山下紀明の発言 (環境委員会)

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○参考人(山下紀明君) 本日、発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 ちょっと持病で鼻声なんですが、体調不良ではないので、このまま続けます。お聞き苦しい点あるかと思いますが、続けさせていただきます。
 私、二〇〇三年から、地域のエネルギー政策、目標ですとか事業をつくっていくところをお手伝いしてまいりました。残念ながら、最近、再生可能エネルギーのトラブルというのが出てきましたので、そちらを調べ、地域の条例というのも調べております。
 その中で、やはり、地域の脱炭素というものをポジティブに進めていく、こちらの環境省さんの資料ではそういうことが書いてあるんですけれども、まだまだ広まっていないなと思っておりますし、再生可能エネルギー自体のイメージが悪くなってきている中でそれをポジティブに変えていくというところをお話ししたいと思っております。
 それでは、資料をめくりまして、まず背景として三点申し上げたいと思います。
 脱炭素化の要請は強まっているんですけれども、一方で、足下ではトラブルが増え、自治体の中でも規制条例というものを作っているところがございます。アの方で、再エネへの懸念の高まり、そして太陽光発電の地域トラブルが実際増えていると。イの方で、自治体の規制・調和条例の分類というものをしております。こちらは後で資料をお見せします。
 そういう前提条件の下で、地域の脱炭素化ポジティブに進めるためということで、将来的な方向性としては国や地域の脱炭素化目標というのがある中で、再エネに対して懸念が高まっている、規制条例が増えているというギャップを埋める必要がありまして、今回の温対法の一部改正含め、総合的な支援が必要と考えております。また、社会的に受容されるポジティブな再エネ事業というものを広めていくための支援が重要と考えておりますので、そちらをまた後半で御紹介いたします。
 三ページ目からは資料になりますので、細かくは申し上げませんが、少し解説していきます。
 三ページ目、再エネの地域トラブル。こちらは一橋大学や名古屋大学と合同で調査した結果でございまして、三、四年ごとに調査をしております。二〇一七年には、トラブルが発生していた、若しくは現在発生しているというところが二五%でしたが、二〇二〇年調査ですと三四%に増加しております。
 めくっていただいて、こういったトラブルの要因ですとかこういうところを懸念されているということもアンケート調査をしますと、やはり太陽光に絡んだものが多いというふうに考えております。ア、オレンジで示しておりますような景観、敷地内の雑草の管理、土砂災害、こういったものが三年前と比べて五ポイント上がっているということは、やはりそういったトラブルが起こっている、若しくは懸念されているということの広まりだと思います。
 めくっていただきまして、日本地図があるところですね。全国の地方紙も含めて新聞記事検索をして、太陽光発電の反対運動が起こっていたりトラブルになっているところをマップにしたのがこちらです。
 長野県や山梨県、静岡県、三重県で新聞報道に載るぐらいのトラブルが起こっているということで、実際は、もう少し規模小さいものを含めたり潜在的なトラブルというのはまだまだ多いと思っております。トラブル要因としては、自然災害発生の懸念が最も多くなっています。景観、生活環境、反射光等、自然保護、こういったものもございます。
 一方で、事業規模が大きいから必ずトラブルが起こるというわけでもないということでして、きっちりされている事業者さんもいらっしゃいます。そういったところは、合意形成のプロセスを丁寧に踏まれていたり、地域への利益、ベネフィットというものをすごく真剣に考えておられるというふうに考えております。逆に、小さければ問題ないということでもなくて、小さくてもトラブルは起こるということをこれからいかに抑制していくか、予防していくかということも重要と考えております。
 原因については先ほど述べましたので、六ページは飛ばします。
 続いて、こういった状況の中で、規制が十分ではないということで、自治体の方で立地の規制をしているようなものが増えておりまして、赤丸で示している調和・規制条例といったもの、少なくとも百四十五件確認できております。また、届出をして、話合いをしたり指導をしたりという形の届出条例というものも三十件ございます。また、これ以外の既存のまちづくり条例ですとか開発条例、水源確保条例というようなものを使いまして何とか防ごうとしているところもありまして、非常に皆さん困っておられます。
 八ページ目に規制・調和条例の中身書いておりまして、大きく分けて四つございます。
 抑制・禁止区域というものを設定してしまう。ここの地域には建てないようにしてくださいというパターンですね。若しくは、届出をした上で首長が同意する、許可するというもの。また、そういったものと組み合わせて首長と協定を結ぶ、若しくは地域住民との協定、同意を結ぶといったものもあります。その他、適切な維持管理を求めるものですとか、トラブルが起こった場合のあっせんをしようというところもございます。ただ、これは非常に数少なくて、まだ実例としてそういったものが使われたことはございません。
