法務委員会

2022-05-11 衆議院 全210発言

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会議録情報#0
令和四年五月十一日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 鈴木 馨祐君
   理事 井出 庸生君 理事 熊田 裕通君
   理事 葉梨 康弘君 理事 山田 美樹君
   理事 鎌田さゆり君 理事 階   猛君
   理事 守島  正君 理事 大口 善徳君
      東  国幹君    五十嵐 清君
      石橋林太郎君    奥野 信亮君
      神田 潤一君    国定 勇人君
      田所 嘉徳君    高見 康裕君
      谷川 とむ君    中野 英幸君
      西田 昭二君    野中  厚君
      八木 哲也君    山口  晋君
      山田 賢司君    伊藤 俊輔君
      鈴木 庸介君    藤岡 隆雄君
      山田 勝彦君    米山 隆一君
      阿部 弘樹君    前川 清成君
      日下 正喜君    福重 隆浩君
      鈴木 義弘君    本村 伸子君
    …………………………………
   議員           鎌田さゆり君
   議員           米山 隆一君
   法務大臣         古川 禎久君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 二之湯 智君
   法務副大臣        津島  淳君
   法務大臣政務官      加田 裕之君
   最高裁判所事務総局民事局長            門田 友昌君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 森元 良幸君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    大賀 眞一君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    金子  修君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    川原 隆司君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    佐伯 紀男君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    宮田 祐良君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  松下 裕子君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君
   法務委員会専門員     藤井 宏治君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十一日
 辞任         補欠選任
  尾崎 正直君     山口  晋君
同日
 辞任         補欠選任
  山口  晋君     神田 潤一君
同日
 辞任         補欠選任
  神田 潤一君     尾崎 正直君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)
 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案(内閣提出第五八号)
 刑法等の一部を改正する法律案(米山隆一君外二名提出、衆法第三一号)
     ――――◇―――――
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鈴木馨祐#1
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、刑法等の一部を改正する法律案及び刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案並びに米山隆一君外二名提出、刑法等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官森元良幸君、警察庁刑事局長大賀眞一君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長川原隆司君、法務省矯正局長佐伯紀男君、法務省保護局長宮田祐良君、法務省人権擁護局長松下裕子君及び文部科学省大臣官房学習基盤審議官茂里毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木馨祐#2
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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鈴木馨祐#3
○鈴木委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局民事局長門田友昌君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木馨祐#4
