国民生活・経済に関する調査会

2022-02-02 参議院 全105発言

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会議録情報#0
令和四年二月二日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         芝  博一君
    理 事         小川 克巳君
    理 事         中西  哲君
    理 事         和田 政宗君
    理 事         牧山ひろえ君
    理 事         安江 伸夫君
    理 事         大塚 耕平君
    理 事         高木かおり君
    理 事         岩渕  友君
                足立 敏之君
                高橋 克法君
                堂故  茂君
                羽生田 俊君
                藤川 政人君
                三宅 伸吾君
                山田 太郎君
                山田 俊男君
                石垣のりこ君
                勝部 賢志君
                宮口 治子君
               佐々木さやか君
                下野 六太君
                伊藤 孝恵君
                梅村みずほ君
                浜田  聡君
    ─────────────
   委員の異動
 一月十七日
    辞任         補欠選任
     高木かおり君     片山 大介君
 二月一日
    辞任         補欠選任
     足立 敏之君     竹内  功君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         芝  博一君
    理 事
                小川 克巳君
                中西  哲君
                和田 政宗君
                牧山ひろえ君
                安江 伸夫君
                大塚 耕平君
                片山 大介君
                岩渕  友君
    委 員
                高橋 克法君
                竹内  功君
                堂故  茂君
                羽生田 俊君
                藤川 政人君
                三宅 伸吾君
                山田 太郎君
                山田 俊男君
                石垣のりこ君
                勝部 賢志君
                宮口 治子君
               佐々木さやか君
                下野 六太君
                伊藤 孝恵君
                梅村みずほ君
                浜田  聡君
   参考人
       早稲田大学人間
       科学学術院教授
       ・社会的養育研
       究所所長     上鹿渡和宏君
       特定非営利活動
       法人さいたまユ
       ースサポートネ
       ット代表理事   青砥  恭君
       早稲田大学准教
       授        松岡 亮二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国民生活・経済に関する調査
 (「誰もが安心できる社会の実現」のうち、困
 難に寄り添う支援の構築(子どもへの支援)に
 ついて)
    ─────────────
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芝博一#1
○会長(芝博一君) それでは、ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、高木かおり君及び足立敏之君が委員を辞任され、その補欠として片山大介君及び竹内功君が選任をされました。
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芝博一#2
○会長(芝博一君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りをいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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芝博一#3
○会長(芝博一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に片山大介君を指名いたします。
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芝博一#4
○会長(芝博一君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 国民生活・経済に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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芝博一#5
○会長(芝博一君) 異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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芝博一#6
○会長(芝博一君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
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芝博一#7
○会長(芝博一君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 国民生活・経済に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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芝博一#8
○会長(芝博一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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芝博一#9
○会長(芝博一君) それでは、国民生活・経済に関する調査を議題といたします。
 本日は、「誰もが安心できる社会の実現」のうち、「困難に寄り添う支援の構築」に関し、「子どもへの支援」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席いただいております参考人は、まず早稲田大学人間科学学術院教授・社会的養育研究所所長上鹿渡和宏参考人、続いて特定非営利活動法人さいたまユースサポートネット代表理事青砥恭参考人、次に早稲田大学准教授松岡亮二参考人でございます。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、大変御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 皆様方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、上鹿渡参考人、そして青砥参考人、そして松岡参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず上鹿渡参考人からお願いをいたします。上鹿渡参考人。
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上鹿渡和宏#10
○参考人(上鹿渡和宏君) それでは、私の方から意見を述べさせていただきます。
 本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。
 この題で、この子供、特に児童虐待、児童養護、社会的養護の子供たちのところの問題を挙げさせていただけること、感謝しております。
 それでは、早速参ります。(資料映写)
 まず最初に、これは、社会的養護の子供たちだけではなくて、日本の子供たち全体の置かれている状況を示すユニセフが出したデータですね。
 パラドックスと書いてありますけれども、この精神的幸福度三十七位、身体的健康一位、これ先進国の中での順位として挙げられていますが、こんなに開いているんですね。体は健康なんですが、心の方の健康度がかなり低い状態です。もう一つ、スキルとありますけれども、これは、数学とか読解力の基礎的な習熟度は五位でいいんですけれども、友達をつくるとか、そういった辺りのところが三十九位ととても低いんですね。
 この開きが日本の特徴で、パラドックスというふうに言われているんですけれども、この状態ですね、私、児童精神科医として子供たちの臨床に以前携わっていたんですが、感じていたことなんですが、日本の大人が子供のために頑張ってきた結果は見えていると思うんですね、この順位の高いものについてです。ですが、一方で、子供と共にいることができなかった結果も見えているなというふうにも思うような結果です。
 これを改善していくためには、ここにも挙げました阿部先生がおっしゃっている、最も厳しい状況に置かれた子供たちへの支援をしていくということが大事ですということです。
 日本におけるこの社会的養護児童の位置付けというのを、オックスフォード大学のロジャー・グッドマン教授が社会的排除として位置付けました。これ社会福祉の中の話ではないんですけれども、そういった見方ができるということで提示をしてくださった、とても貴重な御意見だったんですけれども、ここに日本の子供が抱えている様々な問題が集約されていると思います。この問題を解決していくことが、この社会的養護の子供たちだけではなくて、この周囲の子供たち、家族を助けていくような、そんなシステムがつくれるというふうに思っております。今実際、そのように動き出しているところだと思います。
 私、先ほど申し上げたとおり、児童精神科医なんですけれども、以前、ある児童相談所の診療所で児童精神科医として診ていました。そのときに、やはり一番大変なのは、この社会的養護の下にある子供たち、当時は施設の子たちがほとんどでして、時々、一時保護所の子供も診たりということでした。
