高橋勝浩の発言 (行政監視委員会)
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○参考人(高橋勝浩君) 皆さん、こんにちは。私は東京都稲城市で市長をしております高橋勝浩と申します。
本日は、参議院の行政監視委員会の先生方におかれまして、今日の席にお呼びをいただきまして、誠にありがとうございました。大変光栄でございます。
稲城市を御存じない方もいらっしゃると思いますので、まずは稲城市のプロフィールを御説明しようと思っているわけでありますが、十分間という時間が限られておりますので、稲城市のプロフィールにつきましてはお手元に配付をさせていただいた資料の一ページ目と二ページ目に書いております。また、稲城市で作成をしております観光パンフレット、こちらも参考に御覧になっていただきたい。
一言申し上げますと、稲城市は、周辺の市からすると少し開発が遅れて、当時は田舎な町だということがマイナスなイメージがあったわけでありますが、現在では、森林あるいは農地が非常に残って、そのことが町づくりにとって大変アドバンテージにもなっていると、そのような土地柄でございます。現在でも人口が増えて、これからも人口が増えていく、そういった発展途上にある町であるということをまず御理解をいただきたいと思います。
それでは、早速本題に入りたいと思いますが、そのお配りしました三枚目のところに項目だけレジュメを置かせていただきましたので、それと御覧になっていただきたいと思います。
今回のテーマは国と地方の役割分担ということですが、私は市長という実務家の立場でございますので、事例の参考を御紹介すると、そのようなアプローチで始めたいと思っております。
まず最初に、現在直面する新型コロナウイルス感染症への対応に関する事例を紹介をさせていただきたいと思います。
まず、PCRセンターについてでございますが、新型コロナが発生した当初は、行政検査という形で保健所がまず担当しておりました。程なく保健所がパンクになって、PCR検査自体が健康保険の適用となり、各医療機関で受けられるようになったわけでありますが、なかなかそちらも需要に追い付かなくなったという状況があります。
そこで、政府から日本医師会長に協力依頼、そして日本医師会は各都道府県の医師会に依頼、そして東京都では東京都知事から東京都医師会長に依頼という順番で、東京都医師会が都内全域にPCRセンターを整備をする、そういった形が構築されようとしておりました。当然東京都でやっていただけるものだなと期待をしていたわけですが、しかし実際には、東京都医師会からは各市町村の医師会宛てに文書が一枚回って、PCRセンターの体制については各市の医師会で整備をしてほしいという文書が回っただけでありました。
各地域での医療提供体制は非常に偏在があるということでございまして、最終的にはこれを市町村に下ろされてもなかなか対応できない地域もあるという実情がございました。元々、各地域で対応困難な課題なので広域的な対応をお願いしたということでございますが、実際にはこれでは国も都もただの伝言ゲームに、繰り返すのみで、振出しに戻ってしまったんではないかなと感じております。国と地方の役割分担といっても、最終的に市に責任転嫁がされ、負荷が掛かっているだけではないかという実態があるので、こういった課題があるということでございます。
次に、ワクチン接種体制でございますが、今回のワクチン接種は、予防接種法に基づき、令和三年二月十六日付けで厚生労働大臣から各市町村長に指示がされております。
開始当初、大変これに基づいて混乱したわけですが、各市町村とも努力をいたしまして接種体制を整備をしてきたということでありますが、各地域での医療提供体制にはかなりこれも偏在がありまして、単純な指示をされてもなかなか、現実には接種体制を取れるところと取れないところ、これも差があるということであります。
是非、こういった危機管理体制の下では、一定の強制力を伴う権限を、司令塔となる行政機関、それが国なのか都道府県なのか市町村なのか、議論はありますけれども、是非、権限を伴う司令塔となる行政機関に権限を付与していただいて、交通整理をお願いしたいということがございます。
続きまして、保健所の再編についてお話を差し上げたいと思っております。
今回の新型コロナ対応に対する課題の一つとしては、保健所の体制についてがあったというふうに認識をしております。全国の各市長からは、国、都道府県、市町村間の感染状況の伝達など情報格差が非常にある、また情報共有について課題があるという意見が多く出されております。
