妹尾昌俊の発言 (文教科学委員会)
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○参考人(妹尾昌俊君) ありがとうございます。妹尾と申します。
今日は、貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
ところで、先生方、今日、お昼はゆっくり召し上がりましたでしょうか、たくさん。いかがでしょうか。といいますのは、国会議員の先生方も本当にお忙しいと思うんですけれども、今現在も、約二万校ある全国の小学校の先生方、本当に給食も早食いでして、もう五分かそこらで食べていると。それで、子供たちのケアをしたり丸付けをしたりとか、いろんなことをされていると、そんな状況にあります。
後の資料にも載せましたけれども、国の教員勤務実態調査という二〇一六年の正式な調査におきましても、小学校の教員の平均の休憩時間は僅か六分、一日ですよ、ということです。もちろん国会議員の先生方もお忙しいと思いますけれども、多少は談笑したりコーヒーブレークだとかはあると思うんですけれども、日本の先生方は本当にノンストップ労働であるということが、特に小学校と特別支援学校では言えます。まあ中学校も結構似たようなものがありますけれども。
そういった過酷な状況の中で、そういった人たちにもっと研修せよとか研修の記録を書いてくれということを今しようとしているということについてどう考えるかということを今日は僕は申し上げたいということであります。ですから、そんなに難しい話ではありません。
今日は資料を用意しましたので、ちょっとたくさんありますけれども、かいつまんでこのパワーポイントの資料を御覧いただければと思います。学び続ける教師を増やすために、今、真に必要なことということでお話をさせていただきます。
めくっていただきまして、一ページ目は私の自己紹介になっていますので、また後でよかったら御覧いただければと思います。五人子供おりますので、本当に今真っただ中です、子育ての、いうところであります。
二ページ目ですね、今日お伝えしたいことは三点あります。
一点目は、教員免許更新制をやめることには賛成、歓迎いたしますということです。ただし、何が本当に反省点だったのかということをしっかり振り返らないと、また同じ過ちをすることになるだろうということをきつく申し上げたいと思います。
二点目、研修記録や校長等による指導助言を今回法で義務化するということなんですけれども、それは不要であろうと、不要であるということを申し上げたいと思います。是非、参議院では免許更新制に関する規定の削除のみ行っていただいて、教育公務員特例法関連は衆議院に突き返していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
三番目、研修記録の義務化などよりも、国、国会議員の先生方と文部科学省あるいは、本当各省庁もそうですけれども、もっとやるべきことたくさんございます。この四月の当初でも担任が発表できない学校があるんですね。それだけ先生方が不足です。昨日も「クローズアップ現代」やっていましたね。そういった中で、まさに休憩も取れない、大変だと、教員不足もあるというところの中で、教師の資質能力もっと、これも、ICTも大事だ、あれも大事だと言うのはいいですけれども、全然リソースが付いていっていないという状況でございます。そこをまた強調したいと思います。
めくっていただきまして、次の三ページは目次ですので、一点目の免許更新制について簡潔に申し上げます。四ページ目です。何が反省点だったのかということで、二点整理をして申し上げます。
第一に、何のための、じゃ免許更新制だったのかがそもそも曖昧であったということです。あるいは、その目的ないし目的らしきものに対して本当に効果的だったのかどうかの検証も甘いままだったということだと思います。
戸ヶ崎さんがさっきおっしゃっていただいたことと重なります。最新の知識技能を身に付けて教師力をアップしてほしいということが一つの狙いだったわけなんですけれども、十年に一回だと付いていけないと、それだけでは駄目だということであります。ですから、目的あるいは、それに効果的だったのかという点でチェックをしないといけないということです。
