今村久美の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(今村久美君) ありがとうございます。
御紹介いただきましたNPOカタリバの今村と申します。(資料映写)
本日のこのテーマが困難に寄り添う支援の構築ということで、支援に向けた体制の充実というテーマなので、もしかしたら子供や不登校の問題というのはここのテーマではないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、この不登校の問題というのが、子供たちの教育の問題を超えて、子供たちのその教育に不適応を起こして、かなりたくさんの子が今学校に行けなくなっているという状態からスタートする経済的困窮とか家庭の様々な困難さに更につながっていっているということを私からお話をさせていただきながら、これから考えていくべきことについてお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。
私自身は、二十年前にNPO法人をつくりまして、今年ちょうど二十年目になる子供支援のNPO団体を運営してきました。
特に、日本の十代の世代、十代といいますと小学校三年生ぐらいから始まるわけなんですけれども、思春期になってきて、なかなか小さな子供たちと違って、大人がそのまま子供たちに思いを持って関わっても届かない、難しくなってしまっている世代、ここが今どう変化しているのかということについても触れさせていただきます。
まず、もう御存じかと思いますけれども、現在、小中学校の長期欠席者、これは病気だとか経済的な理由とか、また今でいうと新型コロナウイルスの回避も含めてなんですけれども、そして一番大きな不登校という概念に当てはまる子も含めて、二十九万人もの義務教育段階のお子さんが学校に行けない状態になっています。これはとても大きなことで、本当にこの五年ぐらい一年間に二万人ずつ増えているという状態が確認されています。
また同時に、若年者、これはもうよくいろんなところで話題になっていますけれども、日本はこの十代の自死がとても、まあ実数としては少ないと思われるかもしれませんが、国際的に見ても、十代の死因で自死が多いのは先進国では日本だけという状況が起きております。
そして、四ページなんですけれども、自死する日本の十代の一つの要因かもしれないと今言われているのが、学校に行きたくないということ。それは、学校に行きたくない理由があるわけなんですけれども、それも自死の一つの理由になっていると、一つといいますか、とても大きな問題になっているのではないかと。特に、長期休み、夏休みとか冬休みの後、学校に行きたくないというツイートが増え、そして自死する子供自体も増えているというところに関連性があるのではないかと言われています。社会的にも様々なキャンペーンが行われているわけなんですけれども。
こちら六ページなんですが、これは大変興味深い調査なんですが、過去十二年間、専門家組織の研究者たちが、警察が保持していた過去十二年間の三十万人の自死をした人たちのデータを分析した結果だそうです。その中で、この多くの世代は、五時から六時の時間が、時間帯が一番自死する人の一番多いといいますか、自死を実行してしまう時間ということが分かったんですけれども、この十代について言うと、朝七時から八時と十六時以降の時間が実際に自死をした時間ということが分かったそうです。もしかすると、学校に行く前に行きたくないという気持ちになったり、学校に行った後にもう絶望してしまってそういった行為に走る子供が多いんじゃないかということもこの結果から示唆されていました。
これまで、一部の子供たちだけの、標準に合わせられない子供たちの問題だよねというふうにどこか扱われてきた問題かもしれないんですけれども、今やこれは、いつどこでどんな子供がその問題を抱えてもおかしくない状況になるということも言えると思います。
不登校といいますと、不登校、当事者になってみないとなかなかその困難さは分からないものなんですが、親にとってみると、本当に多くの方々がおっしゃるのは、まさかうちの子がそんな自分も経験していなかった学校に行けないという状況になるなんてという言葉を使ってお話しになる方が多いんですけれども、子供自身にとっては、もう最終段階、学校に行かないということを親御さんに申し出たときはもうぎりぎりまで来ているゴールの段階に近くて、そこから、いや、もうちょっと頑張って学校に行きなさいというコミュニケーションが始まるわけなんですけど、それで更に子供たちが消耗していってしまうということも起きている中で、これをどのように子供たちを支えていく仕組みや法を再構築していくべきなのかというところが、問題がたくさん含んでいると思います。