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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鈴木馨祐#5
○鈴木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。
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葉梨康弘#6
○葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘です。
 早速、時間もありますので、質疑に入らせていただきます。
 今日は侮辱罪の法定刑の引上げについて質問をさせていただきますが、四月二十七日の対政府質疑、これにおいて、特に野党の皆さんから、幾つかやはり懸念が示されました。その懸念に対して丁寧に応えていくということも、やはり委員会質疑の大きな役割だというふうに思います。
 本日は、このような観点から、ちょっと重なる部分もありますが、質問を行っていきたいと思います。
 まず一つ、処罰の範囲が広がるのかということを押さえていきたいと思います。
 今回、侮辱罪の法定刑を、拘留又は科料から、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に引き上げることとされました。これによって、現在罪に問えなかった行為を罪に問うことができるようになるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
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古川禎久#7
○古川国務大臣 お答えいたします。
 今般の改正は、侮辱罪の法定刑を引き上げるのみでありまして、処罰対象となる行為の範囲、すなわち犯罪が成立する行為の範囲は変わりません。したがって、今般の法整備によって、これまで侮辱罪によって処罰できなかった行為が処罰できるようになるものではございません。
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葉梨康弘#8
○葉梨委員 そういうことですよね、法定刑の引上げだけと。これはいろいろな経緯があるというのはよく分かっておるんですけれども、ただ、いずれにしても、例えば、この間の木村花さん、本当に悲しい事件だったというふうに思いますけれども、二十名、匿名の書き込みを特定して、三人しか罰することができなかった。今の答弁によれば、その三人を広げるというものではないということです。これについての当否云々は別としまして、この点は変わらないということは押さえておかなければいけないなというふうに思います。
 次に、今までの質疑について、順次、その懸念についていろいろとお聞きしていきたいなというふうに思います。
 処罰の範囲が広がらないにしても、法定刑が引き上げられたということによって、まず、通常逮捕については、罪証隠滅、逃亡のおそれ、これに加えて、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由なく出頭の求めに応じない場合にのみ通常逮捕ができるという、後者の方の要件がなくなります。
 もっとも、私自身は、罪に問うべき事案であって、被疑者が明らかな罪証隠滅を図る、そういうおそれがある場合、私は通常逮捕というのは有効な捜査の手法であるというふうに考えます。ただし、この通常逮捕というのは、当然のことながら、構成要件該当性、それから逮捕の必要性について司法判断が行われ、これが濫用されるというのは、その危険性は私は少ないんじゃないかというふうに思いますけれども、法務大臣から見解を承りたいと思います。
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古川禎久#9
○古川国務大臣 今般の法定刑の引上げにより、侮辱罪による通常逮捕に関して、住居不定であることなどの制限がなくなることとなりますが、それ以外の要件に変わりはございません。
 したがいまして、裁判官が、検察官又は司法警察員の請求に基づき、逮捕の理由及び必要性を判断した上で逮捕状を発した場合に限り、通常逮捕を行うことができるものでございます。
 さらに、捜査機関においては、これまでも、表現の自由に配慮しつつ、法と証拠に基づいて適切に対応してきたところでありまして、この点については、今般の侮辱罪の法定刑の引上げにより変わるものではございません。したがいまして、侮辱罪の法定刑の引上げが捜査機関による恣意的な逮捕につながるものではございません。
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葉梨康弘#10
○葉梨委員 実は、先般の質疑において、逮捕状の発付率、これが非常に高いんだというようなお話があって、何か裁判官のチェック機能が働いていないかの、そこまでは言われていないんですが、のようなちょっと印象を受ける質疑もあったんですけれども。
 私自身は、捜査の現場におりましたのはもう何十年か前になりますけれども、当時のことを振り返ってみますと、やはり現場は非常に緊張関係というのがありまして、裁判官の名誉のために言っておきますと、やはり警察であれば警部以上が逮捕状の請求をするということになるんですけれども、構成要件該当性、それから逮捕の必要性について相当慎重な検討を行って、それで裁判官のところに持っていく。極めて緊張関係があったということを私自身は覚えています。