 そういった状況の中で、地域の脱炭素化をポジティブに進めるためにということで、左側に示したように、現在、大規模なトラブルというのが顕在化しております。その下には潜在的なトラブルもございますし、まだ報道されていないものもたくさんございます。ただ、大本には制度的な課題、社会的意義の合意の不在というものがあると。ここを何とかしていかなければ、結局、上のトラブルは減っていかないと思っております。
 で、真ん中、いろいろ書いていますが、今日はその中で抜粋したものを後ほど御説明いたします。
 大きく目指すところとしては、先ほど真庭市の例もあったように、地域主導型、地域に裨益するようなもの、地域としっかりと協働するもの、こういったものをまず増やしていく。そして、いろいろな形で広く受容される再エネを増やしていく。再エネの、地球温暖化、気候変動のために何かを犠牲にするということではなくて、ウイン・ウインになるような、そういったものを増やしていく必要がある。そのための後押しというものを制度的にしていく。その結果、幅広い社会的合意が出てくるのが理想と考えております。
 という点で、三点申し上げたいと思います。
 まずは、法案の中にある脱炭素化支援機構について。
 こちらは、もうこれまでの議論で出ているように、まず、事業者の事業規律を高めていくために是非基準をしっかりと作っていただきたいというところ、これはもう様々出ていますので申し上げません。地域裨益型の事業を増やすような投資基準を策定すること、それから、そういったものを地域金融機関に特に普及していただきたいということで、こちらも既に出ている議論と重複していると思います。
 今日、特に申し上げたいのは赤字部分ですね。環境影響評価、こちら、太陽光ですと四十メガという非常に大きいものが対象ですけれども、自主的なガイドラインというのも環境省さんの方で作られていますので、そういったものにしっかりのっとっていただいて、合意を地域でしっかりつくっていくというようなところ。
 それから、順応的管理と書いています。アセスメントみたいなもので予測をしてこういう対策しますというのはもちろん重要なんですが、やはり事業を進めていく上では予期できないことも起こってきますし、リスクは必ずありますので、じゃ、こういったリスクが顕在化した際にはこういう対策をする、こういう状況になったらこういう対策をするというのも、また起こり得ることをあらかじめつくっておいて、じゃ、実際それが起こったときにはこうするというようなことも約束していただくと。そういったものがあると合意形成にも役立ちますので、そういったものを是非優遇していただいたり評価していただくようなことがあるとよいと思います。
 二つ目に、やはり生物多様性などと共存していくということが重要でして、どうしても今、環境対環境、生物保全と太陽光で対立するという概念になってしまっています。しかし、世界を見ても日本を見ても、自然共生型で合計すると全体がポジティブになるような、ネットポジティブという考え方で進めておられる事業もございます。それから、社会でも協働して、社会共生というのもありますので、対立ではなくて第三の選択肢となるようなものを是非優遇していただきたいと思っています。
 二つ目が地方公共団体への財政的措置、その他措置についてという点でございます。
 脱炭素先行地域、既に二十六か所選ばれておりますけれども、こういったところでも既に評価されており、追加性のある再エネ、実際に再エネが増えるといったもの、既にある発電所を、電気をこちらに供給することで一〇〇%にしますということはもちろんできるわけなんですが、そうではなくて、実際に再エネが増えていく計画、それから、二〇三〇年、二〇五〇年の町の未来を良くしていく、そういう計画を引き続き評価して、それを増やすところを是非PRも含めて行っていただきたいと思っております。
 二つ目、再エネ促進区域設定、こちらで、ポジティブな場所ですね、ネガティブゾーニングと言われる禁止区域が今日本中増えているんですけれども、ポジティブなところ、ここを優先的に立てていこうというところ。掛け声としてはもう既にあって、いろいろマニュアル等も作られているんですけれども、やはりまだ自治体、事業者等、乗り気のところは非常に少ないと実感しております。そういったところに対して計画を作る予算等も既に計上されていますけれども、よりインセンティブが必要で、今はトップランナーが頑張るというところに対して支援がされているわけですけれども、日本中で見ますと、やはりトップランナーではないところがたくさんあるわけでして、そういったところもやる、乗り気になるようなインセンティブ、あめとむちも必要だと思います。そういったところを是非お願いしたいと思います。
 そして、REPOSという支援ツールが既に公開されていまして、GISですね、機能として非常に優秀な機能が入っているんですけれども、逆に言うとちょっと難しくてなかなか使い切れないものもあるという中で、もっと快適なツールというのも我々も研究者として開発もしておりますけれども、是非そういうところを支援していただき、合意形成プロセスというのは、やはり地域固有の事情ですとか非常に複雑ですので、そういったところも何かしら、いろいろな合意形成の仕組みの紹介でしたり、ガイドラインといったものを作ることで支援し、また、うまくいった事例の共有といったものを是非していただければと思います。こういったものが先ほど述べました将来的な、本来的なゾーニングに効いてくると思いますので、是非ここを応援もしつつ、我々も貢献していきたいと思っております。
