原英史の発言 (予算委員会公聴会)
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○原公述人 政策工房代表取締役、原でございます。
政策シンクタンクの会社を運営しているほか、政府の国家戦略特区ワーキンググループの座長代理などを務めております。
今日は、国会における誹謗中傷の問題に絞ってお話ししたいと思います。
野党合同ヒアリングについて問題点を指摘いたしますが、特定の議員個人、特定の政党の悪口を言うつもりはございません。国会全体で対応いただきたいこと、政府に対応いただきたいことなどをお話ししたいと思います。
まず、私自身、国会での誹謗中傷を受けた当事者であります。その経過についてお話しいたします。
二〇一九年六月十一日、毎日新聞が、一面トップで、私が、政府で会議の委員を務めています国家戦略特区に関して、不正を行ったという記事を掲載しました。記事では、私の顔写真が掲載されて、「特区提案者から指導料」「二百万円、会食も」という見出しで、要するに、私が不正な金銭を受領した、会食接待を受けたという内容です。
こうした事実は全くありません。即日、事実無根であるという旨の反論文を公開しました。私が事実を直ちに説明しましたので、毎日新聞以外の他紙は一切、後追い記事を出していません。
ところが、その中で、六月十三日、私の疑惑を追及する野党合同ヒアリングが設けられました。国家戦略特区利権隠ぺい疑惑野党合同ヒアリングという名称です。六月の十三日が第一回会合で、その後、十月までの間に十回以上開催されています。毎回、内閣府の職員らが呼び出されて、厳しい追及がなされていました。
この会議は公開で行われました。今も、私が不正をしたと決めつけられて追及をされている様子が動画で公開され続けています。しかし、結果として、私が不正を行ったという事実は存在しないので、当たり前なんですが、結局、そんな不正の事実は全く出てきませんでした。
そうした中で、二〇一九年の七月、篠原孝議員ですが、この野党合同ヒアリングに参加されていた篠原孝衆議院議員がブログを掲載され、その中で、八田達夫教授、国家戦略特区のワーキンググループの座長の八田達夫教授と私、原英史委員の利権コンビによるいかがわしい政策づくりが行われている、原は、悪辣なことばかりし、自分の懐を肥やしているといった激しい誹謗中傷をされたということです。
それから、二〇一九年の十月ですが、これも野党合同ヒアリングの主力メンバーでいらっしゃった森ゆうこ参議院議員が、参議院予算委員会でこの疑惑を取り上げて、原さんが国家公務員だったら、あっせん利得収賄で刑罰を受けるんですよと言われました。これは、私が金銭を受け取った、犯罪相当の行為をしたという明らかな誹謗中傷なわけです。
この後、私は、毎日新聞、篠原議員、森議員を名誉毀損で提訴いたしました。
このうち、篠原議員との訴訟の判決が、先月、一月に確定しています。一審の東京地裁の判決は、昨年三月でしたが、私の主張を認めて、篠原議員に百六十五万円の賠償を命ずる内容でした。二審、東京高裁の判決が、先月、一月ですが、賠償額が更に上積みになって、二百二十万円の賠償が命じられました。上告はなされず、この判決が確定しています。
訴訟の中で篠原議員は、五十年間、毎日新聞を取ってきた、全国紙であって、信用するのは当然だと主張されていましたが、こうした抗弁は認められませんでした。
判決では、新聞記事などについて、特段その内容を吟味することもなく、全面的に信頼して、被告に相当軽率な面があることは否めないなどとされ、名誉毀損が成立するという判断になったわけです。
この判決によって、野党合同ヒアリングで議員の方々がなさっていた疑惑追及は不当だったということが、これは司法の場で決着しています。つまり、そんな不正があった事実は認められない、また、新聞記事にそう書いてあったからと言っても許容されないということです。
なお、ほかの二つの訴訟は係争中ですが、これらがどうなっても、野党合同ヒアリングにおける疑惑追及が不当だったという結論は変わりません。
毎日新聞との訴訟では、毎日新聞は、記事には私が金銭を受け取ったとは書いていないなどの主張をしています。私は、そんなわけがないとして争っていますが、仮に毎日新聞の主張が通ったとしても、記事にも書いていない疑惑追及をしていた方々の責任がより重くなるだけです。
森ゆうこ議員との訴訟、これは争点が異なります。なぜかというと、国会議員には免責特権があります。国会内での国会議員の発言は、原則、訴訟で争うことができないのです。ただ、森議員の場合には、国会での御発言以外にも、私の自宅住所の記載された文書をネットで拡散するなど、国会の外での不法行為がありました。これを訴訟の対象としています。
したがって、これらの訴訟は係争中なんですが、どうなろうと、野党合同ヒアリングでの一連の疑惑追及が不当だったということは、司法判断では確定しているということです。
