予算委員会公聴会

2022-02-15 衆議院 全211発言

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会議録情報#0
令和四年二月十五日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 根本  匠君
   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君
   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君
   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君
   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君
   理事 稲津  久君
      青山 周平君    秋葉 賢也君
      井出 庸生君    伊藤 達也君
      石破  茂君    石原 宏高君
      今村 雅弘君    岩屋  毅君
      衛藤征士郎君    奥野 信亮君
      加藤 勝信君    金田 勝年君
      亀岡 偉民君    神田 憲次君
      後藤田正純君    國場幸之助君
      笹川 博義君    下村 博文君
      杉田 水脈君    高木 宏壽君
      武井 俊輔君    辻  清人君
      土屋 品子君    中谷 真一君
      平沢 勝栄君    藤井比早之君
      古屋 圭司君    宮崎 政久君
      山本 有二君    鷲尾英一郎君
      渡辺 博道君    石川 香織君
      落合 貴之君    城井  崇君
      源馬謙太郎君    近藤 和也君
      階   猛君    堤 かなめ君
      長妻  昭君    道下 大樹君
      足立 康史君    市村浩一郎君
      岩谷 良平君    伊佐 進一君
      輿水 恵一君    中川 宏昌君
      斎藤アレックス君    前原 誠司君
      宮本  徹君    北神 圭朗君
      仁木 博文君
    …………………………………
   公述人
   (名古屋商科大学教授/マネックス証券株式会社専門役員)          大槻 奈那君
   公述人
   (株式会社政策工房代表取締役)          原  英史君
   公述人
   (東京大学大学院経済学研究科教授)        川口 大司君
   公述人
   (法政大学教授)     小黒 一正君
   公述人
   (株式会社日本総合研究所理事長)         翁  百合君
   公述人
   (日本労働組合総連合会副事務局長)        石上 千博君
   公述人
   (大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授)    大竹 文雄君
   公述人
   (全国労働組合総連合議長)            小畑 雅子君
   予算委員会専門員     小池 章子君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十五日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     神田 憲次君
  岩屋  毅君     井出 庸生君
  加藤 勝信君     笹川 博義君
  木原  稔君     宮崎 政久君
  北村 誠吾君     國場幸之助君
  中谷 真一君     藤井比早之君
  山本 有二君     杉田 水脈君
  鷲尾英一郎君     高木 宏壽君
  道下 大樹君     堤 かなめ君
  前原 誠司君     斎藤アレックス君
  緒方林太郎君     北神 圭朗君
同日
 辞任         補欠選任
  井出 庸生君     岩屋  毅君
  神田 憲次君     青山 周平君
  國場幸之助君     石原 宏高君
  笹川 博義君     加藤 勝信君
  杉田 水脈君     山本 有二君
  高木 宏壽君     鷲尾英一郎君
  藤井比早之君     中谷 真一君
  宮崎 政久君     木原  稔君
  堤 かなめ君     道下 大樹君
  斎藤アレックス君   前原 誠司君
  北神 圭朗君     仁木 博文君
同日
 辞任         補欠選任
  石原 宏高君     辻  清人君
  仁木 博文君     緒方林太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  清人君     武井 俊輔君
同日
 辞任         補欠選任
  武井 俊輔君     北村 誠吾君
    ―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 令和四年度一般会計予算
 令和四年度特別会計予算
 令和四年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
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根本匠#1
○根本委員長 これより会議を開きます。
 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。令和四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 御意見を賜る順序といたしましては、まず大槻奈那公述人、次に原英史公述人、次に川口大司公述人、次に小黒一正公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、大槻公述人にお願いいたします。
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大槻奈那#2
○大槻公述人 ありがとうございます。名古屋商科大学並びにマネックス証券というところにおります大槻と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、日本の金融市場の現状とリスク、そして、それを踏まえました日本の課題、期待についてということでお話をさせていただきたいと思います。
 まず、新型コロナの発生から約二年ということで、様々なインパクトがあると思いますが、当社の個人のアンケートからちょっとお伝えをしたいと思います。
 お手元の資料の二ページ目、上段のグラフを御覧いただければと思います。
 こちらは、新型コロナ発生当初の二〇年四月、そして各種経済対策発表後の二〇二一年一月に、それぞれ、自分の収入がどうなったか、あるいはどうなると思うかということについて聞いたものです。
 回答者は証券口座を持っている人ということですから、やや楽観的なバイアスがあるかと思われますが、それでも、コロナ発生当初は、収入が減った、あるいは減りそうだと答えた方が全体の五割に上り、増えると答えた方はほとんどいませんでした。これが、二一年一月時点では、右側になりますが、減った、減りそうだといった人が三割に減少しまして、変わらない又は増えたという方が合わせて七割程度に増えました。
 その背景の一つが、同じページの左下にございますように、過去と違う形での支援を行ったということだと思います。政府が、御存じのとおり、直接の給付金それから補助金等を比較的早期に支給したこと、これに加えまして、真ん中あたりのルートですが、保証協会を通じていわゆるゼロゼロ融資で銀行に貸出しを促したということが表れたと思います。
 右下にございますように、この結果として、リーマン・ショックのときに比べましても、広い業種についてしっかりと貸出しが伸びているということがお分かりいただけると思います。
 今回のスキームが奏功したために、次のページにございますように、邦銀は、当初は不良債権の増加による財務の悪化が相当懸念されたわけですが、実は、今期、もうすぐ三月が終わりますが、引き当てを取り崩して、一部の銀行では過去最高益を達成する見込みですし、貸出しを増やしてもなお、右側にございますように、余剰資金が増加して、一月時点ですが、三百三十兆円ということで史上最大となっています。
 下の方にございます資本につきましても、二〇一九年までは、実は、国内基準行、地域金融機関が主ですが、低下傾向にありましたが、コロナ禍を通じてむしろ充実しています。後ほど触れますが、このことは、今後の日本企業の正常化そして成長のプロセスのために極めて重要だと思っています。
 四ページ目を御覧いただければと思います。
 日本を含む各国で行われた財政政策などの結果、左上の図のとおり、御存じのとおりですが、世界のマネーが大きく増加しまして、右上にございますのが日本の個人預金ですが、こちらは増加しました。二一年九月時点の銀行の個人預金の残高は約五百三十兆円となっていますが、これはコロナ前のトレンドから推計される金額よりも十三兆円ぐらい膨らんでいる計算です。
 これらのマネーの伸びに押されまして、同じページの左下にございますように、二〇二〇年三月のパンデミック宣言で発生しました株価の暴落も、実は、一九二九年以来、史上最短のペースで回復しました。これらに支えられまして、右下にございますが、個人の金融資産ですが、米国と比べますと相当見劣りがするようではありますが、それでも安定的に増加をしています。
 このように、新型コロナ、今の時点ではございますが、金融市場への影響は、これまでのところ、我々市場関係者の当初の予想がいい意味で大外れだったということだと思います。しかし一方で、これからお話しさせていただきますように、足下の環境の変化、それに対する懸念材料も明らかになりつつあると感じています。
 五ページ目を御覧ください。
 まず、一点目の変化といたしましては、これまで持ちこたえてきた企業それから個人の体力に陰りが見えてきた点です。
 一部業種の不良債権なんですが、コロナ前から大きな増加が見られるのに加えまして、それ以上に目を引くのが、左上の図の一番右側の濃い青棒なんですが、不良債権の予備軍と言われる、その他要注意債権の増加が際立っています。また、これと表裏一体なんですが、下の方にございますように、一部の業種では、赤字それから減益となっている上、借入れの増加で財務力の大幅な悪化が見られるのは御存じのとおりかと思います。
 不良債権の予備軍と申し上げましたけれども、不良債権そのものの五倍ぐらいになっていまして、これらの企業をどのように再生し、成長軌道に乗せるのかというのが日本経済の明暗を分けるというふうに考えています。
 それから、同じページでもう一点だけ、個人について。
 右下なんですけれども、この赤い折れ線のグラフにございますように、預金残高が小さめな、三百万円未満の口座の一口座当たりの預金残高なんですが、ほかの大口の預金の口座はまだ安定的に増加をしているんですけれども、これが足下で減少に転じています。また、ここにはございませんが、一部民間企業のデータでは、住宅ローンの返済に困っている方々の相談件数が、コロナ前に比べて一・五から一・六倍になっていると言われます。
 第二の変化ということで、次のページ、六ページ目です。
 資産価格膨張の巻き戻しです。
 この上の二つのグラフは、日米それぞれの中央銀行の、資産残高を横軸に、縦軸に株価を取っています。様々な要因が関係していると思いますが、日米共に、近年の中央銀行の資産規模と株価にはやはり一定の関係があると見られます。
 株価は、中長期的には将来の企業収益を表すというものではあるんですけれども、市場のお金の流れに影響されないという考え方がある一方で、昨年、アメリカで発表された研究では、市場に一ドル流入すると株価の時価総額が五ドル程度上昇するというふうにも見られています。
 加えまして、下の二つの図表は、住宅価格の上昇と消費者物価の上昇の比較ですが、日本の場合、他の先進国に比べますとまだまだ行き過ぎ感というのは少ないんですが、それでも久々に上昇幅が拡大を続けているという状況です。
