松岡亮二の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○参考人(松岡亮二君) ありがとうございます。
 海外の事例ですけど、データを詳しく取っているところは、そうですね、アメリカとイギリスがやはり一番の先進事例にはなると思います。各学校単位のデータをかなり詳しく取って公開もしたりしますし、先ほども述べましたように、厳しい状態にある学校には追加的に予算が下りるみたいなこともやっているので。ただ、じゃ、アメリカやイギリスの結果がすばらしいのかといったら、なかなか、経済的な格差等々、人種のお話等々、かなりいろんな社会的な課題があるところなので、なかなかあちら、それで、それをそのまま導入したらいいのかというのはちょっと微妙なところではあります。
 ただ、少なくとも言えるのは、アメリカやイギリスは日本よりも圧倒的に多い課題を抱えて教育をしているので、例えばアメリカとかイギリスとかの学校のやり方と日本の学校のやり方だけを比べて平均点の差だって議論することはできないんですよね。社会全体として、犯罪、例えば安心して暮らせない社会だったりすると、それは学校の中にも入ってくるわけですよ。なので、学校だけの責任じゃないので。そういうことも全部データで腑分けして、ここの部分は学校の影響がある、ここはネイバーって、近隣の影響があるとかみたいなふうな分析を可能にするデータを集めているのは主にアメリカですね、アメリカ、イギリスです。
 教育格差で何を教えるべきかというのは、私の資料の二十四ページの方に、構想五年で書いた本なんですけど、章のチャプターを並べていまして、全部つらつらと説明しても時間ももったいないので。
 例えば、学校の先生になる方というのは基本的に安定した、平均してですよ、全員じゃなくて平均して、社会経済的に比較的恵まれたような家庭出身の子が大学に行って、そもそも学校を職場にしようとするわけで、学校が物すごく嫌いなわけじゃないんですよね、学校である程度うまくいってやってきた子たちなので。
 かつ、良くないのが、教育実習で母校に行ってしまうケースも結構あるようで、これが何パー行っているかもちょっとデータがないんですけど、母校に行くと自分が育った地域の社会経済的な状況のところにもう一回戻るわけですよ。ただ、人事の採用というのは、公立の、例えば東京都とかそういう広域の単位なので、自分の母校のところと同じような社会経済的な状況にあるような学校とは限らないわけですよね。だから、最初に赴任したところがいわゆる大卒層がすごく少ないエリアで、親御さんもあんまり教育にそういう関心がなくて子供もそういう関心がなかったりしたときに、例えば、自分が子供のときは同級生みんなが宿題をやってくるのが当たり前だったような経験を持った子が、先生が、赴任して全然そうじゃない状況になったときに、すごく多分不幸な出会いにしかならないんですね。何でこの地域の子たちは宿題やってこないんだ、やる気がないんだというふうになってしまうので。
 でも、それを、この教育格差のこういうデータとかを知っていると、ああ、なるほど、背景があるんだと、だからただ単に怒ってもしようがないんだというふうに、こうちょっと距離を取って、何で子供たちがそういう発言をするのか、保護者はこういう協力体制なのかということを理解して、じゃ解決するために何ができるんだろうということを理解できるようになります、この教科書を通して勉強すれば。
 ほかにも、例えばジェンダーの話であるだとか、先ほど出ましたけど外国籍の児童の話であるだとか、かなりいろんなトピックに関して網羅的に集めているので、体系的に学ぶというのはそういう意味です。かなりいろんな、広い、広範な教育社会学のトピックを学んでいただくことで、学校で教えることの意味付けであるだとか、俯瞰して見ることができる、自分のやっていることや学校を俯瞰して見ることができると思うので、是非学んでいただきたいなと思います。ちなみに、このような内容は米国の教職課程だったら普通に習う内容です。
 あと、最後ですけど、文科省が協力姿勢、受入れ姿勢があったのかという質問ですけど、多分これ聞いていると思うので、何て言ったらいいのか。
 いや、普通に協力はかなりしていただいて、当たり前ですけどいろんな人がいますので、協力体制をいただいて、例えばこのコロナの調査もできましたし。この調査は二時点の調査なんですね。一年前の一斉休校の後のと、あと、今もう一回実施するんですけど、そうしたら、このときに厳しかった子が一年たってどうなったかというこの変化が分かるという、すごく調査をやる側としては負担が重い調査なんですけど、それにも協力いただいていますし、今、教員関係の人材課の方の委託調査も私協力してやっていまして、かなりたくさんの御協力をいただいています。
 ただ、一つ言えるのは、新しいことなんですね、なので、全部説明しなきゃいけないんです、今まで文科省がやってこなかったような調査をこちらは提案しているので。じゃ、何でこれが必要なんだと、こういうことを聞いてどうなるんだということを全部説明していかなきゃいけないので、なかなかその意味では大変だなと思って。
 研究者を増やしてほしいというのはそれなんです。こういう新しい調査を国と協力してやろうとしたら、もう自分の生活をなげうってやらなきゃいけなくて、実際同じようなことができるような研究者がたくさんいればいいんですけど、そうでもないので、どうしてもいつも限られたメンバーで提案して、文科省の人に丁寧に説明しての繰り返しになるので、提案の中に入れましたけど、研究者を増やす、教育データを分析できる人間を増やしていただきたいのと、あと官僚の人数を増やしていただかないと、彼らもかなりたくさんの仕事を抱えながらやっているので、落ち着いて新しいことをやろうという余力は多分出てこないんですね。なので、さっきのタブレット持ち帰りをしていないけしからぬ学校があるんじゃないか的な話も一緒で、何でそうなのか。
 例えば、文科省が新しい調査に対して少し何か余り積極的じゃなかったとしたら、何でかって考えたら、やっぱり人や予算が足りないというのが基本にあるので、そこの話をせずに何か消極的な姿勢だなというのはちょっと建設的じゃないなと思うので、是非、皆さんじゃないとできないことなので、官僚を本当増やしてほしいです、この国のブレーンなので。

発言情報

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発言者: 松岡亮二

speaker_id: 25010

日付: 2022-02-02

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会