西岡力の発言 (北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会)

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○西岡参考人 西岡力でございます。
 私はメモを準備してまいりましたので、それを見ていただきながらお話を聞いていただくと感謝いたします。
 時間がありませんので、すぐに本題に入ります。
 今、横田拓也さんからも話がありましたが、私たち家族会、救う会の救出戦略は、制裁の圧力を背景にして日朝首脳会談を実現して、金正恩委員長に全拉致被害者の即時一括帰国の決断を迫るということであります。
 では、まず第一段階の、首脳会談実現のために何が必要なのか。
 今、北朝鮮は、制裁、そしてコロナなどで体制の危機に直面していることは間違いありません。ですから、ここにチャンスがあります。
 そのために、国内世論を盛り上げていくということは絶対に必要であります。昨年十二月に、人権週間で、先生方もブルーリボンをつけてくださって国会の審議に臨んでくださったことを感謝しております。是非、もっともっとみんなでブルーリボンをつける運動を広げていっていただきたいというふうにお願い申し上げます。
 また、新しい国会決議の議論が一部であるというふうにも聞いておりますけれども、国会の意思、国民の意思、主権者の、主権国家としての国会の意思を拉致問題解決のために示していただくということも是非御検討いただければありがたいというふうに思っております。
 そして、国際社会に対しては、拉致問題を解決しない限り制裁が緩まないようにするということです。
 北朝鮮には、親の世代の家族会のメンバーが被害者と抱き合うことなしには拉致問題解決というふうに日本人は思いませんよ、日朝関係改善はありませんよというメッセージを送り続けることが必要だというふうに思います。
 そして、アメリカなどに対しては、拉致問題の深刻さと日本にとっての拉致問題の重要さの理解を得て、北朝鮮がトランプ時代のように再度米朝首脳会談を選んだ場合は、拉致問題を核と並んで議題に上げていただくようにお願いする。小泉訪朝のときのように、先に日朝首脳会談が実現した場合には、命が関わっている被害者の帰国を日本が優先して交渉して、それが実現したらば、核問題が進展なくても、国連制裁に違反しない人道支援を行うことについては容認をしていただくというような交渉を是非しておいていただきたいというふうに思っております。
 二の、首脳会談での決断を促すのところは、時間の関係で省かせていただきます。後でお時間があれば読んでいただければと思います。
 三の、私ども家族会、救う会が全拉致被害者の即時一括帰国にこだわる理由であります。
 先ほど拓也代表もお話をしましたけれども、北朝鮮当局は既に全員の名簿を持っています。そして、それを見ることができるのは金正恩委員長らごく少数の最高幹部だけだと思います。
 二〇〇二年に横田めぐみさんや田口八重子さんら八人が死亡と通告されたのは、当時の最高権力者の金正日委員長が、秘密を多く知り過ぎているので帰さないと判断したためだ。その金正日委員長の決断、決定を覆すことなしに八人を取り戻すことは困難であります。しかし、八人について、死亡の証拠は全くありません。八人の中の一人については死亡の証拠があるというんじゃなくて、八分のゼロであります。そして、生存を示す情報はあります。
 一括帰国にこだわらないと、日朝首脳会談で、この八人について、一番秘密を知っている人たちだと彼らが認識しているわけですから、再度死亡というふうにされてしまって、そして、秘密を余り知らない人を数人出してくる、それで終わりにしようとするという危険性があるということであります。
 日本政府の拉致問題解決の定義は、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の帰国であります。有無にかかわらずと言っております。そして、二つ目が真相究明、三つ目が実行犯の引渡しです。これは、犯人と言っていないで実行犯と言っているところにも意味深いと思っておりますが。
 私たちは、この解決が実現するまで何もするなと言っているわけではありません。一が実現するまで一切支援をするなと言っているわけです。一、二、三の中で、一だけを最優先でしてほしいと。もちろん、主権国家ですから二と三も解決しなければならないと思いますが、そこは時差があってもいい。一が最優先だ、そして一には分割はあり得ないというふうに思っております。
 産経新聞が、昨年の総選挙で各党にアンケートをしてくださいました。家族会、救う会は全拉致被害者の即時一括帰国を基本方針に掲げています、数人の被害者の返還などでいわゆる部分帰国を北朝鮮が示した場合、容認しますか、あるいは即時一括帰国にこだわりますかという質問に対して、自民党、公明党、立憲、維新、国民、共産の六党がこだわるという回答をしてくださったことを大変心強く思っております。ありがとうございます。
 次に、北朝鮮情勢についてお話し申し上げます。
 今、ウクライナの戦争が起きているわけですけれども、私が入手した情報によりますと、プーチン大統領は、開戦前に金正恩氏に、一週間以内に戦争を終わらせるというふうに通報したと聞いております。同じ話を、産経新聞の台北支局長の矢板さんが月刊「正論」の今出ている号に書いています。私は北朝鮮から取りましたが、矢板さんは台湾から取った話です。
