末松義規の発言 (本会議)
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○末松義規君 立憲民主党・無所属の末松義規です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
まずもって、ロシアの侵略で犠牲になられたウクライナの方々に心からの哀悼の意を表しますとともに、苦しみの中におられる方々に深くお見舞いを申し上げます。
ユア・ファイト・イズ・アワー・ファイト、あなた方の戦いは私たちの戦いだ。これは、四月八日にウクライナ、特にブチャを訪問したフォン・デア・ライエンEU委員長がゼレンスキー・ウクライナ大統領に呼びかけた言葉です。
この言葉を敷衍すれば、ウクライナの戦いは、我が国を含めた平和を求める世界全体の戦いでもあります。EU委員長以外にも、東欧の三首脳や英国首相も最近ウクライナを訪れています。
岸田総理、東洋から初めてウクライナへの熱い連帯のメッセージを直接伝えるために、近々ウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領とお会いされてはいかがでしょうか。是非御検討ください。
さて、ロシアのウクライナ侵略に対する外交戦略として、第一の要点は、当然のことですが、ロシアのウクライナ侵略を絶対に成功例とさせてはならないということです。この侵略によってロシアの目的が達成されるようなことがあれば、他の潜在的な危険国がロシアの成功例を見習って周辺国に侵略を開始する危険性が高くなるからです。
アジアにおいては、台湾海峡や尖閣諸島などで大きな軍事的危機が高まる危険性も出てくるという、我が国の安全保障に直結する問題です。その意味で、日本政府が、G7の場で議論して、その決定に速やかに協力し、国際社会の連帯強化に貢献していることは、適切な行動だと評価しています。
第二の要点は、ロシアに協力するような国を外交的に説得し、ロシアを孤立化させて、G7との共同歩調を取らせることです。
その意味で、岸田総理が、ロシアに対するインドの態度を変えさせるまでには至りませんでしたが、いち早くインドのモディ首相と会談して説得を試みたことは、意義深いことだと高く評価しています。
次なる日本及び国際外交の急務は、いかにして中国の対ロシア協力を制止させるかということです。中国のロシアに対する軍事、経済、金融協力が、対ロシア経済制裁の抜け道をつくり、ロシアの継戦能力や経済力を強化することになるからです。
ここで、岸田総理が、他のG7諸国と連携しながら、できるだけ早く訪中して、中国の習近平主席と直接会談して、少なくともロシアを支持しないよう説得すべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。これは、日本外交にとっても大きなチャレンジです。
また、その際、中国とは北朝鮮の度重なるミサイル発射についても協議するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
世界は、このロシアのウクライナ侵略を契機に、第三次世界大戦勃発の間際まで来ています。私も、外務省勤務時代に、イラン・イラク戦争や湾岸危機を体験してきたことから、戦争という恐ろしい怪物が偶発的事件をきっかけにして一挙にエスカレートして巨大化するのを見てきました。もちろん、ロシアのウクライナからの撤兵、撤退が実現できれば問題なくなるわけですが、米国を始めとするNATO側とロシア側との間で、第三次世界大戦を避けるような内々の駆け引きが行われていると思いますが、まさにこの点について、岸田総理は主要国首脳とどの程度まで腹を割って話しておられますか。総理にお聞きしたいと思います。
ブチャ等でのロシア軍による無辜の市民に対する殺りくは、国際人道法上許し難い行為であり、明白な戦争犯罪です。G7も速やかにロシアに対する追加的制裁措置を行うことを決定したようですが、日本としてどのような追加措置を決めたのでしょうか。総理、具体的にお述べいただきたいと思います。
国際的な対ロシア制裁措置に積極的に参加した日本は、ロシアによると、敵性国家、敵国になったようです。今後、ロシアからは、様々な軍事的、経済的な対抗措置、さらには中期的に軍事的挑発がエスカレートすることも想定しておく必要があります。その上でも、G7と足並みをそろえ、国際秩序を守るため、対ロシアの厳しい経済制裁を維持していく、そのような想定と覚悟が岸田総理にあるのか、まずお伺いします。
特に、最近、公共部門や民間企業へのサイバー攻撃が盛んに行われているとの報道もあります。政府として、これらのサイバー攻撃に対してどのような防衛策を取ってきたのでしょうか。
さらに、日本近辺において、ロシアや中国の動きに変化はないのでしょうか。
今後は警戒レベルを上げていく必要があると思いますが、総理の御認識をお伺いします。
ロシアのウクライナ侵略後、ロシアのデフォルトの危険性や経済崩壊などの情報で大幅に落ち込んだルーブルの価値は、意外なことに、直近ではかなり回復してきています。その理由として、ロシア中央銀行がルーブル売りを制限するなど、人為的にルーブル需要をつくり出しているとの報道があります。
