石塚伸一の発言 (法務委員会)
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○参考人(石塚伸一君) 拘禁刑という言葉が決まったのは恐らく去年の九月、報道によるとですね。法制審議会等で、部会でお話しになった先生方が集まって決まりましたというのを報道で知りました。私たち刑法の研究者は一度も意見を求められていません。
先ほど今井さんがおっしゃったドイツ語のフライハイトシュトラーフェというのは、奪うもの、剥奪される法益は何かということを示しています。拘禁というのは、刑罰を執行する際の状況を示した言葉としてインプリズンですね、インプリズンメントということになります。インプリズンメント、拘禁という言葉を使うということは、拘禁している状況をどうするかということが含まれているわけです。
先ほどからの議論の中でお話ありましたけど、刑法の中で刑罰の目的なりやるべきことを全て書いておくという考え方は、非常に静的な、スタティスティックな考え方です。刑罰の展開というのは、先ほどから申し上げますように、宣告して適用して執行するという動的な、ダイナミックなプロセスを経るわけですから、どこに重点を置くのかということを明らかにしなければなりません。そういう意味でいうと、インプリズンメントという、拘禁という言葉を使ったのは、中立的で意味の余り付与されていない概念で、私も拘禁刑でいいのではないかというふうには思います、言葉としては。
ただ、拘禁刑が拘禁刑じゃないんですよ。改善更生なんですよ。じゃ、拘禁刑というのを読んで、改善更生を図るという意味がどこから出てくるんですか。刑法というのは、その言葉を見たときに、日常用語の中で一般の市民の人たちが分かるようなものにしておかないと、先ほど言いましたように、何が行われるのかが分からないと、自分の行為規範として何をしていいのかも分からないわけです。
そういう意味で、刑法の改正の中にこの拘禁刑というのを入れる以上、拘禁だけ書けばいいんです。執行の段階のところで、今日の資料にも挙げましたけれども、非常に、受刑者処遇の原則というのが、「受刑者の処遇は、その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする。」、執行の在り方がちゃんと書いてあるんですよ。何でこれを刑法の中に書き込まなきゃいけないのかが理解できない。
つまり、拘禁刑じゃなくなっちゃうんですよ。そうしたら、これは改善更生刑にすべきではないですか。つまり、これは改善保安刑になってしまうんです。だから、今まで日本は刑罰一元主義でしたけれども、これからは保安改善処分一元主義になるということを意味してしまいます。それをレッテル詐欺で拘禁刑と言っているというふうに私は考えます。
以上です。