 ですから、この逮捕状発付についての司法判断というのは、私としては相当厳格なものであって、ここの部分で相当な抑えといいますか、あるんだろうなというような感じを持っています。これは私の印象です。
 次に、現行犯逮捕、これについても議論になりました。法定刑が引き上げられるということで、現行犯逮捕の要件から、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は逃亡するおそれがある場合に限るという要件が外れることになります。
 これを捉えて、例えば集会などの場で、警察職員が現行逮捕を行う、そういったことによって言論の自由への威嚇があるのではないかという懸念が示されました。懸念は理解できます。
 ただ、私自身の考えとしては、表現の自由、これは憲法が保障する権利です。そして、その行使が刑法三十五条の正当行為と解される。その範囲というのは極めて広いんじゃないかというふうに思っています。
 ですから、そういった意味では、明白な犯罪であるかどうか。それには、正当行為によってそれが犯罪じゃなくなるわけですから、そこの疑念が、どうしても現場で判断するということはなかなか難しいところがあって、ですから、そういった意味で、現行犯逮捕というのは、なかなかイメージとして、ぱっと、侮辱罪の場合は現行犯逮捕にすぐ結びつくというイメージは私自身は持っていないんです。
 ただ、役所の答弁というのは、机の上で現行犯逮捕の可能性が全くゼロではないということになると、どうしても奥歯に物の挟まった言い方になりがちなんです。ですから、そういった意味での懸念を払拭していただくためにも、侮辱罪による現行犯逮捕は、机の上での論理は別として、そもそも、私は基本的にはなじまないものじゃないかと思っています。
 政治家として、法務大臣の御所見を承りたいと思います。
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古川禎久#11
○古川国務大臣 逮捕に関しまして、今回の法改正により、住居不定であることなどの制限がなくなることとなりますが、それ以外の要件に変わりはありませんので、現行犯逮捕は、逮捕時に、犯罪であることが明白で、かつ、犯人も明白である場合にしか行うことができません。犯罪が明白であるというのは、違法性を阻却する事由がないことも明白であるということでありまして、侮辱罪については、表現行為という性質上、表現の自由や集会の自由といった憲法上の重要な権利との関係を考慮しなければならないため、実際上、逮捕時に正当行為でないことが明白であると言える場合は相当に限られるというふうに思われます。
 その意味で、あえて踏み込んで申し上げますと、委員が御指摘になっておりますとおり、侮辱罪については、そもそも、実際問題として現行犯逮捕になじまないのではないかと考えております。
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葉梨康弘#12
○葉梨委員 今、法務大臣から答弁ありましたけれども、警察庁、警察庁も同じ考えということでよろしいですね。うなずいていただければいい。はい、分かりました。
 現場の感覚を思い出してみますと、侮辱罪によって現行犯逮捕を行って事件捜査の手続にのせるというのは、特に現行犯、現場で、これは相当怖くてできないです。
 ただ、つまり、全然違うのは、よく、親告罪でも現行犯逮捕が行われる器物損壊というのがあるんですけれども、器物損壊というのは、物を壊したということは明白だし、物を壊したことについて、そんな正当行為があるかどうかというのは、これも明確に否定されることが多いし、また、かつ、被害者の処罰意思もその場で相当明確であるということが非常に多いですから、これとは全然違うので、やはり侮辱罪というのはなかなか現行犯逮捕にはなじまないのかなというような感じはいたします。
 もう一つ、ただ、質疑の過程で幾つか出てきて、これは誤解をしないように皆さんも考えていただきたいんですが、北海道警がやじを排除したという事案がありました。あれは、侮辱罪とか事件捜査ではありません。警察官職務執行法において危険な行為を除去するというような行政行為です。これについての当否は、今裁判が係争中ですから私ここで申し上げるつもりはありませんが、その北海道警の事案があったからといって、この侮辱罪の現行犯逮捕がどんどんやられるようになるということは、これはあり得ない話で、そもそも、やはり侮辱罪というのは現行犯逮捕には基本的にはなじまないというような犯罪であるということをしっかり押さえていかなければいけないと思います。
 ただ、司法警察職員あるいは検察官の場合は、後でも申し上げますけれども、何が侮辱罪に当たるか、正当行為は何かということを、教育訓練を行っていくことは可能なんです。ただ、私人の場合は、公然と悪口を言われることが侮辱罪を構成するというふうに誤解する人も出てくるかも分かりません。
 今までの質疑の中でもございました。侮辱罪の法定刑の引上げに伴って、現行犯逮捕の要件から、住居若しくは氏名が明らかでない場合又は逃亡するおそれがある場合に限るという要件が外れます。そうすると、そのような誤解をした私人が現行犯逮捕して、例えば集会の場なんかで、あるいはデモ行進の場なんかで、それで警察職員のところに引致する、そういうことが数が多くなってしまうんじゃないか、それによっての混乱というのが生じるんじゃないかという指摘もあります。