 ここにある言葉は、一時保護所に一時保護しなければならなくなった子に言ったときに返された言葉なんですね。通常の外来で診ている中で大きなけがをしてきて、これではもうちょっと家にこれ以上いると安全ではないので、それを、安全を確保するために一時保護と言ったところ、子供から、あそこに行くなら家でたたかれている方がましと言われてしまったわけですね。これは以前にも一時保護所に行ったことがある子の言葉です。当時、制度としては、家庭で危ない、それが疑われてという場合は一時保護所を使うしかなかったんですが、子供にとっては全然安全な場所ではないという話ですね。
 で、被措置児童等虐待と書いていますが、これは、措置された先、施設だけではなくて、一時保護所や里親家庭でも虐待、暴力があったりするわけです。二重犠牲者化とも言われていますけれども、そんなこともずっと起き続けています。
 ということで、この社会的養護の子供たちの置かれている状況というのは非常に厳しいものがあるということを当時から思っていましたが、その辺りのお話、あと、この状況が、二〇一六年の児童福祉法改正以降、システムとして大きな変化を今しているところです。
 その当時大事だと思ったのは、一緒に生きてくれる人が見付かる場所にしていくということですね。社会的養護の場をそのような場所にしていくということが大事だと思います。これは当事者の方の声です。施設でずっと暮らしていた方が、施設はこういう場所であってほしいということを言ったものです。ただ、これは施設だけじゃなくて家で暮らせなくなった子全ての言葉で、里親であってもこういう場所である必要がありますし、施設でもこういう場所である必要がある。
 もう一つは、これも社会的養護当事者の声です。これは里親にいた子ですね。里親家庭でとても良い状況で生活をしていた子ですが、そこの状況を更に良くするためにどんなことが必要かなというこども会議というのを開いていたんですね。その中で子供が、いやいや、里親を良くするのはもちろん今良くなりますからいいんですけど、こんなに助けてくれるんであれば、もっと前に自分の親を助けてほしかった、親を助けてくれていたら自分は離れずに仲よく暮らせていけた、いれたかもしれない。里親というのは今、施設から里親養育へ移行するということで、良い、代替養育の中ではより良いものとして取組進んでおりますけれども、子供にとってこれが最善な、全部が最善ではないということですね。そのままの場合がいいこともありますけど、子供によっては家に帰るということが更に良い状況ですので、ここを目指していかなければならない。子供の側に立ってシステムをつくっていくというのはそういうことかなというふうに思っています。
 これは子供虐待の対応を簡単に書いたものですが、よく出るのは、この真ん中の早期発見・介入ですね。これがうまくいかなかったせいで子供が死んでしまった、で、そこをどうするかという話がよく出ます。一般の理解も、ここが虐待対応の大事なところと思われていますが、この前と後があるということです。
 今日お話しする社会的養護は、この後の対応ですね。親子分離せざるを得ない子を、その後、どういう場所でケアしていくか。これがどういう場所かというと、一緒に生きてくれる人が見付かる場所にしようというのが一番大事なことです。ただ、この前もあるわけですね。早期発見・介入、幾らやっても虐待は減りません。これは、蛇口を閉めずにただだらだらと流していて、その後だけ対応しているような状況で、しっかり蛇口を閉めるというか、もっと上流を、予防的対応をしっかりしなければ減っていかないですね。子供が求めているのもこの親を助けてほしかったということですし、方法としてもこちらにしっかり力を入れていくということが大事です。
 ただ、現在の制度としては、この予防のところは市町村が主でやっていくところになっています。この社会的養護は県ですね、都道府県単位で、なかなかここの連結が良くなくてですね、うまくいっていない。予防大事だと言われつつ、置き去りにされてきたのがこれまでの現状だったかと思います。ただ、これも来年度の児童福祉法改正を踏まえた社会的養育専門委員会の中でかなりいい議論がされまして、案としてはかなりいいものが上がっていますので、今後期待できるところかなと思っています。
 この親を助けてほしかったという、その親がどんな状況に置かれているか、調査があります。この資料は、厚生労働省が今年度の社会的養育専門委員会の第一回の会議で国、厚労省の資料として出されたものです。実施した主体は厚労省じゃありませんけど、大事だということで提示されています。ここに、七割以上の母親は自身が育っていない町で子育てを行っている、そして六割の母親は子供を預かってくれる人はいない、そんな状況が一般家庭の状況であるということですね。まさに困って、助けてもらえていない方々がたくさんいる。そこに対して、国としては事業は打っているんですね、この形で。特に、このショートステイ、これは、今は施設がメーンで、施設の空いている場所を使って数日間、原則七日までの宿泊で預かることができるという制度で、切り札とも言われています、予防のですね。本当に疲れている方を休ませてあげることができるわけですね、措置とは違う形で。なんですけど、実際使われているのが、ここにあるとおり、未就園児一人当たりで〇・五日、年間ということで、ほぼないような、物すごい少ない。あれほど困っていそうな親がいるのに、実際使われているのはこれだけというのが現状になっております。これも厚労省が示した資料で、ですので、しっかりこの状況を把握しているということを委員会で提示されて、これをどう変えていくか、次の法改正でですね、ということが議論されて、案として上げられました。
 もう一方の社会的養護の方はどんな状況になっているかといいますと、これは二つ、日本の特徴があります。一つは、施設が主であるということですね。これはずっとそうだったんですけれども、二〇一〇年以降、年間一%ぐらいずつ里親委託増えてきまして、現在二〇%を超えているところです。これからもっとこれは増えていくという形で今進んでいますけど、ほかの国々から比べるとまだ随分少ない状況が続いています。もう一つは、そもそも社会的養護になっている子供の割合は非常に小さいということですね。欧米諸国、このほかに、国に比べますと、三分の一から六分の一ぐらいということです。これは、最近の子供の置かれている状況、ヤングケアラーの状況とか見ていきますと、やはり必要な子がしっかりとした支援を受けられていなかったということの表れかなというふうにも思われるような結果になっています。
 さらに、この最近増えてきている里親委託率ですが、こんなに自治体間格差があります。これも問題ですね。どこで生まれたかによって施設か里親か、これが決められてしまうということで、ここも、これは国としては全部がある一定レベルに達しなければならない。まあ、国としては目標値を掲げてくれていますけど、今それに向かってそれぞれが努力しているところです。
 社会的養護の下にある子供たちの状況ですね、どんな子供たちなのかといいますと、障害のある子たち、何らかの障害がある子たちがかなり多くなっています。特に、里親、ファミリーホームでもこんなに高い割合の子供たちが今委託されているんですね。
 ちょっとこの吹き出しで書いていますのは、逆に、障害児の入所施設に虐待経験ありという子の割合も高くなっています。その地域によってどちらが使われているかということがちょっともう交ざっているような状態になっていまして、これはちょっと一元的にといいますか、対応を考えていくべきことであろうというふうにも思われます。障害の分野でも家庭養育を進めていくということが必要かと思います。
 もう一つの子の特徴、社会的養護の子供の特徴は、虐待を受けている子の多さですね。ここにあるとおりで、かなり多くいます。里親でも四割近く、施設でもかなり多くの子たちが受けている。
 さらに、特徴はこちらになります。児童相談所への通告件数で一番多いのは心理的虐待と言われています。面前DV中心にしたものが増えていると。ただ、社会的養護、親子分離されるレベルのものでいうと、ネグレクトの子たちが本当に多いんですね。この影響を考えなければなりません。
 性的虐待とか心理的虐待、身体虐待は皆さんもその影響を考えると思います。ひどいことがあったので、その後大変かなということで。ただ、このネグレクトは、ほかの三つとは違いまして、当然あるべきことがされていないんですね。養育がされていなかったりケアがしっかりされていない、それがどの程度の影響を与えるのかということはなかなか思い付かないと思います。ただ、乳幼児にとってはこれはとても大きな影響がありまして、発達のその年齢の時期によってはこのことがとても大きな影響を及ぼします。
 ここに挙げたのは、ネグレクトによる影響をちょっと挙げていますけれども、そのネグレクトがあった場合の影響もあるんです。じゃ、どれをネグレクトがありと考えるかということなんですが、これもとても難しくて、子供のメンタルヘルスに影響を及ぼすネグレクトというのはどんなものかというと、子供がそう感じていたものは影響を及ぼしていたという調査結果もあるんですね。
 これも考えれば当たり前かなと思われるかもしれませんが、大事なのは子供がどう思っているかです。大人がこれはネグレクトだ、ネグレクトではないということで判断するんではなくて、やはり子供から見て子供がそう感じているんであればそこは対応しなければならないことであるということで、どうやってそれを見付け出すかですね。これは、子供の声を聞く、子供の視点でいろんな状況を判断するということにつながると思います。
 それで、この社会的養護の方向性としましては、日本は今まだ施設が多い状態ですが、ほかの国々も元々は施設が多いというか、施設から始まっています。ある時期に家庭養育へ移行して先ほどのような差が出てきたわけですね。日本は、二〇一一年からこんな動きがだんだん出てきていますけど、二〇一六年の法改正がこれをかなり明確に方向付けました。家庭養育優先原則といったものを明示して、その後、二〇二〇年には、これ全国の自治体でそれぞれが計画を立てて、もう実践が始まっている段階です。国としては、乳幼児は里親委託率七五%というところを目指しているということになります。
 その基にあるのは、これは世界的潮流なんですね。日本だけが何で今やっているかということではなくて、これは国連が出したガイドラインですが、そこに明確に書かれています。特に乳幼児については家庭養護を提供すべきであるということで、これはデータに基づいて言われていることですね。プラス、ちょっと四角で囲ったところは、障害のある子たちもこれに含めて考えましょうということがこのガイドラインでも言われているということですね。済みません、早口になってしまって。
 それで、これは何で家庭養護なのかということを、いろんな理由ありますけど、一つとても明瞭に分かるものを示します。これは、アメリカの研究チームが、ルーマニアにある孤児院の子供たちを里親に移したときに子供がどんな変化をするかというものを見たものです。