 三つ目に、地域に受容される再エネ事業を増やす、トラブルは抑制、予防していくということで、地域裨益型、こういった事例紹介等されていますけれども、例えばうちの県には既にこういった事例があって、こういったエネルギー源でこういうふうに合意形成進めていきたいというものがもっとデータベース化されたり、営農型太陽光発電も、今やりたいと思っても事例が少なかったり、例えばサツマイモを育てるときに三〇%遮光でいいのかどうかというのを各地域でそれぞれが独自に調べたり、専門家を自分で探して知見書というのをいただいているんですね。でも、そういったものがもっとデータベース化されれば、そういう手間も減りますし、農業委員会等でも決めやすくなるんではないかと思っております。
 アメリカでは、こういった太陽光の許認可プロセスを短縮するためのウエブアプリケーションですね、ウエブ上で申込みができて、申込期間が五分の一になったりしたような例もありますので、そういったものがあると、今太陽光すごく減っていますので、V字回復には役立つのではないかと思っております。こちらも、今まで出ていますように、地方環境事務所との連携、非常に重要になってきますので、こういった点で是非連携していただければと思います。
 三点目としては、今後の見直しに向けてということで、やはり今ポジティブゾーニングも少し行われてきましたが、じゃ、それが二〇五〇年の町の目標、それから国の目標と整合しているのかというと、なかなかそういうところは少ない。ですので、脱炭素、再エネ目標と整合的に調整した本来的なゾーニングというものを中長期的に是非整備していただきたいと思っております。
 その中で、やはり今まで林地が開発しやすいということでトラブルも起こってきました。一方で、農地はすごく規制が厳しいというのがありまして、その辺りも含めて全体で見直していく契機にしていただければと思っております。
 こちらはまた、今までに議論に出ていますように、非FIT事業というのはやはりFITの規制とはまた変わってきますので、そういったものを含めて事業規律を高めていくため、制度と金融機関それからエネルギーの買手含めてマーケットの力、双方を活用していただきたいと思っております。
 後半は補足になります。
 十二ページは参考でしたので飛ばしまして、十三ページ、自然共生型の太陽光の事例となります。
 これ、ドイツ南部のモースホーフというところにある事例でして、元々耕地、畑作されていたところを、太陽光を市民主導で置いて、メガソーラーなんですけれども、地域に、元々の背の低い草原に再現して、昆虫が戻ってきたり、鳥の巣箱を置いたり、養蜂なんかも組み合わせることできると思います。そういった形で、以前よりも生物多様性が豊かになる太陽光というのをつくった事例で、初期から有名な自然保護団体と協働した事例になります。
 また、写真には入れていませんが、例えばスコットランドのホワイトリーという風力発電所は、湿地帯に建てた発電所なんですが、ライチョウを保護して、結果的に前よりもライチョウが増えたりと、そして市民のレクリエーションが増えたりといった形もございます。
 次のページ、十四ページは、都市部の生活クラブ生協という生協さんが秋田のにかほ市に建てた風車なんですけれども、これをきっかけに地域間の交流ができまして、地元の農産物を使って商品開発を行って都市部で売って、その売上げ全て合わせて年間三千万円ということで、風車の売上げの一部を寄附するというのはよくあるんですけれども、もっとポジティブな例としてこういうものが増えていくことは合意形成にも非常に重要ではないかと思っております。
 最後に、ドイツの裁判外紛争調停機関、KNEというところを御紹介します。
 環境省が財団経由して資金提供して設立した組織でして、自然保護とエネルギー転換を専門に扱う組織になっています。こちらが、三つの部門、情報部門、相談部門、対話部門というのを当初持っておりまして、太陽光発電では、例えば地域にどういう影響が出るのかといった科学的情報を提供する、その上で、トラブルが起こっているところにメディエーターと言われる仲介人を派遣して、情報を整理してポジティブな方に持っていく提案をしていくというようなものをしています。
 今、自治体でこういうことを実質的には引き受けている例がありまして、第三者的なところが支援して、これが例えば県レベルですとか地方環境事務所レベルでこういうメディエーターを派遣するようなことができれば、より合意形成、トラブル回避に役立つのではないかと思っております。
 最後は、また参考で詳しく書いているので、私の発表は以上にいたします。ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 山下紀明

speaker_id: 8767

日付: 2022-05-19

院: 参議院

会議名: 環境委員会