二点目、たとえ効果があったとしても、マイナスの方が大きかったら意味がないわけですね。当たり前の話です。今回は、免許更新制、当然良さもありますよ、大学でいい授業が受けられる、それは良さもあります。それは僕も分かりますけれども、マイナスの影響の方がきっと大きかったんだろうなと思います、講師不足を助長しましたと。あるいは、十年の期限付ということになりましたので、教員免許ってそんな軽いものでしたっけというようなイメージを学生さんにも若い方にも広めているわけですね。あるいは、やらないと教壇に立てなくなるわけですから、免許更新受けないと、教員の主体性とか自発性、自学といったのはそっちのけの制度です。これをしっかり反省しないといけないということです。これと同じことが教育公務員特例法の改正でも言えるだろうということが僕のポイントです。
次のページです。五ページ目でその特例法について申し上げます。
六ページ目ですけれども、研修記録の義務化等が不要だと思う理由その一なんですけれども、先ほどの免許更新制のときの議論を思い出していただくと、じゃ今回も何のためにこれ改正しているんですかというところが甚だ分かりません。曖昧なままです。記録を付けていろんな振り返りにする、ポートフォリオにしていくって、これは僕も別に反対しているわけではありませんが、じゃ記録を付けたからといって先生方の学びが本当に豊かになるのかって、そんな簡単な世界ではないわけです。私、このために今回数人の校長とインタビューをして意見交換してまいりましたが、皆さん共通していたのはそういうことです。別に記録はあっていいけれども、あったところで何なのということであります。
二点目ですね。ここに書いてありますように、今回の、じゃ法改正の目的何だということで衆議院の議論を参考にしますと、免許更新制がなくなって先生方本当に大丈夫ですかと言われちゃうということで、発展的解消ってよく分からぬ用語使っているわけですけれども、なので、大丈夫ですよということが言いたいがために、じゃ研修記録ちゃんと付けて研修を受けさせていますから、だから免許更新制の廃止には賛成してくださいというふうに多分おっしゃったんでしょう。だけれども、じゃ、この記録があるからといって教員の資質保証になるのかというと、そんなことは論理的におかしい話です。加治佐先生のことは僕は大尊敬していますけれども、ここのロジックはおかしいということを申し上げたいと思います。
例えばで書いていますけれども、医師でも弁護士でも保育士でもいいですけれども、非常に問題がある方がいらっしゃったとしましょう。その方、研修履歴たくさん見せられてですよ、僕みたいな保護者がですね、このお医者さんなり保育士さんが研修をたくさん受けているから保護者のお父さん、お母さん、安心してくださいと言われたって、安心できるわけがない。当たり前ですよね。ですから、教員の質の保証とか問題のある先生に対する対処というのは別の手段でやらないといけないんであって、今回の法改正は無用です。
次のページです。そういったことを僕はヤフーとかにも書いていますのでまたよかったら御覧いただければと思いますが、今日のポイントは申し上げます。
八ページ目です。次に、不要だと思うその二なんですけれども、副作用なりマイナスの方が大き過ぎるだろうということを申し上げたいと思っております。
副作用、四つぐらい申し上げます。四つ、五つ、四つぐらい申し上げますが、一つ目は、一つは、地方自治、地方分権の理念をないがしろにする改悪であるということです。これは衆議院でも余り議論されておりませんので、是非参議院の皆さんには重視していただきたいです。
分権改革のときに何が重視されたかというと、国による過剰な義務付けとか枠付けはもう取っ払おうと、住民に近いところでしっかり責任を持った行政をしてもらおうということが理念だったはずなのに、今回またわざわざ法改正して、研修履歴付けろとか校長は指導助言しろということを義務付けるわけですね。これやってないと校長は法令違反ということになります。何でわざわざ法で、わざわざそんな細かいことまで書かないといけないんでしょうか。あるいは、文科省から言われないと動かないとか、教育委員会の自主性とか学校の自主性、自律性、こういうのをもっと大事にしないといけないのであって、コロナの休校中もそうですけれども、教育委員会のICTの話もそうですが、戸ヶ崎さんのように非常に熱心に、戸田市のように進んだ自治体もあります。それも確かなんですが、非常に受け身的で主体性が乏しかった教育委員会も一部にあります。