 こうした資産価格の上昇ということ自体を否定するものではございません。国民の富を増やすものということだとは思うんですが、御存じのとおり、年初来、市場は極めて不安定になっています。その影響については、今後の見通しとともに、後で少し触れたいと思います。
 戻りまして、三点目の変化ということで、七ページ目を御覧ください。
 こちらは四つの図表をお載せしていますけれども、全て我々が定期的に行っているアンケートです。
 左上にございますとおり、若干傾向は緩やかになっているんですが、まだまだマイナスの方にございます。これはどういうことを意味しているかというと、個人の財布のひもが、全世代で、前年比でまだ引き締めているということになっています。理由を聞いているんですが、広い世代の方々が年金や財政への不安を口にしています。右側を御覧いただきますとおり、これは、全世代をまたいで、いろいろな世代の方が同じような回答をしています。このことは、今後の歳出の在り方を考える上で十分考慮すべきではないかというふうに考えています。
 それでは、ここから、当面の金融市場のリスク、これを踏まえた日本の課題、機会についてお話をさせていただければと思います。
 まず、八ページ目、これは、皆さん本当に御存じのとおりのことだと思いますが、インフレ率の上昇です。日本のインフレ率は、消費者物価については、御存じのとおり、今のところ穏やかでございます。しかしながら、左下のとおり、海外からの輸入価格等に左右される企業物価指数はアメリカと連動して大きく上昇している結果、右下のとおり、日本企業が消費者に転嫁できずに耐えている部分、ここで申し上げますと矢印のところになりますが、これは過去最大となっています。
 足下では、御存じのとおり、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化で原油価格も一バレル百ドルを目前としていますし、その他の資源価格も影響を受ける可能性が十分あると思います。
 こうなりますと、日本でも今後はさすがに消費者への価格転嫁は必至だと思われますし、それから、最近は、朝起きてから寝るまで、我々の日々の生活に欠かせなくなっているのが海外の商品とかサービスかと思いますが、これも円安も相まって急速に価格が上昇していまして、インフレが個人の消費行動に与える影響、これは可能性は十分あると思っています。
 こうした物価上昇から、九ページ目にございますように、上の方のグラフは、欧米の先進諸国について、今年織り込まれている金融の引締め、金利の上昇幅でございます。日本につきましては、この図でもお示しのとおり、この限りではございませんけれども、下段のとおり、左側は、まず中長期金利については、日米の金利の相関は高く、足下ですと、十年国債利回りが二〇一六年のマイナス金利導入後最高の〇・二三%を過日つけましたが、昨日の日銀の指し値オペで二ベーシスほど低下をしました。
 こうした日銀の施策で日本の市場金利は総じて安定しているというふうに言えますが、足下では、右側の下のグラフのとおり、日銀を除くベースで、投資家の中に占める海外の割合を示していますが、増加傾向にございますので、徐々にこうした海外の売買の動向も気にするべきになってきていると思います。
 また、米国の金融政策については、ここでは金利の話をしていますが、実際に不透明感が多いのはバランスシートの縮小でございます。FRBは金利を一年で二%程度引き上げたことはございますが、バランスシートの縮小は、二〇一九年に年間一割程度縮小したことはありますが、今回はそもそも資産の膨張が類を見ない状態になってございますので、市場としても大変読みにくくなっています。
 仮に、こうした不透明感から金利が大きく上昇し、株式市場等が動揺した場合についての日本の影響ですが、まず、国債の利払いにつきましては、財務省の試算等を見ましても大きな影響が直ちに出るわけではないと考えられますが、万一金利が一%上昇すれば、徐々に影響は拡大し、毎年数兆円程度の負担増となりますし、また、こうした財政の動向については、先ほどもお伝えしましたように、個人の関心が高まっているということは十分に意識しておくべきではないかと思います。
 そして、資産価格の膨張の巻き戻しについてですが、十ページには逆資産効果を表しています。
 実体経済に影響を与えるルートとして、資産価格が下落した場合、逆資産効果で消費に影響を与えるということが言われておりますし、アメリカではそれが特に顕著です。日本はそれほどではないですけれども、ただ、ここで考えなければいけないのは、一連の、この二年間のコロナの影響もございまして、個人、企業、昔に比べて投資を行っている方々の割合が非常に増えていますので、逆資産効果は過去よりも大きくなる可能性もあるかと思っています。
 さらに、中長期的に注意すべきところは、こうした短期的なものというよりはリスクテイクマインドの後退だと思います。個人が消費を減らせば当然企業の投資は減少しますし、さらに、金融機関やファンドが企業価値を将来の利益から算出していますけれども、金利が上昇し、収益の不確実性が高まれば、収益を現在価値に割り戻すときの割引率が上がってしまい、評価が下がる。これによって企業の調達にも影響が出る可能性があると思います。
 ここまで金融環境のリスクについて述べてきましたが、もちろん、一方で、新型コロナの収束に伴いまして、物、サービスの実需の巻き戻しも期待できると思いますし、これらを生かし、思い切った改革の機会にもなり得ると思います。
 そのような中で期待される施策を、金融以外も含めまして、やや広い観点から最後にお話をしたいと思います。
 十一ページ目ですけれども、仮に金融市場が動揺すると、コロナの前例から、再び緊急避難的な補助金等を求める声が高まる可能性はあると思います。もちろん場合によっては一定程度は必要かと思いますが、それでは成長の後押しにはなりにくく、個人が抱く財政への不安が高まりつつある中では効果が希薄化する可能性もあると思います。成長を促すには、民間の挑戦する人々、そしてリスクマネーが自律的に拡大していけるように促すことが重要であると思います。
 具体的には、まず、下支えから成長育成へのシフトということです。民間の力が鍵となりますが、さきにも触れましたとおり、金融機関は、このコロナ危機の二年間で、差はありますけれども、全体としては財務余力を維持向上できていますし、現在も一部の金融機関では既に地元企業を積極的に支援しています。今後は、更にこの余力の活用を広めることが望まれると思います。
 金融機関は、実はコロナ前までは貸出競争激化の影響などで企業のデットガバナンスが弱まっていた印象もございますけれども、今後の企業の再建過程では再び本領を発揮し、一層の成長を助けられるような、企業のエクイティー性の資金の相談、それから、この二年間停滞してきた海外進出の後押し、あるいは、状況によりましては、ニーズがより大きい業態への転換を促すなど、国では人的資源やノウハウの問題でやり切れないような取組を民間金融機関に期待したいと思いますし、また、それを促すような仕組みも必要だと思います。
 また、もう一つ、民間部門では個人の方々の力に期待したいと思います。
 今、地方に住む方々の多くは預金を地元の金融機関に預けているわけですが、その資金が地元向けの貸出しで使われる割合は五から六割程度です。また、地方には、御存じのとおり、上場企業が少ないので、個人が地元企業をエクイティー性の資金で助けて育てていくといっても、手だては限られているのが現状です。そういう地元マネーの地産地消を促せるような仕組みが求められているのではと思います。そのためには、例えば、地元企業の非財務情報として、根強いファンがいる、そういうブランドであるとか、ほかにはない技術が隠れているだとか、そういった情報を見える化して、定量化して、個人の方々であっても評価できるような仕組みというものができればというふうに思います。
 もう一つ、人のリスキリングによる変革です。
 働き方改革やコロナ禍の生活変容で、個人は、時間は工面しやすくなっているわけなんですが、学び直しについては質も量もまだまだこれからだと思っています。
 この背景なんですけれども、企業も個人もリスキリングの長期的なリターンを明確にできていないことが大きいのではと思います。一部の個人の方々は、先ほども少し触れましたが、手元資金を市場などへの投資に回しているわけですが、自分への投資の方が中長期的に見てリターンが高いということが分かれば、当然、自分への投資に熱心に取り組むのではと思っています。
 また、別の観点ですが、今は被雇用者が学び直しの支援の中心にどうしてもなっていますが、増加するフリーランスなどで働く方々にも、自らをアップグレードされる機会を広く与えるべきではと思います。
 また、リスキリングの中身ですが、ルーティンワークは、御存じのとおり、これから機械化できるということを念頭に、例えば、雇用されながらでも、いつでも自力で起業できるくらいの考える力、創造力、リーダーシップを育成できるようになれば、高齢になっても生き生きと働けるだけのものが身につくのではと思います。
 もう一つ、支援に対する考え方、手法の変革です。
 デジタル化は、政府のイニシアティブもあり、進展していると理解をしていますが、やはり、遠い地域、業界については、利便性がぴんときていないというのも現実だと思います。
 日本全体のデジタル化底上げには、ヒューマンタッチで、デジタル導入の手間暇を圧縮して、利便性を丁寧に周知していくこと。例えば、マイナンバーの普及で、一部の都市で、市の職員の方々が赴いて書類の作成を一括で担うという形で効果を上げたという例などは好事例だと思います。
 もう一つ、デジタルの先端技術やグリーンイノベーションに対しての理解、そして尊重する企業風土をより一層重視していきたいと思います。
 日本の東証株価指数の企業の創業から数えた年数、いわば企業の年齢ですが、中央値を取りますと六十年を超えていまして、アメリカのS&P五〇〇の三十年程度とはかなり異なります。それだけ企業が安定的に長寿であるということは日本の強みでありますが、そうした長寿安定社会を前提としつつイノベーションを育成するということでは、大企業がイニシアティブを取っていくという日本独自のモデルも必要ではと思います。
 一方で、伝統的な大企業では、まだやはり現状維持バイアスが強くて、とっぴなデジタル技術ですとかグリーンイノベーションに対して腹落ちしていないという印象もあります。経営陣の一層の意識改革を促すような施策を求めたいと思います。
 最後になりますが、今年、申し上げましたように、金融市場は大きな過渡期を迎えていると思います。ただ、非連続的な金融環境だからこそ、人も企業も非連続的に変われる機会になるのではとも思います。短期的な損失穴埋め的な支援からではなくて、中長期的な成長を促すような財政や仕組みづくりを期待したいと思います。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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根本匠#3
○根本委員長 ありがとうございました。
 次に、原公述人にお願いいたします。
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原英史#4
○原公述人 政策工房代表取締役、原でございます。
 政策シンクタンクの会社を運営しているほか、政府の国家戦略特区ワーキンググループの座長代理などを務めております。
 今日は、国会における誹謗中傷の問題に絞ってお話ししたいと思います。
 野党合同ヒアリングについて問題点を指摘いたしますが、特定の議員個人、特定の政党の悪口を言うつもりはございません。国会全体で対応いただきたいこと、政府に対応いただきたいことなどをお話ししたいと思います。
 まず、私自身、国会での誹謗中傷を受けた当事者であります。その経過についてお話しいたします。
 二〇一九年六月十一日、毎日新聞が、一面トップで、私が、政府で会議の委員を務めています国家戦略特区に関して、不正を行ったという記事を掲載しました。記事では、私の顔写真が掲載されて、「特区提案者から指導料」「二百万円、会食も」という見出しで、要するに、私が不正な金銭を受領した、会食接待を受けたという内容です。