八ページです。不登校の児童生徒の公的支援は非常に不十分な状態です。今、様々な不登校特例校だとか教育支援センターのようなものも、例えば適応指導教室とかそういった言葉で呼ばれるような施設もあるんですけれども、これは全て自治体、基礎自治体が努力義務の上で設置されているものですので、六割の自治体にしか設置されていません。また、地方においては、やっぱり学校に行くということが基本になっているので、行かないということを選んだ時点で物すごく遠くに支援機関があるなんということも少なくなくて、実際に使われていない、設置しているけど使われていないということも起きています。また、フリースクールとか行けばいいんじゃないかという考えもあるかもしれないんですけれども、それは完全に家庭負担になってしまうので、経済的にお子さんの教育費を、義務教育段階、義務教育は無料と憲法で定められていますけれども、行かないなら自費だという考え方で考えると、そこがお金出せない家庭はどうするのかということもありますし、また、地域によってはといいますか、地方においては、フリースクールなんてそんなものはうちにはありませんという地域もたくさんあります。
また、うちの組織に寄せられる多くな悲痛な声で一番多いのは一人親世帯の不登校の方々です。一馬力で子供を子育てしているという御家庭にとって、お子さんがいきなり青白い顔で学校に行かないということを言い出したときに、もう風邪を引いたときにお母さんが一緒に休んでちょっと看病するということがあるように、心に風邪を大きく引いてしまっているお子さんを家に一人残して仕事に行くことはできなくて、それをきっかけに経済的に困窮していくということがすごく相談としてたくさん寄せられています。また、中山間地域では、公的機関に連れていくために車で三時間、やっと取ったアポイントメント、週一しか開いていないところに連れていくということの往復のために就労の時間が限られてしまうという声なんかも聞きます。
こちらは、ここでお話しする機会をいただいたので慌てて取った、全国調査を行ってみたんですけれども、今四百件ほどの回答をいただいていますが、まず三百件いただいたところのデータをお持ちしました。
御家庭、不登校が家庭の貧困につながるということがどれぐらい起きているのかということなんですけれども、左側のデータでは、正社員の比率は三五%から二五%に減少しています。働いていないとお答えになった比率は一九%から二五%に増加しています。また、百九十九万円未満の年収の保護者の割合が四八%から六〇%に増加しています。
ちょっとここにはグラフにしなかったんですけれども、主たるその不登校のお子さんをケアされているのは、母親が九五%です。で、その不登校といいますか、お子さんの育てづらさが夫婦げんかになったり、何かしゅうとめさんからおまえの育て方が悪いとか言われてお母さんが居場所がなくなって、それを理由に離婚になってしまってお母さんが一人親になってしまったなんというケースも実は少なくなくて、そうすると、まあお父さんは働いているんだからお母さん頑張って子供ケアすればいいという世界ではなくて、お母さんもここでキャリア形成の機会を奪ってしまう、そうすると非正規雇用のままこれから人生を歩んでいくことになるということも実際に起きている声として見えてきています。
また、別のデータなんですけれども、不登校になる理由のところ、不登校になる、なった後の問題だけではなくて、一人親世帯ほど不登校になるリスクも高いということが見えてきていて、一人親世帯では二人親世帯と比べて不登校に悩んでいる世帯が三倍、約三倍となっているということもデータで示されていました。
不安を抱える保護者の声は本当に様々ありました。これは驚いたんですけれども、一人御家庭で不登校になると二人目も三人目も不登校になってしまうということが、もしかしたら、近くで、学校に行きなさいというメッセージと学校に行かなくていいよ、ちょっと休んでいいよというメッセージを同時に一人親の家庭がメッセージを投げることはすごく難しくて、結果的にもう全員行けなくなってしまっている、もう本当に御飯も食べさせなきゃいけないしで働けないという声もたくさん聞いていたりします。
その中で、今子供たちのためにやるべきことを三つお話しさせていただきます。
まず一つ目なんですけれども、国によるオンライン支援のサービスをきちんと国が整備する形で設置する、これは仮称ですけれども、私の提案としては、多様な学び支援センターというものを国策として設置するということを御検討されてはどうかと思っています。
今、例えば、外国ルーツのお子さんがすごく増えていたり、また様々な、今私も参加させていただいている文科省の会議では、ギフテッドと言われる特異な才能を持ったお子さんをどうするかという、そこに困難さが実はあるんだというようなお話もされていたり、発達障害と診断されるお子さんも本当にとにかく増えている。これはいろんな諸説あるんですけれども、晩婚の人が多いということが一つの原因じゃないかということも言われているんですけれども、とにかく個別的なケアが必要なお子さんがすごく増えているという中で、もうそれは下げ止まらないと思います。