 脳波で脳の成熟度を見た結果になるんですけど、この左上のものがずっと施設にいた子の八歳になったときの脳の状態ですね。赤っぽいところが成熟している様子を表しています。右下はずっと家で育った子です。ですので、これ、いいんじゃなくて、普通の子です。普通というか、一般家庭で育つとこういう脳なんですね。右上は二十四か月より後に里親委託された子です。この里親委託は、とても養育の質を担保されたいい里親制度をつくりまして、そこに移した結果です。八歳になったときですが、こんな感じで余り変わらないんですよね。左下が二十四か月より前、二歳より前に里親委託できた子ですね。この子はかなり追い付いているというのが分かるかと思います。この辺りの結果を、ほかにもいろいろあるんですけれども、もってですね、二歳、できれば二歳よりもっと早い段階で里親委託に移行することで子供の発達がしっかり、持って生まれたものが出していけるということが言われています。
 大事なのは、これ施設か里親かというよりは子供がどんな経験しているかなんですね。安定した愛着を形成できる、そういう経験ができているか、それを里親家庭の方がしやすかったために里親家庭で良い結果が出ているわけですけれども、そういうことを言われています。この安定性がその後の人生における精神病理症状を防御していくと、予防していく因子にもなるということで、この乳児期のこういった良い状況を確保してあげることがその子の人生を支えていくことにもなるという結果です。
 二〇一六年の法改正、この辺りはさっと行きますが、とても大事なのは、子供の権利について一条、二条で言われたことですね、子供が権利の主体で、意見が尊重され、子供の声を聞くということと、最善の利益、程々の利益じゃありません、最善の利益を保障するということがしっかり書かれた。加えて、国及び地方公共団体が保護者と一緒に責任を、育成の責任を負うと。先ほどの子供が親を助けてほしかったということはまあ実はここにもう既に書かれてありまして、これをしっかりやっていく責任が大人側にもあるかなと思います。
 この三条の二が家庭養育優先原則と呼ばれているものですね。一番は子供が実の親の元で過ごし続けられるようにする。二つ目が家庭養護です。家庭的ではなくて家庭なんですね。子供にとっては大きく違います。三番目が家庭的です。これは施設が小規模化されたものですね。こういう順番で子供を委託措置するということが明確に書かれています。
 これはビジョン、その後具現化する、法律具現化するために作られたビジョンですけれども、特にこの里親委託をどう増やしていくのか、それに伴って施設がどうなっていくのか。これは多機能化、機能転換ということで、なくすのではなくて、形を変えて社会で役立つ、役割を持っていくということが言われています。ここにあるとおり、ビジョンの中に施設がどう変わっていくかということが書かれてあります。済みません、ちょっとここはまた後でお読みいただいてと思います。
 この方法、これイギリスの里親、家庭養護移行を少しモデルにしたような内容になっています。イギリスでも七〇年代頃にこんな家庭養護委託というのが進みまして、そのときの方法を少し取り入れるような内容が書かれてあるところです。このルーモスという団体は、世界中で施設から家庭養護、どんどん今進んでいるんですけど、それを国との間で手伝っているような大きなNGOなんですけど、そこの協力も得る形で私自身もいろいろ取り組んでまいりました。そこで研修もされていまして、二〇一六年に福岡市、大分県、これ今のとてもリードしている自治体なんですけれども、そこの方々もその研修を受けて、その後、それを生かすような活動をしてくださっています。
 大事なのは、今、社会的養護から始まって、その予防が大事ですって話をしていますけれども、実はこの社会的養護から予防を考えるというよりは、予防の方から、子供にとっても大事な親を助けるというところから考えて、それをしっかりやっていくためにどんな社会的養護が必要なのかということを考え直すような時期に来ているかなというふうにも思います。来年度の法改正以降はそういう動きが出てくるといいなと思います。
 欧米諸国から大分遅れて、本当数十年遅れての家庭養育移行なんですけど、別にこれが悪いということではなくて、実はこれをチャンスとして一気にできるんではないかなと思います。予防の部分を主として社会的養護を組み替えていくということを他国の例も見ながら進めていくという、そういうチャンスが今来ているんじゃないかなというふうに思って私自身も取り組んでいるところです。そのチャンスに当たっては、この障害のある子たちの家庭養育移行も是非一緒に進められたらなと思います。
 それで、福岡市、先ほど進んでいると言いましたが、既に国が目標値として掲げている乳幼児里親委託率、七六%で目標を達成しております。これは最初無理だとかいろいろ言われておりましたけれども、やりようがあるということを示しています。そこで見えてきているのが、その里親委託率だけではないということですね。これは今予防の観点、家族を大事にする、家族維持や親子関係構築というところをどうしていくかということが見えてきているところで、ここをしっかり取り組むことが大事だということですね。
 済みません、時間がもう過ぎてきましたので、まとめて言った後で質疑応答でもし必要があればお答えできればとも思いますが、その例として、これ、里親ショートステイというのがあるんですね。先ほどショートステイがめちゃめちゃ少ないという話をしました。本当は欲しいんです。だけど、施設でやっていたら、これ全然足りないんですね。それを、例えば学校区に一人里親さんがいて、その里親さんがショートステイ受けられたらとてもいいと。
 これは、制度としてはもうできることに今年度からなっていますし、厚労省もそういう制度を入れてくれまして、制度というか加算を付けてくださいまして、フォスタリング機関というのがこういうことに関われるようにしてくれました。それもやっぱり福岡で始まっています。来年度は福岡市全体でこれを取り組むということで今進んでおりまして、効果としても、こういう形で、子供にも、その親にも、ショートステイ里親にもとてもいいものとして経験がなされていますし、これを通して、代替養護の里親も増やしたり、質のいいものをつくっていくことが可能になってくると思います。
 こういった動きをしっかりサポートしていくために、私自身は社会的養育研究所というのを早稲田大学に立ち上げました。お手元に資料行っておりますが、こういったものをしっかりつくって、これ、ビジョンや法律、法改正でも言われていたことなんですね、やりっ放しにしないと。制度をつくっていただいて、民間しっかりやっていきます。必要なものを開発し、それをしっかりやった後、本当に子供にとっていいことが起きているかですね。いや、パーセントがいいからとかそういうのでは全然駄目で、子供にとってそれでいいことが起きていないと本当に意味がないです。
 今回のこの改革というのは、子供にいいことが起こる、起こっているというところまでをちゃんと確認するようなそういう改革にしていただきたいと思いますし、それを私ができるところは仲間と一緒にやっていきたいと思って今こんなことをしているところです。
 済みません、時間過ぎてしまいましたが、ありがとうございました。
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芝博一#11
○会長(芝博一君) 上鹿渡参考人、大変ありがとうございました。
 それでは次に、青砥参考人から意見聴取をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
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青砥恭#12
○参考人(青砥恭君) ありがとうございます。よろしいでしょうか。
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芝博一#13
○会長(芝博一君) 青砥参考人。
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青砥恭#14
○参考人(青砥恭君) 私は、困難を抱える子供の居場所づくりというテーマでお話をさせていただきます。
 こういう機会を与えていただいてありがとうございます。
 私は、元々は学校の教員でございまして、それで、埼玉県で高校の教員を二十年ほどやって、その後は幾つかの大学で教育学を教えると、そういう活動をしてまいりました。
 では、始めたいと思います。(資料映写)
 それから、子供の貧困対策で生活困窮者自立支援法という法律がございますけれども、その法律に基づく学習支援をやっている全国の団体の代表もしております。私どもの団体は地域で活動しているということですので、その活動の中身を中心にお話をしたいと思います。
 私どものさいたまユースサポートネットという、これは二〇一一年につくりましたけれども、私が地元の大学で教えていたときに学生たちと一緒につくった、元々はボランティア団体です。
 それで、若い人たちと話合いをしながら、子供の貧困対策をやる、格差問題に焦点を当てていくというのはいいんですけれども、それを、違うのはやっぱり、地元との協働、地域との協働をどうやってつくっていくか。これは要するに、持続性、それから包括性と、後で申し上げますけれども、そういう活動にしないともうこれからは子供貧困対策ってなかなか難しいんではないかという、そういう視点から考えたものです。
 それで、五つの活動領域がございまして、一つは居場所対策です、それから学習支援、それから就労支援、地域づくりと、いろいろ多岐にわたりますけれども、今の子供の困窮、貧困という問題を考えると、そういう活動をやっていかざるを得ないだろうと、だんだん活動の領域が広がってきたということであります。
 今、さいたま市を中心にして三十か所の拠点をつくって活動しております。内容は、居場所から始まり、学び直し、それから就労、いろんな活動に及んでいます。
 それで、この活動の中身をちょっと紹介しますと、私どもの、二〇一一年から始めて、大体このさいたま市内と県内で一万人近い子供たちと関わってきたというふうに思っておりますけれども、さいたま市は人口が百三十万人の町ですので、その県内と市内と、これを十何年間か関わってきたということで、そのうちの四人の若者の、こういう若者たち、子供たちがいるという、ちょっと具体的な事例から入っていきたいと思います。
 まず、父親から虐待を受けてきたA君という子供ですけれども、現在は十六歳ですけれども、中学一年生までは障害児が通っている支援学級、中二からは普通学級に、中三からは、中三で不登校になりまして、中三の夏からは児童相談所の一時保護所に入所したり、それから今は定時制高校に行って独り暮らしをしております。母親は複数回の離婚、結婚、離婚の経験がある。最初の父親の子でもあると。義理の父親から虐待を受けてきて、自分は発達障害や精神的な疾患があると思っているんですけど、お母さんが、お母さんも精神疾患を持っているんですけれども、そのお母さんが理解者で、そのお母さんがいるから自分は生きてこれたと、こういうふうに語っている子供です。
