小沢樹里の発言 (国土交通委員会)

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○参考人(小沢樹里君) 一般社団法人関東交通犯罪遺族の会の小沢と申します。
 本日は、このような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございます。
 私は、二〇〇八年、平成二十年に、飲酒運転による交通事故により義理の両親を亡くし、双子の弟妹が後遺症になるという事故に巻き込まれた遺族です。交通事故により、死亡事案、後遺症事案、そして当事者家族として、この交通事故において多角的な視点で家族を見てまいりました。命の尊さ、また生きていくことの苦しさ、さらには支えていく家族の苦しさやもどかしさ、これを知っている家族であると思っております。だからこそ、遺族、後遺症、どちらにも滞ることなく、両方に支援をしていただきたく、どちらにも支援が行き届く、そのような仕組みが国土交通省内においてしっかりと構築されることの必要性を強く感じております。
 これまで遺族団体として多くの被害者の方と接点を持ってきた中で感じたことも踏まえまして、本日は意見を述べさせていただければと思います。
 多くの被害者や遺族の方とお話しさせていただく中で、具体的なニーズとしては、被害者や遺族として当然抱く喜怒哀楽、この様々な感情が外に出せる場所が欲しいという思い、これまでの日常の急激な変化、同じ家族であってもどのように接していいか分からないなどといった経験、さらには、通常経験することもない裁判というような対応をしていかなくてはなりません。この様々な支援の必要性をそれぞれに感じてまいりました。
 このため、遺族団体として、活動では、当たり前のことを当たり前に聞いて安心していただけるような団体づくりを目指して活動をしてまいりました。こうした取組を続けていく中、被害者や遺族が当たり前のことを当たり前にすることに対して、これができる社会を実現するためには、関係各省に要望、又は国土交通省に対しては一昨年秋、当時は赤羽交通大臣でございましたが、団体として直接御要望を伝えさせていただく機会もございました。大臣というお立場でありながら、遺族や支援の理解を同じ目線で寄り添って聞いていただくことができました。また、国土交通省の職員の方の多くが非常に交通事故防止、そして被害者支援の救済対策についても強い関心を持っていただいていることに、実は大変驚き、本当に心より感謝をしました。
 そうした中で、国土交通省における被害者支援のあり方の検討会にも委員として参画をさせていただくようになりまして、自賠責制度における被害者支援、事故防止について具体的な内容を知り、その財源をめぐる状況についても認識してきたところでございます。その中で、支援事業の内容につきましては、支援者、遺族支援と事故防止の両輪の体制が充実してもらいたいということを強く願います。交通事故による被害に遭った被害者や遺族への支援の充実、これは大変重要な課題です。そして、同じ思いをする方を一人でもなくしたいということも重要な施策であると思っております。
 私自身は遺族団体の代表をしておりますので、まずは遺族の観点から伝えさせていただこうと思います。
 自賠責制度における支援の内容として、ひき逃げなどの被害に対しては対応はされております。ですが、遺族への支援についてはこれまでほとんどなかったということに対して、被害者救済の情報や心のケアの支援の充実が必要ではないかと思っております。
 特に、遺族や遺児のための教育環境面のフォロー、交通事故の被害に遭った後、大人だけではなく子供に対しても、しっかりと心のケアが受けられる環境整備が必要です。その一つとして、交通事故を経験した当事者が交通遺児又は家族の家庭教師を担えるような仕組みができたらいいのではないかと思っております。
 また、後遺症が残る場合ですが、まずは、医療面についてはリハビリテーションの対策、体制の充実が必要でございます。私も参加した検討会の委員には、約三十年もの長期にわたりまして遷延性意識障害の介護をされている方や、又は自分自身が脊髄損傷が残り、必死にリハビリを経て検討委員会へと参加されている方、高次脳機能障害の家族を見守りサポートを約二十年間続けられている方々が参加をしていらっしゃいます。
 それぞれの障害に応じたリハビリテーションが受けられることは非常に重要です。遷延性意識障害の場合は、療護センターやその機能を持つ委託病床があります。この在院期間中にはもちろんのことですが、退院後も療護センターや委託病棟のリハビリテーション受けたいという場合には受けれるような環境になってもらえると、遷延性意識障害の介護をする家族にとって大変安心ではないかと思います。
 また、脊髄損傷や高次脳機能障害については、昨年七月に今後の被害者救済対策の在り方についてまとめられた報告書で、初めて両者がリハビリテーションを受けられる環境整備に取り組むことを示されました。今後、急性期の病院を退院した後、一つの病院で比較的長期にわたって脊髄損傷からの社会復帰、又はリハビリテーションを継続して受けられる病院探しや、高次脳機能障害の社会復帰に取り組む自立訓練施設を探すなど、やっと探し始めたという段階でございます。これらの取組をもっと充実させていっていただきたいと思います。
 次に、福祉面についてお話をさせていただきます。
 何より圧倒的にヘルパーの方の数が不足しております。特に、医療ケアをできるヘルパーの不足は深刻でございます。障害者が地域の中で生活を営むことが大変厳しい現実がございます。様々な障害に応じたスキルのあるヘルパーも少なく、質の面、量の面からヘルパーの確保に取り組んでいただきたいと思います。
 加えて、介護者が介護ができなくなったときの対応が非常に困難な現状がございます。厚生労働省の施策として、入院、入所施設から地域生活へとの流れがございます。それについては納得しておりますが、これに対応できる地域の受皿が足りていないと委員会で聞いております。地域の受皿を確保するために是非とも取り組んでいただきたいと思います。
