浅岡美恵の発言 (経済産業委員会)
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○参考人(浅岡美恵君) 浅岡でございます。
本日は貴重な機会をありがとうございます。
時間が限られますので、私は、本日は、化石燃料由来の水素、アンモニアを特に石炭火力で非化石エネルギーと位置付けて推進する、また、エネルギー源の環境適合利用という形で法律の改正を、これらの利用を進めていくということにつきまして大変問題があると思いますので、その点に焦点絞ってお話し申し上げます。
次をおめくりくださいませ。
その前提といたしまして、気候危機に対する対応は全く喫緊の課題でございますが、特に、昨年十一月、グラスゴーで開かれました会議でグラスゴー気候合意が採択されました。これは一・五度の気温上昇にとどめるということを国際社会が決意を示したものでありまして、日本も参加しております。一・五度にとどめるということは、これ、そのために排出できるCO2の量は四千億トンとIPCCからは出されております。ということから、二〇五〇年にカーボンニュートラルとすることでは問題は解決いたしませんで、二〇三〇年に世界で半減程度する、これがあって初めてできるものであります。これを、残余のカーボンバジェットと言われているものであります。
次をおめくりくださいませ。
こうした考え方は、既にヨーロッパにおきましては裁判所でも取られているものでございます。
昨年三月にドイツの憲法裁判所は、ドイツの気候保護法の二〇三〇年に九〇年比五五%削減という日本より高い目標ですが、これでも駄目だという決定をいたしました。それは、ドイツの残余のカーボンバジェットを基に計算する、これは人口比でたかだかそうだという計算の下でいたしますと、二〇三〇年までにドイツの残余のカーボンバジェットのほとんどが尽くされてしまって、残り十億トンぐらいしか残らないと。これでは原告らの若い世代の将来の自由が制限されると、こういうことであります。
これを日本に置き換えますと、一・五度を目指すというときは、日本の残余のカーボンバジェットCO2は六十五億トン程度、年間十億トンも出しているわけでありますから、もう六年ぐらいしかないと。ということで、気候危機に対応するという国際的な社会の取組は、いかにしてCO2の排出削減、温室効果ガスの排出削減を行うか、総量を削減するかという課題でございます。
次をおめくりください。
ここの上の表は、トランジション・ゼロというイギリスの研究団体が作りました今年二月の報告の一部でございますが、グレーのアンモニアでありましても、ライフサイクル全体で考えますと、これを火力で燃やすと、燃料とするといたしますと千百五十三グラム・パー・キロワット・アワーのCO2を排出します。石炭が千二百六十グラムですから、ほぼ変わりません。この数字自身はIEAの数字によっております。すなわち、アンモニアを混焼する、専焼するといいましても、排出削減にはならないというのが国際的な評価でございます。
次をおめくりください。
次は昨年十月のIEAのレポートでありますが、そこでもほぼ同じこうした表が提出されております。ガスから、あるいは石炭から作製されるアンモニアについては九五%回収ができるCCS付きというのが前提になっていると、こういうものであります。どこかで削減してくれればいいわということではなく、これらを併せて考えなければならないところに今はあるわけでございます。
次をおめくりくださいませ。
アンモニアのコストが高いことは争いはございませんし、グリーンアンモニアはとりわけ高いわけですが、この問題は、これはトランジション・ゼロのコストの将来予測でありますけれども、二〇三〇年になりましても、このコスト差は縮まるどころか開くと、再生可能エネルギーのコスト低減に対して競争力がないというものであります。IEAの昨年十月の報告でもほぼ同じことがありまして、途上国におきましてもとてもコスト対応力がない、せいぜいピーク需要のときの対応に考えられるぐらいだという報告でございました。
また、CCSにつきましても大変課題がございます。世界で火力発電所に設置されているCCSはただ一基しかございません。それは大変コストが高いからであります。日本で陸地に適地がなく、海域でこれを探索すると更に高コストになりますし、そもそも回収は不完全であります。長期の貯留も大変課題を有している、その他もろもろ問題が指摘されております。
次、お願いいたします。
こうしたアンモニア混焼とかCCSの問題につきまして、世界ではよく知られていることでありますし、さらにアンモニア混焼は、NOxとかPM二・五の大気汚染物質が生成されたり一酸化二窒素の温室効果ガスが生成される。様々な、上流、下流でのこれは海外に依存するということは、安定供給にも、エネルギーの安全保障にも差し支えるということになります。
次、お願いいたします。
これらのことを踏まえまして、IEAでは、まず一番排出量の多い発電部門につきましてCO2の削減を行っていく、これは一・五度を目指すというときのロードマップでございます。