 それから、B君は、無断外泊や深夜までの徘回が非常に続いています。父親は稼いだお金は全て酒とギャンブルに使って、生活費を入れないと、そういう。母親が複数の仕事をして子供を、家族を支えるということです。時々父親が暴れる。したがって、B君は余り家にいたくないという、家に帰らないと、こういう子供です。
 それから、Cさんは、両親がうつ病で生活保護を受給しています。飲食店のアルバイトをしていますけれども、働いていますので、定時制高校にいるんですけれども、なかなか学校の給食の時間に間に合わなくてちゃんと食べれないとか、睡眠時間が四、五時間とか、学校との両立と働くということがうまくできないということで悩んでいる子供です。中学の頃は、生活保護世帯を対象とした生活困窮者自立支援法に基づく学習支援教室、私どもの学習支援教室に通っていた子です。ですけれども、定時制高校に入りますとそれに通えなくなると。夜の教室ですので、来れなくなる。それで、支えてくれる大人や若者がいないということで悩んでいると、こういう子です。
 それから、D君は、十代初めに日本に来た外国人の子供です。中学生のときは先生がよく面倒を見てくれて楽しかったけれども、高校では毎朝独学で日本語を勉強しているんだけど、非常に日本の授業は難しいと。要するに、特に漢字ができないと。要するに、学習言語というふうに言いますけれども、日本の授業の抽象的な概念は非常に外国人の子供にとってはハードルが高い。そういうことで、高三になったんですけど、日本語ができない、何も分からないと。アルバイトも生活のために行っているんだけれども、同じ国の方々がたくさんいる職場で働いているんだけれども、これは将来の仕事にはまずつながらないと、ですから、安く働かされている気がすると、こういう若者であります。
 それで、そういう若者たちが、私どもの団体は年間非常に多くの若者たちがやってきます。それで、その若者たちをちょっと特徴を整理すると、まず外国人の子供たちが今非常に増えました。コロナの前と、今真っ最中ですので少し数は増え方は鈍化していますけれども、しかしながら、外国人の子供は多くは母語ができないと、母語が育たないと。つまり、日本語も元々持っていた母語もなかなかうまく使えないと。ですから、悩んだり深い思考をするということが言葉でやることが非常に難しいと。人間にとって非常にこれはつらいことです。
 それから、親子間で会話が成立しない。親は母語ですし、元々生まれ育った母語がありますし、子供は日本語。そうなると、家族で会話が成立しないと、そういう。それで、行政との話も子供が通訳をするということになります。そういう家族のアイデンティティーが成立しないという、これは非常に家族にとっては危機的な状況。
 それから、一人親の生徒からは、母親の苦労を見て育って、非常にストレスを抱えたまま生きている。
 それから、ヤングケアラーというの話題になっておりますけれども、これは非常に、以前からもう非常にたくさんおります。下のきょうだいの面倒を見るために学校に通えず、アルバイトもできず、金もないと。中には、その子供たちの中には、時折出会い系サイトを使ってそのお金を男性からもらっている利用者の若者も残念ですけどおります。
 不登校経験のある生徒は、学校行事の体験がないので社会性が育たないんですね。ですから、今我々のところに来ている子供たちは、もう一回思春期のやり直しをすると、だから、いろんな体験を、学校で本来多くの子供が経験してきたであろう体験をもう一度やり直すと、そういう子供たちがたくさんおります。
 それから、児童養護施設を経験した子は、幼児期に親と別れておりますので愛着障害を持っている、それから中には自殺願望が非常に強い子供たちもいる、そういうことであります。
 家族を失った生徒は、親が自殺して祖母と暮らしている子もいます。うつ症状が非常に強いと。それから、中には、今、振り込め詐欺に関わった若者たちとか、薬物事件に関わった女性たちとか、彼氏に薬物を売りに行かされたとか、その犯罪に関わらされた。それで刑事事件になって、僕たちが弁護士を紹介したり、一緒に警察署に行ったり、裁判所に行ってというケースも少なくないです。そういう活動をしております。
 この十代の後半から二十代の初めにかけての若者たちというのはまさしく制度のはざまというふうになっていて、その若者たちを支える制度というのが学校制度から外れてしまうとなかなか日本にはないということで、僕らはそこで居場所というものをつくろうということを決めて、二〇一一年から始めたわけです。
 ですから、不登校とか高校中退とか無職青年、それから離反少年、それから引きこもり、障害、貧困、そういうのが大体貧困で大きくくくれてしまいますけれども、大体いうと社会とのつながりが弱い、それから親のサポートが少ない、帰属できるコミュニティーがない、朝起きても行き場がない、安心できる、相談する、できる大人がいないと、こういうことになります。
 それで、ちょっと写真をお見せしますと、若者自立支援ルームという写真がここに出てきますけれども、これはさいたま市の事業です。居場所支援では、さいたま市は全国でも非常に先進市だろうと思います。
 それから、私は横浜市の貧困対策委員をしておりますけれども、横浜市でも人口はこれは三百六十万で、さいたま市の三倍近くありますけれども、ユースプラザというのが、東西南北にユースプラザがつくられております。
 それから、さいたま市は二か所、若者自立支援ルームを、これを独自の費用で、国の費用が全くゼロという中でつくっています。年間、若者自立支援ルームでは一万人近い若者が利用するという、これは二つとも私どもの団体が運営しておりますけれども、毎日数十名の若者がやってくる。みんなそれぞれ人間、人を求めて来るわけですね、人を求めて来るわけです。そういう、それは十代の後半から、不登校対策ではなくて、十代の後半から二十代、三十代、三十九歳までですので、そういう若者たちがもう連日やってくると。
 そこで、地域の自治会と協働してお祭りに参加させてもらう。これはさいたま市の氷川神社という大きな神社がございますけれども、そこのお祭りに地域の自治会の方々と協働で参加をさせていただく。運動会に参加をする、スポーツ大会に参加をする、そういうことをやっている。写真を顔はちょっと潰してありますけれども、この中には少年院から出てきたとか、そういう子もいますし、犯罪歴ある子もいますし、いろんな若者たちが中に交じって活動している。
 右側は、東京の劇団と協働して演劇活動をやっております。これもかなり水準の高い演劇活動ができていて、こういう活動を、一つ一つ体験を、もう一度生き直す、そういうことをやると。
 これは、もう一つの居場所が、我々が独自でボランティアで今やっている居場所があるんですけど、小学生のサッカー教室。これは、僕が大学で教えた若者たちがたまたまサッカー部だったので、そのサッカー部の若者たちと一緒にこの場所をつくりました。年間、毎週土曜日にここで、この小学校で、出かけて無料でやっています。お金が払える状態じゃない子供たちがやってきます。そこでお昼御飯も提供します。ですから、親たちの支援もやります。
 ですから、そういう活動を、定時制高校生の居場所、それからいろんな困難を抱えた若者たちのたまり場、それから農業で畑もやって野菜作りもすると。こういう、とにかくできることを一つ一つ積み重ねてつくってきたという十数年でありました。
 この子供や若者たちがなぜ居場所を求めるのかということなんですね。
 人間にとって、やっぱり人として承認を受ける、あなたもそこに生きていたのだということを承認を受ける場、これは私は人権という概念そのものだというふうに考えております。ですから、人間というのはまさに多様で、肌の色も違えば、言語も違えば、考えていることも違えば、趣味も違う。だから、その違いというのが、違いということを認めるということが人権そのものの考え方です。ですので、僕たちの居場所というのは、ただ避難とか安心、安全ということだけではなくて、多様性を認識したり、自己認識や多様な価値を受容する、それから協同の体験の場であるというようなことを、それを関係性を育てる場。
 要するに、以下は若者たちの言葉で表現しますと、一から七まで並んでおりますけれども、安全で安心である、これは当然、自分の居場所であると。同じ体験ができる場、生きる場を共有できる。生活リズムをここに来れば確立できる、毎日通って自分を立て直すことができる。人との関係性を育てる、けんかや衝突もあるけれども、それに慣れる、耐える、客観的に見る力を育てる。多様な年代の人と話せる、コミュニケーションの面白さを話せる喜び。人は多様な存在である、それを見付ける面白さがある、人間観察を通して社会認識を育てる、働いている人や働いていない人、いろんな人がいる、人は様々である、そう思うと孤立感がないと。
 こういう居場所をまず設定をして、全国にたくさんつくって、それから若者たちがいろんなコミュニティーをつくっていけばいい、これが僕の考え方であります。コミュニティーというのは、自分を守り、他者を守る、仲間を守るという機能を持ちます。そういうコミュニティーができればいいなと。
 日本は今、貧困と少子化が非常に進行しています。危機的な状況だと思います。先ほどお話もありましたけれども、社会的養護で暮らしている子供は四万五千人ですし、生活保護世帯の子供は二十五万人おります。ただ、いわゆる相対的貧困、この相対的貧困という概念は非常に難しい概念で、学問的にも非常な研究が進められている、一概にばっとこう説明できる、なかなか難しい概念です。ただ、厚生労働省の国民生活基礎調査を使えば、日本の大体、相対的貧困、十七歳以下の子供は三百万人弱と。それだけいるにもかかわらず、二十五万人の生活保護と社会的養護は四万五千人、これで大丈夫なんだろうか。非常にそれは不安を持ちます。そこで、我々は、この居場所というものが出てくると思います。
 それで、子供にとって家族の貧富で子供の人生に格差があってはならないというのは、これは近代の原則だと思います。我々はこの数百年掛かって、フランス革命以来、こういう原則をつくり上げてきた、人権という考え方ですけれども。ですけれども、公正な社会を維持するためには、僕たちは居場所だけでいいとは思っておりません。居場所というのは人間として承認される場。だけども、やはりその前に再配分が必要です。公正な社会をつくるためには再配分が必要だと。だけども、今の我々の問題意識は、やはり地域によって活動が、先ほどさいたま市と横浜市というお話を申し上げましたけれども、事業の精粗が大き過ぎる、つまり自治体間の格差が大き過ぎるということです。比較的大きな都市ではあったとしても、地方に行けばそういう活動が非常に弱くなる。結局は、お金がないという、財政面での支援が非常に弱いということになると思います。
 持続可能な活動に、これからちょっと問題点だけ申し上げますと、持続可能な活動にしていただくために御努力をお願いできないかということです。