 北朝鮮は、今のロシアの戦争に大変関心が高いです。なぜなら、同じ武器を持っているからです。北朝鮮軍の武器は旧ソ連製です。そして、今ロシアが使っている武器よりもバージョンが古いやつです。だから、今のロシアの武器がどれくらい効能があるのか、実戦でどれくらい強いのかということに大変関心があって、参観団を出しているというふうに聞いています。
 そして、プーチンは習近平氏にも連絡をして、習近平氏は、もしもロシアが一週間以内に戦争に勝つならば、台湾と戦争を考えると。その場合に、中国から北朝鮮に対して依頼があった、台湾での戦争をする場合に、米軍を攪乱するために朝鮮半島で局地戦を起こしてほしいと。朝鮮人民軍はその作戦の検討をしていたというふうに私は聞いています。西海五島といいますけれども、そこでの局地戦を考えていた。ところが、今、戦争がうまくいっていないということで、全てそれが御破算になったということであります。
 そして、北朝鮮は、今、通常兵力が自分たちも大変弱いというショックを受けています。ロシアの地上軍は世界最強と言われていたのに、こんなに弱いのか、同じ武器で武装している自分たちの軍隊も弱いのではないかと。特に士気の問題で、ロシア軍の兵士たちが士気が低い、ウクライナの人たちと話ができて、ウクライナの状況を見たら、自分たちは解放軍ではないということが分かってしまって、士気が低くなっている。
 今、北朝鮮の兵士たちはみんな、韓国のドラマを見ています。見ていない人はいないぐらいです。韓国が貧しくて、アメリカの支配から助けなくちゃいけないと教えているわけですが、戦争が始まったら、韓国が豊かだ、ドラマで見たとおりだということを分かってしまったら、士気はどうなるんだろうかということが権力中枢部で言われているそうであります。だから、核にこだわっているんです。いよいよ核にこだわっているんです。
 今までは、アメリカを朝鮮半島から追い出す、第二次朝鮮戦争を起こしたときにアメリカの介入をさせないというために、アメリカまで届く核兵器を持つということが金日成時代からの戦略だったのでありますが、もちろんそれは残っていますが、それだけではなくて、短距離で、戦場で使う、もう通常兵力では勝てないので、戦術核について今開発をしている。
 今回、ICBMに燃料を入れているという報道がありました。これは戦略核ですが、数日前行ったSLBMの発射実験、これは射程の短いものでした。最近、射程の短い、核を積めるミサイルの発射実験をたくさんしています。そして、金正恩氏は、核の先制使用もあり得るということを二度話しました。それも危機感の表れであります。
 そして、今は建国以来の大動乱だといって、コロナ蔓延を認めました。今朝の報道によると、昨日までで発熱者が二百二十四万人、死亡者六十五人と言っていますけれども、これは少な過ぎます。私の聞いたのでは、一万人は超えていると聞いています。
 ただ、今コロナ患者が出たわけじゃないわけです。前からいたんです。じゃ、なぜ発表したのか。地方で治安が大変乱れている、このままいったら何か起きるかもしれないという不安が高まっている。それで、大規模な発熱が起きている、うちにいろというふうに言うために、今回言ったというふうに聞いています。もちろん、実際、平壌を中心に、はやっているということが第一の理由ですが、もう一つ、治安の維持ということがあったということです。
 五月の上旬に、これはコロナ蔓延発表の直前ですけれども、平安南道の朔州郡というところで、保衛員、これは政治警察員です、が夜中に殴り殺された死体が、朝、発見されました。その首のところに、人民たちが何か悪いことをしたのか、おまえたちが悪いことをしたんだろう、悪いことをしたやつらがしていない者をいじめている、人民をいじめるやつは復讐されると書いてあった。このような治安機関員が襲われる事件が頻発していると聞いています。
 経済制裁が効き、そしてコロナの蔓延、中朝貿易が遮断されている中で、本当に苦しくなってきています。その中で、日本は、人道支援をする準備があるというメッセージを出しているわけです。ただし、先ほど言った拉致解決の定義の一、二、三の一だ、全被害者の即時一括帰国という人道的な行為をするなら、日本は国連制裁に違反しない範囲の中ですることができる、そういう話を、日朝首脳会談を実現させて岸田総理の口から北朝鮮の最高指導者に言っていただくということができるのではないか。
 北朝鮮の中では、中国は改革・開放を迫る、韓国は情報が流入して体制危機を招く、まずアメリカに接近して、ミサイルなどを発射して挑発して、制裁の解除と人道支援を得る、ただし、アメリカは大規模な経済支援をしないことは分かっている、だから日本しか大規模な経済支援はもらえないんだという議論があるということは聞いております。
 まだ、どこに出ていくか、出口をどうするかということを最高指導者は考えているんだと思いますけれども、日本としては、まず全被害者を帰しなさい、帰せれば核問題が解決しなくてもできることはあります、核問題が解決して国交正常化になればもっとできることがあります、二段階でできることがありますというメッセージを今発すべきときではないかというふうに思っております。
 以上であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 120805253X00520220520_004

発言者: 西岡力

speaker_id: 5754

日付: 2022-05-20

院: 衆議院

会議名: 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会