次、お願いいたします。
じゃ、それを電力部門でどうして行うのかと。この昨年のIEAのロードマップにおきましては、これから石炭火力を造らないというのは当たり前でありますけれども、二〇三〇年までには先進国はCCUSを備えないものは段階的に廃止する、そうでなければとても一・五度に向かうということにはならない、これはIEAが言っていることであります。
では、どうするのかと。次、おめくりくださいますと、再生可能エネルギーは発電部門で例えば上の欄のように拡大していくということであります。二〇四〇年には八四%、二〇五〇年には八八%、これは世界全体でこういう流れにあると、これを御覧いただく必要があります。
次、お願いいたします。
その安定供給、電力の安定供給が重要であると、それはそのとおりでございますが、それにどのように対応するのかというのは、現時点では対応をもう変えていかなければなりません。ピーク時対応というのはごくごく僅かな時期であります。最も需要の多い時期の一千万キロワットにつきましても、それが使っておるのは四十日であります、それも真夏のときだけであります。これを一千五百万キロワットにいたしましても七十日ほど、それもほとんどが夏であります。若干、冬の厳寒のときに今回の需要が地震と重なって起こりましたということですが、極めてまれなる事象でありまして、それに対しては、火力を用意するということではなくて需要側の調整を行う、エリア間の連系線を強化する、本来のことをやっていくということであります。
時間限られますので、大変早口になって恐縮ですが、次を御覧ください。
日本でなぜこのような石炭火力にアンモニア混焼が行われているのかといいますのは、右の方にあります表は、パリ協定が発効いたしましてから造られました石炭火力発電所、また今まだ建設しているというようなもので一千万キロワットもございます。
次、お願いします。
IEAの昨年の資料におきましても、二〇二〇年以降石炭火力を増やしてきたという国は、途上国含めてもう本当に日本ぐらいだという状況にあります。
次、お願いいたします。
この状況が日本の特殊な状況でありまして、ある意味で政策判断を間違えたと私は思いますけれども、二〇二〇年十月に菅前首相が二〇五〇年カーボンニュートラルというのを宣言いたしました。そのときに前後いたしまして、突如、アンモニア混焼、石炭でのアンモニア混焼ということで官民協議会なども生まれてきたということでありまして、本当に、造ってしまった石炭火力を使いたいということに尽きるわけでありますが、世界の潮流には合わないものであります。
次、お願いいたします。
今経産省の方で示されているこれらの石炭火力が将来どうなるのかということは、この程度しか示されておりません。フェードアウトもしっかりいたしませんが、アンモニアなどの導入の計画というのも、せいぜいこのCというところであろうかと思いますが、本当に数基あるかというぐらいのものでありますが、それでも世界のアンモニア需要量を、現在の需要量を更に上回るような量を予定していると。大変間尺に合わない話であります。
こうした日本の政策は、次にありますように、世界的に大変厳しい評価を受けておりますし、次、十三ページ御覧いただきます、あっ、十九ページ、ちょっとページがおかしいですが、御覧いただきますと、世界の各国のアンモニアに対する、そのどこでどう使うのかという政策の見通しを示しておりますトランジション・ゼロの資料ですけれども、火力発電に使うというようなことに非常に重きを置いているのは日本ぐらいで、まあ韓国が最近追随というのがあるようでありますが、やはりこれは大きな政策判断の問題を提起していると思います。
次はIPCCの第六次評価報告書第三作業部会の新しい報告でありますが、どんな対策があるのか。先生方もおっしゃられましたように、再生可能エネルギー、風力、太陽光等は大変安くてポテンシャルが大きい、CCSは高くてポテンシャルも小さいと。
次は省エネですから飛ばしますが、その次、最後から二番目、二十二ページ御覧いただきたいと思いますが、こうしたIPCCで示されましたような動きは決して最近出てきたことではなく、世界の主要なビジネスの中ではもう既に進んでおります。再生可能エネルギーを主導されているビジネスの中で、RE一〇〇を宣言している企業の四四%が既にサプライチェーン全体での再エネを要求しております。日本にも同じことが求められているわけでありまして、日本のビジネスの参入チャンスを失うことになりかねない。
最後のページは、どうしてこうなるのかという点では、二〇五〇年、なお再生可能エネルギーは半分程度で、残りは火力、原子力がベースだという考え方を踏襲されていることが一番大きい要因だと思います。ここで世界の潮流に対応いたしていきますためにも、再生可能エネルギーを本当に主力にする、そのための政策措置をより、これよりも急いでやっていただきたいというのが私たちの、私の意見でございます。
以上でございます。