 地域が支援の担い手になるように、我々は今、ローカルコモンズという概念も駆使しながら、地域で共生できる場を、場づくりをやろうというふうに考えております。自治体との連携協働が何より必要ですけれども、全国的に見たら非常にやっぱりそこは弱いというふうに言わざるを得ない。NPOなり、まだ有志の人々にお任せというふうになっている。地域のやっぱりこういう活動は、先ほども前と後という話がありましたけれども、そのとおりであると僕も思います。やはり、子供の貧困は家族の貧困、親を支援しないで子供の貧困は解決できません。したがって、地域の社会資源のネットワークや学校との連携、つまりデータベース化、情報のデータベース化なり共有というものが欠かせないと思います。
 一つだけ、これに今日書いてありませんけど付け加えますと、こういう貧困対策の事業が今、市場化しています。非常に、まあ私は民間企業さんが悪いとは思いませんけれども、民間企業が入ってきて市場化して、地域に、持続的なこういう活動をしている団体、小さな団体がたくさんあります。例えば、北海道大学の大学院の学生が数名で始めた事業とか、福岡県立大学の学生が何人かで集まった、学生とか、日本福祉大学の学生がやっている活動とかいろいろあるんですけど、そういう活動が、企業さんに競争すればあっという間に負けちゃう。そういうことがあるものですから、是非その辺も留意していただければと思います。
 ちょっと時間がもうなくなってきましたので。
 あと、僕らが、僕たちの団体がやっている事業は、こういう、さいたま市の見沼区で堀崎プロジェクトといって、市と区役所、地元の企業、学校、民間団体や地元の住民、これは自治会ですけど、そういう人たちで運営協議会をつくって、協働で我々の活動をやらないかということで今進めているところです。
 最後に、あと一、二分いただいて、学習支援のことだけを申し上げます。
 私は全国の学習支援団体の代表をしておりまして、この学習支援も学習・生活支援というふうに今なっております。これは、包括的な活動、つまり、親支援、家族支援も必要なんですよと、勉強だけ教える塾ではありません、それから持続的に、地域で持続的にやっていかなければいけない。そうしたら、点と線じゃなくて、面として、地域としてやっていかなくちゃいけない。いろんな行政との協働なりが必要になってくる。そういうことがあって、我々はこの活動についても是非予算の拡大を、拡充をお願いをしたいということを最後にお願いをして、僕の報告を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
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芝博一#15
○会長(芝博一君) 青砥参考人、大変ありがとうございました。
 それでは次に、松岡参考人にお願いをいたします。松岡参考人。
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松岡亮二#16
○参考人(松岡亮二君) ありがとうございます。松岡です。
 今日は、教育格差の実態と対策と題しましてお話しいたします。よろしくお願いします。(資料映写)
 私の専門は、教育社会学と教育政策学です。教育格差の実態と、どのようにして教育格差が起こるのかというメカニズムの解明を主に研究してきました。
 こちらの書影は、ちくま新書として二〇一九年に刊行した「教育格差」という著書です。このような研究知見を広く社会に周知し、還元するという活動として、内閣官房の教育政策実行会議初等中等教育ワーキング・グループでの委員も務めました。
 まず、定義の確認をします。
 教育格差とは、子供本人が選ぶことのできない初期条件である生まれによって学歴など教育の成果に差がある傾向を意味します。生まれを示す指標として国内外で広く使われているのは、保護者の学歴、収入、職業などを統合した概念である社会経済的地位です。英語ではソシオエコノミックステータス、略してSESとして知られています。この出身家庭のSESや出身地域や性別など、子供本人が変えることのできない初期条件によって教育の結果が違うことを教育格差と呼びます。
 この出身家庭のSES、出身地域、それに性別による結果の差、すなわち教育格差が存在することが様々なデータで繰り返し確認されてきました。日本は生まれによって人生の可能性が制限された社会と言えます。
 こちらのスライドには、拙著「教育格差」の各章の要点を一行ずつまとめたものです。各章の知見のまとめについては資料の三十一ページ以降にあります。こちらについてもデータは全て「教育格差」を御参照願います。
 教育格差の一部である子供の貧困が話題になった二〇〇〇年代後半以降だけではなくて、出身家庭のSESによって最終学歴に差がある傾向は、戦後に育った全ての世代において確認されてきました。教育格差は未就学段階で存在し、九八%の児童が通う公立小学校においても、個人間だけではなく、学校間において格差が存在します。これは中学校でも同様です。SESによる学力格差がある状態で高校受験という選抜を行うので、結果的に進学校には高SES家庭出身者が大半を占め、いわゆる教育困難校は恵まれない家庭出身者が多くなります。制度的にSESによって違う学校に隔離、分離していることになります。
 また、近年の国際比較が可能なデータによれば、出身家庭のSESと学力や学歴の関連度合いはほかの先進諸国と比べて平均的にすぎません。日本は国際的に凡庸な教育格差社会です。
 先ほども言及しましたように、出身家庭のSESに加えて、出身地域と性別も重要な生まれとなっています。端的に言えば、大学に進学するかどうかという学歴達成という観点では、親が高学歴、高収入、専門職といった高SES家庭出身、大都市部出身、男性であると有利で、低SES家庭出身、地方出身、女性だと不利な実態が日本にあります。
 では、生まれによって子供たちの可能性を制限しないために私たちには何ができるのでしょうか。私が提案する日本に必要な教育改革三つの柱は、データによる実態把握、効果のある教育政策と教育実践の模索、そして全教育関係者が教育格差を体系的に学ぶです。これら三つの柱と七つの具体策を遂行するために、政策と実践の改善サイクルを回すために必要な施策と二つの具体案があります。一つずつ説明いたします。
 病気の診断が適切でなければ治療法を選ぶことすらできないはずですが、日本の政治と教育行政は積極的に実態把握をしてきていません。教育は誰もが何らかの経験を持っているので持論を展開しやすいわけですが、日本全体に影響する政策を決めるためには、視界に入る一部のエピソードではなく、全国の実態を把握する必要があります。
 日本社会は、個人で把握できるほど小さくありません。小学校で約二万、中学校で一万と少し、高校では五千校あります。同様の数の校長がいて、小学校から高校の年齢層に対する教師は、全て足し合わせれば約百万人います。都道府県と市町村といった自治体単位であっても、個人の視界には入り切りません。教育委員会の数だけでも千七百以上あります。この点を軽視した個人の視界に入るエピソードに基づく改革論が散見されます。不十分なデータに加え、過去の議論や研究も参照しないという随分と雑な実態理解のまま、すぐに解決法の話に飛び付くわけです。はやる気持ちは分かりますが、全く診断をせずに効果のある治療法を特定できるわけがありません。どれだけ最先端の医療であっても全てを癒やすことはできないですし、不要な投薬や手術によって、狙った効果が期待できないどころか、副作用の危険もあります。
 データで社会全体の現状把握を行うと、実態として存在する教育格差が視界に入ることになります。格差がない前提の政策は、栄養不足の子供に対して十分な睡眠を推奨するようなものなので、的外れで、狙いどおりの成果が出なくても不思議ではありません。それにもかかわらず、日本の教育行政は義務教育の機会均等を建前とするばかりで、どこにどれだけの格差が存在するものなのか積極的な把握をしてきませんでした。
 教育格差の一部である貧困については二〇〇〇年代の後半に取り上げられるようになりましたが、十分とは言えませんし、貧困対策だけでは教育格差全体への対処をしていることにはなりません。データによる現状把握は、教育再生実行会議の第十二次提言、ポストコロナ期における新たな学びの在り方についてにも標記の文言が入りましたので、行動に移していただきたいと願います。
 具体案の一です。
 文部科学省は様々な調査を行っていますが、政策立案に役立つ分析が可能なデータは多くありません。例えば、毎年教職員の精神疾患による病気休職者数が発表されますが、これは都道府県や政令指定都市といった広域の教育委員会が集計した値をまとめているだけの調査に基づいています。よって、分かることは、令和二年度に日本全体で五千百八十人の休職者が出たこと、それに性別、年齢層、都道府県など大きな区分別の数値にとどまります。
 この調査結果を踏まえて、直近三年度分の報告概要には、勤務時間管理の徹底の推進など、同じような規範的な対策が並んでいますが、どの対策にどの程度の効果があったのか検証されていないようですし、過去十年、病気休職者数は余り変わっていません。
 実際に病気休職者数を減らす施策を模索するためには、詳細な実態把握を可能とする調査設計が求められます。
 休職者数については人事権を持つ教育委員会が回答するにしても、各学校の休職者情報を学校コードでひも付け、ほか調査の学校単位のデータとともに分析すれば、どのような特徴を持つ学校だと教師が休職になりやすいのかといった分析が可能となります。そのためには、各教育委員会が集計値を報告する設計のほか調査も、分析がすぐに可能なように整理された学校単位のデータにするべきです。コロナ禍によってICTが普及したので、現場の負担を最小化した形で定期的な追加の学校調査を行うことも可能となっています。早急に、定期的に行っている全ての調査を学校単位に整理すべきです。
 このように、意味のある設計の調査を継続的に行うためには安定した予算の確保が必要ですが、文部科学省の調査予算は足りません。
 教育調査の予算不足について一つ例を挙げますと、令和四年度要求、要望として教育データサイエンス推進事業がありますが、国保有データ等を利活用した分析、研究と関係機関の研究ネットワーク構築に関して、要望額の五分の一に減額されています。調査予算の増額が明らかに必要です。
 具体案三は、教育データの標準化、主要調査項目の共通化です。
 自治体が持つ電子データをほかの自治体とともに比較可能な形で整備するように国が促す必要があります。これは、デジタル庁の教育データ利活用ロードマップに記載されている取組の方向性という理解です。
 同時に、主要調査項目の共通化も重要です。データなら何でもつなげればいいというわけではありません。十分な研究に基づいた項目にしないと意味のあることは分かりません。研究者、行政、教育現場で対話して集約すべきです。
 教育改革三つの柱その二は、効果のある教育政策と教育実践の模索です。詳しくは、こちらの書影の本、拙編著の中公新書ラクレの「教育論の新常識」を参照していただきたいのですが、日本の教育行政は基本的にやりっ放しです。全国を俯瞰するデータによる実態把握は弱い上、教育政策と教育実践の社会科学的な効果検証はほとんど行われてきていません。今までのように、文科省が規範や効果のありそうなモデルケースを教育委員会や学校に周知するという今までのやり方で明快な結果が出ることは期待できそうもありません。