なので、学校のやっぱり標準化された教育に合わないということを、合わない子たちもいるんだということを前提に、せっかくGIGAスクールパソコンが一人一台整備されたんですから、別にクラスの中で学ばなくても、多様な学び支援センターにつなげば、この自治体にはこういう機能があるよではなくて、国としてのここにつなげばみんな学べる。
例えば、ロールモデルは教職員支援機構だと思っています、つくばの。NITSみたいな感じで、もう国としてきちっとクオリティーの高い学びを個別最適に受けられるようにするということ、そのコンテンツの部分で様々NPOとか企業が開発しているものがあるので、それを採用して公的に位置付けて行政としてきちっとサポートしていく。もしかしたら御家庭によってはお金が払えるという御家庭もあるかもしれませんけど、やっぱり原理原則、義務教育は無償で受けられるということが前提なので、どんな子供たちにも学びを諦めなくていいということを実現していくべきなんじゃないかと思っています。
十五ページです。現状、今カタリバで、うちの組織でやっている公教育と連携しているネットで学びを支える仕組みに取り組んでいます。
先ほど申し上げたとおり、教育支援センター、適応指導教室と言われている不登校のお子さんを支える仕組みは各基礎自治体ごとの設置になっているので、基礎自治体ごとにどんな人材を配置していてどんなコンテンツをそこで提供されているのかは本当に千差万別で、全く、ただ退職した先生が配置されていて何か卓球だけやるみたいなところもあれば、物すごく丁寧な心理的なサポートをやるところまで様々、掛けられている公費が違うので様々なんですけれども、オンラインでつなげば本当に様々な学びの支援ができるなということをうちの支援の中でも実感しています。
こちら、どういう場になっているのかということが、ちょっとこちらには表示できないんですけれども、お手元資料の中、十六ページ開いていただくと分かるんですけれども、今うちの方ではこういった形で、お子さんたちが、顔も出せるんだけど、何かバーチャルな空間の中でキャンパスをつくっていて、今私この辺にいるよとか、ここで今から英語の授業をやるから参加する人とかというふうに集められる仕組みなんかをつくって、例えば今広島県教委と連携したり世田谷区と連携していたりしているんですけれども、そういう行政からつながってくる子も、また御家庭のホームスクーリングの子たちも、みんなここに来て、全て無料で学びを諦めなくていいというふうになっています。
で、前のページ、十五ページに戻っていただきたいんですけれども、そういった学びをオンラインだけで完結するというのは、やっぱりこれから社会に出ていく子供たちにとって、ちょっと私は片手落ちかなと思っていて、いつでもリアルな学校に戻っていけるということの橋渡しも同時にしながらオンラインの学びの充実が必要だと思っていまして、そういった意味で、私たちは常に学校や行政と連携しながら、その子にとっての個別学習計画を作って、例えばこの今表示されている時間割でいいますと、午前中はうちの方でオンラインで学ぶけど午後からは学校に行こうねとか、そういった週二、三回はそういうふうにしようねとかという形で、本人の、お子さんの状況に合わせた支援をすることで、学校が一回嫌になってしまっても、また学校に行けるかもしれない、ここで学び続けられるかもしれない、どっちでもいい、でも学ぶのはやめないようにしようということを心掛けて支援をしています。
また、こういったオンラインの支援者なんですけれども、お手元資料十八ページになります。すごく、今私たちは全て在宅ワークの方々を募集してやっているんですが、これまでNPOを運営してきて二十年目なんですけれども、このコロナ以降、在宅ワークの方々と一緒にこういった支援活動をするということを初めて行っているんですけれども、驚異の倍率でエントリーがあります。中には、例えば少年鑑別所でずっと働いていたんだという方がたまたま夫の仕事で海外にいますという方とか、児相で働いていました、だけど自分のキャリアは、児相で働くというほどパワーはもうないけど自分の能力を生かしたいですという方が時短で働くとか、そういった様々な形で在宅ワーカーの方々をチーム、組織することで、これまでにないぐらいクオリティーの高い支援活動ができるなという実感もあって、そういった意味でも公教育がもっとオンライン支援を積極的に活用していくということを今後もっと検討していくべきなのではないかと思っています。