 こうした事実は全くありません。即日、事実無根であるという旨の反論文を公開しました。私が事実を直ちに説明しましたので、毎日新聞以外の他紙は一切、後追い記事を出していません。
 ところが、その中で、六月十三日、私の疑惑を追及する野党合同ヒアリングが設けられました。国家戦略特区利権隠ぺい疑惑野党合同ヒアリングという名称です。六月の十三日が第一回会合で、その後、十月までの間に十回以上開催されています。毎回、内閣府の職員らが呼び出されて、厳しい追及がなされていました。
 この会議は公開で行われました。今も、私が不正をしたと決めつけられて追及をされている様子が動画で公開され続けています。しかし、結果として、私が不正を行ったという事実は存在しないので、当たり前なんですが、結局、そんな不正の事実は全く出てきませんでした。
 そうした中で、二〇一九年の七月、篠原孝議員ですが、この野党合同ヒアリングに参加されていた篠原孝衆議院議員がブログを掲載され、その中で、八田達夫教授、国家戦略特区のワーキンググループの座長の八田達夫教授と私、原英史委員の利権コンビによるいかがわしい政策づくりが行われている、原は、悪辣なことばかりし、自分の懐を肥やしているといった激しい誹謗中傷をされたということです。
 それから、二〇一九年の十月ですが、これも野党合同ヒアリングの主力メンバーでいらっしゃった森ゆうこ参議院議員が、参議院予算委員会でこの疑惑を取り上げて、原さんが国家公務員だったら、あっせん利得収賄で刑罰を受けるんですよと言われました。これは、私が金銭を受け取った、犯罪相当の行為をしたという明らかな誹謗中傷なわけです。
 この後、私は、毎日新聞、篠原議員、森議員を名誉毀損で提訴いたしました。
 このうち、篠原議員との訴訟の判決が、先月、一月に確定しています。一審の東京地裁の判決は、昨年三月でしたが、私の主張を認めて、篠原議員に百六十五万円の賠償を命ずる内容でした。二審、東京高裁の判決が、先月、一月ですが、賠償額が更に上積みになって、二百二十万円の賠償が命じられました。上告はなされず、この判決が確定しています。
 訴訟の中で篠原議員は、五十年間、毎日新聞を取ってきた、全国紙であって、信用するのは当然だと主張されていましたが、こうした抗弁は認められませんでした。
 判決では、新聞記事などについて、特段その内容を吟味することもなく、全面的に信頼して、被告に相当軽率な面があることは否めないなどとされ、名誉毀損が成立するという判断になったわけです。
 この判決によって、野党合同ヒアリングで議員の方々がなさっていた疑惑追及は不当だったということが、これは司法の場で決着しています。つまり、そんな不正があった事実は認められない、また、新聞記事にそう書いてあったからと言っても許容されないということです。
 なお、ほかの二つの訴訟は係争中ですが、これらがどうなっても、野党合同ヒアリングにおける疑惑追及が不当だったという結論は変わりません。
 毎日新聞との訴訟では、毎日新聞は、記事には私が金銭を受け取ったとは書いていないなどの主張をしています。私は、そんなわけがないとして争っていますが、仮に毎日新聞の主張が通ったとしても、記事にも書いていない疑惑追及をしていた方々の責任がより重くなるだけです。
 森ゆうこ議員との訴訟、これは争点が異なります。なぜかというと、国会議員には免責特権があります。国会内での国会議員の発言は、原則、訴訟で争うことができないのです。ただ、森議員の場合には、国会での御発言以外にも、私の自宅住所の記載された文書をネットで拡散するなど、国会の外での不法行為がありました。これを訴訟の対象としています。
 したがって、これらの訴訟は係争中なんですが、どうなろうと、野党合同ヒアリングでの一連の疑惑追及が不当だったということは、司法判断では確定しているということです。
 こうした経過を踏まえて、お願いしたい事項、三つございます。
 第一に、事実に基づく国会質疑をお願いしたいということです。
 新聞や週刊誌報道をうのみにした誹謗中傷、これは一般社会では不法行為です。判決の言葉をかりれば、自ら事実関係を十分吟味せず、新聞報道をうのみにするような行為は、相当軽率との批判を免れません。もちろん、人間なので、間違ってしまうことはあると思います。誤った誹謗中傷を行ったときは、国民の代表にふさわしい責任ある御対応をお願いしたいと思っております。
 私の事案の場合、篠原議員が個人的に行った話ではありません。政党が野党合同ヒアリングを結成して行っていた組織的な誹謗中傷です。篠原議員と森議員以外にも、誹謗中傷していた国会議員が何人もいらっしゃいます。これは、今も公開されている動画のアーカイブを見ればすぐ分かることです。間違っていたことが司法の場でも明らかになったのですから、政党として責任を持って、動画アーカイブを消す、真実性の認められない疑惑追及だったことを正式に認める、こういった最低限の対応をお願いできないかと思っております。
 篠原議員の同僚議員の方々からは、篠原さんはとても知性的な方だ、本来、そんなことをする人ではないというお人柄を伺っております。私も、篠原議員のブログのほかの記事、幾つも拝見いたしました。ライフワークとして取り組まれている漁業政策の経過など、大変勉強になる内容でした。政策に真摯に取り組まれている政治家でいらっしゃるんだと思います。
 しかし、そんな篠原議員が何でこんな誹謗中傷をされたのかというと、これは、野党合同ヒアリングといういわば集団リンチの場に参加して、集団心理にのまれてしまったということなんだろうと思います。その意味で、野党合同ヒアリングという器を設けられた政党の責任は重いのでないかと思います。
 第二に、免責特権それから国会議事録の扱いについて、国会での議論をお願いできないかと思います。
 免責特権は、国会での自由な議論を妨げないため国会議員に与えられた特権です。これは必要な制度だと思います。しかし、事実に反する誹謗中傷を行うことまで免責特権による保護に値するんでしょうか。これは国会議員の免責特権の濫用ではないのでしょうか。一定の限界を設ける必要はないのでしょうか。免責特権の在り方について、憲法改正の可能性も含めて、国会で是非御協議いただけないかと思います。
 国会議事録の扱いについても協議をお願いできないかと思います。
 森議員の、先ほど申し上げた国会での発言、私が犯罪相当の行為をしたという発言は、国会議事録にそのまま掲載されています。これは私にとって大変不名誉なことです。もし同様の発言がネットメディアに掲載されていたら、私は直ちにそのメディアの運営者に削除を要請します。まともなネットメディアであれば、すぐに削除してくれます。
 これは実例があります。これは森議員ではなくて別の議員なんですが、お名前はもうあえて申し上げませんが、ある立憲民主党の議員の方、国家戦略特区の件で私が不正を行った疑惑のある人物だという記事をネットメディアに掲載されていました。私が、そのメディアに連絡をして、事実に反しています、ほかの議員のブログで判決も出ていますということをお伝えしたところ、迅速に削除をしていただけました。
 ところが、問題は、この議員の方はネットメディアに投稿したのと同じ内容を国会でも発言されていたことです。同様の文面が国会議事録にも掲載されています。国会議事録については、削除を要請しようにも、そんな窓口がないんです。名誉毀損をする内容がネットで公開されていても、何も手を出せない状態になっている。
 ネットメディアについては、よくデマだらけだといったことを言われがちです。しかし、こうした側面だけ見れば、ネットメディアよりもはるかにひどいのが国会議事録です。失礼な言い方に聞こえるかもしれませんが、この点に関する限り、国会議事録はデマを無責任に垂れ流している三流ゴシップメディア並みということだと思います。
 さらに、問題は、国会議事録はすぐに潰れてしまうメディアではないということです。私が犯罪相当の行為をしたといった国会発言が、恐らく百年後までネット上に残ると思います。今、私はこうやって事実ではないと発信していますから多くの人に御理解いただけますが、数十年たって、私の孫やひ孫たちがネット上で私の名前を見つけたときにどうなるのか。ひいじいさんはとんでもない不正をやっていた人物だったのかと、恥ずかしい思いをさせてしまうのではないかと思います。これはさすがに何とかしていただけないでしょうか。
 議事録からの削除は難しいのかもしれません。そうであれば、例えば、苦情申立てを受けて、この部分は事実ではないとか争いがあるといった注記を議事録に加えるといった仕組みを御検討いただけないものでしょうか。是非国会での御検討をお願いしたいと思います。
 三点目です。第三に、政府の対応について申し上げたいと思います。疑惑の追及に対して真摯に、かつ毅然とした対応をすべきだと思います。
 この種の疑惑追及に対し、情報を出さないといった対応がなされることがあります。情報を出すとそれを曲解して、あらぬ追及を更に受けかねないといったことを考えると、気持ちは分からないではないんですが、こうした対応をしていると無用な疑念を深めるだけです。森友問題での公文書の改ざん、こんな話はもう言うまでもなく論外です。
 一方で真摯に応えつつ、誤った追及には毅然と対処すべきだと思います。特に、役所の人たちの場合、不当な追及を受けたときであっても、ただ頭を下げて、言われっ放しになりがちです。これは健全な関係ではないと思います。不当な追及がなされがちになる元にもなると思います。ここは、大臣、副大臣、政務官が前面に出て毅然と対応いただくべきではないかと思います。
 篠原議員の訴訟の判決に関して、一月二十五日の衆議院の予算委員会ですが、岸田総理がこの判決についての見解を質問で求められて、お答えは、個別の判決にコメントしないという御答弁でした。役所で答弁を作るとまあこういう答弁になるのかなと思いましたが、率直に言ってこれはどうなのかなと思いました。
 私の事案に関しては、決して私個人だけの不正という話ではなくて、国家戦略特区の運営という、政府の行政運営について疑惑がかけられていたわけです。当時、北村大臣、特区担当の北村大臣が国会で何度も追及されていらっしゃいました。内閣府の職員、連日のように野党合同ヒアリングに呼び出されて、どなられて、私の会議謝金を支払った記録とか、膨大な資料提出を求められて、本来業務が止まるようなこともありました。
 司法の場で疑惑が晴らされて、不正はなかったと明らかになったんですから、本来は、政府として、その旨の公式見解を出して、疑惑追及を行ってこられた政党に訂正を求められてもよいのではないでしょうか。そうした対応をせずにいつも言われっ放しになっている、これが根拠のあやふやな疑惑追及がなされがちになる要因ではないかと思います。
 国家戦略特区はいまだに腫れ物扱いで、養父市の農業特区など、すばらしい動きが進んできているんですが、運営が停滞して、なかなか前に進みません。政府には、国家戦略特区を再起動するためにも、もう一段踏み込んだ対応をお願いできないかと思っております。
 それから最後に、関連して、ドラマの「新聞記者」についてのお話を少しだけしたいと思います。
 このドラマは、国会で長らく疑惑追及がなされた森友問題がモデルになっています。学園の名前などはもちろん変えられていますが、見ればすぐに森友問題の話だと分かります。ドラマの冒頭では、官邸の職員が財務省の理財局長に総理の意向だといって土地代金の十二億円の値引きを求める場面があります。国会で、こうした官邸の関与があったに違いないといって長らく疑惑追及がなされてきたことです。
 しかし、これは、明らかにされた赤木ファイルで否定されたのではなかったのでしょうか。赤木ファイルでは、本省から相手方である森友学園を厚遇したと受け取られる部分を削除するよう指示された、しかし、現場で厚遇した事実はないと記載されていたと認識しています。これに対して、ドラマでは、総理の意向による値引き要請があったという前提でこのストーリーが組み立てられています。
 これが真実かのごとく世界に配信される。日本ではこういった、途上国並みの、縁故主義の行政がなされているかのような認識を広げてしまう。これが真実なら仕方ないわけですが、前提となっていることが事実に反すると思われるわけです。これはまずいのではないでしょうか。
