田中茂明の発言 (内閣委員会)
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○政府参考人(田中茂明君) まず、標準化について、我が国が世界に対して主導してきた標準化というのはあるのかと、こういうお話がございました。
これまでも、例えば我が国の電機・電子産業は、家電、AV機器などの領域で競争力を有していた時代には、DVDなどの規格づくりにおいて主導的な役割を果たし、市場拡大に貢献したという経験を有してございます。しかしながら、電気・電子機器のモジュール化とか、あるいは複合システム化が進んで新興国企業が参入しやすくなって、またクロスライセンスが必要とされるとか等、こういった中で、特定の特許だけで競争優位をつくれない技術構造に変わって、従前の標準戦略と知財戦略では優位性を維持できなくなった、こんな経験もしているわけでございます。
近年の例でいきますと、エアコンの冷媒に関する温暖化対策の議論が進展する中で、我が国を代表するエアコンメーカーのダイキンが、自社が開発した温暖化係数が低い新冷媒の国際標準化を戦略的に仕掛けて、特許戦略におけるオープン・アンド・クローズ戦略を展開して市場拡大と自社の競争優位を同時に達成したと、こういう例もございます。自社の冷媒の採用に不利であったISOの冷媒選定基準の中の燃焼性安定分類に、不燃と可燃の間に微燃という分類を設けて、可燃に自社製品が分類されるのを回避することによって自社の新冷媒の国際標準化に成功したと、こういう例であります。この会社の場合は、基本特許を開放して国際標準採択における賛同国をまず増やして、さらには新興国の国内標準の制度化を支援して、同社の世界売上高、海外売上比率の大幅拡大につながった、こういう例もございます。
このような事例のように、企業や産業の発展を左右するものとして標準戦略は国際的にますます重視されておりまして、例えば現在の5Gに至る無線通信などの様々な分野で主導権をめぐってグローバル企業の活動や主要国の政策的な動きがますます活発化してきている、こういう状況にございます。
標準は、科学技術イノベーションが激化する国家間の覇権争いの中核ともなっておりまして、我が国産業の優位性、不可欠性を確保する上でも、先端的な重要技術に関して研究開発を促進するとともに国際標準化を強力に進めていくことが経済安全保障の観点からも重要と認識してございます。
このため、例えば次世代通信方式としてのビヨンド5G、量子技術を活用した量子暗号通信や、クリーンエネルギー分野では水素や燃料アンモニアなどの重要な分野で我が国として国際標準化を主導することを目指しまして、官民一体となって取組を進めているところでございます。
今後とも、経済安全保障の観点を含め、我が国に重要な分野での国際標準化について、科学技術イノベーション施策や経済安全保障関連施策との連携を更に深めるなど、政府全体で取組を強化し、官民挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。