 例えば、教師は長時間残業を減らすべきという規範を文科省が示したところで、教師の仕事量が減るわけではありません。また、学校の取組の好事例らしきものを提示したところで、様々な特徴が異なる他校でそのまま実施できるか疑わしいですし、それらはそもそも喧伝されている効果がない取組かもしれません。
 繰り返しますが、小学校約二万、中学校約一万、高校約五千校あるので、このような通知行政でもうまく機能したように見える事例を見付けることは難しくないでしょうが、このような今までのやり方の焼き直しで日本全体で明確に教師の残業時間が減るという結果が出るとは思えません。
 データで効果のある教育政策と実践を模索するためには、教育再生実行会議の第十二次提言でも御覧のとおりの文言が入っていますので、行動に移していただきたいと願います。
 効果のある政策と実践の模索を強調する理由は、今までの教育行政のやり方で結果が出てきたとは言い難いからです。少しデータを紹介します。
 今まで何度も教育改革が叫ばれてきましたが、教育改革は、あっ、教育格差は戦後に育った全ての世代で確認されてきました。こちらは、拙著「教育格差」で示したデータの一つです。二〇一五年時点の全ての年齢層、すなわち戦後に生まれ育った全ての世代の男性で、父親の学歴によって本人が大卒となるかどうかに差があります。この部屋にいる全ての人が育つ過程で、社会全体としては教育格差がありました。同じことは女性についても言えます。
 学力向上といったスローガンを口にすることは簡単ですが、実際に結果を出すことは簡単ではありません。こちら、経年比較が可能な学力調査データを用いた埼玉の結果です。左側は、異なる年度の小学校六年生の国語の学力を比べています。現場では様々な努力や工夫がされていると思いますが、平成二十七年から令和二年までの学力平均は変わっていません。
 これらは、個々の子供の学力が変わっていないという意味ではありません。右のグラフの方を御覧ください。右のグラフは、一つの学年の子供、小学校四年生から中学校三年生まで、算数、数学について毎年追跡したデータです。
 小学校四年生時点で学力が上に位置する児童は平均して毎年学力が高く、中学校三年まで学力が上がっています。同様に、小学校四年生時点で学力が低い子供たちも、中学校三年生にかけて学力は上がっています。全ての学力層の子供たちが一定程度は伸びているわけです。ただ、どの層の学力の伸びも余り変わらないので、小学校四年生時点の学力の差はそのまま中学校三年生まで残っています。これらは学力層別に見た場合ですが、教育格差の観点でも同じパターンが見れます。
 こちらのグラフ、左下のグラフは、出身家庭のSESを代理的に示す家庭の蔵書数によって三つのグループに分けて、同じ埼玉県のデータで学力の伸びを示したものです。小学校六年生時点で、家庭の本の冊数によって学力格差があることが分かります。本の冊数が少ないグループも小学校六年から中一、中二、中三と学力が上がっていきますが、本の冊数がより多い二つのグループと学力の伸びが同程度ですので、SESによる学力格差は維持されたままです。生まれによる学力格差が埋まらないまま、高校受験で子供たちを別学校に隔離していることになります。
 国際学力調査の結果も御紹介します。これは、TIMSSとして知られる国際数学・理科教育動向調査の結果です。四年毎に行われてきた調査で、経年で学力を比較することができます。日本で主に使われている学力偏差値と同じ平均五十、標準偏差十に換算した数値で一九九五年と二〇一九年の結果を比べると、小学校四年の算数、理科、中学校二年生の数学、理科は多少の向上しか見られません。これらは二十四年間の成果と誇るべき結果でしょうか。
 もう一つ。こちらは経済協力開発機構、OECDのPISA調査の結果です。日本では高校一年生の六、七月に実施するので、これは高校教育の成果ではなく義務教育の成果に対する一つの評価と解釈できます。読解力は、二〇〇〇年の高校一年生と二〇一八年の高校一年生を比べると下がっています。数学的リテラシーと科学的リテラシーをそれぞれ比較可能な二〇〇三年と二〇一八年、二〇〇六年と二〇一八年で比べると数値が下がっているように見えますが、これは統計的に有意ではないので、平均学力は変わっていないと言えます。読解力は下がり、数学と科学は変わっていないわけです。
 これらは不思議な結果ではありません。不利な生まれの層に何が効くのか十分に分かっていないだけではなく、学力の平均値を大きく上げる知見もないですし、学力上位層を更に伸ばす効果のある教育手法が実証されているわけでもありません。効果検証をしない今までのやり方であれば、科学的に効果が裏付けられていない健康法に依存しているのと変わりません。どのような教育政策、教育実践であればどの層に対してどの程度の効果があるのか、検証を繰り返し、知見の蓄積をするサイクルを確立する必要があります。
 すべきことは多いですが、まず、今後効果検証を行う象徴として、低SES家庭出身、地方出身、女性といった不利な層を引き上げる方法を模索するために、大規模なランダム比較試験を行うことを提案したいと思います。学習だけではなく食事や運動など包括的な支援を行うことで、学力や進学だけではなく様々な観点で不利な層を短期だけではなく中長期的に望ましい方向に導くことになると考えられます。予算を組んで適切な介入をすれば実際に結果を出せるという経験を日本の政治と教育行政が持つ前向きな機会になるはずです。
 通知で現場に丸投げして、真っ当なデータで把握しないから結果が出たかどうかも分からないというこれまでの教育行政から、どんな現場支援ができるのか、データと研究に基づいて結果にこだわる教育行政に転換する。そのためには、データで教育格差を含む実態を把握し、効果を出せる方法を追求し、知見を積み上げ、政策と実践を微修正するサイクルを確立する。これこそが日本に必要な教育を根底から変える教育改革です。
 具体案の四に進みます。
 日本の教育政策の議論には、生まれによって学力や最終学歴に差がある教育格差のメカニズムに対する理解が欠けています。
 一例を示します。昨年の十月、ある番組で、とある政党の幹事長が、国公立大学の授業料の半額化、給付型奨学金や返還免除の拡充、独り暮らしの大学生へ家賃補助などの衆議院選挙の公約を説明しました。これらは基本的に、やる気はあるけれどもお金がない子供への経済的な障壁を念頭に置いた支援策です。それに対して、お笑い芸人EXITの兼近大樹氏は、厳しい環境の中で育った御経験を踏まえて、勉強したいと思える人たちを救済するということだ、それ以前に、勉強したいとも思えない環境にいる、親もそのような環境で育っているので抜け出すのが難しい、それが格差社会の実情ではないかとコメントされています。炯眼です。
 この番組に出演していた政治家の政党だけの話ではありません。さきの衆議院選挙における各政党の政策提案の大半は、そうしたお金だけを格差の原因として問題視しているように見えます。しかし、拙著「教育格差」でデータを多く示したように、義務教育段階であっても出身家庭のSESによって子供が大学進学を望んでいるかどうかに既に差があります。先ほどのデータの十五ページに中学生と親の大学進学期待割合をもう一度御覧ください。両親大卒の中学生と両親共に非大卒の中学生では大学進学期待を持つ割合が大きく異なります。
 もっとも、低SES家庭出身や地方出身という不利な生まれでも何らかの理由で進学を志す子供たちは割合は低いですが存在しますので、学費の無償化などの経済的障壁を下げる政策は重要です。しかし、意欲のある子供への経済的支援だけでは、不利な生まれを背景にして進学をそもそも選択肢に入れていない子供たちを助けることにはなりません。各政党の政策案だけでは、戦後ずっと続いてきた教育格差という大きな傾向が変わることは期待できそうもないのです。
 教育格差の是正を目指すのであれば、例えば、小中学生の段階で学習意欲を失う不利な生まれの子供たちに対する学習や生活支援などが政策として提案されるわけです。教育格差の実態とメカニズムを踏まえた政策案を参議院選挙の公約として期待しております。
 先ほど、私は、低SES家庭出身、地方出身、女性といった不利な層を引き上げる方法を模索するために大規模なランダム化比較試験を行うことを提案しました。これは文科省が主体となって実施することが望ましいですが、都道府県や政令指定都市といった単位で複数行うのも一案です。
 そこで、具体案五を提言いたします。
 効果のある政策と実践の模索は長い道のりになります。教育においては、万能薬や魔法のつえはありません。多くの試行錯誤をデータで知見にすることが重要です。一つの研究で全てを明らかにすることはできません。多くのデータと研究によって少しずつ様々な観点で効果のある政策、実践を明らかにしていく、らせん階段を少しずつ上がっていくようなサイクルが必要です。そのためには、日本の各地でデータが収集され、新しい研究知見が発表される状態が重要です、必要です。
 今のところ、行政データを教育分析に活用し、研究者の協力を得て知見を発表してきた取組としては、兵庫県の尼崎市、大阪府の箕面市、東京都足立区があります。更に一般化できる知見を模索するためには、より大規模な単位での行政データの教育分析活用が求められます。
 よって、国が行政データを教育分析に活用する都道府県、政令指定都市に対して予算を付けることを提案します。どこも限られた予算の中で教育行政を行っているので、国が予算を付けなければ現実的にこのような活動は難しいはずです。議員の皆様の御検討をお願い申し上げます。
 各都道府県、政令指定都市、それぞれの地域にある大学と連携し、日本各地で効果のある教育政策、教育実践を次々と明らかにしていき、新しく分かったことを国立教育政策研究所の教育データサイエンスセンターによる公教育データ・プラットフォームという新しくできるものや、民間の教育政策・実践のデータベースに登録し、知見を可視化、普及できる循環をつくることができればすばらしいと思います。
 この都道府県、政令指定都市に対する予算措置でデータ分析が盛り上がらないと、公教育データ・プラットフォームや民間データベースの中身がほとんどないことになるので、地方の教育行政や学校現場の先生方が使えるものにはなりません。海外研究の紹介などはあり得ますが、様々な条件が違うので、日本での研究が必要です。具体案二の文部科学省の調査予算の増額と併せて、この具体案五、行政データを教育分析に活用する都道府県、政令指定都市に予算を付けるの実現に皆様のお力添えをお願い申し上げます。
 教育改革三つの柱その三は、全教育関係者が教育格差を体系的に学ぶです。この観点は、教育再生実行会議の第十二次提言にも、教育格差の問題への対応等が不可欠であることにも留意するという形で入っております。
 この柱の具体案は、教職課程における教育格差の必修科目化です。