 政府はネットフリックスに抗議すべきではないか。この部分は事実とは異なるといったことを記載するなど、何らかの対処を求めるべきではないかと思います。
 ネットフリックスは恐らく、これはフィクションですと言われるんだろうと思います。しかし、過去に、モデル小説に関して、モデルとされた個人がプライバシー侵害や名誉毀損に当たるといって争われた事例が幾つかありました。三島由紀夫さんの「宴のあと」事件とか、「石に泳ぐ魚」事件といったものがありましたが、これらは訴訟で争われて、判決においては、小説の形を取っていても、真実らしく受け取られる内容であれば不法行為が成立するとされています。これになぞらえて考えれば、単にフィクションですとテロップを出しておけばよいということではないはずです。
 この件は訴訟で争う話ではないでしょうが、日本政府の信用が毀損されているわけですから、日本政府がネットフリックスに抗議をして、対処を求めるべきではないかと思います。こうしたことを放置していると、根拠のあやふやな疑惑追及、不当な誹謗中傷が起きる要因になってしまうのではないかと思います。
 以上です。御清聴ありがとうございました。拍手
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根本匠#5
○根本委員長 ありがとうございました。
 次に、川口公述人にお願いいたします。
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川口大司#6
○川口公述人 東京大学の川口と申します。
 本日は、このような場で意見を述べさせていただく機会を与えていただき、ありがとうございます。
 資料の二ページに私の略歴が書いてありますけれども、東京大学経済学研究科に設置されました政策評価研究教育センターのセンター長を務めておりまして、この五年ほど、エビデンスに基づく政策決定、いわゆるEBPMの実践に関わってまいりました。
 そのような立場から、予算編成過程におけるEBPMの必要性についてお話をさせていただければと存じます。EBPMの実践例として、コロナ禍での政策対応を例に取り、EBPMにおけるエビデンスが具体的にどのようなものであり、EBPMを実践する上でどのようなことが課題になっているか、お話しさせていただければと思います。
 資料の三ページを御覧ください。
 二〇二〇年の二月頃から新型コロナウイルス感染症が拡大する中、政府や自治体は次々に対応するための政策を行ってきました。第一義には公衆衛生上の政策対応だったわけですけれども、行動自粛に伴う経済的なダメージを和らげるための経済政策も数多く行われてきました。
 こちらに挙げたのはそのうちの数例ですが、最初の例は、雇用調整助成金、持続化給付金といった、ダメージを受けた事業者に対する補助金の給付であります。また、予算的により大きいのは、政府による利子補給や債務保証を通じた特別貸付けの実施です。この中では、実質無利子無担保のいわゆるゼロゼロ融資も行われてきました。
 今日は、この政策の評価について御紹介させていただきます。
 次の例は、公衆衛生上の政策であるとともに経済政策でもある、自治体が実施する飲食店における感染予防対策の認証制度についての評価でございます。今日は、山梨県が実施した認証制度の効果を評価した例を御紹介させていただきたいと思います。
 このほかに、より重要な経済政策として、二〇二〇年四月より行われた、一人当たり十万円を配る定額給付金政策というものがあるわけですけれども、これについては、早稲田大学の研究者のグループが、銀行口座の出入金状況や家計簿アプリであるマネーフォワード社のデータを用いて、十万円がどのように使われたのか、どのように貯蓄に回ったのか、大変興味深い研究を行っていますが、時間の関係で割愛させていただきます。参考文献を下の方につけておりますので、御関心がある向きにおかれましては御参照いただければと思います。
 さて、既に定着した感のあるEBPMという言葉ですが、内閣府によると、EBPMとは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るものではなく、政策目的を明確化した上で合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることとされています。このエビデンスを提示するという作業に経済学者が関わることが多いということです。
 エビデンスとしては、二種類、大きく分けてございまして、一つは、その政策が想定している人々に的確に届いているかという、ターゲティングについて評価するものであります。もう一つは、政策が所期の目標を達成しているかを調べるプログラム評価ということになります。
 資料の四ページを御覧ください。
 最初の例は、企業支援策の評価です。
 コロナ禍の中で企業支援が大きく拡大していて、それはあたかも当たり前の対策であるかのように行われていますが、実を言うと、経済学的に考えると、本来は、企業を支援するのではなくて、ダメージを受けた個人や世帯を助けるというのが、政府が国民に対して保険を提供する、こういう観点からは望ましいということになります。
 その中で、企業を支援するという政策を正当化しようとすると、企業が、取引ネットワークですとか労働者のスキルですとか、こういった無形資産を持っていて、一度倒産してしまうとその無形資産が不可逆的に散逸してしまう、これを防ぐために企業の存続を一時的に助ける、こういった理屈が必要になってきます。
 もしも企業を労働や資本といった有形資産の集合体だというふうに考えてしまえば、企業が一旦倒産しても、その企業に仮に存在意義があるとすればまた復活するということがあり得ますし、仮に、もとより業績が余り振るわないような企業であれば、倒産することによって、そこに存在していた労働や資本がほかの企業に移るという形によって経済の新陳代謝が起こるというふうに考えられます。
 もちろん、企業が潰れて次の企業に行くまでに労働者は失業を余儀なくされるわけで、資産を十分に持たない人々は塗炭の苦しみを味わうことになります。ただ、この痛みを和らげるためには失業保険を充実させた方がよくて、必ずしも企業を守るという話にはなりません。
 このように、経済理論が考える望ましい経済政策は複雑なのですが、政策評価という観点からは、比較的単純に整理することができます。
 一つは、企業支援策が適切な対象に当たっているかというターゲティングの視点になります。
 コロナ前には健全であったものの、一時的に売上げ減となっていて存続が難しくなっている企業を助けるというのが望ましいターゲティングだと考えられますけれども、もとより不健全な経営を行っていた企業がどさくさに紛れて支援策を受け、生き延びるということがあるとすれば、それは望ましくないということになります。
 次に、プログラム評価の視点では、企業支援策を受けた企業が、支援策が想定するように存続し、かつ雇用を維持しているかどうかを調べることが必要になります。
 資料の五ページを御覧ください。
 まず、ターゲティング評価の例を紹介します。
 同僚の星岳雄教授とコロナ対策について話をしているうちに、どのような企業が支援を受けているのか、違った仮説を持っていることに気づきました。星さんは、よくない企業の方が支援を受けているというふうに思っておられて、私は、よい企業の方が情報のアンテナ感度が高くて、事務処理能力も高くて、支援策を受けているのではないか、こういう仮説を持っておりました。もう一人、共同研究者に植田健一教授がいるんですけれども、彼の仮説も、どちらかというと星さんの仮説に近かったように思います。
 そこで、実際にデータでどういう企業が支援策を受けているかを調べる必要があるということになったわけですけれども、残念ながら、二〇二〇年秋の時点で、どのような企業が支援策を受けているかを示すデータはございませんでした。
 そこで、我々のセンターがふだんから共同研究をしている東京商工リサーチ、略してTSRというふうに言いますけれども、TSRと共同してアンケート調査を行うことにしました。このアンケートへの約五千社からの回答を整理して、コロナが起こる前の各企業のいわゆる評点と呼ばれるものと支援策受取の関係を分析いたしました。
 ここで、評点とは、TSRがつけた各企業への評価で、民間企業が取引先に与信をするかどうかを決める際に広く使われている指標になります。この評点が五十点を下回る企業を、TSRは一応警戒すべきだというふうに言っています。
 資料の六ページを御覧ください。
 ここに出ているグラフは、横軸に二〇一九年十二月時点の評点を取り、縦軸に特別貸付けへの申込みや承認の有無を取ったものになります。上のグラフが申込みの確率で、下のグラフが承認の確率を示すものになっております。特別貸付けが行われる経路というのは幾つかの金融機関を通してということになるんですけれども、ここでは、日本政策金融公庫、商工中金、民間金融機関をそれぞれ考えております。
 これは、御覧いただくと、どのグラフにおいても関係は右下がりになっています。左側にある企業というのは、評点が低い企業なんですね。コロナ前の評点です。低い企業の方が、特別貸付けに申し込んでいる、かつ、それが認められている、こういう傾向が認められます。右下がりですので、評点が高い企業の方がこのような融資を受けていないというようなことが明らかになっております。このことは、元々経営が健全でなかった企業ほど支援策を受ける可能性が高いということを示唆しております。
 また、貸出額についてのデータもございますので、このアンケートが聞いた二〇二〇年九月までの貸付総額の何割がいわゆる要警戒と呼ばれる企業に向かったのかというところを調べますと、約二割の貸出しは、そのような、TSRが要警戒だと言っているような企業に貸し付けられているということが分かりました。
 資料の七ページを御覧ください。
 次に、企業支援策、特に、特別貸出しを受けた企業が雇用を維持しているかどうかを調べようとしました。
 データを分析すると、特別貸出しを受けた企業ほど雇用を削減していることが分かりました。ただし、これは、足下の売上げが落ち込んだ企業が雇用を減らす一方で特別融資を受けていることの結果かもしれません。つまり、これは単なる相関関係であって、特別貸付けを受けると雇用が減る、そういう因果関係を示すものとは言えません。実証経済学の手法を用いるとこのような状況でも因果関係を推定することができるのですが、残念ながら、五千社のデータでは正確な結果を導くことができませんでした。
 この問題を解決するためには、より大きなデータセットが必要で、例えば特別貸付けの貸付先の全リストが必要です。このようなデータがあれば、どのような産業、企業規模、地域で政策の効果が大きいのかを知ることもできそうです。
 資料の八ページを御覧ください。
 これまでの結果から、金融支援策が市場をゆがめるという懸念について、これは多く語られてきたことだと思いますけれども、経営状態がもとより悪い企業に特別貸付けが行われる傾向があるということを示すことによって、定量的な証拠を得ることができたというふうに考えております。
 これは、最終的に国が債務保証をすることで金融機関の貸出し規律が緩んでしまい、そのことの当然の帰結としてこういったことが起こってしまった可能性があるということだと思います。この資金配分のゆがみは、コロナ後も長期にわたって日本経済の停滞をもたらすことにつながりかねないことであり、十分に警戒が必要だというふうに考えております。
 一方で、特別貸付けや雇用調整助成金といった企業の支援策が、現在の雇用を維持することに役立った可能性も否定できません。この点については、今後、よりよいデータを使って実証分析を深めていく必要があります。貸出先のリストというのは、とてもセンシティブな情報であることは間違いありませんが、今後の政策の望ましい在り方を見定めるためには必要な情報です。このようなデータを、個別企業の秘密を守りつつ統計分析に使えるように、環境を整備することが必要だと思います。
 資料の九ページを御覧ください。
 もう一つのエビデンスを紹介させてください。
 山梨県が行った飲食店の感染予防認証制度、いわゆるグリーンゾーン認証制度と呼ばれる制度の評価についてです。
