西田実仁の発言 (憲法審査会)
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○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
合区問題について考えるときに、なぜまず合区が誕生したのかという経緯を確認しなければならないと思います。
平成二十四年及び二十六年の違憲状態とされた参議院選挙における投票価値の平等をめぐる最高裁の判断を踏まえて、参議院議長の下に選挙制度の改革に関する検討会が設置されました。しかし、成案を得ることはできず、平成二十七年に、いずれも合区を含む二案が国会に提出されて、現行の鳥取・島根、徳島・高知の四県二合区が生まれたというのがその経緯です。
しかし、合区対象県の投票率及び合区制度に関する意識調査によれば、投票率の低下は顕著であり、かつ、合区は解消すべきとの意見が大半であることが分かっております。全国知事会を始め地方六団体や県議会も合区解消を求める決議を発出されています。
確かに、選挙区の地域代表的性格からすれば、各都道府県から少なくとも一名の議員を選出すべきであるとの素朴な感情は理解できます。しかし、平成二十四年の最高裁判決にもあるように、都道府県を参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はありません。むしろ、憲法の要請である投票価値の平等が民主主義における参議院の役割を支える極めて重要な基盤であることに十分な留意が求められてきます。
すなわち、憲法において参議院は、予算の議決等ごく一部を除き、衆議院と同様の権能を有しています。法律上の権限もまた同様に、衆議院の優越を定めているのは臨時会、特別会の会期及び国会の会期の延長の決定ぐらいのものであり、ほとんど同様とされています。さらに、衆議院が解散して衆議院不存在の場合でも、国会の権能を代行させるために参議院の緊急集会まで定めています。これは、上下両院の二院制を取る諸外国の中でも極めて珍しい制度と言われています。
この参議院の緊急集会は、後の失効の可能性があるとはいえ、参議院単独で国会の権能を行使することができることを意味します。それが可能なのは、参議院も衆議院と同様に全国民の代表だからであります。全国民の代表という点において衆参両院が共に同質のものとして単一の国会を構成しているからこそ、衆議院が不存在の場合でも国会の権能を行使できるわけです。衆議院と同様、参議院の選挙制度においても投票価値の平等が求められる理由はここにあります。
最高裁の判決は合憲判断、最高裁の判決を見ても、合憲判断の根拠は、投票価値の較差の更なる是正に向けての方向性と立法府の決意であります。それは直近の令和二年合憲判決でも同様です。立法府においては、較差の更なる是正を図るとともに、これを再び拡大させずに持続していくために必要となる方策等について議論し、取組を進めることが求められているとしています。
間違っても較差を拡大するような改革は、いかなる政策的目的ないし理由があったとしても、少なくとも現行の憲法を前提とする限り許されないと解します。もちろん、最高裁の言うように、投票価値の平等が選挙制度の仕組みを決定する唯一絶対の基準となるものではありません。
平成二十九年、令和二年、最高裁大法廷においてもこう述べています。具体的な選挙制度の仕組みを決定するに当たり、都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮すること自体が否定されるべきものであるとは言えず、投票価値の平等の要請との調和が保たれる限りにおいて、このような要素を踏まえた選挙制度を構築することが直ちに国会の合理的な裁量を超えるものとは解されない。
大事なのは、この調和であると考えます。憲法が求める投票価値の平等という価値と地域代表的性格をどう調和させるか。
私どもは、従来から、全国を十一のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱しています。憲法が求める議員一人当たりの人口較差の更なる縮小と、参議院選挙区の持つ地域代表的な性格を両立ないし調和させるための方策であります。
合区は、確かに特定の県のみが県単位の参議院議員を選出できないことは不平等と言えるし、実際に当該住民からは多くの不満の声が聞かれています。合区解消の議論は避けるべきではありませんが、一方で、憲法が求める投票価値の平等という価値もなおざりにはできないと考えます。
以上です。