前川清成の発言 (法務委員会)
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○前川委員 今大臣がおっしゃるように、前半の部分は、お聞きしたところ、違いましたけれども、後半の部分のところ、公共の利害に関わる表現であれば、いかなる誹謗中傷であったとしても違法性を阻却してしまうというのは、確かに、ある意味、行き過ぎがあるのかもしれません。しかし、その一方で、その場その場の出たとこ勝負で判断しますとなると、国民に予測可能性を与えませんので、それは表現の自由を萎縮させてしまいます。
ですから、今日すぐにこの刑法改正案を修正しろとは言いませんが、憲法学者とか刑法学者の意見も聞いて、適切なメルクマールを設定する、こういう努力を引き続きしていただいたらどうかと思います。
次に、昨日提出した維新の対案では、インターネットによる誹謗中傷の被害を根絶する、このためには刑事罰だけでは足りない、こう考えています。
被害救済という点でいえば、木村響子参考人がおっしゃったとおり、賠償金が安過ぎるのではないか、賠償金で裁判費用さえ賄えないのであれば、被害者は泣き寝入りを余儀なくされてしまうのではないか。木村さんは、裁判費用に一千万円近いお金がかかったとおっしゃっていました。ですから、私たちは、損害賠償制度であるとか、あるいは被害者に対する給付金制度、あるいは裁判費用の支援、こういったものも必要ではないかというふうに提案をしています。
この文脈で確認をしたいんですが、今、改正プロバイダー責任法がまだ施行されていません。この段階で、例えばツイッターに誹謗中傷した加害者に対して損害賠償請求を起こそうと思うと、まずはツイッター社を債務者にして、IPアドレスの開示を求める仮処分を申し立てます。仮処分の決定が出て、裁判所に保証金、お金を預けて、その上で、IPアドレスが判明したら、今度は通信事業者、例えばNTTを被告にして、発信者の住所、氏名を開示する裁判を起こします。仮処分に勝って、通信事業者を被告にした裁判に勝って、やっと加害者に対して損害賠償を請求する裁判を起こすことができます。
しかし、ツイッターを債務者にした仮処分、通信事業者を被告にした開示請求の裁判、さらには加害者を被告にした損害賠償請求訴訟、これらの手続を弁護士に委任せずに御自身でやることは困難です、不可能です。
ところが、木村さんは、御自身の裁判において、判決は百三十万円を認容しただけです、しかも一円も払われませんでした、こういうふうにおっしゃっています。
他方で、その人が、これは加害者のことですけれども、どこの誰かを突き止めるために百万円近いお金がかかってしまった、こういうふうにおっしゃっていました。
そこで、今日は最高裁にも来ていただいていますが、私たちは、インターネットによる誹謗中傷、その場合に、裁判所が認容する賠償額、これが低過ぎるのではないかと考えておりますが、最高裁の方では、賠償額、各地の裁判所がどの程度の金額を認容しているのか、統計をお持ちなのか、お持ちでないのか。
あるいは、諸外国の裁判所が、同種事案においてどの程度の賠償額を認容しているのか、調査しておられるのか、していないのか。
あるいは、これまでの裁判実務であれば、慰謝料として百万円前後を認定して、その一割を弁護士費用として、追加して認める、これが実務です。しかし、木村響子さんの例のように、誰が加害者か突き止めるためだけに百万円以上かかってしまう。そうであれば、仮処分や、あるいは発信者の開示情報、特定するための開示請求、これらの裁判費用についても、不法行為の賠償額の一部として認めるべきではないかと、私たちはそう考えておりますが、この三点について最高裁の御見解をお伺いしたいと思います。