 現在、我が国では、コロナ対策をめぐって、新規感染の抑制を優先すべきか、経済活動の維持を優先すべきかの議論が交わされています。この飲食店の感染予防認証制度は、飲食店が換気などの感染予防対策を取っているかどうかを実地調査して認証することによって、感染拡大を抑えつつ経済活動も維持しようとする、二兎を追うことを目的とした意欲的な政策です。
 この政策の効果は山梨県の政策担当者もよく分かっていなかったわけですけれども、本学の公共政策大学院で正木祐輔准教授と共同担当している授業において、山梨県と協力してプログラム評価に取り組みました。グリーンゾーン認証に関するデータは山梨県様から御提供いただき、新規感染者数はNHKのウェブサイトからダウンロード、飲食店の売上げに関するデータはポスタス社のデータを御提供いただきました。その他、官民のデータを統合して分析を行っています。なお、データ収集やデータ分析を担当したのは修士課程の学生たちです。
 資料の十ページを御覧ください。
 左の図は、新規感染者数のグラフで、赤い線がグリーンゾーン認証制度がなかった場合の新規感染者数です。これは仮想の値ということになります。緑の線がグリーンゾーン認証制度があった場合の新規感染者数です。これは実際の値ということになります。赤の線と緑の線の間の薄く色がついている部分が、グリーンゾーン認証制度のプログラム効果ということになります。計算してみると、グリーンゾーン認証制度の導入は新規感染者数を四五・三%減少させたことが明らかになりました。
 右の図は、売上げの推移を示したものです。赤の線はグリーンゾーン認証制度がなかった場合の仮想的な売上げ、緑の線はグリーンゾーン認証制度があるときの売上げとなります。これを見ると、グリーンゾーン認証制度は飲食店の売上げを増加させたことが分かります。計算してみると、売上げ増加の効果は一二・八%となることが分かりました。
 実は、このような大きな効果をこの政策が持っていたということに、政策担当者自身も驚いておられるようでした。
 資料の十一ページを御覧ください。
 この分析結果は、感染防止と経済活動の両立を実現する政策があることを示しています。山梨県の政策が他の都道府県の類似政策に比べてユニークだったのは、行政機関が立入調査をした上で認証をするという形で、行政のコミットメントが深かった点が挙げられます。その分、認証制度の信頼性が高かったと言うことができると思います。
 手前みそとなってしまいますけれども、この例は、データと適切な指導があれば大学院生でも役に立つプログラム評価ができることを示しています。なお、この授業では、内閣府が行ったアンケート調査で個人レベルの回答が公開されているデータを御提供いただきまして、リモートワークに関する分析を行い、山梨県の方に結果を御報告いたしました。
 回答者個人や回答企業の秘密を守るのは重要ですが、ある程度の地理的な単位で集計したり、個人が特定できないような匿名化を施したデータを公開することで、統計分析のためには有用なデータを提供することができます。このように、データをオープンな形で公開することは、エビデンスづくりに多様な人々が参加できる仕組みをつくることであり、自由闊達な政策論議のためには欠かすことができません。
 資料の十二ページを御覧ください。
 本日は、皆様の貴重な時間をいただき、EBPMのエビデンス例二つを紹介させていただきました。このように、過去の経験を振り返り、次の予算編成に生かしていくということは、厳しい財政状況の中、限られた予算を適切に配分するためには欠かすことができません。また、国が行う政策には、様々な規制など、財政支出を伴わないものもありますが、EBPMはそのような政策立案にも有用です。
 EBPMを進めていくためには周到な準備が必要で、エビデンスがない政策は行わないというのはばかげておりますけれども、これから行う政策をどう評価するか、こういったことに関してはあらかじめ考えておく必要があります。エビデンスを得るためにはスキルのある人と解像度の高いデータが必要であり、それらを手当てするために、あらかじめ予算措置をすることが必要だと思います。例えば、事業費全体の〇・一%から〇・五%程度をあらかじめ評価のためのコストとして計上しておくなどの工夫があり得るかと思います。
 同時に、政府が収集するデータを、できる限りオープンデータとして公開することも有用です。ワクチン接種状況を記録したVRSシステムは、そのデータを日時、都道府県別に集計して、ダウンロードできるように公開しています。これを成功事例として、他の行政データにも取組を広げていくことが求められていると考えます。
 最後に、資料の十三ページを御覧ください。
 現在は経済産業研究所長の森川氏が五年前に書かれた文章です。ここでは、国会における質疑内容がEBPMの普及に対して強い影響を与えるということが述べられています。私も同じ思いでございますので、是非御検討いただければというふうに思います。
 長い時間にわたり御清聴いただきまして、誠にありがとうございました。拍手
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根本匠#7
○根本委員長 ありがとうございました。
 次に、小黒公述人にお願いいたします。
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小黒一正#8
○小黒公述人 法政大学教授をしております小黒と申します。
 本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 お手元の方に資料をお配りしてございますので、そちらの資料を使いながら説明させていただきます。
 なお、本日は、内閣府の一次速報が今日ございましたけれども、実質GDPが十月から十二月で年率五・四%という形で、二期ぶりにプラスになったということで、直近の七月から九月までのGDPですけれども、ピーク時が大体五百六十兆円だったものが五百三十八兆円という形で落ち込んでいる中で少し心配してございましたが、昨今のオミクロンの感染拡大もございますけれども、経済は何とか持ちこたえているのかなというふうに思っております。
 お手元の方の二ページ目、少し見ていただきますと、こちらの方に私の本日の主な意見が書いてございます。ここで、釈迦に説法でございますけれども、今、日本の財政、非常に厳しい状況の中で、しかも、感染拡大がまだ収まらないという中にございます。そういった中で、財政再建を進めながら、同時にコロナ問題にも対応していかなければいけないというような状況になっているということでございます。
 そこで、やはり、現政権もでございますけれども、まずコロナ問題について早急に解決するということが重要ではないか。そういった中で、財政的にはなかなか厳しい状況でございますが、思い切った財政政策も含めて、機動的な財政出動を行うということについて、これは致し方ないのかなというふうに思ってございます。
 他方で、今の財政状況を考えますと、これは昨今ずっと問題になってございますが、やはり、平時と非常時の財政を切り分けるという意味で、東京財団で我々が提言してございますように、東日本大震災の復興のときに特別会計をつくってその債務を処理してございますが、新型コロナ対策特別会計といったものを設置して、きちっとその債務を償還していくというようなことについても御検討いただけないかなというふうに思ってございます。
 それから、あともう少し中長期的な問題でございますけれども、人口減少それから少子高齢化の問題、それから経済成長率が低迷しているという問題、それから貧困化が進んでいるというこの三つの問題について、きちっと対応した予算を作っていくということも非常に重要な問題ではないかというふうに思っております。
 そういった意味で、二〇二二年度の今回の予算でございますけれども、完璧な予算というものは存在しませんので。ただ、実際は、限られた時間の中で予算編成をしなければいけないということもございます。
 ですので、この本予算に対して反対するものではございませんけれども、先ほど申し上げました新型コロナウイルスの対策の特別会計の創設みたいなものも含めて、あるいは、これからもう少しお話しさせていただきますけれども、やはり、社会保障費や国債費が膨張する中で財政が非常に硬直化してございますので、そういった中で、少子化対策であるとか成長促進のための予算の方に一部予算を組み替えていくというようなことも少し御審議いただけないかなというふうに思ってございます。
 ページを少しおめくりいただきまして、釈迦に説法でございますが、少し財政の現状についてお話しさせていただきます。
 四ページ目を御覧ください。
 これは政府が出している資料でございますけれども、令和四年度の一般会計の予算。ここで、政府は、二〇二五年度までにプライマリーバランスを黒字化させるという目標を掲げてございますが、その一般会計の予算から計算しますと、右側に赤いところがございますけれども、公債金が大体三十七兆円、それから国債費が二十四兆円でございますので、差引きしますと十三兆円がプライマリー赤字という形になってございます。
 ただ、ページを少しおめくりいただきますと、こちらの方に少し赤線で枠をくくってございますが、もしこのコロナ問題を脱却することができますれば、新型コロナウイルス対策予備費五兆円分は自然と消えていくということになりますので、実際は八兆円というふうに見ることもできるのではないかなというふうに思っています。
 そうしますと、かなり厳しい状況でございますけれども、財政の方、この当初予算ベースではかなり財政規律が働いたような形で今編成されているのではないかというふうに思ってございます。
 次のスライドになりますけれども、ただ、そうはいっても、今回当初予算を出してございますけれども、補正予算が組まれたりする中で、財政がまた膨らむということに多分なるということは当然あり得る。ただ、足下、この赤い線で示してございますが、法人税を中心として税収が増えてきているという中で、二〇二五年度のプライマリーバランスの赤字の方については何とか維持できるような状況に今進んでいるのではないかというふうに思ってございます。
 次のページになりますけれども、じゃ、本当に二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化が達成できるのか、あるいは債務の膨張を今のコロナ禍の中でどうにか安定的な水準に維持できるのかということでございますけれども、七ページ目が直近の内閣府の中長期試算でございます。
 こちらの右側の上のところに名目GDP成長率がございますけれども、赤い線が成長実現ケースでございますけれども、大体三%ぐらいの成長率になっていくと。他方で、青い方でございますけれども、二〇三〇年度ぐらいに一%ぐらいの成長率になっていくというような形になってございます。
 政府の方ではプライマリーバランスの黒字化目標を重要視してございますが、やはり、債務水準のGDP比を安定化するという意味では、国、地方の財政収支のGDP比がどうなっていくのかということの方が重要だということでございます。
 これは後の方でドーマー命題との関係で御説明させていただきますけれども、赤い方の成長実現ケースですと、若干マイナスのGDP比の赤字が二〇三一年度に残ると。他方で、一%の成長率のベースラインケースですと、一・七%の赤字幅が残るというような形になってございます。
 上の、その名目GDPの成長率ですけれども、次のスライドを見ていただきますと、政府が出しております名目GDPの成長率、これは実現できればいいわけですけれども、実際は、先ほども日本経済の問題ということで、低成長が続いているということでございますが、こちらの方は、一九九八年度から二〇一八年度までの政府の経済見通しと実績を見比べたものになってございます。実績の平均は〇・一六%ですけれども、政府の見通しの方の平均は一・六%という形で、大体十倍ぐらい違っているというような形になってございます。
 そうすると、一%もないようなのがここ最近の成長率になってございまして、次のスライドになりますけれども、この九ページ目のスライドを見ていただきますと、黒い実線が名目GDPの成長率の推移の平均になってございます。他方で、赤い線それから青い線が成長実現ケースとベースラインケースになってございますけれども、黒い線の平均をこの期間で取りますと、〇・三七%という形でやはり一%もないという形になってございます。