こうした経過を踏まえて、お願いしたい事項、三つございます。
第一に、事実に基づく国会質疑をお願いしたいということです。
新聞や週刊誌報道をうのみにした誹謗中傷、これは一般社会では不法行為です。判決の言葉をかりれば、自ら事実関係を十分吟味せず、新聞報道をうのみにするような行為は、相当軽率との批判を免れません。もちろん、人間なので、間違ってしまうことはあると思います。誤った誹謗中傷を行ったときは、国民の代表にふさわしい責任ある御対応をお願いしたいと思っております。
私の事案の場合、篠原議員が個人的に行った話ではありません。政党が野党合同ヒアリングを結成して行っていた組織的な誹謗中傷です。篠原議員と森議員以外にも、誹謗中傷していた国会議員が何人もいらっしゃいます。これは、今も公開されている動画のアーカイブを見ればすぐ分かることです。間違っていたことが司法の場でも明らかになったのですから、政党として責任を持って、動画アーカイブを消す、真実性の認められない疑惑追及だったことを正式に認める、こういった最低限の対応をお願いできないかと思っております。
篠原議員の同僚議員の方々からは、篠原さんはとても知性的な方だ、本来、そんなことをする人ではないというお人柄を伺っております。私も、篠原議員のブログのほかの記事、幾つも拝見いたしました。ライフワークとして取り組まれている漁業政策の経過など、大変勉強になる内容でした。政策に真摯に取り組まれている政治家でいらっしゃるんだと思います。
しかし、そんな篠原議員が何でこんな誹謗中傷をされたのかというと、これは、野党合同ヒアリングといういわば集団リンチの場に参加して、集団心理にのまれてしまったということなんだろうと思います。その意味で、野党合同ヒアリングという器を設けられた政党の責任は重いのでないかと思います。
第二に、免責特権それから国会議事録の扱いについて、国会での議論をお願いできないかと思います。
免責特権は、国会での自由な議論を妨げないため国会議員に与えられた特権です。これは必要な制度だと思います。しかし、事実に反する誹謗中傷を行うことまで免責特権による保護に値するんでしょうか。これは国会議員の免責特権の濫用ではないのでしょうか。一定の限界を設ける必要はないのでしょうか。免責特権の在り方について、憲法改正の可能性も含めて、国会で是非御協議いただけないかと思います。
国会議事録の扱いについても協議をお願いできないかと思います。
森議員の、先ほど申し上げた国会での発言、私が犯罪相当の行為をしたという発言は、国会議事録にそのまま掲載されています。これは私にとって大変不名誉なことです。もし同様の発言がネットメディアに掲載されていたら、私は直ちにそのメディアの運営者に削除を要請します。まともなネットメディアであれば、すぐに削除してくれます。
これは実例があります。これは森議員ではなくて別の議員なんですが、お名前はもうあえて申し上げませんが、ある立憲民主党の議員の方、国家戦略特区の件で私が不正を行った疑惑のある人物だという記事をネットメディアに掲載されていました。私が、そのメディアに連絡をして、事実に反しています、ほかの議員のブログで判決も出ていますということをお伝えしたところ、迅速に削除をしていただけました。
ところが、問題は、この議員の方はネットメディアに投稿したのと同じ内容を国会でも発言されていたことです。同様の文面が国会議事録にも掲載されています。国会議事録については、削除を要請しようにも、そんな窓口がないんです。名誉毀損をする内容がネットで公開されていても、何も手を出せない状態になっている。
ネットメディアについては、よくデマだらけだといったことを言われがちです。しかし、こうした側面だけ見れば、ネットメディアよりもはるかにひどいのが国会議事録です。失礼な言い方に聞こえるかもしれませんが、この点に関する限り、国会議事録はデマを無責任に垂れ流している三流ゴシップメディア並みということだと思います。
さらに、問題は、国会議事録はすぐに潰れてしまうメディアではないということです。私が犯罪相当の行為をしたといった国会発言が、恐らく百年後までネット上に残ると思います。今、私はこうやって事実ではないと発信していますから多くの人に御理解いただけますが、数十年たって、私の孫やひ孫たちがネット上で私の名前を見つけたときにどうなるのか。ひいじいさんはとんでもない不正をやっていた人物だったのかと、恥ずかしい思いをさせてしまうのではないかと思います。これはさすがに何とかしていただけないでしょうか。
議事録からの削除は難しいのかもしれません。そうであれば、例えば、苦情申立てを受けて、この部分は事実ではないとか争いがあるといった注記を議事録に加えるといった仕組みを御検討いただけないものでしょうか。是非国会での御検討をお願いしたいと思います。