 戦後ずっと教育格差社会であり、子供の貧困が政策課題として取り上げられるようになって十年以上たつにもかかわらず、拙著「教育格差」にデータを示したように、大半の教職課程で十分に教えられていない実態があります。平均的に高SES家庭出身で、大卒となり、学校に忌避感を覚えず教職を選ぶ層は、恵まれない家庭の子供と同じ経験を持たない傾向にあります。不利な生まれの子供たちがどのような経験を重ねて学習や進学に困難さを感じるようになるのかを知ることは、教師として子供たちに伴走する際の手助けになるはずです。
 具体案七は、現職の教育関係者に教育格差研修の必修化です。
 教員免許更新も発展的解消されるということで、どのような研修を教員が受けていくべきか、現在模索されているところです。是非、教育格差について、現職の教員、校長などの管理職、国家公務員や地方公務員の教育行政官にも、キャリアのどこかの時点で一度は体系的に教育格差を学んでいただきたいと思います。必修科目、必修研修としての教育格差は、データと研究知見に基づいて教育の役割を再認識する機会にもなります。日本が教育格差社会であり、生まれによって子供たちの可能性が制限されている実態を学ぶ過程で、教職、学校管理職、教育行政職こそが子供たちが自身の可能性を追求する教育の条件を整備する役割を担っているということを理解できるはずです。
 では、実際に教職課程とか教員研修で何を扱うべきなのか。この問いに具体的に回答するため、東京大学の中村高康教授と私が編者となり、構想五年を掛けて、「現場で使える教育社会学 教職のための「教育格差」入門」をミネルヴァ書房より刊行しました。私を含めた十六人の教育社会学者がそれぞれの専門を生かして可能な限り分かりやすくまとめましたので、教職課程の学生、現職の教員、学校管理者、教育行政官、そして皆様にも是非御一読願います。
 教育改革三つの柱として、データによる実態把握、効果のある教育政策と教育実践の模索、全教育関係者が教育格差を体系的に学ぶ、それに七つの具体案を述べてまいりましたが、これらを持続的に推進するためには、政策と実践の改善サイクルを回すために必要な施策があります。ここでは二つの具体案を提示いたします。
 まず、具体案八、調査研究機能と研究者養成の強化です。
 まず、主要大学に教育調査研究センターを新設する必要があります。文科省が収集する全マクロ・マイクロデータへのアクセス権を持ち、文科省への学術的助言、調査協力、地方自治体が行う調査への学術的助言ができる研究センターです。
 また、同じく主要大学にて教育政策・実践データ科学講座を新設することも重要です。
 長期的に調査を行うためには、教育社会学や教育経済学などの専門領域でデータ分析する研究者の数が足りません。提言五でも触れましたように、全都道府県と政令指定都市で常に新しい教育分析が行われて、頻繁に研究知見が共有される社会をつくるためには、各都道府県、政令指定都市にある大学に教育データ分析を専門とする研究者が勤めていることが必要です。
 早いところ、教育政策・実践データ科学講座と教育調査研究センターを主要大学に新設することで研究者を育て、その上で、教育データを分析する研究者の雇用を大学に義務付けたり、予算を付けたりといった政策によって日本全国に分析できる研究者がいる状態をつくるべきです。
 同時に、研究知見を現場で使うためには、データを分析できる行政技官や、行政官、行政技官や学校管理職の人や教員の育成も進める必要があります。
 あと少しです。
 最後に、具体案九、教育行政官の増員です。
 例えば、若手官僚の離職と国家公務員総合職の採用倍率の低下の抑制は、スローガンではなく実効性のある政策を打たなければなりません。今のように人材と予算が不足したままであれば、調査設計を改善して学校単位のデータを整備し、研究者と連携して継続的に政策に生かす分析を出すことはできません。
 七ページ目の具体案一の文科省が行う調査設計の改善のところで、教職員の精神疾患による病気休職者数への対応として実際に効果があるか分からない対策を文科省が羅列していることを御紹介しましたが、現在の人材と予算ではそれ以上のことを求めるのは非現実的かと思います。
 地方自治体でも教育データの継続的な収集などには人が必要です。国家公務員にしろ地方公務員にしろ、公務員を増やすというのは政治的に訴えるのは難しいかもしれませんが、人と金が足りないままでは、やりっ放し教育行政を結果にこだわる教育行政に転換することはできそうもありません。
 結果にこだわる教育行政にするためにはこういう予算が必要であると国民を説得できるのは、研究者や官僚ではなく政治家の皆様です。データに基づいた日本全体の実態把握と効果検証を繰り返すことで、実際に少しずつ改善したという成功体験を社会として積み重ね、教育政策議論の質を少しずつ高めていく。教職課程で教育格差を必修化し、次世代の教師と、あと現職の教育関係者が検証を通して社会の現実と教育の役割を認識する。これらの改革によって、子供たちの可能性が生まれで制限されない社会に向かう転換点が令和四年であったと歴史に記録されるようになるはずです。皆様の力で実現をお願いします。
 以上となります。ありがとうございます。
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芝博一#17
○会長(芝博一君) 松岡参考人、ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、一巡後は、会派にかかわらず御発言をいただけるよう整理してまいりたいと存じます。
 発言は着席のままで結構でございます。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いをいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間が一巡目はお一人十五分以内となるように御協力をお願いをいたします。
 それでは、これより一巡目の質疑を行います。
 質疑のある方は挙手をお願いいたします。
 和田政宗委員。
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和田政宗#18
○和田政宗君 自由民主党・国民の声の和田政宗でございます。
 今日、参考人のお三方、本当にありがとうございました。
 事前に資料なども目にしておりましたけれども、今日お話を聞いて、余りにやらなくてはならないことが多過ぎる、改善をしていかなくてはならないことが多過ぎる、根本的にやっていかなくてはならないことが多いということを改めて身にしみて感じました。本当にありがとうございました。
 もうこの子供の居場所でありますとか、子育て支援でありますとか、またこの格差、こういったものをしっかりと我々は改善をし、直していきたい、この思いであります。そういったところから、我々政府・与党として今政府の制度設計に様々提案をしておりますけれども、こども家庭庁の創設ということになりました。
 これは、私は、もう虐待であるとか子供の貧困というものをなくしていかなくてはならないという思いで、このこども家庭庁、こども庁創設に向けた動き、呼びかけ人の中心になった山田太郎委員もいますけれども、私も呼びかけ人の一人でありますけれども、根本的にやはり子供の問題に我々は取り組んでいかなくてはならない、また子育ての問題に取り組んでいかなくてはならない、そういった思いから意見交換をしたいところなんですけれども、今日、参考人として来ていただいているところですので、それぞれのお方に御質問をさせていただければというふうに思います。
 まず、ちょっと各論の部分になってしまって申し訳ないんですが、まず上鹿渡参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
 子育ての部分で、ショートステイ里親ですね、里親ショートステイ、この取組、私聞いて、これ非常にしっかりと取り組んでいかなくてはならないというふうに思っているんですけれども、これ、実際に里親になってくださる方を増やしていかなくてはならない、また、理解をしていただいて増えていかなくてはならないというふうに思っているんですけれども、その辺り、どういうふうに増やしていくのか、また、サポートについて図でも示されておりますけれども、そういった方のサポートをどういうふうにやっていけばいいのか、この点について御教授を願えればと思います。
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上鹿渡和宏#19
○参考人(上鹿渡和宏君) ありがとうございます。先ほど説明し切れなかった部分です。
 ショートステイ里親、里親というのは基本的に県の方、都道府県で登録している里親さんになるんですが、それを市町村の方で活用するというような形になるんですね。これまではそういった使い方がしっかりできていなかった。施設を通して里親さんに委託というのはやっているところがあったり、市の単独の事業として、施設がないので里親さんをそういった形で使うということはあった。ですから、これを正式にやるために制度をちょっと変えて、直接市町村が里親さんを使えるという形になりました。
 ただ、今おっしゃってくださったように、そのショートステイ里親さんであってもやっぱり支援が必要なんですよね。実際、ショートステイと言っていますけど、結構、一時保護という重ための状況の子供さんがショートステイかどっちにしようかというので使われていることもありますので、支援が必要です。
 ここが今、全国で、その都道府県ごとにフォスタリング機関という形で里親を支援する機関を児童相談所で整備する場合もあれば、民間に全部委託するという形でも結構出てきているんですが、始まっています。その際に、このフォスタリング機関が間に入ってこのショートステイ里親という形を広げていく、若しくは、先ほど示した例は、福岡市の場合はNPO、SOS子どもの村JAPANというところが、児童家庭支援センター、児家センと呼ばれますが、を基にして、そこで里親さんを登録していて、もうショートステイを専門でやる里親さんをどんどんつくっていっているということをしています。
 そのリクルート、募集に関しても、これ、一般的に里親さんというと、まあまあ長めのイメージを持たれたり、もう一旦委託されたらずっと見ていくというイメージだと思うんですが、ショートステイはもっと短いんですよね。原則七日になっています。福岡市の場合は、限界を設けずに何日というのもあります。でも、日の単位で使うものですので、それだったらできるかもしれないという里親さんを実は集めていく上でも、このショートステイ里親をまずはやってみて、それで機関も一緒に入ってそのチームとして子供を養育するということを携わってみて、更にできそうであればもっと長い里親を委託されるということもあるでしょうし、そういう意味では、里親さん側にも、それを支える機関としても、どちらにとっても良い形で進めていけるんじゃないかなというふうに思います。
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和田政宗#20
○和田政宗君 ありがとうございます。
 次に、青砥参考人にお聞きをしたいというふうに思います。