 このような指摘に対しては、大臣、どうお答えになりますか。
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古川禎久#13
○古川国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今回の法改正後も、現行犯逮捕は、正当行為などの違法性を阻却する事由がないことを含めて、犯罪であることが明白で、かつ、犯人も明白である場合にしか行うことができません。
 また、いわゆる私人逮捕がなされた場合には、その後、被逮捕者の引渡しを受けた捜査機関が逮捕の理由及び必要性について必ず判断することとなるわけです。さらに、現行犯逮捕の要件を満たさないにもかかわらず逮捕がなされたというような場合には、逮捕者は民事上、刑事上の責任を問われる可能性もございます。
 したがいまして、今回の法改正が私人逮捕に伴う混乱につながることはないというふうに考えております。
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葉梨康弘#14
○葉梨委員 まあ、そうなんですよね。結局、私人逮捕というのも、ですから、余り私人逮捕というのは行われないのは、後でその私人が、逮捕することによっていろいろな責任というのを問われることになる。ですから、ほかの罪種で、私人逮捕が現行犯であるなんて余り聞いていないでしょう。実際、ほとんどないんです。ヤジ痴漢は後で申し上げます。実際に被害に遭っていますからね、本人が。
 そういうような形で、痴漢の場合は後でちょっと話を申し上げますけれども、被害者がということで説明はいたしますが、他の罪種でそんなにはないんですよ。これは、やはりそれを、私人逮捕をやったということによって自分もその責めを負うということ、これがあるんです。それが正しい行為であったりしたら、まずその責任はあるでしょう。でも、それがもしかして正当行為で除外されるような行為であったら、それこそ、損害賠償責任だとか逮捕監禁ということで、あるいは、場合によっては誣告罪でも訴えられる、そういうようなこともあるわけです。
 そして、名誉毀損罪、これによっての私人逮捕、これは全然問題になっておりません。
 痴漢の話がありました。これは実は階さんともお話ししたんですけれども、痴漢の場合は、実際に触られる、その触る行為とかが正当行為になるということはほとんどありません。しかも、自分が被害を受けているということで警察職員に引致する。そこで、やはりその供述が、触られたということ、それで正しいと推定されると、大体そのまま逮捕されることが多いわけなんですけれども、よくありますのは、話している内容が実際に間違った内容を供述していた、人違いだったということはあるかも分かりません。その場合は、でも、その後には、その私人は責めを、責任を負うことになります。
 ただ、侮辱罪の場合、そういうことがあるかといったら、しゃべっている人間は分かる、でも正当行為によって相当な部分が除外されますということがあります。ですから、明らかに、痴漢行為とは、概念といいますか、別の類型として考えていかなければいけないというふうに思います。
 教唆、それから幇助について、例えば、いいねといったツイートが、事後的なツイート、これがこれに当たらないということは四月二十七日の質疑でございましたので、それは割愛をさせていただきます。
 そして、今話をしたように、現行犯逮捕はそうそうなじむものでもない、私人逮捕はそんなに濫用されるというわけではない、通常逮捕については裁判官のチェックが働いている、処罰の範囲は広がらない。じゃ、何で今回この改正をやらなければいけないんだ、この点を大臣から是非お願いをしたいと思います。
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古川禎久#15
○古川国務大臣 委員御指摘のとおり、今般の法整備におきまして、侮辱罪の構成要件は変更しておりませんから、処罰対象となる行為の範囲は変わりません。
 近時、インターネット上の誹謗中傷が特に社会問題化していることを契機として、誹謗中傷全般に対する非難が高まっておりますけれども、現行法上、侮辱罪の法定刑は拘留又は科料とされておりまして、拘留は三十日未満の刑事施設への拘置、科料は一万円未満でありまして、実際、木村花さんを被害者とする事件でも、いずれも科料九千円に処されておるわけです。このような法定刑ではその抑止に十分ではないという国民の意識が高まっております。
 今回の法改正は、こうした国民の意識を踏まえ、侮辱罪の法定刑に一年以下の懲役、禁錮及び三十万円以下の罰金を加え、抑止力を高めるとともに、厳正な対処を可能にするものでありまして、大きな意義を有すると考えております。
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葉梨康弘#16
○葉梨委員 そうなんですよね。今回の改正というのは、いろいろな論点があるんです、立民さんからもいろいろな案も出されているし、また、実際、インターネット上の誹謗中傷、これについて、いろいろな類型を考えながら検討していかなきゃいけない、そういう意見は本当に傾聴に値すると思います。
