川原隆司の発言 (法務委員会)

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○川原政府参考人 お答えいたします。
 法制審の部会におきまして、侮辱罪と正当行為の関係が議論になりまして、具体的には、これから申し上げるような議論がなされております。
 すなわち、民事では、事実の摘示を含まない論評や意見表明についての不法行為責任が追及され得るものの、公正な論評の法理が判例上確立しており、人身攻撃に及ぶなど論評の域を超えるものでない限り不法行為の違法性が否定されているところ、これは、憲法二十一条の要請であって、刑法の解釈としても、刑法三十五条を介して当然に認められるべきであり、刑事では、更に限定がかかることはあっても、民事における不法行為責任より広く侮辱罪の成立が認められることはない。
 あるいは、他人を批判する際には事実をきちんと摘示することが望ましいが、日常生活においては、事実を摘示することなく、単に論評を示すこともあり、その場合は、民事で言う社会通念上許される限度を超えているかどうかで判断されるところ、どこまで許容されるかは批判を受ける人の立場によって変わってくるのであり、公的人物であれば一定の批判は是認せざるを得ないとか、あるいは、事実を摘示した上で侮辱的な価値判断を加えた場合と、自らは全く事実を摘示しないで同じ事実を前提として侮辱行為のみを行った場合について、重い法益侵害である前者は、刑法二百三十条の二により違法性が阻却され、侮辱行為についても違法とされないのであれば、より軽い法益侵害である後者も違法性が阻却されることとなり、侮辱罪の違法性阻却が実際に問題になるのはそういう場合でないかといった意見が示されまして、論評の対象、目的、論評が前提とする事実など様々な観点から正当行為の考え方の議論がなされたところでございまして、このような議論の内容は、実務においても参照されるものと考えているところでございます。
 一方、この部会では、侮辱罪の違法性阻却に関し、刑法二百三十条の二のような特例規定を設けるべきか否かについて、侮辱罪に関する刑事事件の判例等の蓄積がない中で、処罰されないための要件を定めることは困難であり、かえって不可罰となる範囲を狭めてしまうことになりかねないとの指摘があり、そのような特例規定は設けないとする意見が大勢を占めたところでございます。

発言情報

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発言者: 川原隆司

speaker_id: 1460

日付: 2022-05-11

院: 衆議院

会議名: 法務委員会