このように、法でいろいろ義務付けて、どんどん文科省の言うとおりに動いてくださいという方法は駄目です。これは令和どころか昭和のままです。令和の日本型学校教育という、名前だけ令和なんですけど、全然アップデートできていないということは申し上げたいと思います。
次のページ、九ページ目です。これも昭和的な発想なんですけれども、副作用のその二なんですけれども、いまだ文部科学省は個人頼みのアプローチをやっているということです。
この図に描きましたが、今般の法改正の前提といたしましては、教員一人一人の資質能力が高まったらそれで安心だというものなんですけれども、もう御案内のとおり、いろんな複雑化していますので、一人一人の個人力、もちろんこれも大事ですが、個人の力だけでは駄目です。限界があります。学校のチームとして、組織としての力を高めないといけない。あるいは、これソーシャルキャピタルとかプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティーとか、そういういろんな専門用語で言われていますけれども、要するに、同僚性だとか教職員間の関係性が良くないといけないということを重視しないといけない、こういうアプローチに転換しないといけないのに、いまだ個人個人で頑張れと言っているというところは時代錯誤も甚だしいと思います。
マイケル・フランという著名な教育学者も、もう全部は読みませんけれども、こういうふうに書いてあって、校長の本当に時間が無制限にあるかのような教育改革が行われているということ、これは主にアメリカを指して言っていますけれども、日本もそういった同じ轍を踏もうとしているということを申し上げたいと思います。
十ページ目でございます。副作用のその三なんですけれども、残念ながら、適切な指導助言ができる校長ばかりではないという。私は、大多数の校長はいい方だと思っていますよ。よく知っています。知っていますが、一部に問題のある方もいらっしゃって、先ほど戸ヶ崎さんも、今回の改正が教師のモチベーションになるようなものにしないといけないというのはおっしゃるとおりなんですが、逆にモチベーションを下げてしまうという運用がされてしまう可能性がすごくあるわけです。
今回の前提は、指導力のある校長が教員を引き上げてくれるはずだという、非常にお花畑的な楽観論で動いているわけですね。こうではなくて、一部、本当に初任者や若手の教員をやっぱり潰してしまっているんですね。これ教員不足にも関係しているんですけれども、若手の方がんがん辞めています。こういうところを考えないといけないのであって、しかも特別支援学校等では、二百人、三百人、もっと教職員数いるんですよ。これ三百人、一々対話できりゃいいですけれども、それだけでもう二か月、三か月ですわ。全然こういうことも考えていないということで。
ですから、文科省がまだ、やったらどうですかと、こう提案するぐらいだったらいいですよ。法律で義務付けろって言っているから僕は怒っているんであって、しっかりこの辺りを参議院の皆さんには考えていただきたいということです。
次の十一ページ目は、諏訪先生の研究を引用しておりますけれども、これは小学校の教員から寄せられたアンケートの記述の一部です。全部は読みませんけれども、非常にこういうネガティブなサポートをしてしまっている校長もいますよということはもう古くから分かっていることなんですね。現在もそうです。そういうことも含めて考えないといけないということです。
十二ページ目です。副作用④ですけれども、今回の改正は、もうこういうふうに管理をしないと、あるいは校長等から指導をしないと教員は学ばないぞというような教師不信のメッセージを伝えてしまっている、これは免許更新制と同じ過ちを犯しているということを申し上げたいと思います。
⑤は、皆さんも御案内のとおり、書類仕事を増やしているということ、特に教育委員会職員も多忙なんですね、すごく。更に多忙にしてどうするんでしょうかということを申し上げたいと思います。
十三ページ目、結論といいますか、まとめですけれども、プラスの効果よりもマイナスの効果の方がきっと大きいだろうということで、さっさと、この改正は不要であろうということです。まさに、再考の府というふうに参議院は言われていますので、もう一回考えるということを是非していただきたいなというのが私の意見です。
十四ページ目、じゃ何を本当にするべきなのかということについて幾つかだけ、とても時間がありませんけれども、申し上げたいと思います。