 ただ、さっきも言ったとおり、基本的に処罰の範囲が広がるわけではない、通常逮捕については裁判官のチェックが働く、現行犯にはなかなかなじまない、私人逮捕もそれほど、それほどじゃないですね、私人逮捕が濫用されるという危険性もない。じゃ、何なのかというと、やはり、木村響子さんのお話にもありましたけれども、この九千円、本当に九千円でいいんですか、九千円だったら、またやったって、やり得じゃないですか、この声には緊急に応えていかなければいけない、そういうことなんだろうと思うんです。
 それに加えて申し上げると、私は、現場というか、少年警察も二年ほどやったことがあります。特に少年が被害者となりますいろいろな事案、別に侮辱に限らないんですけれども、いじめもあるし、暴行もあるし、それから同じような名誉毀損的なものもあるし。これは、親告罪というと、そういう罪がなされてから、悩むんですよね、被害者というのは。訴えていいんだか、訴えてよくないんだか、それが数か月かかってしまう。時効一年。じゃ、訴えようという意思が決まったときにはもうすぐ時効だ、それを事件化することもできない。
 そういうこともあって、木村響子さんが二十件特定したというのは、まさに時効内の事件だということなんだろうと思いますけれども、やはり、被害者が考える時間を少し与えてあげる。そして、加えて、本当に九千円でいいのか、九千円だったら、またやり得じゃないか、その声に本当に緊急に応えるということが今回の法改正なんだろうというふうに私は思っています。
 もちろん、ほかの論点、これについてはまた更に中長期的な検討というのを、これは迅速にやっていかなきゃいけないとは思いますけれども。やっていかなければいけないんだろうと思います。
 だからこそなんだろうと思います。木村花さんの御冥福をお祈りする意味もあって、法制審においては、法定刑の引上げに、神津参考人もいらっしゃいました、また日弁連の委員も決して賛成ではなかったというお話も承りました、けれども、少なくとも、この答申を行うという議決をすることについてはみんなが一致をして議決を行った。それが、悲惨な目に遭った被害者に応えることになる、これが大人の対応なのかなというふうに思います。
 長期的な課題、私は否定をいたしません。けれども、こういった懸念をしっかり払拭したら、やはり物事は前に進めていくということ、これも政治の責任だと思います、しっかり懸念を払拭した上で。そのことを訴えたいと思います。
 その上で、この法定刑の引上げによって、世間の耳目を集めることになります。今後、相談等が増加することも考えられます。次の二点を、特に法務・検察、あと警察当局にもお願いをしたいと思うんです。
 侮辱罪の構成要件に該当する行為及び正当行為に該当して処罰されない行為に係る判例等の資料の部内外への周知、これは絶対に大切です。さらに、被害者に寄り添った相談への対応と事件捜査、これも大切なことです。
 後者について、先に伺います。
 さきの質疑でも、告訴状の受理、相手方が特定できなくても受理できるということでした。本年にはプロバイダー責任法が改正されます。匿名の者を、申告する者の申告に基づいて、より追及をしやすくなります。ですから、そういったこともありますので、告訴人に対して必要な情報提供を行って、被害者に寄り添った相談対応と事件捜査に心がけていただくことというのは非常に大切だと思います。警察庁の刑事局長、答弁をお願いします、簡潔に。
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大賀眞一#17
○大賀政府参考人 警察では、被疑者が特定されていない場合であっても、要件が整った告訴につきましては、これを受理するなどして、各種事件の相談や告訴に対しましては被害者の立場に立って誠実に対応することとしております。
 引き続き、被害者の心情や思いに十分配慮しながら、法と証拠に基づいた適切な対応をしてまいりたいと考えております。
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葉梨康弘#18
○葉梨委員 前者の方について、今度は法務省の刑事局長に伺います。
 構成要件に該当する行為及び正当行為に該当して処罰されない行為、これについての判例など、これに係る資料の部内外への周知というのは、これはもう非常に大切なことになると思います。今までの集積もございますのでね。
 ただ、今までの議論の中でもございました、侮辱罪について、正当行為に該当して処罰されない行為類型を、これを法文に明記して、修正して規定すべきじゃないか、そういうような指摘もこの委員会質疑の中でございました。法制審においてどういうような議論がなされたのか、お答えを願いたいと思います。
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川原隆司#19
○川原政府参考人 お答えいたします。
 法制審の部会におきまして、侮辱罪と正当行為の関係が議論になりまして、具体的には、これから申し上げるような議論がなされております。
 すなわち、民事では、事実の摘示を含まない論評や意見表明についての不法行為責任が追及され得るものの、公正な論評の法理が判例上確立しており、人身攻撃に及ぶなど論評の域を超えるものでない限り不法行為の違法性が否定されているところ、これは、憲法二十一条の要請であって、刑法の解釈としても、刑法三十五条を介して当然に認められるべきであり、刑事では、更に限定がかかることはあっても、民事における不法行為責任より広く侮辱罪の成立が認められることはない。