 さいたまユースのこの堀崎モデルでありますけれども、こういった取組ができれば、本当に救われる子供たち、また親も含めているんだろうと、多く出てくるだろうというふうに思っておりますが、この枠組みをつくるというのがこれかなり大変だというふうにこの図からは思うわけでありますけれども、その辺り、ここに挙げていらっしゃいます自治会や民生委員、また地方議員、地元住民、こういった方々をどういうふうに巻き込んでいっているのか、詳しくもう少し御説明いただけると有り難く思います。
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芝博一#21
○会長(芝博一君) 青砥委員。
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青砥恭#22
○参考人(青砥恭君) はい。
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芝博一#23
○会長(芝博一君) 失礼しました。青砥参考人、お願いします。
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青砥恭#24
○参考人(青砥恭君) はっきり申し上げて、大変難しい仕事だと思っています。
 ただ、僕たちが始めたときは、やはりもう既にサッカー教室やったり、それから学習支援をやったり、そういうことを始めておりましたし、それから日本財団と共同で第三の居場所という子供の支援活動も始めておりました。そこで、ただ、今度のこの堀崎モデルということは、やっぱり地域の人々自らが地域課題に向き合うということがやっぱりやらなければ、やっぱり行政思考でやるとかいうのがやっぱり限界があるという。もうこれだけ多くの若者たちが、さいたま市内でも困窮層の子供って一万人、一万三千人とか言われている数があるんですね。引きこもりだとか将来の貧困予備軍と言われている人たちはもっと非常に数は多い。その人たちをどうやってキャッチするのか、それから、その人たちとどういうふうに、キャッチをしてその人たちの居場所をつくっていくのかとなりますと、これはもう必然的に地域のいろんな社会資源と協働するしかないと。行政が把握している数じゃ到底足りませんし、個人情報の壁があったり、それからもう一つは、やはり行政の縦割りの壁があります。
 ですから、この二つの壁を乗り越えていくためには、やはり地域社会のもう全ての社会資源と言ってもいいと思うんですけど、小中学校、保育所、幼稚園から始まって、そういう人たちに依拠するしかない。で、その人々が、やはり地域にはこれだけの課題があって、これだけやっぱり社会から排除される、取り残される方々がふだんではなかなか見えないわけですけど、それをどうやって可視化していくかということが、やはり今、非常に難しい仕事ですけれどもやらざるを得ないということだと思うんですね。
 僕たちがやっているのは、最初に堀崎モデルの、堀崎プロジェクトの運営協議会というのを開こうと。それで、社会福祉協議会、それから民生委員の協議会、それから教育相談室、スクールソーシャルワーカー、各小中高校、そういうところを順番に毎日、地元の地方議員の方々にも協力をいただいて一人一人訪問をして、協議会はまずこういうことから始めるんですよと。私たちの団体のその施設は結構大きゅうございますので、そこでスポーツができたりカフェも用意をしてあります。これは日本財団から支援を受けました。そういうこともあって、いろんな方々が交流する、まず交流する場をつくりました。そこでいろんな方々がおいでになって、そこで課題をお互いが議論し合って、まだまだなんですね。まだ二回しか協議会が開かれていませんので、コロナで延期、延期になってしまいました。
 そういうこともあって、これから、やはり地域の課題がどういうところにあるか、どういう方々がおられるかというものをみんなに可視化し合おうじゃないか、見える化していこうじゃないかということから始めて、これからはその方が、地域の方々がどういう地域づくりをしていけばいいのかということを、次の段階では研究者を交えて、何人か研究者も入っておりますので、共同でこのプロジェクトをもう少し整理していきたいというふうに思っております。
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和田政宗#25
○和田政宗君 ありがとうございます。
 松岡参考人にお聞きをしたいというふうに思います。この資料を拝見しておりまして様々、先生の御著書を始めとしてしっかりと読みたいというふうに思っております。
 もう、幼児教育から目に見えない、目に見えにくい格差が始まるというようなところを御指摘いただいて、これはある意味、我々ももう深刻に受け止めなくてはならないというふうに思っているんですが、いわゆるこの幼児教育期というのはそれぞれ、例えば幼稚園ではなく保育園を選択をされる方もいらっしゃるという中で、皆さんが、子供たちが一律で通うようになるというのは小学校であるわけでありますけれども、その小学校が格差縮小機能が不十分であるという御指摘でありますけれども、この格差を縮小させるためのいわゆるやり方というのは、もう総体的にやらないといけないと思うんですけれども、その中で、このポイントは絶対逃さないでほしいというところ、そこがございましたら御教授願えればというふうに思います。
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松岡亮二#26
○参考人(松岡亮二君) 済みません。逃してはいけないポイントだらけで、今何を話せばいいのかが分からないんですけど。
 一番は、日本各地で結構いろんないい、すばらしい実践をされていると思うんです。で、それが、ただこういう実践があったという話で終わってしまって、それをただ紹介して、モデルケースみたいにして紹介しても、結果が出そうにないというのが今回の話の趣旨なんですね。なので、一見いいと思う内容も、ちゃんとそのプログラムが始まる前と後で、まあ途中も含めてデータを取って、本当にどんな観点で望ましい方向に行ったのかという知見を固めていかないと、何かやっぱりエピソードになってしまうと思うんですね。どこでこういうすばらしいことをやられている、こういう取組がある、ここの幼稚園はこういうのがあってすばらしいとされるで終わってしまうと、多分いつまでたっても何となく聞きかじった民間療法で健康を対処しているみたいな話になってしまうと思うので、魔法のつえはないですし、教育に万能薬はないので、そこの部分ですね。
 ただ、一般的に言えることは、早い段階で介入した方がいいというのは、まあ海外の研究が示す大きな方向性ですが、ただ、それすらも、物すごく社会は複雑なので、一見いいと思ってもなかなかいい結果が出なかったこともあるので、なかなか難しいです。これだっていうのをちょっとお伝えすることは逆に難しいです。
 少なくとも私が言えるのは、すばらしいと思えるケースも、ちょっとうまくいかなかったケースも、ちゃんとデータ化して、何でこうなってしまったのかという知識を、失敗にしろ成功にしろ、次の取組の参考になる状態に持っていかなきゃいけないんじゃないのかなと思います。
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和田政宗#27
○和田政宗君 松岡参考人に更にお聞きをしたいのですけれども、今日、資料三としてお持ちいただいたコロナの状況における各家庭の様々な顕在化している格差、ここに分析結果まとめということでお書きいただいておりますけれども、このちょっと内容について、この分析結果のところ、ポイントを教えていただけますでしょうか。
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松岡亮二#28
○参考人(松岡亮二君) ありがとうございます。
 こちらの資料は、先日の文科省の中央教育審議会で発表した、東京大学の中村高康先生、オックスフォード大学の苅谷剛彦先生と一緒に発表したものです。研究メンバー、二ページ目にあるように多くの人たちでやっているんですが。
 そうですね、一斉休校の間に何が起きていたのかということを文科省の委託調査として行いました。ああ、そうです、文科省、何も調査していないわけではないです。こういういい調査もやっています、はい。ちょっと誤解がないようにしたいなと思ったんですが、非常に協力していただいております。
 その中で、例えば在宅のときに、済みません、余りに量が多いので、例えば一つを挙げますと、シングルマザーの家庭の人たちの方が生活が苦しくなったと言っているのが、例えば三ページ目のところにありますね。学歴・世帯構成別の、あっ、これは、済みません、世帯収入で、その次のページです。新型コロナウイルスの感染拡大の生活への影響といって、小学校五年生の保護者票で、明らかに生活がとても苦しくなったと言っている層はシングルマザーの非大卒層がすごく多くて、両親とも大卒層の場合は実に三八・八%と三九・三%、まあ約八割ぐらいの人が、余り苦しくなっていない、全く苦しくなっていないというふうに御回答をされています。
 なので、コロナとか地震とかの災害もそうですけど、すごく大きな被害があると、みんなが苦労したと思いがちなんですけど、被害を受けている人は、この場合だったら親の学歴によって大分差があるという実態があるという部分ですね。全ての、そうです、みんながというのを、だから、取りあえず一回横に置いてほしいんですね。日本社会というのは物すごく多様で、いろんな状況の人がいて、同じ衝撃を受けたときに、それでも回復できる人もいたり、影響を受けていない人もいたりしますけど、中には相当苦しんでいる人がいて、それがこういうシングルマザーであるだとか非大卒層にすごく多いという傾向が見られるというのが一つです。
 あともう一点だけ御紹介いたしますと、一番最後の方ですね。九ページ目、休校期間中に親の在宅状況とオンライン学習の対応、小学校五年生のデータで、親の学歴だけじゃなくて、親が在宅していたかどうかによって、休校中オンラインで学習教材を使えるようにした家庭があったのかなかったのかという傾向に差が見られます。
 重要なのは、学歴以外の部分で、親が、一人以上親が在宅していたかどうかによって子供の学習環境が違ったというのも重要なんですけど、在宅できたかどうかも親の社会経済的状況なんですよね。いわゆるリモートワークができたり、専業主婦ができるような家庭の場合は、一斉休校で学校がないときに子供の面倒を親が見ることができたんですけど、そうじゃない家庭もあったという、ここのパターンの問題です。なので、学歴が高い方が有利だし、学歴が高い方が在宅できたのでより有利だということですね。
 あと、済みません、もう一つだけ手短にまとめますと、その次のページ……
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芝博一#29
○会長(芝博一君) 時間が過ぎていますが、少し簡潔にお願いします。
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