例えば、私どもの所在する稲城市は東京都の南多摩地区というところでございまして、南多摩保健所というところが管轄をしている。こちらの管轄区域は日野市、多摩市、稲城市、管内人口は四十二万七千人超ということでございまして、これだけの人口規模のところをたった一か所で担当している。さらには、東京都多摩地区で最大なのが多摩府中保健所、こちらは人口百四万人に対して一か所しかないということでございまして、積極的疫学調査などはほぼできていないというのが実情かなと。
保健所がこれだけ再編されて数が少なくなってきたというのは様々な経緯がありますけれども、平成六年の地域保健法、これに基づいて平成九年から再編がされて、数が順次減らされてきた。さらには、東京都においては、この地域保健法の改正のみではなく、東京都独自の行政改革ですね、行革の流れで更に減らされてしまいまして、元々は東京都多摩地区に十七か所あった保健所が順次減らされて現在は五か所になってしまっていると。こういった実情を踏まえると、今後のアフターコロナでは保健所の役割ますます大切になっていくんではないかなと思いますので、是非保健所の再編の見直し、こういったことも課題であるのかなというふうに考えております。
そして三点目でございますが、これは新型コロナとは別の問題でありますけれども、大規模災害時の広域支援についての事例として役割分担を考えたいと思っております。
全国市長会では、東日本大震災の教訓から、現会長の提案で防災対策特別委員会、こういった委員会を設置しております。私はその副委員長を仰せ付かっているわけでありますが、全国市長会でのネットワーク、そして個別の市ごとでの防災協力体制、協定を結んだり、そういうことがありますけれども、実際の大規模災害では、災害救助法に基づく、都道府県が取りまとめになって国全体で支援体制がある。こういったものは法制度であるわけでありますが、発災直後の七十二時間、一番大事なときに一番即応性がある救助体制、それが応援できるのは、やはり全国市長会のネットワークであったりあるいは各市ごとの防災協定、こういったものが有効なのかなと思っております。大規模災害に当たって、やはりこういう国、都道府県、市町村、大分整備はされてきておりますけれども、協力体制が大変有効であるのかなというふうに考えております。
そして最後に、四点目といたしまして、環境対策に関する事例でございます。
全国市長会では環境対策特別委員会というものを組織しておりまして、不肖私が委員長を仰せ付かっております。現時点での最重要課題といたしましては、二〇五〇年に向けてのカーボンニュートラルの実現ということがあります。現在、環境省を含めて先導を取っていただいておりますけれども、やはり国と地方が的確に役割を果たす必要があるんだろうというふうに考えております。
都道府県、政令市、中核市、一般市、まあ市町村といっても、市としてもいろんな地方公共団体がありますけれども、これは保健所と同様でございまして、権限や業務範囲がかなりその市の規模によって違ってくると。それを一律市町村で脱炭素、これを推進するというのも非常に難しいものがありまして、是非国がまずイニシアチブを発揮をされ、全体の関係主体の連携、そういった取組をつくっていただいて、その中で市町村が参加をし、相乗効果を上げていくということが必要ではないかなと思っております。
是非、今後はグリーン電力の普及などを図る上で、個々には様々な規制が障壁になっているものもあろうかと思いますけれども、是非その辺の解決については国と地方の役割分担、見直していただければなと思っております。
以上、四点の項目について課題事例を紹介いたしました。いずれの課題も国と地方の役割分担という切り口だけからでは課題解決が図れるというものではありませんけれども、おおむね問題の原点、根幹はそこにあるのも実情ではないかなと思っております。
第一次分権改革、第二次分権改革、そして三位一体改革など、これまで権限移譲等々については整理がされてきておりますが、実際の現場としてはまだまだこのような分権改革は今中途半端な状態ではないかなというふうに考えております。
今後とも、より一層効率的でスピーディーな行政が望まれる状況でございますので、そのためには地方分権改革の着実な推進が必要だと思っております。単に事務移管をするのではなく、それに見合った権限と財源、これの移譲をすべきだと考えております。また、権限移譲した事項については是非市町村に任せて、国が一定の義務付け、枠付け、関与、こういったものは控えていただければなというふうに考えております。
大変雑駁でございますけど、私からの問題提起については以上でございます。
よろしくお願いします。