 あるいは、他人を批判する際には事実をきちんと摘示することが望ましいが、日常生活においては、事実を摘示することなく、単に論評を示すこともあり、その場合は、民事で言う社会通念上許される限度を超えているかどうかで判断されるところ、どこまで許容されるかは批判を受ける人の立場によって変わってくるのであり、公的人物であれば一定の批判は是認せざるを得ないとか、あるいは、事実を摘示した上で侮辱的な価値判断を加えた場合と、自らは全く事実を摘示しないで同じ事実を前提として侮辱行為のみを行った場合について、重い法益侵害である前者は、刑法二百三十条の二により違法性が阻却され、侮辱行為についても違法とされないのであれば、より軽い法益侵害である後者も違法性が阻却されることとなり、侮辱罪の違法性阻却が実際に問題になるのはそういう場合でないかといった意見が示されまして、論評の対象、目的、論評が前提とする事実など様々な観点から正当行為の考え方の議論がなされたところでございまして、このような議論の内容は、実務においても参照されるものと考えているところでございます。
 一方、この部会では、侮辱罪の違法性阻却に関し、刑法二百三十条の二のような特例規定を設けるべきか否かについて、侮辱罪に関する刑事事件の判例等の蓄積がない中で、処罰されないための要件を定めることは困難であり、かえって不可罰となる範囲を狭めてしまうことになりかねないとの指摘があり、そのような特例規定は設けないとする意見が大勢を占めたところでございます。
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葉梨康弘#20
○葉梨委員 時間です。修正よりも周知ということ、こちらが大切だということ。そして、最後にもう一度、政治の責任として、少しでも前に物事を進めていかなければならない、そのことをお訴え申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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鈴木馨祐#21
○鈴木委員長 次に、福重隆浩君。
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福重隆浩#22
○福重委員 公明党の福重隆浩でございます。
 短い時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。
 これから御紹介するのは、公明党の機関紙公明新聞のコラムに掲載された記事であります。
 僕は少年院にいました、慰問に訪れてくれたお笑いタレント、ゴルゴ松本さんの話を聞いて、今、僕は料理人を目指して働いています。先般、同氏の講演を機に更生を誓い出院した少年の便りが掲載されておりました。令和三年版再犯防止推進白書によれば、令和二年の刑法犯検挙者数に占める再犯率は四九・一%であります。前述のような成功例ばかりとは言えない状況にあります。そして、次の言葉は、現役の保護司である公明党の千葉市議会議員が議会で訴えた言葉であります。出所者は社会で再犯しないか試されているが、実は、試されているのは受け入れる社会の方でもある。
 最後の一言は私の脳裏に深く焼き付き、胸に深く響きました。一人でも多くの方が再び犯罪を起こすことがないよう、また、社会全体でそのような方々の社会復帰を応援していくべきと強く感じた次第であります。
 今回の法律改正では、罪を犯した方の円滑な社会復帰につながる諸制度の導入をすることを大きな柱としています。その上で、刑法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 令和二年度、刑法犯として検挙された人の約半数が再犯者でありました、近年、刑法犯は減少傾向にあるものの、それに占める再犯者の割合は増え続けています。重要課題として再犯防止に取り組む政府は、今国会で対策強化に向けた刑事司法改革を目指すこととしております。これについては、明治時代に現行刑法が定められて以来、初めて刑罰の種類が変わることも含まれていると承知しております。
 その焦点は、刑務所での処遇が異なる懲役と禁錮を廃止して拘禁刑を創設し、それによって受刑者の特性に合った刑務作業や指導が柔軟にできる体制を整えることとしております。
 懲役を言い渡された受刑者は刑務作業が課され、木工、印刷、洋裁、金属作業等に従事します。これによって勤労意欲を育て、知識、技能を付与し、円滑な社会復帰に向けて、社会における自己の役割や責任を自覚させることを目的の一つとしております。一方、禁錮には刑務作業が義務づけられておりません。しかし、希望すれば刑務作業に従事できることから、禁錮受刑者の大半が従事していると言われております。以前より懲役と禁錮の区別は不要との指摘が根強くあったと報道で承知しております。
 そこで質問いたしますが、拘禁刑創設の必要性やその意義、また法制審議会での経緯や議論などについて法務省にお伺いをいたします。
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津島淳#23
○津島副大臣 福重隆浩委員より、拘禁刑創設に関する重要な御質問をいただいたと思っております。
 近年、刑罰の目的の一つである受刑者の改善更生、再犯防止の重要性についての認識が高まってきております。現行法においては懲役か禁錮かという刑の種類によって作業を行わせるか否かが異なりますが、作業は重要な処遇方法でございますから、それを行わせるか否かが刑の種類という形式的な区分によって定まるものとするのではなく、個々の受刑者の特性に応じ、作業と指導とをベストミックスした処遇を行うことができるようにすることが重要と考えます。