 したがいまして、足下ではかなり財政規律が働いた形で御努力いただいてございますが、次のスライドになりますけれども、ドーマー命題を使って長期的に収束する債務残高を計算しますと、こちらのような形になってございます。
 基本的に、今後大体これぐらいの財政赤字のGDP比が国、地方であるというものをqとしまして、それから、成長率の平均を今後大体これぐらいがnという形にしますと、n分のqというのを計算すると、どの辺に債務残高GDP比が収束していくのかということが分かります。nがここでは例えば〇・五%でGDP比の赤字幅が例えば一・七%というふうに計算しますと三・四という値が出ますので、三四〇%ぐらいまで膨らんでいくというような状況に今なっているということではないかというふうに思っております。
 したがいまして、名目GDP成長率が例えば〇・五%で推移するのであれば、債務残高GDP比をまず二〇〇%ぐらいにとどめようとすると、財政赤字のGDP比を一%水準程度まで、もう少し努力して圧縮するということが必要ではないかというふうに思ってございます。
 次のスライドの十一ページ目でございますけれども、これは過去の実績が黒い線になっておりまして、ほかのカラーリングされている線が、内閣府が出しております、過去の中長期試算の予測になっております。見ていただければ分かりますけれども、比較的、予測では全部なだらかに下がっていくというような形になってございますが、実績はどんどん膨らんでいるというような状況になってございます。
 次に、社会保障改革について、少し私の私見も交えて御説明させていただきます。
 十三ページ目になりますけれども、先ほど東京大学の川口先生がミクロ的な分析をされてございましたが、やはり、今、コロナ禍で経済が二極化していて、困っている方々もそれなりにいらっしゃるということだろうと思います。そういった中で、やはり、デジタル政府、デジタル庁をつくられましたけれども、こういったデータを使って、きちっと本当に困っている方々に手を差し伸べていく。そういう意味では、十四ページ目のところにございますけれども、プッシュ型の行政サービスをきちっと構築していくということが重要ではないかというふうに思ってございます。
 時間が限られてございますので余り細かいことは申し上げませんけれども、二つ、重要なことがあるのではないかというふうに思っております。
 一つは、やはりリアルタイムの所得情報をきちっと把握できる体制をつくるということです。
 このためには、日本にはイギリスとオーストラリアと同じような形で源泉徴収制度がございますので、この仕組みを、企業の方を使いながら、ソフトウェアでデータをタイムリーに報告させる仕組みをつくる。その場合、国税庁は、現在、大体年収が五百万円以下については源泉徴収の方を国税庁というか税務当局の方に提出する義務を免除してございますけれども、この部分の見直しということも考えていくということも重要ではないかというふうに思っております。
 そういった形でタイムリーな所得情報が手に入れば、もしソフトウェアで手に入ることができれば、年ごとではなくて、例えば月ごととか半月ごととか、そういった形でタイムリーな情報を集めることによって、本当に困っている人に集中的に支援するというようなことも次第に可能になっていくのではないかなというふうに思ってございます。
 それから、ページをおめくりいただきまして、十五ページ目になりますけれども、これは私が従来から少し提言しているものでございまして、今の話も、比較的モディファイ、モディファイというか、余り難しい改革をしないでできるような話をしたんですけれども、社会保障についても、大胆な改革というのはいろいろ提言することができますが、なるべくグラデュアルで、実現可能な改革というものがないかと。
 今回御提言させていただくのは、一番問題になるのは、十六ページ目でございますけれども、医療の方に年金と同じようなマクロスライドを導入することができないかという御提案でございます。
 今、財政の方で一番大きな問題になっているのは、こちらは二〇一八年に政府が出しているベースラインケースでの社会保障給付の見通しでございますけれども、二〇一八年に百二十一兆円であった社会保障給付費が、二〇四〇年になりますと百九十兆円に膨らむ。他方で、年金を見ていただきますと、五十七兆円から七十兆円という形で年金も膨らんでいるんですけれども、GDP比で見ますと、大体一〇%から九・三%という形で、それほど大きく伸びていない。
 政府は今、基本的には、医療費と介護費が伸びていくということで、ここについて大きなターゲットにしているわけですけれども、医療費を見ていただきますと、二〇一八年で三十九兆円だったものが大体、二〇四〇年度になりますと七十兆円ぐらいになるということで、これは年金と同様に膨らんでいるわけですね。
 ですけれども、医療の方が問題だと言っている最大の理由は、GDP比で二〇一八年は七%だったものが、二〇四〇年になりますと大体九%弱ぐらいまで膨らむという形になってございます。
 このGDP比で二%ポイントぐらい膨らむところは、これは財政的に裏側に、税収であったり社会保険料が、経済成長率が増えれば当然増えるわけですけれども、それ以上にGDP比で見て医費費が増えるということで、改革のターゲットにしているわけでございます。ここをコントロールすることができれば、もう少し違った方法で解決できるのではないかというふうに思ってございます。
 次のスライドを見ていただきますと、今お話しした内容が書いてございます。
 大体二十年間で、二〇一八年度から二〇四〇年度で、年金は大体一〇%から九・三%という形でGDP比が伸びていくわけでございますけれども、医療は七%から九%ぐらいまでという形で伸びていくわけです。
 次のスライドがお話ししたい内容でございまして、十八ページ目になります。
 じゃ、医療費のGDP比というものを見た場合、どういうものなのかということでございますが、これは名目GDPで医療費を割ったものでございますけれども、医療費は、ちょっと大ざっぱに申し上げれば、釈迦に説法ですけれども、診療報酬という公定価格Pに使った量のQを掛けたものでございます。
 これが、要は、価格を二十年間で二%調整できれば、GDP比で見た医療費をコントロールすることができる。じゃ、診療報酬をマイナスにしろということではなくて、現状でも診療報酬は若干プラスで改定していますので、その伸びを少し、若干緩めにするだけで、GDP比で見た医療費を安定化できるのではないかというふうに考えてございます。
 そのイメージを示したものが、十九ページ目のスライドになります。
 診療報酬本体全部ではなくて、一番大きなのは七十五歳以上の後期高齢者医療制度、これが高齢者の伸びに従って伸びていきますので、この部分の診療報酬について、例えば今回、診療報酬本体で〇・五五%伸ばすとすれば、それを例えば〇・四%ぐらいの伸びに抑えるというような形で少し伸びを抑えていくというようなメカニズムを入れたらどうかということの御提案でございます。
 二十ページは、令和二年度のときの診療報酬改定の実際のイメージを書いてございますけれども、今申し上げましたように、この〇・五五%というのを例えば〇・四%に抑えることができれば安定化できる。
 今の話は、次のスライドの二十一ページとも関係するんですけれども、私がちょっと心配しているのは、これは財政的な帳尻合わせだけの問題ではなくて、医師の需給推計について厚労省が出してございますけれども、二〇三〇年ぐらいに需給均衡が崩れて供給過剰になるというような話が出てございます。そうすると、例えば、二〇四〇年ぐらいにGDPに連動する形で医療費を伸ばしていけば、むしろ医療費の方が安定化できる可能性もあるのではないかなというふうに考えてございます。
 少し資料を飛ばせていただきまして、二十三ページ目、次世代投資や少子化対策について少しお話しさせていただきます。
 先ほど少し御説明させていただいたとおり、予算は、社会保障と国債費の方で相当財政が硬直化してございますので、成長を促進するためにも、やはり次世代への投資あるいは少子化対策の方に力を入れていくということが重要ではないかというふうに思ってございます。
 二十四ページ目のところで、岸田さんが総裁選のときに、日本でオーストラリアのようなHECS、要は出世払いの奨学金みたいなものを導入できないかということをおっしゃられていましたけれども、私もそれは非常に賛成で、そういったようなものを日本でも是非検討していただけないかというふうに思ってございます。
 これは、今コロナ禍で学費が払えなくて困っている学生さんもいらっしゃいますけれども、そういった方々の救済にもなる。可能であれば、ポートフォリオの中になるべく多くの学生が入った方がいいですので、例えば全大学生に一回全部入っていただくというようなことも、ちょっと暴論かもしれませんけれども、検討いただければというふうに思ってございます。
 それから、二十五ページ目と二十六ページ目でございますけれども、これはかなり奇策というか、今の非常に限られた財政の中で少子化対策に力を入れようとしますと、やはり財源的な面、これは例えば国債発行でやるのか、あるいは税収を新しく取ってきて増税をするのかという議論になると思います。非常にそれは難しい。
 でも、他方で、この資料の方に書いてございますけれども、元々、国立社会保障・人口問題研究所が予測していた人口減少のスピード、これは、出生数が大体八十万人を割るのが二〇三〇年ちょっと先だという話だったわけですけれども、もう既に割りそうになっているということでございます。
 そうすると、異次元緩和というのがございましたけれども、異次元の少子化対策として、例えば出産手当というものを創設して、子供一人当たりだと五百万円ぐらい、思い切った支援をしていくということも考えてもいいのではないかなというふうに考えてございます。仮に、年間の出生数が二百万人になりますと、これだけで年間十兆円になります。これを例えば十年間続けると百兆円ですね。二十年間続けると二百兆円ということで、これを全部国債発行あるいは増税でするというのは相当難しい。
 そういった中で、一つ可能性があるのが、デジタル通貨というものを今、日本銀行も考えてございますけれども、十年間で償却されてしまうというような通貨を発行してこの手当を出していくということも考えてもいいのではないかなというふうに考えてございます。
 詳細は二十六ページの方に書いてございますけれども、十年間で償却するデジタル通貨を出しますと、例えば出生数が毎年二百万人、今は大体もう八十万人近くになっていますけれども、これが二百万人になったとしても、最大ピーク時で発行する通貨の量は大体五十兆円ぐらいということになります。
 あるいは、累進型の出産手当というものも考えられるのではないかなというふうに考えてございます。
 それから、最後に二点だけ、厳しいお話と朗報を少しお話しさせていただければと思います。
 二十七ページの、まず、注意すべきリスクとして挙げてございますけれども、二十八ページ目、これはもう議員の先生方、釈迦に説法でございますが、今、金利がアメリカを中心にして上がり始めている。インフレも出てきてございます。そういった中で、もし金利が正常化しますと、政府と日本銀行を一体で見た場合、日本銀行が持っている超過準備、これはスーパー短期の国債みたいなものですから、政府と日本銀行を一体で見ると、やはり財政的なコストが顕在化してくるということになると思います。そういったところで、この問題をちゃんと処理していくようなところも少し考えていただければというふうに思ってございます。
 それから、二十九ページ目、三十ページ目でございますけれども、我々は今ちょっと自信をなくしているんだと思いますが、こちらの方は、頑張れば実は一人当たりGDPで見ても先進国の中でもう一度最高水準を取り戻せる可能性があるというような試算になってございます。
 これは三十ページ目に、ちょっと見ていただきますと、試算の概要が書いてございますが、例えば、一九九〇年、日本の一年間の平均、労働者が大体どれぐらい働いていたかといいますと、二千三十一時間働いていたわけです。この当時、アメリカは大体千七百六十四時間ですし、イギリスは千六百十八時間です。