三点目です。第三に、政府の対応について申し上げたいと思います。疑惑の追及に対して真摯に、かつ毅然とした対応をすべきだと思います。
この種の疑惑追及に対し、情報を出さないといった対応がなされることがあります。情報を出すとそれを曲解して、あらぬ追及を更に受けかねないといったことを考えると、気持ちは分からないではないんですが、こうした対応をしていると無用な疑念を深めるだけです。森友問題での公文書の改ざん、こんな話はもう言うまでもなく論外です。
一方で真摯に応えつつ、誤った追及には毅然と対処すべきだと思います。特に、役所の人たちの場合、不当な追及を受けたときであっても、ただ頭を下げて、言われっ放しになりがちです。これは健全な関係ではないと思います。不当な追及がなされがちになる元にもなると思います。ここは、大臣、副大臣、政務官が前面に出て毅然と対応いただくべきではないかと思います。
篠原議員の訴訟の判決に関して、一月二十五日の衆議院の予算委員会ですが、岸田総理がこの判決についての見解を質問で求められて、お答えは、個別の判決にコメントしないという御答弁でした。役所で答弁を作るとまあこういう答弁になるのかなと思いましたが、率直に言ってこれはどうなのかなと思いました。
私の事案に関しては、決して私個人だけの不正という話ではなくて、国家戦略特区の運営という、政府の行政運営について疑惑がかけられていたわけです。当時、北村大臣、特区担当の北村大臣が国会で何度も追及されていらっしゃいました。内閣府の職員、連日のように野党合同ヒアリングに呼び出されて、どなられて、私の会議謝金を支払った記録とか、膨大な資料提出を求められて、本来業務が止まるようなこともありました。
司法の場で疑惑が晴らされて、不正はなかったと明らかになったんですから、本来は、政府として、その旨の公式見解を出して、疑惑追及を行ってこられた政党に訂正を求められてもよいのではないでしょうか。そうした対応をせずにいつも言われっ放しになっている、これが根拠のあやふやな疑惑追及がなされがちになる要因ではないかと思います。
国家戦略特区はいまだに腫れ物扱いで、養父市の農業特区など、すばらしい動きが進んできているんですが、運営が停滞して、なかなか前に進みません。政府には、国家戦略特区を再起動するためにも、もう一段踏み込んだ対応をお願いできないかと思っております。
それから最後に、関連して、ドラマの「新聞記者」についてのお話を少しだけしたいと思います。
このドラマは、国会で長らく疑惑追及がなされた森友問題がモデルになっています。学園の名前などはもちろん変えられていますが、見ればすぐに森友問題の話だと分かります。ドラマの冒頭では、官邸の職員が財務省の理財局長に総理の意向だといって土地代金の十二億円の値引きを求める場面があります。国会で、こうした官邸の関与があったに違いないといって長らく疑惑追及がなされてきたことです。
しかし、これは、明らかにされた赤木ファイルで否定されたのではなかったのでしょうか。赤木ファイルでは、本省から相手方である森友学園を厚遇したと受け取られる部分を削除するよう指示された、しかし、現場で厚遇した事実はないと記載されていたと認識しています。これに対して、ドラマでは、総理の意向による値引き要請があったという前提でこのストーリーが組み立てられています。
これが真実かのごとく世界に配信される。日本ではこういった、途上国並みの、縁故主義の行政がなされているかのような認識を広げてしまう。これが真実なら仕方ないわけですが、前提となっていることが事実に反すると思われるわけです。これはまずいのではないでしょうか。
政府はネットフリックスに抗議すべきではないか。この部分は事実とは異なるといったことを記載するなど、何らかの対処を求めるべきではないかと思います。
ネットフリックスは恐らく、これはフィクションですと言われるんだろうと思います。しかし、過去に、モデル小説に関して、モデルとされた個人がプライバシー侵害や名誉毀損に当たるといって争われた事例が幾つかありました。三島由紀夫さんの「宴のあと」事件とか、「石に泳ぐ魚」事件といったものがありましたが、これらは訴訟で争われて、判決においては、小説の形を取っていても、真実らしく受け取られる内容であれば不法行為が成立するとされています。これになぞらえて考えれば、単にフィクションですとテロップを出しておけばよいということではないはずです。
この件は訴訟で争う話ではないでしょうが、日本政府の信用が毀損されているわけですから、日本政府がネットフリックスに抗議をして、対処を求めるべきではないかと思います。こうしたことを放置していると、根拠のあやふやな疑惑追及、不当な誹謗中傷が起きる要因になってしまうのではないかと思います。
以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)