上月良祐の発言 (憲法審査会)
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○上月良祐君 自民党の上月良祐です。発言の機会をありがとうございます。
人権は憲法の心臓部、最も重要で、投票価値の平等を含め、極めて繊細に扱われるべきだと重々認識をいたしております。
しかし、ロシアによるウクライナ侵略といった現実を目の当たりにさせられ、改めて言うまでもなく、国あっての社会、社会あっての個人であり、人権と国益や公共、公益とのバランスを常に考え続けなければならないと思います。人権どころか命すらじゅうりんされるような状況になってしまっては、高邁な理念も地に落とされてしまう、多くの国民がそう感じているのではないでしょうか。
いまだ経験したことのない人口減少時代を迎え、平等原則を偏重して、地方の代表を減らしていっていいとは思いません。人口が大きく減少する地域は相対的に条件が厳しい地域が多く、代表が減ることで更に人口減が加速すれば、結果的に衆議院側でも同様の状況となり、相乗的に悪化していきます。人口比例に、より忠実な衆議院との組合せとして、参議院側が増減を加速する形は一定程度に収めるべきだと思います。
私の場合、選挙区との関係は当然大きく、議員として全国民の代表だと心得て活動はいたしておりますが、例えば国境離島や過疎地の問題に対応していくにも、どうしても時間は限られてしまいます。そのような地域の代表を減らし、都会の代表を増やしていくことで、例えば国境離島の安全保障への関心や対応を強める方向にはならないと思います。都心に住む方々が、日々の生活の中で、国境離島の現実、過疎地の生活基盤の現実を十分認識できるかは、良しあしの問題ではなく、現実にはなかなか困難だと思います。であるがゆえに、有権者をお支えする議員の活動におのずと限界が生じることは、政治というか人間活動の実際であり、理論とは別次元の現実だと思います。
様々な県での勤務や限界集落対策といった仕事の経験等を通じ、都道府県という大きさ、固まりが歴史的にも文化的にも定着しているだけではなく、行政の効率性や隅々まで目を行き届かせるという意味でも一定の合理性があると考えております。憲法より歴史の長い都道府県の各選挙区に最低一人、半数改選のため計二人の代表者を選べるようにすることは、参議院の選挙として国民の意識に沿ったものだと思います。大区画による選挙で各県を代表する者を持てないリスクは、条件不利な県ほど高いはずで、長期的なデメリットを軽く見てはいけないと思います。
首都圏、関西圏等の一部は別かもしれませんが、基本的に隣接県同士はライバルであり、合区による選挙はそもそも厳しい面があります。投票率の低下も生じており、また現実の社会経済が都道府県をベースに意思の集約、決定、表明等が行われている以上、利害が対立するケースも想定され、もちろん教科書的にはそういったことは乗り越えていくべきとなりますが、なかなか難しい面があることも事実です。
衆議院の小選挙区が市町村域とずれていたり、東京ではかなり細分化もされています。参議院の選挙が都道府県という行政の枠組みから全く離れてしまっていいのかという点には配慮が必要です。また、都道府県をベースとした選挙区で選ばれた議員が全国民を代表することにならないと、直結することにはならないと考えております。
憲法の改正規定は、憲法自身が時代の変遷などを踏まえた改正を織り込んでいくことを予定しているのだということにほかなりません。経済、社会、自然環境を含め、国際的に地球規模で劇的に変化していく中、七十年以上にわたり全く改正が行われていないことは極めて不自然を通り越していると私は思います。変化を予測し、先んじて的確に対応していくためにも、結論ありきでなく議論を重ね、論点を明確にしていくことが必要です。
前回も申し上げましたが、何年か後、なぜあのときに議論を深めておかなかったのかと議事録を後世読んだ方々を失望させないよう、今議員を務める私たちが責任を果たすべきだと思います。
結局、各国の置かれている状況はそれぞれです。大きな人口減の中、国際社会の中で生き抜いていくこの国の形を我々自身が真剣に考え、議論を進めるべきと考えます。
以上です。ありがとうございました。