 これまでの全ての交通被害者や家族、遺族の話をしてまいりました。親なき後の介護が急務と叫ばれている一方で、ヤングケアラーの存在を知っていただきたいと思います。
 このお話につきましては個人的な話になりますが、私の義理の両親が死亡、弟、妹は高次脳機能障害、第四腰椎脱臼骨折など、本当に多くの、何度もの手術を受けてまいりました。病院通いは約二十三か所、薬局もそれに合わせて行ってまいりました。家族が、家族の中でも手が回らない、でも介護を頼めるほどでもない。そこで、当時四歳であった息子は、この春ちょうど大学生となりましたが、裁判の期間中、事故から約八年間という時間の間、ずっと彼の人生を犠牲にしてきたことを本当に親として情けなく感じております。お友達と遊びたかったと思います。宿題を犠牲にして御飯作りを優先してくれたときもありました。一番ひどかったのは、自殺しないか見ておいてちょうだいねと心から頼んだこともありました。
 遺族になると、心も体も壊れます。障害を持つ家族がいれば、家族の犠牲は当然と思われるかもしれません。ですが、心を病んでいたり障害を持った家族がいれば、その介護を家族だけで担わなくてはならない、社会に頼ることができない、これが今の社会の現状なのです。だからこそ、介護の問題は、高齢化だけではなく、若き社会の担い手である、交通事故に遭った瞬間、誰もが苦しむことになります。
 これは一例であり、決して私たち家族が特別ではございません。声に出すことも、私は今日、戸惑いました。それでも、被害者支援からこぼれ落ちている、これが社会問題でございます。
 このような課題のほかにも、ショートステイの課題、家庭崩壊、介護者のうつ、これらの課題が山積してございます。これまで以上に被害者、遺族の声に寄り添った施策をしていただきたい。もし財源が厳しいなら歳出の抑制をすればいいという声も伺います。ですが、これ以上命が奪われることを目の前で見たくはありません。課題はとても多いですが、国民一人一人に愛のある政策を今後も期待していきたいと思います。
 事故防止についても、高齢ドライバーがハンドルを握らなくてもよい生活ができる社会実現、ドライブレコーダーの導入の促進、飲酒運転の探知器の導入、事故を未然に防ぐための対策が必要だと思っております。
 国土交通省やNASVAから出される交通、自動車のアセスメントなど、しっかりとしたデータは、これまでの多くの事故を防いできた、命を守るデータであると思っております。事故防止の取組が、自動車業界の方々に知っていく機会を持っていただくことが安全な車社会の実現につながるのではないかと思っております。
 さらに、ソフト面の対策として、子供たちへの交通教育に対して、加害者目線だけではなく被害者目線をしっかりと取り入れていっていただきたいと思います。命の大切さや家族の大切さ、そしてグリーフケアを浸透させていただきたいと思っております。
 交通事故は、誰もが被害者にも加害者にもなり得ます。ですから、被害者支援の充実は、被害に遭ったそれぞれの被害者に対して、施策の中で滞った支援ではなく平等に講じていただくことが必要と思っております。社会の誰もを救済できる受け口として、自賠責保険が被害者支援の要であっていただきたいと感じております。
 このほかにも充実していただきたいことを挙げれば切りがございませんが、このような施策の充実に取り組むためには財源の裏付けが必要でございます。
 検討会における議論でも、先ほど意見が述べられました藤田様のおっしゃるとおり、まずは一般会計からの繰戻しが今後もしっかりと継続して行われることが何より重要と考えております。
 一方で、それだけに頼る状態では、数十年後の未来、子供たちの未来を考えたとき、大きな不安が残ります。そのためには、手元に積立金がある程度ある今、賦課金制度を導入していただくことが必要であり、これをこれ以上後回しにはできないと思っております。
 自動車そのものの安全性向上により、将来的に事故は更に減っていったとしても、これまでの事故の被害者に、遭った方も多くおり、将来にわたって継続した支援が必要になることが見込まれております。この観点からも、被害者支援や事故防止が永続的な仕組みの下で実施される体制がすぐにでも確立していただくことが必要であると思います。
 一方で、賦課金導入は、自動車ユーザーの皆様の負担を求める取組であると思います。自動車ユーザーの皆様の御理解をいただけることが重要であると考えております。そのために、国土交通省におきまして、自賠責のお金の使い道について、自動車ユーザーに届くよう、私たち遺族や被害者の方の置かれた状況において、広報を通じてしっかりと伝えていただきたいと思います。
 そして、皆さんにいま一度、御自宅の道路を通るときを想像していただきたいんです。日本の横断歩道を通るとき、どれだけの車が止まっていただけるでしょうか。現状は、手を上げている子供を無視してまで横切る交通社会です。いま一度、車は凶器であること、道路には、年齢も様々でまた障害を持つ方も道路を使っているという認識を、改めて自動車ユーザーが一人一人、自分自身のハンドルを持つ自覚と他者への愛を考える、歩行者優先の道路であることを意識付けられる機会になっていただきたいと思います。
 改めて広報の在り方につきまして検討いただき、広報の充実を図っていただきたいと思いますし、広報の充実の際は、交通事故被害に遭った方を救済する制度を早期に情報を届ける、このような被害者ノートなどを活用して知っていただけたらと思います。
 この両方が十分に充実するということが十分に必要になります。そして、これのことに対して保険会社や様々なところと連携を図っていただくことを検討していただきたいと思います。
 私からは以上となります。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 小沢樹里

speaker_id: 21707

日付: 2022-04-07

院: 参議院

会議名: 国土交通委員会