 その後何が起こったかということなんですけれども、次のページを見ていただきますと、一九八八年、これはちょっと大分前の話ですけれども、閣議決定で、一人当たりの年間労働時間を千八百時間程度とするという、これは日米構造協議の中で日本の経済力を、ちょっと余り踏み込んで言うのはあれですけれども、そぐために突きつけられたもので、その後、九二年に時短促進法が制定されて、九四年に労働基準法が改正されるという流れになってございます。
 これはちょっと私の仮の推計なんですけれども、三十二ページ目を見ていただきますと、仮に一九九〇年と同じ労働時間を日本の労働者一人当たりが働いたとすると、じゃ、日本の一人当たり実質GDPはどうなるのかということですが、三十二ページ目の赤い太い線が日本になってございます。ここではイギリスとかアメリカとかそういった国々がありますけれども、この中で一番高い水準になるということです。他方で、現状の日本は細い方の赤い線になってございまして、下から二番目という形になってございます。
 このときにはマクロのGDPがどれぐらい増えるのかということですけれども、私の仮定計算では、大体百六十兆円ぐらい増えるというような形になってございます。
 最後の話は、ワーク・ライフ・バランスの話とかと少しバッティングする話ですので、そうしろという話ではないんですけれども、自信を取り戻すという意味では、そういったような仮定計算の話もございますということでございます。
 御清聴ありがとうございました。拍手
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根本匠#9
○根本委員長 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
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根本匠#10
○根本委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。
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藤井比早之#11
○藤井委員 おはようございます。自由民主党の藤井比早之です。
 本日は、大槻公述人、原公述人、川口公述人、小黒公述人、皆様、公聴会で貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 また、理事の皆様、委員の皆様、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 早速質問をさせていただきたいと思います。
 実は、ちょっと私、感慨深いところがありまして、大槻公述人とは、一年間で、ちょっと数えてみたんですけれども、十七回以上は御一緒させていただいているんです、会議で。原公述人とも十四回以上御一緒させていただいていて、実は、こうして向き合って、目を合わせて、同じ空間で議論させていただくのはこれが初めてなんです、ずっとオンラインだったから。原公述人とは、たしか一遍、名刺交換だけさせていただいたんですけれども、こうして向かい合って議論するのは初めてです。
 じゃ、それで成果がなかったのかというと、そんなことはなくて、あの会議で、まさしく書面や押印の見直しが進んで、また、具体的なところでいくと、忘れもしないんですけれども、固定資産税とか自動車税の収納の効率化、QRコードとかデジタル化とか、えらい突っ込んだ具体的な話もしました、物流の効率化も、また再生可能エネルギー。そう考えますと、やはりデジタル化というものの未来、私は期待をしております。
 その点で、大槻公述人と原公述人に、デジタル化がもたらす未来とその期待、そしてまた可能性と克服すべき課題について、お答えをお願い申し上げます。
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大槻奈那#12
○大槻公述人 御質問ありがとうございました。
 デジタル化の未来ということなんですけれども、確かに、今おっしゃっていただいたとおり、相当程度、省力化のステージというのはおかげさまでできたと思うんですけれども、やはりまだまだできていない部分というのはすごく多いと思っています。
 何かというと、やはり教育のところも、オンラインのところがまだ、対面の方がいいところもたくさんありますし、それをどうやって生かしながら効率化を図っていくか。あるいは、遠くにいても、例えばリモート、地方であっても、東京の方が卓越した教師の方がいるんだったらば、それをオンラインで受けられるような仕組みですとか、そういったところがもうちょっと柔軟化できるのではないかというのが一つあると思います。それを進めることによって、恐らく将来的には教育の質を上げることができると思います。
 今、オンライン授業については上限が様々な形で設けられているわけですが、そこで想定されていたオンラインというのは、あくまで、よくないとされていたのは、やはり一方方向で、そして同じ教材をずっと使って、それを流し続ける。そうではない形の、様々な形のオンラインということをより積極的に認めれば、効率化だけでなくて成長につながるというのが一点です。
 もう一つは、今実験的にやっているようなバーチャル会議ですね。今はZoomとか、皆さんも使っていらっしゃると思うんですが、そういったものから、今度は、アバターを使った、全くいないんだけれども、まるでいるように隣から声が聞こえるとか、ああいった形のものまでが高速で時差なくできるようになるという実験を我々も始めているんですけれども、これが発達すれば、もしかしたら、今あるオフィスの姿というのは、みんなで集まっていますけれども、十年後、二十年後にその写真を見た未来の方々は、こんなところに集まってわざわざ仕事をしていたのかというふうに見られるかもしれないので、そういったより一層の効率化というのを新しいデバイスを持ってやっていけるようになるということを期待したいと思います。
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原英史#13
○原公述人 ありがとうございます。
 最初に、規制改革の会議で十数回以上オンラインで御一緒したことを触れていただきました。それを伺っていて思いましたのは、やはりこの国会の会議も是非早くオンラインでやっていただけるといいんじゃないかなと思いました。
 それから、デジタル化の未来についてということでございます。
 デジタルトランスフォーメーション、それからその先の、今、今度はグリーントランスフォーメーションがどんどんと進んでいきます。これは産業革命なんだと思います。産業革命であって、この新しい社会構造にいち早く乗った企業や国が、その先の、恐らく数十年とか百年の覇権を握っていくという、その今非常に重要な局面にあるということなんだと思います。
 この十年ほどで何が起きたかということを考えれば、例えば、産業の中で、世界でどんな産業が成長したのかというと、例えばライドシェアです。これは従来の産業の枠とは全然関係ない。十年前に、ライドシェア産業を振興しようなんて言っていた人は一人もいないはずです。そんな産業が今や巨大な産業に世界では成長した。一方で、日本ではどうなっているかというと、規制の壁があって、いまだに食事のデリバリーしかできないわけです。
 これをやらないと、従来の産業の枠にとらわれて産業振興をやりますというところだけやっているのでは、これはもう世界の成長に取り残される。この先の産業革命に乗り遅れて、今後数十年とか百年とか、日本は貧しい国に転落をしていくということになりかねないのではないかという心配をしております。
 ありがとうございます。
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藤井比早之#14
○藤井委員 ありがとうございます。
 日本の国のどこにいても会議ができると大槻公述人からお話がございましたけれども、特に教育ですね。先ほどお話しいただきました人材の育成、リカレント教育、もうまさにおっしゃるとおりで、私の子供の頃とかは、海外に行ったことがないという方が英語を教えていたというような状況でございます。
 どこにいてもひとしく平等に教育が受けられる、また人材育成の機会が得られる。まさにデジタル田園都市国家構想の実現ということなんだと思います。
 そこで、岸田内閣は、成長と分配を経済政策の大きな柱としております。今、先ほど原公述人から成長の鍵となるようなお言葉も出ましたけれども、成長のために、再び日本経済が復活するために何が必要だ、それをちょっと一言で、大槻公述人、原公述人、そして川口公述人にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
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大槻奈那#15
○大槻公述人 ありがとうございます。
 一言ですよね。一言、詰まってしまいますけれども、突き詰めていくと、どんな方とお話ししていても、これをやった方がいい、あれを、いろいろありますけれども、最終的にはやはり教育に行き着くと思います。
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原英史#16
○原公述人 一言で申し上げますと、構造改革、藤井副大臣にもお取り組みをいただいた規制改革などをしっかり進めていく必要があると思います。
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川口大司#17
○川口公述人 女性の活躍推進が大事だと思います。
 日本の女性は、男性と同じぐらいのスキルを持っているんですけれども、スキルを使っていない、こういう統計の結果がありますので、そこの部分を、十分に活躍していただけるような仕組みというのを整備していくことが必要だと思います。
 ありがとうございます。
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藤井比早之#18
○藤井委員 ありがとうございます。
 時間の都合もあって、一言でということで御回答いただきまして、ありがとうございます。
 やはり成長が必要なんだと思います、それで日本経済が復活することが。その上で、岸田内閣は成長と分配の好循環というのをうたっております。やはり、分配という点では、これは成長が欠かせない上で、私は、賃上げといいますか、若い方の所得というか給料を上げるということが何よりも大事なんだと思います。
 ただしかし、これは賃上げしようと思ったら、企業サイドの都合というのもあります。財務体質とか置かれた状況というのもありますし、今はコロナでございます。そういう状況も加味しながらも、しかしながら、やはり若い人の給料を上げるというのが大事だと思うんですけれども、こうした賃上げの必要性と、そしてまた、これを実現するための課題とはどういったものがあるとお考えか、大槻公述人と川口公述人と小黒公述人にお伺いしたいと思います。
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大槻奈那#19
○大槻公述人 ありがとうございます。
 まず、賃上げの必要性というところにつきましては、もうこれはマストですね。先ほどのお話でもさせていただきましたとおり、企業物価からの、CPIの方に移転することはもうほぼ間違いないということで考えると、当然、賃金の方が上がらない中ですと、生活のレベルが下がってしまうということになりますから、ここは、賃金の上昇というのはマストだと思います。
 一方で、これの課題というところなんですが、案外、若年の方々に聞くと、一斉の賃金上昇というのはどう思いますかと言うと、一斉はちょっとと言う方も意外といまして、モチベーションとして、自分が頑張ったから、それに応じて、ほかの方々と比べても自分がそれで評価をされているという評価軸として、生活のためというのに加えて自己実現としての賃金というのを考えているということで、それですと、やはり、分配の中でも、もう既に皆さんに取り組んでいただいているところだと思いますけれども、より頑張った人、成長を目指した人に対してのより深く広い分配ということが重要で、課題なんじゃないかなと思います。