さらに、ロシア中央銀行が金を固定相場で買い取ることを発表したり、現行のSWIFTシステムからロシアの銀行を排除しても、今後主流となるであろうQFS、量子金融システムへ移行するので問題はない、さらには、ロシアと中国の送金連携システムが存在するので問題ないなど、ロシアの経済金融システムは意外と堅固ではないかとの見方もあります。
ロシアの継戦能力や経済能力にも関わる認識だけに重要ですので、総理の御認識を伺います。
先日、林外務大臣が、ポーランドで、日本に在住を希望するウクライナ難民を政府専用機に搭乗させることとしましたが、結果的には僅か二十人だけが搭乗し、日本に到着されました。座席の余裕は百五十人分もあったと報道されています。海外から見ると、二十人という少数はウクライナ難民を受入れ制限する日本政府の意図の表れだとマイナスに評価する向きもあったと言われています。
政府は、元々日本に渡航希望していたウクライナ難民の総数を示していませんが、その数は何人だったのでしょうか。そして、なぜ二十人まで絞ったのでしょうか。外務大臣にお伺いします。
また、現在四百二十八万人とも言われるウクライナ難民がいる中、日本が現在までに正式に受け入れたウクライナ難民の数を教えてください。
現在、急速な円安や原油高、さらには鉱物資源や食料価格の高騰によって、国民生活を困窮させる物価高が現実のものとなっています。その意味で、今こそ有効な物価抑制策を取っていかねばなりません。
立憲民主党としては、四月八日に総額二十一兆円の緊急経済対策を発表し、時限的な五%消費減税やエネルギー購入費補助、さらには、ワーキングプアの方々や低年金者、低所得子育て世帯に五万円を給付する生活支援策などと同時に、債務減免や事業復活支援金の上限額二百五十万の倍増などの事業者支援策を公表しました。
これらの緊急経済対策は、国民生活を救うために、スピードが命です。総理としては、これまでどのような緊急経済対策を策定して実施してきたのでしょうか。また、このような緊急事態では新たに補正予算を組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
ウクライナにおいて、ロシアは巨大原発を攻撃しました。この事実は、万が一、日本が戦争状態となったときには、敵対国から原発攻撃が頻繁に行われる危険性があることを明白に示しています。
敵対国から通常ミサイルなどの対原発攻撃がなされれば、すぐに原発周辺地域を超える広範な地域が深刻な放射能汚染となります。原発再稼働という平時レベルのチェックではなく、有事対応も想定していかねばならない時代に入ってきました。ロシアからのLNG供給に頼っているドイツでさえ、これらの問題意識をも踏まえ、原発廃止計画を推進しています。
立憲民主党が計画している脱原発政策のように、安全保障の観点からも、総理、今こそ原発廃止政策を強力に進めていくべきときではないでしょうか。
今回の二法案は、いずれも侵略国ロシアに対する経済制裁を強化する手続整備であり、基本的に賛同できるものですが、不十分な点や不明瞭な点も見受けられます。
関税暫定措置法改正案によりロシアに対する最恵国待遇が撤回され、ロシアからの輸入品に対しては日本の国定税率が適用されます。そもそも、昨年のロシアからの輸入額ベースで見れば、輸入総額一・五兆円のうちLPGなどのエネルギー分野の一・二兆円分については元々無税であることから、ロシアは全く悪影響を受けません。
これに加え、最近のエネルギー価格の高騰により、ロシアからの輸入額がかなり増大することが予想されます。米国などが禁輸措置まで踏み込んだ制裁を行っているときにロシアからの輸入額が拡大すれば、国際的に非難される対象となり得ますが、輸入量制限や禁輸措置などを行うことは考えないのでしょうか。総理の見解を伺います。
一方、英国のジョンソン首相が四月九日明らかにしたように、ウクライナに対して貿易融資枠の拡大や関税引下げ、通関手続の簡素化などの経済優遇措置は、ウクライナ復興の観点からも有益だと思います。総理、我が国も同様の支援を行うことを検討してはいかがでしょうか。
外為法改正案により、制裁対象者から第三者への暗号資産の移転が規制対象となりますが、どの程度の制裁効果があると考えているのか、総理の答弁を求めます。
両法案に共通する質問ですが、関税法案については、最恵国待遇を撤回する対象国及び対象品目について政令で定めますし、外為法に基づく資産凍結などの措置の対象者は外務省の告示により指定されます。これらの非常措置は、いずれも国会の関与がなく、政府だけで決定される点が問題だと思います。
どの国を制裁の対象とするかは外交上極めて重要な問題であり、国会による承認を求めるなど立法府の関与を確保するような仕組みにするべきだと思います。総理の御見解を問います。
いずれにせよ、対ロシア経済制裁については、一方で国際連帯の下で制裁の有効性を追求していくと同時に、制裁の実施に伴う国民生活の様々なマイナス影響に目配りをしながら、同時並行して進めていく必要があります。
最後に、総理に対して、これらの諸条件を円滑に行える情報の取りまとめや情報活用体制の整備について質問して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