田中明彦の発言 (決算委員会)

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○参考人(田中明彦君) 先ほど先走って申し訳ございませんでした。
 四月一日に二度目としてJICAの仕事を務めさせていただくということになりました。前は二〇一二年の四月から二〇一五年の九月で三年半でありますけれども、もう一度この仕事をさせていただけること、大変名誉で光栄なことと存じております。今回もできる限り頻繁に現場に出かけて、現地の指導者と会談し、あるいは現地の人々と話し合って、それからJICAの関係者、協力隊の皆さんとも話し合いながら日本の開発協力を推進し、日本国内外でも発信に努めてまいりたいと思っております。
 前、務めておりました二〇一二年から二〇一五年までの世界もそれほど容易な世界だったわけではございませんが、やはり現在ほど世界システムの構造変容というものが大きくなっているときはなかったように思います。現在のこのパンデミックとウクライナ戦争という言わば複合的危機は全人類への脅威であり、とりわけ開発途上地域の最も脆弱な部分に甚大な影響を与えているものと認識しております。
 まず、ウクライナ戦争でありますけれども、ウクライナの人々、これは国にとどまる人も国外に避難した人も最も脆弱な状況に置かれていると思っております。JICAの使命は、そういう脆弱な人々に寄り添って、復興と持続的な発展に向かうための道筋を付けていくことだと認識しております。まずもってはウクライナの国家基盤を支える協力、それから難民、避難民を受け入れている周辺国への協力、それから将来ウクライナにおける復興支援を推進すること、この三つが今のJICAの役割だと思っております。現在、JICAでは、モルドバやポーランドに調査団を派遣して、紛争終結後に政府と緊密に連携して速やかに協力を展開するにはどうしたらいいかということを鋭意努力しているところでございます。
 ウクライナについては、これまでもJICAは、生活とか環境改善とかガバナンスの部分で二十五年以上も協力関係を持ってまいりました。日本に受け入れた研修員は九百人近くになります。それから、直近でも、戦争始まる前までは公共放送とか廃棄物分野などでの協力を行ってまいりました。信頼関係できていると思いますので、今後もウクライナの民主的な発展に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 言うまでもなく、このウクライナへの侵攻というのは力による一方的な現状変更の試みでございまして、これをそのまま放置しておくことは、ヨーロッパのみならずアジア太平洋や他地域への影響を及ぼす可能性がございます。その観点からも、ウクライナへの協力というものは民主主義体制をより強靱にするための重要な取組であると認識しております。
 さらに、この戦争自体は、ウクライナやロシアからの小麦が輸出しにくくなるということで、世界経済の回復にも大変大きな影響を及ぼしております。
 日本が、日本政府が進めてまいっております自由で開かれたインド太平洋という構想は依然として大変重要であります。このインド太平洋地域は、コロナ後の世界においても、最もダイナミックな発展の可能性を持っている二十一世紀の世界経済の重心となっている地域であります。
 他方、この地域には、政治的不安定とか紛争、気候変動による社会的、経済的脆弱性など、開発課題も大変多くございます。この発展の可能性を最大限発揮するために、この地域をできる限り自由で開かれたものにしていかなければならないと思っております。
 御案内のとおり、日本は東南アジアとか南アジアで大変信頼を受けている国でございます。こういう信頼をベースにして、JICAでは、途上国のパートナーとして、ハード、ソフト両面のインフラ整備、サプライチェーンの構築、海上保安能力の強化、サイバー空間の安全保障、金融システムの強化など、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて取組を一層強化してまいりたいと思います。
 前回のJICA勤務から六年半たったわけですけれども、その間にも、そのウクライナ戦争以外にもいろいろなことが起こっております。二〇一五年に採択された持続可能な開発目標、SDGs、これは人間中心の開発、それから誰一人取り残さないというようなその心構えに基づいて行われていますけれども、このようなSDGsに表れている考え方は、開発協力大綱にも明示された、あるいはJICAのミッションの一つでもある人間の安全保障というものの精神に共通するものであります。
 ただ、いろいろな状況、難しい問題は起きております。SDGsの目標の一番、一丁目一番地は極度の貧困の撲滅でありますが、これはMDGsの期間かなりいい成績を遂げておりまして、二〇一五年には一九九〇年と比べて極度の貧困人口、半分になったんですね。ところが、これが二〇二〇年に、二十一世紀に入ってから初めて増加に転じております。SDGsの二、栄養不足とか飢餓の状況もまた悪化しております。こうした状況の中で、私どもJICAは、人間の安全保障の観点から、より脆弱になった地域の、私ども創造的復興と言っておりますが、ビルド・バック・ベターということを推進してまいりたいと思います。
 SDGs、気候変動、新型コロナ、そしてFOIPといったそれぞれ異なる取組を結び付け、戦略的かつ包括的にアプローチして良好な国際環境の構築に貢献してまいる所存でございます。

発言情報

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発言者: 田中明彦

speaker_id: 9498

日付: 2022-04-18

院: 参議院

会議名: 決算委員会