十五ページ目、これは僕がアンケートをして、現場の先生方の生の声です、直近の、この三月、四月の声です。コロナ対応とかICT対応等で非常に大変だと、トイレに行く暇もない、授業で使う教具の準備もない、まともに人間らしい働き方ができるような職場にしてほしいと、悲痛な声がたくさん寄せられています。こんな中で、非常にぎりぎりの中、頑張っています。
十六ページ目ですけれども、こんな余裕のない職場でまた書類作業を増やしてどうすんねんという話でありまして、今学校に必要なのは、研修管理ではなく、労務管理と定数改善です。是非この辺りをよく考えていただければと思います。
十七ページですけれども、以前の調査でも、授業準備する時間が足りないとか生活にゆとりがないと多くの方がおっしゃっていました。
これと同じような調査、まねをしまして私はこの三月に同じように、十八ページ目に、やりましたけれども、やはり多くの先生が非常に余裕がない状況で、授業にも自信がないと言っていたり、あるいは職場の人間関係、上司等も含めて、悩んでいます。こんな状況ですので、ここをまずは改善しないといけないということです。
しかも、十九ページ目です、教員の精神疾患が多いというのはもう御案内のとおりですけれども、特に、実は二十代、三十代の方の長期療養、精神疾患が増えているんですね、すごく。
こういうのも含めて、もう書類作業を増やすよりは、この方々のケアを校長、教頭はしてもらわないといかぬ、いけないわけですよ。何により優先順位を置くのかということです。
二十ページ目ですけれども、この四月に、これも先生方から声を集めました。教員不足、このように、当面教務主任が担任を兼務しますというお便りを保護者に出した、そんな声もあります。あるいは、授業の見通しが立たない、こんな状況もあるんですね。まずこういう状況を改善しないといけないということを申し上げたいと思います。
あと、時間が余りありませんので少しだけ申し上げます。二十一ページから、じゃ何をするのかということで、私の私案で五つほど申し上げたいと思います。
一点目は、校長の本務というのは、研修履歴を見て指導助言するんじゃなくて、いろんな授業とか児童生徒のケアだとかを見ながら指導助言をしたらいいんですね。ですから、研修履歴よりも校長、教頭らが人材育成にもっと時間を掛けられるように、書類作業はむしろ減らさないといけないということを申し上げたいと思います。
二番目、これは働き方改革も関係しますけど、先生方のやっぱり、ゆとり、時間を取り戻す必要があります。
特に、小学校では持ち時間数が多過ぎます。これ、高校では十五こま、週平均十五こま平均なのに、小学校の先生は多くが、半分以上が、半分ぐらいが二十六こま以上持っているんですね。もう出ずっぱりです。だからトイレに行く暇もないんです。この中学校と高校の格差はおかし過ぎるというのが誰にとっても明らかで、こういうことを許しているのが義務教育標準法なので、義務教育標準法の改正こそ国会で議論するべきでありまして、この特例法の議論をしている暇じゃないということを申し上げたいと思います。
附帯決議で、じゃ書けばいいじゃないか、衆議院でも書いているよということですけれども、このぐらいの書きぶりでは全く、文科省、駄目だと思います、を動かすには。もっと具体的に、持ち時間の上限も含めて、抜本的に標準法の見直しを含めて、着手早期にせよと書いてください。是非お願いいたします。
次の図は僕の方の本にも書いていますが、いろんなこと、荷物負わせて、もう船が沈んでいるような状態だと。あるいは、二十三ページは、苅谷先生も似たようなことをおっしゃっています。
二十四ページ目、お開きいただければと思いますけれども、三つ目は、今本当に講師不足で、本当に講師の今度、質保証というのが全然できていないわけですよ。しかも、それを即戦力に使っているわけですから、まず、質の保証云々言うんだったら、ここを何とかしないといけないということです。
四番目ですね。自学や自発的な学びを歓迎するようなインセンティブづくりですね。GoToトラベルやっている暇があったら、GoToリードといって、読書したらちょっと補助してくれるみたいな、そんなことも含めて、もうちょっと柔軟な施策こそやっていただきたい。
二十六ページは、校内研修の活性化こそが肝であるということも申し添えたいと思います。
あとは質疑応答で応じます。よろしくお願いします。