が一括して借り受ける、こういう方法を取っております。
 一括して借受けをしても、中には、まだまだ自分で自作を、農業をやりたいと希望する農家はあります。こうした農家には、押井営農組合から自作していた農地をそのまま再貸出しをする方法、特定作業受委託契約を取って、自作農家の意欲をくじかないで、やりたい方はやってください、一括しますけれども個別の特徴は生かしますよ、こういうことになっているんですね。
 また、一般社団法人押井営農組合は、中山間地域等直接支払制度、多面的機能支払交付金制度の受皿となることもできます。受け手を認定農業者や法人等の担い手に限るのでなく、担い手以外の者も含め、地域全体で将来の農地利用の姿を描いていく、このようなことを取るということも非常に重要だと考えております。
 今回の改正法律案には、こうした方向への道筋がつけられていると考えています。また、受け手がいない地域では、多面的機能支払交付金団体や中山間地域等直接支払いの活動組織、JA等のサービス事業体を活用する考え方、方法も打ち出されております。現場実態に即した多様な対応が準備をされております。
 農地の集積、集約化を進めるためには、農地の基盤整備の実施が不可欠であります。圃場が悪くては、集約化、効率化を進めることができません。
 今まで実施されてきた、農家負担ゼロの農地中間管理機構関連整備事業として圃場整備ができる仕組みがありました。この制度は、名前は難しいのですけれども、説明をしますと目を輝かせて聞く人気の制度でありました。今回の改正法案で、更にこの制度を充実するための見直しがなされました。従来の区画整理に加え、農業水利施設や農業用農道整備が追加、拡充されました。また、農地バンクが農作業等を受託している農用地も入れることができるようになりました。
 農地条件が悪いところは、やはり中山間地であります。特にこの地域では、高齢化、担い手不足で、耕作条件の悪さは致命的になります。担い手の努力だけで解決しません。農家負担ゼロの機構関連整備事業は、中山間地を守るための最もよい、有効で効果的な事業と考えております。この整備事業が多くの地域で適用されるような運用を期待し、これらのメリットについて、声を大にして宣伝、説明をしていくべきだろうと考えております。
 また、改正法律案では、地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがある場合は農用地区域から除外できないこととされています。
 これは非常に重要で、これまでは、非常に豊かな農地として整備された農用地区域であっても、諸般の都合で農用地区域からの除外が行われることは多々ありました。今回の措置は、地域の話合いの結果を尊重し、農業者側の意向を酌み、将来の農地利用を守り、確保していこう、こういう気持ちがうかがえます。守るべき農地を守る仕組みの一端として、注視し、期待をするものであります。
 なお、豊田市では、農振農用地整備計画の中で、法令上の根拠と規制権限はありませんが、農用地区域の中に特定保全農用地区域、これを設け、優良農地、守るべき農地として啓発を進めようとしています。こうした取組を後押しするものでもあると考えております。
 続いて、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。
 改正活性化法案においては、活性化計画の対象事業に農用地の保全に関する事業を追加することとされています。
 先ほどの農業経営基盤強化促進法の改正にありました目標地図の作成に当たり、地域での話合いが重要である旨を申し上げました。地域の話合いで、地域全体の将来の農地利用の姿を再構築した目標を明確化しなければなりません。
 その結果、高齢化で農地を維持できない、後継者の方が地域の外に出てしまう等のケースが必ず想定されます。必然的に利用が困難になるような農地が発生してしまいます。後に残った農業者や担い手だけでカバーができません。このままほかっておけば、荒廃化しかねません。こうした農地については、周辺の集約した農地に悪影響を及ぼすことがないよう、適切な管理、保全を行うことが重要な施策となります。
 改正基盤法により集積、集約化を図る農地と、集積、集約が困難な農地については改正活性化法で対応することとされています。めり張りをつけ、セットとなるよう、農山漁村地域の適正な農地利用を図ることを目的にしたものと考えております。
 活性化計画の中で、第一に、粗放的な利用、第二に、ビオトープ、鳥獣害等の緩衝地帯などの農地に近い利用、第三に、農業生産が困難な農地は計画的に森林化への利用を図るというような施策が打ち出されておりますが、こうしたものも妥当な施策と考えております。
 今回の活性化法の中で、農用地の保全等に関する事業が加わったことにより、これらの事業を適切に進めるため、所有権移転等促進計画の拡充だとか、多面法の事業計画申請の簡略化、それから農地転用手続の迅速化を図る改正もなされており、併せて適正な改正として賛成と考えております。
 最後になりますが、以上、法案等の各項目について私の所見を申し上げましたが、改めて、今回の法律案については賛成であり、一刻も早く成立させていただきたいと考えております。また、全国の農業委員会、そして市町村の農業部局は多様な課題を抱えております。この法律の施行と運用については、こうした事情を拝察していただき、無理のない方法で、しかも効率を上げることのできるような対応をお願いをするものであります。
 まとめとして、今回の改正は、一つの大きな節目になり、農業委員会の活動が日本の農業の将来を担う役割の一端を確実に果たすものになるものと考えております。この使命を果たすべく、尽力をしていきたいと存じております。
 一地方の農業委員会現場から考えた拙い意見、説明でありましたが、御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 120805007X01020220413_002

発言者: 横粂鈞

speaker_id: 21803

日付: 2022-04-13

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会