また、十九ページになります。また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのような、そういった心理職や社会福祉職の方々が学校に配置されています。これ、今二つ目の提案です。そういった方々が、全国聞いてみると、例えば名古屋市のように年収七百万レベルで常勤で指導主事級の待遇で採用できている地域もあれば、一校につき年間十万円しか掛けられなくて年間二十時間しかいませんみたいな学校もあれば、本当にこの心理職の方の学校配置については、これも地域様々になっています。
また、働く時間についても多くは八時から十六時半と、常勤でもそういった時間になっているので、先ほどの自死してしまう子供たちのケアという意味では学校の前と後の時間が重要なので、そういった意味でも、本当は学校の職員と一緒に、学校に来れば相談に乗れるよという形ではなくて、オンラインで家からでも、学校に行けなくてもその子の都合に合わせて二十四時間以内に相談に乗れるよみたいなことの支援ができるようになれば、自死する子も、また困っている御家庭の相談も、ピンチのときにすぐに発動できるような支援が始められるんじゃないかと思っています。
二十ページなんですけれども、今うちの方でそういったオンラインの相談機能とソーシャルワーク機能によって伴走してきた御家庭の事例を二つ載せさせていただきました。
一つ目なんですけれども、これは神奈川県の某自治体からの御相談だったんですけれども、この方は元々不登校の相談ということでこちらに親御さんから相談があったんですけど、その背景には、話を聞いていくと、行政や学校ともう完全に関係性が悪くなってしまっていて、地域からも孤立しているという御家庭だったんですが、聞けば聞くほど困難さが重複していて、お母さん自身も虐待に遭ってきた、そしていじめに遭ってきたから学校という場所が怖いんだというようなお話も聞きながらですね、ゆっくり聞いていたんですけれども、借金の話が出てきたり、おうちを立ち退かなきゃいけないという話が出てきたりするということに、とにかく伴走をしながら、お子さんにとっての学びの支援と同時にお母さんに対するソーシャルワークの伴走支援をし、そして、私たちだけで支援を完結するんじゃなくて、ちょっとその行政はこういった虐待等の相談件数が多過ぎて全ての対応はできないということになってしまったんですけれども、児相とか、あと地域のNPOの方にも連携をお願いしながら、一緒に伴走をしていきながら、何とかお子さんの学びが続けられるように、お母さんの精神的ケア、そして社会福祉機能との接続ということも十分やれるなと。
これがもし、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの勤務時間内だけの相談ですと、一か月後のこの日には来るからそこに予約入れておきますねみたいな今はフローになっていて、相談がある御家庭が教頭先生に申込みすると、教頭先生が、次にスクールソーシャルワーカーさん来るのはここの日だからここに予約入れますみたいな感じになってしまうので、また相談の質が全然変わっていたりして、なかなか本当の意味での伴走にならないんですけれども、オンラインだと逆に、すごく今すぐに話したいときに相談に乗れるということで、リスク家庭に対する伴走としてはとても有効だなということを感じています。
また、二十一ページの、これは岐阜県のお子さんでしたけれども、お母さん休職、突然旦那さんが亡くなって突然困窮してしまったという御家庭の中で、国籍のこともあっていじめに遭って学校に行けなくなってしまったお子さんとどういうふうに寄り添っていけばいいかということで、本来あった学力も、不登校三年ぐらい続いてしまってなかなか難しいというふうになってしまったんですけれども、オンラインで定期的に学び続け、お母さんの心のケアを継続するということで十分、その子がまた学ぶということに復活していくということは十分できるなというふうに感じている事例が二十一ページです。
ちょっと、最後に、そういったことを支えていくために、私はこの部会、この調査会でお話しするのが適切かは分からないんですけれども、どこかで学校教育法については向き合っていかなければいけないと思っています。
今は親が学校に引きずってでも連れていくということを前提にした就学義務が設定されているんですけれども、それよりも、どんな家庭で生まれ育っても、社会としてその子の、子供の学習権を確実に守っていくという方針に変えていく必要があり、それは教育の機会確保法では確保されているんですけれども、ただ、学校教育法の方が教員にとっての上位法になっているので、なかなかそのオペレーションが運用できていない状況です。
そういった意味で、何とか子供の学習権を社会全員で守っていく、これはその子の未来の可能性や福祉に転落しない大人にしていくためにもとても重要なことだと思っているので、この点についても最後に御提案させていただきます。
時間になりました。私からは以上です。ありがとうございました。