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川口大司#20
○川口公述人 賃上げに関しましては、めり張りをつけることが重要だと思います。
 若くても優秀で能力がある人には賃金をしっかりと上げていく、その結果として実現する不平等というものに関しては社会保障等を通して是正していく、二段階に分けて考えることが必要かなと思っております。
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小黒一正#21
○小黒公述人 ありがとうございます。
 賃上げにつきましては、まず、生産性に見合った賃金にするということ、それから、賃金を上げる場合に、構造改革にも資すると思いますので、それが企業に対してのプレッシャーになるということですね。
 もう一つ、中長期的にやはり一番重要なのは、人口を増やすことだと思います。先ほど申し上げましたとおり、もう少し抜本的なものとして、出生数を増やすような対策に力を入れていただければというふうに思います。
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藤井比早之#22
○藤井委員 ありがとうございます。
 いずれの公述人も、賃上げの必要性というのはお認めになっておられる、ただ、しかしながら、様々な企業の置かれた状況というのも考えないといけないということなんだと思います。
 そこで、ちょっと最後にお伺いしたいんですけれども、今、物価が諸外国はすごく上がってきています。日本もどうなるかというのは非常に懸念されるところ、これはまた、金利もどうなるかというところが懸念されるというところなんですけれども、ちょっと、今後の経済運営としての必要な、そうしたいわゆる物価上昇についての対応策をどう考えるのか、金融的にどう考えるのかというところについて、大槻公述人にお伺いしたいと思います。
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大槻奈那#23
○大槻公述人 ありがとうございます。
 非常に難しいところだと思います。これほどの急激な物価上昇ということを久しく経験していなかった中での金融政策ということになりますので、様々な観点から考えなければいけないということだと思います。
 今の前提としましては、恐らく、基本的には、この消費者物価指数の上昇は比較的一時期的であろうということだと思います。それであれば、どうしても、金融政策、これから引締めということになりますと、それに伴う、先ほど来申し上げたようないろいろな副作用もあるということになりますので、それは少し時期を見定めてから動くことが必要だと思います。
 その上で、日銀も、からめ手というか金利ではない形で、昨日来の施策も指し値オペ等をやっていますけれども、そういう形で、少し金利を鎮静化させながら、消費者物価の動向を少し見ながらやっていくということが必要なんじゃないかなと思っています。
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藤井比早之#24
○藤井委員 ありがとうございました。
 質問時間が終わりましたので、これで終わらせていただきますけれども、四人の公述人の皆様には、貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。
 どうもありがとうございました。
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根本匠#25
○根本委員長 次に、輿水恵一君。
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輿
輿水恵一#26
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
 今日は、本当に貴重なお話を聞かせていただき、心より感謝を申し上げます。また、このように質問をさせていただくことに重ねて感謝を申し上げます。
 先ほど、大槻公述人の方から、本当に、企業物価指数が上がる中でなかなか景気が回復しない、また、様々なインフレ傾向のある中で賃金も上昇しない、こういった非常に厳しい状況に置かれている。あるいは、少子高齢化、人口減少、またGDPの伸び悩みと、そんな中で、これからどうそれを回復していくのか、大事な課題があると思います。
 そんな中で、大槻公述人の方から、最後、今後求められる施策と期待ということで、私も、まさに自分への投資というか学び直し、人のアップグレード、あるいは、自分で起業できるような力を持ちながら一人一人が創造力を持って、持てる可能性を国民がどう発揮してこれらを解決していくのかなということは本当に大事だなと思いました。
 そんな中で、先ほど川口公述人から、EBPMのお話をいただきました。私も、これから、人のアップグレードと、そのアップグレードのためには、デジタル化という新しい流れの中でどういう政策をそこに打ち出すのか。そういう面では、後ほど、デジタル化と人のアップグレードに向けてのターゲティングとかプログラミングについてどのように考えているのかなどということをまた聞かせていただきたいなと思っている。
 一方で、また、小黒公述人、GDPのアップとか医療費のという、そのGDPをアップする上で、やはり、かつて日本人がしっかり働いていたというか、あの時代というものをどういうふうに実現していくか。そういった中で、私も、本業と副業というか、自分の持っている仕事をやりつつ、デジタル化ということで、それと併せて、例えば、時間的、空間的な、そういった制約が大分軽減されるという中で、空いた時間をいかに新たな生産的な活動に持っていき、GDPを上げるか。こんな点についてどのように考えているかについて、後ほどお話を聞かせていただければと思います。
 また、原公述人からは、本当に、やはり物事を具体的に、発言する前にしっかり調査をして、そして、皆様が本当に持っている能力を、官僚の皆さんもどう引き出していただいて本来のあるべき仕事をしっかり進められるようにするか、大事なお話をいただきました。ありがとうございます。そういった中で、またいろいろお話を伺えればと思います。
 そういった流れの中で、まず、大槻公述人に伺いますけれども、人の可能性をしっかり伸ばしていく、これは、まさに人間が、特化型から、複数のことができるというか、そういう形のアップグレード、またそういう社会をつくっていく、またそういう文化をつくっていくということも必要なのかなと思いますけれども、この点についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。
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大槻奈那#27
○大槻公述人 ありがとうございます。
 まさに私も同じことを考えておりまして、クリエーティビティー、創造性ということがないと、恐らくは今から、先ほども述べましたように、ルーティンはもうやれる機械がありますから、そうすると、我々に求められるクリエーティビティーがどういう形で生まれるか。これについてはいろいろな研究などもされていますけれども、やはり、御指摘いただいたように、ダイバーシティーで、自分がいろいろなことをやったりとか、あと、いろいろな違う人からの意見とか、気が合わない人と話すことによって生まれていく、そういう新しい形の教育というのが重要なのではないかなと思っています。
 ただ、もう一つ問題は、クリエーティビティーが生まれて何かいいアイデアを出したとしても、それが報われて世の中に出てくるかどうかというのが、もうワンステップあるかと思います。それが、先ほど申し上げましたように、ベンチャーがいかに世の中で認められ、マネタイズというか、事業化できるかということは、日本においては、恐らく、大企業がこれだけ安定的に多く存在していますので、そことのコオペレーション、協業ということが必要になるんじゃないかなと思っています。
 ありがとうございます。
    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕
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輿
輿水恵一#28
○輿水委員 ありがとうございます。
 まさに、日本の企業のその六十年、でもアメリカは三十年ということで、そういう新陳代謝、あるいは企業の体質の改善も含めながら、一人一人のクリエーティビティーがどう生かせるか、そういった構造改革も必要なのかなということで、ありがとうございます。
 そして、続きまして川口先生に、先ほど川口先生も、まさに企業の持っている可能性とか健全性、そういったものをどう生かせるか。そこには、私は、人も、ダイバーシティーとか、多様性も必要、企業も、自分が今までやってきた職種、業種と併せて、他とのコラボレーションの中で新しい価値も創造できる。そしてそこを、デジタル化も含めながら、企業も成長して人も成長していく。そういう新たな政策というか、先生は今、コロナとか、あとは山梨の取組、そういったもののやった評価をしていただいたんですけれども、今後進めるべきものについてのそういったターゲティングだとかプログラミング評価ということも必要かと思うんですけれども、このデジタル化、あるいは企業の体質転換等に向けてのそういった考えの下で、ターゲットとかプログラムというのはどのように考えればいいのか、お聞かせ願えますでしょうか。
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川口大司#29
○川口公述人 御質問ありがとうございます。
 企業に対してどのような政策を打っていくべきなのかということに関しては、難しい問題だと思いますけれども、東京商工リサーチのデータを使った研究の中で明らかになってきているのは、取引先企業が多い企業、こういったところの方が成長の機会が多いというようなことが分かっておりまして、コロナ禍の中で人と人とが会うことが難しくなっていく中で、新たなビジネスとビジネスの出会いみたいな機会が減っていることも懸念されるわけで、そういった機会をまた取り戻していくといったような政策というのも必要になってくるのかなというふうに思います。
 また、地方の金融機関を通じて、これが合併するような流れというのがあると思うんですけれども、そういった金融機関を通じて、またビジネスとビジネスが新たなつながり方をしていくといったようなことを促進していくといったようなことも必要なのかなと思います。
 また、今御指摘いただきましたように、企業の中で大切なのはやはり人材ということになると思いますので、ここの部分の投資をいかに促進していくのか。企業にとっては、難しい問題があるのは、デジタル化が進んで人のスキルが一般化していく、あるいはモジュール化していくに従って、企業が人材投資をしてもその果実が他の企業に漏出してしまうという問題がどうしても出てくるわけですね。ですので、労働者が自分自身でファイナンスをしてスキル投資をする必要が出てくる、こういう社会に、デジタル化というのはそういうことを意味する変化だというふうに考えられます。
 このときに、若い労働者で、十分にお金がないんだけれども自己に投資をしたいという人々がいる場合に、今までは、大企業でしたら会社の負担でそれを行っていたわけですけれども、それができなくなってくるということを前提にして、この人たちのファイナンスをどういうふうに保っていくのか、こういったことを考えていく必要もあるのかなというふうに思います。
 ありがとうございました。
    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
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