 そこで、個々の受刑者の特性に応じた処遇を可能として、一層の改善更生、再犯防止を図る観点から、現行法の懲役及び禁錮を廃止し、これらに代えて拘禁刑を創設し、拘禁刑は刑事施設に拘置する、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができると規定することとするものでございます。
 次に、法制審における経緯、議論についてのお尋ねにお答えを申し上げます。
 法制審においては、犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事法の整備の在り方などについての法務大臣からの諮問を受けて、少年法・刑事法部会が設置され、議論が行われたところでございます。
 その中で、かつては罪質に応じて懲役と禁錮を類型的に区分していたとされますが、現在ではこのような区別は重要とは言えないこと、そして、委員御指摘ございました禁錮受刑者の多くが自ら申し出て作業を行っている現状では、あえて禁錮刑を存置する実益に乏しいということなどが指摘をされました。それで、懲役及び禁錮を廃止し、これらを一つの刑とすること、必要な作業及び各種指導を行うことを可能とすることについて特段の異論はなかったものと承知してございます。
 このような調査審議を経て、法制審議会総会において拘禁刑の創設に相当する内容を含む答申が全会一致で採択されたものでございます。
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福重隆浩#24
○福重委員 引き続きお伺いいたしますが、拘禁刑が創設されることにより廃止となる懲役と禁錮ですが、禁錮には、今も申し上げたとおり、作業が義務づけられておりませんが、何もしないことがかえって苦痛だとの声もあり、作業に従事している禁錮受刑者が多いとお聞きしております。
 そこで、把握している最新のデータでは、どのくらいの禁錮受刑者が作業に従事しているのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
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佐伯紀男#25
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 令和三年十二月末現在の数字でございますが、収容されておる禁錮受刑者百八名のうち、約八五%に当たります九十二名の方が作業に従事しております。
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福重隆浩#26
○福重委員 ありがとうございました。
 次に、創設される予定の拘禁刑には、作業と指導があります。基本的なことをお伺いいたしますが、今回、改正法の刑法第十二条第三項に作業と指導を並べて規定することとした理由について御答弁をお願いいたします。
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川原隆司#27
○川原政府参考人 お答えいたします。
 拘禁刑は、これに処せられた者の改善更生、再犯防止を図るため、個々の受刑者の特性に応じ、作業と指導とをベストミックスして行うことができるようにするものであり、現に刑事施設においては、作業も指導も重要な処遇方法として位置づけられているところでございます。
 そこで、拘禁刑の規定におきまして、作業と指導については、いずれも改善更生を図るための重要な処遇方法として、特別予防のために課すものであることを明確にするため、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができることを明記することとしたものでございます。
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福重隆浩#28
○福重委員 次に、受刑者について、改善更生及び円滑な社会復帰を図るため作業を行わせることが必要な場合であっても、作業を行わせることが相当でないと認めるときは作業を行わせないものとされておりますが、この相当でないと認めるときとはどのような場合でしょうか。現下の新型コロナウイルス感染症などで感染防止措置が必要な場合などを想定しているのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
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佐伯紀男#29
○佐伯政府参考人 お答え申し上げます。
 改善更生及び円滑な社会復帰を図るために作業を行わせることが必要であると認められる場合であっても、他の事情によって作業、就業が難しい場合が想定されるところでございます。
 具体的には、例えば、御指摘のような新型コロナウイルス等の感染症に罹患したことにより、蔓延防止の観点から、他の受刑者とともに必要な作業を行わせることが難しい場合であるとか、あるいは、条約との関係で作業を課すことに配慮が必要な場合、こういったことが想定されるところでございます。
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